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LHTRPGリプレイ 「ヒーラーズ/ヒーローズ -回復職がありあまる-」  作者: ヒーラーズパンテオン
第二試練 :公式シナリオ「ラグランダ再び 右ルート この洞窟カルシウム多すぎだろ」編
7/15

その2

■オープニングフェイズ


GM:では、皆さんは「この間は大冒険だったね。あんなことはもう二度としたくない」という状態にあるのですが……。


目映:いやじゃいやじゃ、もうあんな冒険はしとうない (笑) (註1)

ロシナンテ:まったくだ。いい加減にレベル上げをするのと同時にちょうどいいレベル帯の初心者たちと知り合いになってパーティーを組みたい。


蒼子:目映さんのキャラが崩壊してる(笑)でもまあ、たしかにそうですね。私たちが仲間意識を持つのはいいんですけど〈回復職〉オンリーパーティーというのはちょっと。

目映:横のつながりは大事だけど、これはちょっとねー。


ロシナンテ:まあ、乗り越えられたのはすごいことだとは思う。思うが、な。

蒼子:できることはわかりましたけど、やっぱり基本四職ですよね。


GM:皆さんがそのように前回の「バランスバッチリ」発言はなかったかのように話していると、「あのー、ちょっとよろしいでしょうか」と話しかけられます。猫人族の〈冒険者〉の職員、円東あきば (註2)さんですね。


蒼子:「はい?」

GM (あきば):「ロシナンテさんと、まばゆさん。あと…そうこ?さんですね?」

蒼子:「……今なんと?そうこ?誰のことですか?」


GM (あきば):そうすると気が付いたのか「あ、これは失礼しました。こちらは、…あおこさん、ですか?」

蒼子:「まあ、初めての方は仕方ないですよね(にっこり)」

ロシナンテ:笑うとは本来攻撃的なものであり……。 (註3)

一同:(笑)


GM (あきば):「メモしておきますね。ところで、今お時間がよろしければ奥の〈円卓会議〉の執務室までお越しいただけないでしょうか」

蒼子:「はあ、どういったお話で?」

GM (あきば):「〈円卓会議〉から皆さんへの直接の依頼でして……」


GM:通された執務室の一つ。そこでは3人の人物があなた達を待っています。一人は金髪くるくるの縦ロールの……15,6歳くらいの外見なのかな。


蒼子:その胸は平坦であった。 (註4)

目映:スゴイ・シツレイ! (註5)

一同:(爆笑)


ロシナンテ:〈D.D.D〉 (註6)のリーゼ (註7)かな?

GM:そうですね。それと、髪の長い〈神祇官〉の男性。そして少し離れて控えたところに眼鏡をかけた〈付与術師〉の男性がいます。


目映:一体何ンス先生なんだ(笑)

蒼子:実際アインスさんは有名人だけど、他の2人は知らないんじゃないかな。特に眼鏡の人。


GM:そうですね。プレイヤーはお察しかと思われますが〈ホネスティ〉 (註8)のギルドマスター、アインス (註9)と〈記録の地平線〉 (註10)のギルドマスター、シロエ (註11)です。


ロシナンテ:やっべそういえば俺名前だけだけど〈ホネスティ〉所属だわ。

GM:そういえばこの間そんなことも言ってましたね。サブキャラで社会人だからIN不安定だけどとかいって入れてもらったんでしたっけ?

ロシナンテ:そうそう。


GM:では全員が自己紹介をしてから話が始まります。「先日、興味深い報告書を目にいたしまして」、とアインスさんは蒼子さんの方に目をやりながら切り出します。「こちらです」といって渡されるレポートには『回復職三人パーティーによるクエスト踏破』と題されています。ロシナンテさんは先日ホネスティのメンバーから確認の連絡があったのを思い出します。


ロシナンテ:こないだ連絡が来たのはこれか。

GM:前回の事件のあと、〈アキバ冒険斡旋所〉からの報告書を確認して〈円卓会議〉でも話題になったらしく、これほんとにやったの?ということも含めて調査が行われたそうです。ロシナンテさんに話が行ったのもその一環だったようですね。


ロシナンテ:「そりゃ俺だって正気の沙汰じゃねえとは思うが…」

GM (アインス):「ああ、いえ、責めてるわけではないんです。むしろ適正な割り振りができなかったのはこちらの問題でもありますから」


GM (リーゼ):そこにリーゼさんが「それより、レベルによる力押しでもなく踏破出来る、という戦術面に我々〈円卓会議〉は興味を持っておりまして」と食い気味に入ってきますね。

