ジュースじゃない、〇〇だ
店の奥、木のテーブルを囲む4人——その中心で、ペンバートンは叫んでいた。
「だからこれはァ!!!!
ジュースじゃなくて漢方っていってるでしょうがぁぁぁ!バカチンがぁ」
その怒声に、ヤカンの湯気すらビビって逆流しかけた。
ロビンソンは、いつものようにポケットに手を突っ込み、
斜め45度のクールな目線で一言。
「でも博士……普通に飲みやすいし、美味いし、どう見てもジュースじゃね?」
ダービッツは炭酸の刺激に感動しきり。
「アニキィーー!!!これ、シュワッとして爽快感MAXっすよ!!これもう……ジュース界の革命っす!!!」
ヤコブ店主はグラスを掲げ、ニヤッと笑う。
「飲み物として美味い。つまりジュースってことだろ?」
——その瞬間、ペンバートンのメガネがギラリと光った。
「皆さん、冷静に考えてくださいよ……」
彼は静かに立ち上がり、棚から分厚い薬草辞典を引き抜いた。
「まず、“ジュース”の定義とは何か?」
ページを開きながら淡々と続ける。
「それは“嗜好性を目的とした飲料”。目的は——**快楽**。
それに対し、私の開発した飲み物は明確に**生理的効能**を前提に設計されている。」
辞典の端がバサッと音を立てた。
「例えば、**コーラナッツ**。知ってますよね?含まれるカフェインは緑茶の3倍。
集中力を増進し、精神活動を刺激する。**完全に薬理設計です。**」
次のページ。
「ダミアナ葉。これは中枢神経を緩やかに刺激し、ストレス耐性を向上させる。
しかもこれらは、**単体でなく相乗効果が出るよう配合バランスまで調整済み**なんですよぉ……」
「……ガチで薬効あるやつ入れてんの?」
ペンバートン、鼻で笑う。
「“ジュース”は**味を揃える**。
“漢方”は**身体の調律を整える**。目的も構成思想も違うんですよぉ!!!!」
**——定義からの、完全論破。**
---
ヤコブ「でもなぁ、美味いもんは美味い。客は“味”で判断すんだぜ?」
ペンバートンは不敵に微笑み、さらに言葉を重ねた。
「美味=嗜好品という短絡は、民間思考最大の誤謬です。」
「例えば生姜湯。体を温める立派な漢方であるが、美味しいと感じる人も多い。
つまり、“美味”と“薬効”は**矛盾しないどころか、本能が求める一致点でもあるんですよぉ!!!」
ドヤ顔。
「つまり!!!!
“美味いからジュース”という発想は——医学的にもマーケ的にも、時代遅れなんですよぉぉぉ!!!!!!
はい完全論破ァァァァ!!!!」
ロビンソン、腕を組んでフッと笑う。
「ダリーけど……博士の言い分、理屈としては通ってる。
でも一般人に“これは漢方です”って言って売れるか?」
ダービッツ、計算機を叩きながら言う。
「アニキィーー!!原価率見ると、薬として高価格帯で売った方が利幅バカでかいっす!!」
ペンバートン、ニヤリと口角を上げる。
「だからこそ、これは“高級薬膳飲料”としてブランディングすべきなんですよぉ……!!
“ただのジュース”じゃ届かない、**本物を求める層がここにいる。**」
---
ヤコブ店主は、笑いながらグラスを掲げた。
「博士の言い分、もはや哲学だな!売れるならそれでいいぜ!!」
そして——ペンバートンは最後にこう言い放った。
「“ジュース”って言葉が安っぽいんですよねぇ……
これは、“飲む処方箋”なんですよぉ……!」
ジュースじゃない、これは処方革命だ——!!!」
ペンバートン博士の狂気と信念は、
いまや完全に“売れる理屈”として受け入れられた。
そして最強の販売チームは、
薬として売るジュース”という最終形態に突入するのだった




