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第25話 オマケ。 悪喰姫と料理大会


 結婚式から数日が経ち、私はルーと穏やかな毎日を過ごしている。


 ルーは毎日公務があり、私も皇太子妃としてマナーや教養などを学ぶ毎日だ。


 毎日、お茶会が開催され帝国の高位貴族の奥様や令嬢達と交流を深めている。


「慣れない事はするものじゃないわね……肩が凝っちゃうわ」


 部屋で肩を揉みながらエルマに愚痴を溢してしまう。 マールにいた頃はから放置されてた分、面倒な事がなかったから毎日お嬢様言葉を使ってお茶会なんてちょっとしんどい……


「肩をお揉みしますよ!」


 エルマは最近は力加減がマシになってきて肩を揉むのも様になってきた。 以前は揉み返しが酷かったけど……


「姫様、あーカチカチですねぇ! 硬いクッキー食べてるせいですかぁ?」


「アハハ、クッキーぐらいで硬くなってたらお餅食べたら直ぐにふにゃふにゃになっちゃうわね」


「いいですねぇ! お餅! オッパイも切り餅じゃなくなるかも!」


「ぶっ飛ばすわよ?」


 エルマの軽口に軽く心を抉られながらも、確かに柔らかいもの食べれば肩の凝りも良くなるかもしれない、と考える。 肩凝りの為よ肩凝りの!!


「エルマ、柔らかい食べ物って何があるかしら?」


「うーん、お餅……マシュマロ……わたあめ?」


「わたあめはちょっと違うでしょ?」


「む〜、あっ! そうだ! それじゃあお料理大会でも開きましょうよ〜! お題は柔らかい食べ物で! みんなでアイデア出し合えば姫様のオッパイも柔らかくなりますって!」


「肩凝りの為よ! でも、お料理大会とか面白そうね!」


 そうして、エルマの発案でお料理大会が行われることになった。




☆★☆★


「さぁ、始まりました第1回アルトエンドお料理大会!! 今回は第1回と言う事もあって参加者も審査員も超〜豪華でございます!」


 発案から直ぐに企画書が練られ、参加者を募集した所、物凄い数の応募があったと言う。


 優勝賞金がまぁまぁの高額って所が大きかったのだろうか。


 けれど…………


「さぁ、先ずは審査員からご紹介いたします! 先ずは大賢者マーリン様! そして騎士団長シュテン様! そして、そして審査員長は我らが皇太子妃シェリム様でーす!!」


 皇城の庭園を一部開放した会場には多くの観客が押し寄せていた。 審査員の紹介に対していちいち大きな歓声が上がり、私の紹介の時には地鳴りのような歓声が轟いた。


「続きまして、参加者の紹介です!! 先ずは、愛するシェリム様に是非手料理を食べさせたいと参加を表明したルシオ殿下!!」


「お、おい! 何を言って……」


 司会の紹介に顔を赤くするルーが可愛い! ずっと見てられるわ。


「次は、此方も愛するシェリム様の為に参加を表明した天然美少女メイドエルマ嬢!!」


「姫様ぁ!! 愛してます〜!!」


 エルマに至ってはいつもの事だからいいんだけど、何故か歓声がルーよりも大きい気がする……


「そして、我が帝国が誇る魔法師団長ウォルス・カーター様!!」


「ププププッ、私が絶品の魔法料理を作ってあげましょう!」


 まさかのウォルスさん……この人ちょっと苦手なんだけど……それに魔法料理って何?


「さぁ、最後は謎のエルフ料理人! アルヴィトだぁ!!」


「特別に【全知】の私が正解を教えてやろう」


 ぶっ!? ア、アルヴィト!? 右の山の魔女様が何やってるのよ!?


 マーリンお爺さんもお茶を吹き出しちゃってるわよ!?


「さぁ、それでは早速調理を開始してもらいましょう!! お料理ぃぃいスタァァァアアッットゥッ!!」


 


「さぁ、選手がそれぞれ調理を始めています! 今回のお題は柔らかい料理! なんとも曖昧で馬鹿っぽいお題ですが、選手の皆様は一体どんな料理を作るのでしょうか!!」


 悪かったわね、馬鹿っぽいお題で! でも柔らかい料理ってなると大体はスイーツ系よね。 みんな粉を使っているし……


「1人ずつ見ていきましょう! エルマ嬢が使っているのは……これは! 豆腐ですね! 柔らかい! これは確かに柔らかいですね! それを潰して味付け、そのほかにもジャガイモやにんじん、お肉と具沢山ですねぇ! そして蒸し器を使う様ですねー」


 へぇ、エルマこ事だからてっきりスイーツを作ると思ったけど、お豆腐を使うのね?