蒼子:「まあ、できなくもないっていう感じでしたけどね。装備を偏らせて、疑似的な〈戦士職〉と〈攻撃職〉を作っただけですし」


GM (リーゼ):「そこは存じ上げております」そしてリーゼさんは蒼子の手をがしっと取りまして「続けてみる気は、ありませんか?」と続けます。

目映:「続けてっていうのは〈回復職〉だけっていうことですか?」


GM:リーゼさんはにっこりと笑ってうなずきます。それを引き取るようにアインスさんが「ご迷惑なのは重々承知なんですが、こちらにもいくつか事情がありまして……」と続けます。

蒼子:「はぁ」


GM (アインス):「現在既存パーティーの崩壊が問題になっていまして、これは平たく言ってしまえば戦えるものと戦えないものが出てきてしまったということです。特にこれは前衛職に顕著でして、その結果機能不全に陥っているパーティーが増えているんですよ」


目映:「怖いものは怖いもんね」

GM (アインス):「この問題はあまり深刻なものではないようなので、追々訓練で克服していけばよいでしょう。しかし、職バランスが戻らなかった場合や、非常時のことを考えて、職が偏ったパーティーでどこまでやれるのかという性能調査をしておきたいんです」


蒼子:「お話はわかりますが、少しは混ぜないんですか?」と一応……。

目映:「それは違うよあおちゃん。実験だからこそ極端な状況を作っておくの。そうじゃないと比較対象にならないから」 (註12)


GM (アインス):「そういうことです。一応あなたたち以外にも偏ったパーティーを作ることを打診している最中です」

蒼子:「そうなんですか…」


GM (リーゼ):「というわけで、続きうる限り、やってみませんか?当然ただとは申し上げません」そうするとですね、後ろで控えていたシロエさんが「具体的にはギルド会館に一室拠点を。当然維持費用はこちらもちで。この実験が続いている限り、ですが」、と条件を提示します。


ロシナンテ:それは美味しいな。

GM (シロエ):「それから、クエストに関する情報などもある程度優先的に渡させてもらいます」

目映:「わー、大盤振る舞いだね!」この眼鏡の人 (シロエ)はきっと会計の人に違いない(笑)


GM (リーゼ):「どうか引き受けて、いただけませんか?」

蒼子:「うーん……」自分にとってどっちのほうが有利なんだろう?とか考えてます。このままレベル上げしてもちゃんとパーティー組めるかも保証はないし、拠点が持てるようになるかも保証がないし…。


目映:「んー、どの時点で失敗したって判断したらいいかな?そこのラインが決まらないと引き受けようがないと思うし」

GM (アインス):「一応一つのクエスト中に全滅三回を区切りに、こちらから意思確認をさせていただきたいと思います。もちろん途中でギブアップも可能です。つまり、その辺が性能的に越えられない壁ということではないか、という判断ですね。ギブアップしたら、拠点の契約に関しては応相談ということで」


目映「わたしたち、この間募集が始まった〈ラグランダの杜〉の強化合宿に参加したいんですけど、それも大丈夫ですか?」

GM (アインス):「はい。それに関しては現在募集から選考中ですが、このパーティーで参加してくださるなら優先させていただきます」


そのまましばらくそのまま交渉と相談を続けるPCたち一行。ぶっちゃけてしまえば、プレイヤーレベルではこのパーティーで続けることは確定しているので、この交渉劇は茶番である。リアリティにこだわるプレイヤーたちは細かいところまで突っ込んでくる。GMとしては毎回冒険に向かわせるまでが長くてこの時点で青息吐息である。


目映:んー、他のパーティーというかプレイヤーとの交流を妨げる、ってレベルではないんだよね?ならいいかな、エンジョイ勢としては。


蒼子:「じゃあ、引き受けさせていただきましょうか」まあ、あたしたちにとって利益の方が大きいならいいですよね。


ロシナンテ:〈アキバ〉の〈冒険者〉は運命共同体だから、不利なこと押し付けてくることはないだろ。あんまり問題あるんだったらすぐ是正されていくだろうしな。むしろ、俺は〈アキバ〉のために何かできることがあるほうが嬉しいよ。


GM:まあ、あなたたちはそのようにして実験ユニオン、〈ヒーラーズパンテオン〉を結成し、〈円卓会議〉からの援助として拠点を入手し、さらに第一回初心者〈冒険者〉強化合宿に参加したわけです。


蒼子:第一回、ですか?