「そして、ウォルス様は大きな鍋で何やら水色っぽい? 半透明な液体を煮ていますねぇ! ルシオ殿下は小麦粉でしょうか? 何やら粉と卵と牛乳を混ぜていますね。 これは普通に考えればアレですねー」


 ウォルスさんは何作ってんのよ? アレってスライムじゃないの? 私は平気だけど、他の人はスライムとか食べれるのかしら?

 ルーは……ホットケーキかしら? まぁ柔らかい料理だし、美味しいからいいけど普通ね……でも、私のためにホットケーキを作るルー……なんて愛らしい!


「謎のエルフ料理人アルヴィトは大量の白い粉を出したまま微動だにしていない! これはどうした事だ!? まさか会場の雰囲気に呑まれて固まってしまったのかぁ!?」


 あのアルヴィトが会場の雰囲気に呑まれるとか無さそうだけど……確かに全く動いていないわね……


「さぁ、そうこうしている間に時間が迫ってまいりましたぁ!! 完成した人からの試食になります! 1番目は誰だぁあ!?」


「ふん、私は既に完成しているぞ」


「な、な、なんとぉ!? 全く動いていない謎のエルフ料理人アルヴィトが1番手だぁ! さぁその料理は一体!?」


「これはグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸を粉末状にしたものだ。 旨味成分の塊であり、更に粉末だから柔らかい! これ以上のものはないだろう!」


 何言ってるかしらこの人? ほら、マーリンお爺さんが粉が気管に入って激しく咽せてるじゃない!? 死にそうになってるわよ?


「ププププッ、そんな物は料理とは言えないでしょう。 ただの調味料ですよソレは。 料理と言うのはこうゆう物です! スライムゼリー!!」


 ウォルスさんがドンって自信満々に置いたのはやっぱりスライムだった……多分1回濾したりしてるんだろうけど、見た目はまんまスライムだ……


「オエッ……」


 あーっ! ほらシュテンさんが静かにえずいてる! 仮面を被ってるから表情が見えないけど絶対蒼ざめているわ!


「ただの粉末にスライムと色物が続いてましたが、次は期待できるでしょう! エルマ嬢が蒸し器から取り出したのは…………プリンだぁ!!」


「姫様ぁ! プリンですよぉ!!」


 えっ? なんで!? あの材料でどうしてプリンが出来上がってるわけ? 意味がわからないわ!


「さぁ、最後はルシオ殿下だ! やはり予想通りホットケーキだぁぁ!! 期待を裏切らない! 安牌! 想像通り! まっっったくもって普通! しかぁし、その普通がここでは異常! よく分からない料理の中に一筋の光が!!」


「ホットケーキだ! シェリムの好物だって聞いたから……」


 うん! うん! 司会の人がなんか酷いけどルーのお料理が1番安心できるわ! 




☆★☆★



「さぁ、それでは全ての試食が終わったので、審査員長のシェリム様、結果をお願いします!」


「はい。 それでは結果を発表します! 先ずはアルヴィト選手……旨味は凝縮されてました! けど料理じゃなくて粉です! 70点!」


「ふん、私の【全知】でもってしてもここまでか……」


 【全知】の使い方絶対間違ってるわよ!


「次、ウォルス選手! 柔らかかったです! でも料理じゃなくてスライム! 70点!」


「ププププッ、魔法生物であるスライムを使った料理ですよ! この味が分からないとは嘆かわしい……」


 魔法料理ってそう言う事なの!? 


「次ぃ、エルマ! 美味しいプリンでした! でも材料が不穏なの!! 90点!」


「姫様ぁ! 愛情かければなんでもプリンになるんですよぉ!」


 なるかぁぁぁああ!!


「次ッ!! ルー!! とってもとっーーーーても普通のホットケーキでした! でも、愛情が満点でホッとする味!! 1200点!! 優勝!」


「シェリム! 喜んでくれて良かった!!」


 まぁ、ルーが出たら満点以外つけられないよね! 少し焦げたホットケーキだったけれど、とっても美味しかったな。 無いだろうけど、もし次回があるなら私とルーは参加しない方が良さそうね!


「ふん、まぁ人間の味覚とハイエルフの味覚は違うからな。 次は負けん」


「ププププッ、次回はより高度な魔法料理をお見せしますよ!!」


「姫様ぁ!! 姫様のオッパイが柔らかくなるまでプリンを作り続けますよぉ!」


「オッ……パ……い、いや、それなら俺もいつでもホットケーキを作ろう……」


 いやいやいやいや……皆んなやる気満々ね…………


 でも、こうやってワイワイするのも楽しいわね!


 肩凝りは一切解消されなかったけれど……



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