GM:ええ。第一回です。ミノリやトウヤ達にも会えますよ(さらり)。場所はザントリーフ中央丘陵地帯に存在するダンジョン、〈ラグランダの杜〉。引率の猫人族の〈冒険者〉、にゃん太さんとともにあなたたちが辿り着いたのは木立が切り開かれた広場でした。元は神社の境内であったのか、斜めに傾いだ鳥居や腐葉土から石畳が顔をのぞかせたりしています。そこでにゃん太さんは大きな岩屋戸を指さします。


GM (にゃん太):「あれが〈ラグランダの杜〉ですにゃ。内部はかなり広いゾーンになっているのですが……。おおざっぱにいって最初のT字路を右に行けば多少楽な地区に、左に行けば少し歯ごたえのある地区に辿り着きますにゃ。これは皆さんの実力を鍛えるための合宿。実力の中には『自分たちの限界を見極める』ことも含まれてますにゃ。帰り道のことを常に考えて、自分たちで判断して入り口まで戻ってくること。では準備と作戦会議をしたら突入してくださいにゃ」


目映:移動中は他のパーティーの人とかともお話できるのかな?できたらいろんな人に話しかけてお友達増やしたいな!

蒼子:〈三日月同盟〉 (註13)の人とかもいるもんね。


GM:そうですね、結構できたと思います。ですが合図がされると他のパーティーは自己紹介もそこそこにダンジョンに飛び込んでいってしまいますね。とりあえず訓練期間中なので、お弁当としてにゃん太さんが全員に一つずつ「お好みサンドイッチ」をくれます。


目映:わーい。

ロシナンテ:金欠の我々にはありがたい。

蒼子:みんな、今空きスロットいくつ?


ここで恒例の空きスロットチェック。今回は蒼子がアイテム当番。こうしたパーティーでの役割は持ち回りでやっておくと、互いに視点が広がるのでお勧めだ。


ロシナンテ:5だ。

目映:わたし3つ。

蒼子:バスケットが二つまるまる空いてるから6。合計14ね。


そこから持ち物や、[障壁]や[再生]の強度の確認、幾つかの打ち合わせをしたら出発だ。


蒼子:自己紹介要らないよね?(笑)

目映:もう役割分担までしてるのに?(笑)


ロシナンテ:びっくりするほどな(笑) ああ、そうだ、ここで一回 《インヴォークリアクト》を使用しておく。

目映:それすごい大事だね。わたしも 《スウェア・バイ・ソード》をここで使っておきます。対象はロシナンテさんで!


GM:了解しました。ではこれでオープニングは終了。ミドルフェイズに移りたいと思います。各自【因果力】を1点増やしておいてくださいね。

一同:はーい。


註1.『いやじゃいやじゃ、~しとうない』 「待って!初春ちゃんそんなこと言ってない!」


註2.『円東あきば』 〈円卓会議〉が運営する〈アキバ冒険斡旋所〉の常勤職員。猫人族の美女。色々れべるたかい


註3.『笑うとは本来~』 笑うとは本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である。詳しくは『シグルイ』参照。


註4.『その胸は平坦であった』 『ニンジャスレイヤー』界隈でのネタ。ヒロインの一人、ヤモト=コキが登場するたびにヘッズが口にする、彼女の身体的特徴の一つ。その胸は平坦であった。


註5.『スゴイ・シツレイ!』 『ニンジャスレイヤー』における礼節に反した行為、言動を指すスラング。マッポー的日本では最も恥ずべき・してはならない行為であり、作中でこれを犯した者はどちらも悲惨な死を遂げている。命の奪い合いをするニンジャにおいても、シツレイを犯した者の末路は哀れである。


註6.『〈D.D.D〉』 アキバの五大戦闘ギルドの一つ。ヤマトサーバー最大規模の構成員と高精度の情報共有性を誇る。


註7. 『リーゼ』 〈D.D.D〉に所属する〈妖術師〉のハーフアルヴの少女。教導部隊に所属し、大規模戦闘における戦術や連携を教える。どこがとは言わないが、ぺったん。


註8.『〈ホネスティ〉』 アキバの五大戦闘ギルドの一つ。「攻略情報の共有」を目的に運営されている。


註9.『アインス』 ライムグリーンの長髪と神経質と言われるような容貌を持つヒューマン男性の〈神祇官〉。あだ名は「先生」。


註10.『〈記録の地平線〉』 〈円卓〉の中で最も地味なギルドマスター、シロエが率いる小規模互助系ギルド。


註11.『シロエ』  原作『ログ・ホライズン』主人公。ハーフアルヴの青年で、「腹ぐろ眼鏡」のあだ名を持つ凄腕の〈付与術師〉だが、本リプレイではパセリみたいな扱い。


註12.『実験だからこそ極端な状況を~』 比較実験における基本的な考え方の一つ。出来る限り余計な要素を排除することで、データの精度を高める。


註13.『〈三日月同盟〉』 現在アキバで最も有名な互助ギルド。多くの初心者プレイヤー、低レベルキャラクターを抱えており、この合宿にも参加者が多い。


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