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【最終話】遂に世界進出!(明未の視点)

2030/12/22(日)PM7:00(瑠実の視点)


 ウチは折角宮城に帰って来たので久々に実家に帰り、その日の出来事を話すと、オカンが神妙な面持ちで…。


「瑠実、実はオトン先月一杯で会社辞めたんや、職場がどうしても合わへんかったみたいで…。後、瑠菜もこの間、人間関係で悩んで会社辞めてしもたんや…。」

「そうなんや…。実はウチら、印税金引かれた状態で、印税2千万入って来たんや。せやからオトンも瑠菜姉も焦って仕事探さんくてもええで。オカンもパート辞めてもええよ、何なら皆今流行りのFIREしてもええで、ウチが養ったるさかい!」

「有り難うな瑠実、ホンマにええ娘を持ったわ~!」

「あたしもこれで婚活に専念出来るわ~!」

「桂君と結婚せんで良かったな~!」

「それ言わんといて~!。あの時の桂兄なりにウチらの事を考えて、あの時点での最善策を考えてくれてたんやから!」


 こうして久々に、家族団らんしつつ、恩返しを報告する事が出来た…。部屋に戻ってスマホを見ると、ざくろ姉からRUINEの通知が来て『時間が空いたら電話して欲しい』と来て、早速電話した。


「ルミナスよ、折角地元に帰って来たんだし、長寿園に顔を出しに行こうと思ってるのだ我は」

「長寿園って確か、ざくろ姉が以前勤めてた職場やろ?。何で又そこに行こうと思ったんや?」

「そこの人達に、我の美声を披露しようと思ってな。事情はどうあれ、一方的に辞めてしまったから、我なりの罪滅ぼしをしようと思い立ったのだ。それに、利用者の喜ぶ顔が見たいのだ」

「ええ心掛けやん。てかウチも行くで、ドラム叩きに」

「無理はするな、ルミナスは長寿園とは何の関係も無いではないか?」

「以前あびる姉の前で言うたやろ、ウチにとってはBerryenのメンバーは掛け替えの無い大切なメンバーや、って。他の2人にも伝えるわ」

「忠義、感謝するぞ…。」

「あっでも、格好はどないする?。今のスタイルで行くんか?」

「いや、仮染めの姿で行こう。正装だと皆驚くではないか?、特にお年寄りが…。」

「せやな。サプライズしに行って、●人出したらシャレにならへん」


 こうしてウチは蒼絵姉と初姉に事情を説明すると快諾してくれた。ざくろ姉は、長寿園の人達の為に急遽ライブをやる為に翌日行く事を連絡し、2つ返事でOKされ、翌日に簡易ライブを行なう事になった。翌日ウチらは朝一で、ざくろ姉の恩返しに付き合う為に、以前ざくろ姉が勤めてた職場『長寿園』に来ていた。ウチらがホンマに来て皆驚いとったわ。そしてライブ開始直前、ざくろ姉がこう切り出す。


「皆さん、事情はどうあれ、突然辞めてしまって、本当に申し訳ありませんでした。皆さんの事はずっと気に掛かっていて、いつかお詫びしたいと想い、今日来させて頂きました。それでは聴いて下さい」


 こうしてウチらはサプライズを行ない、代表曲数曲を歌い終えた。ライブ終了後、ざくろ姉が「有り難う御座いました。今日は出来る限り質問に答えたいと思います、質問のある方どうぞ」と言うと、ある老夫婦が何を想ってか?、ウチにこう質問して来おった。


「瑠実ちゃん、週刊誌見たよ。最近の若い娘は激しいね~♪」

「ワシも若い頃は色んな女と…。」


 お爺さんも、ご自身の過去を振り返りながら茶化して来おった。又、別の老夫婦からも。


「瑠実ちゃん、桂君とはいつ結婚するんじゃ?」

「これ、お爺さん!」

「もうとっくに別れました!」


 こんな感じで、斜め上の質問を何度もされた。多分この事はどこ行っても一生言われるんやろうな~、ウチは自業自得やからしゃあないけど、桂兄にはホンマに申し訳ない事をしてしもうたわ…。兎に角こうしてウチらは、長寿園の方々と素敵な想い出を作る事が出来た、と思う…。


   年末特番に、パパ抜きで出る(明未の視点)


2030/12/23(月)PM7:00


 この日、わたしと蘭お姉ちゃんは古田さんと一緒に東京に朝一で帰る事になった、ママと桂亜はパパの看病の為に一旦地元に残る事になった。この日は朝から、昨日の事件が大々的に報道された。その日の生放送収録のCount Up TV ライブライフクリスマススペシャルに、パパ抜きで出る事になった。司会者に昨日の事件を大げさに紹介され、わたし達の歌とギター以外はオケを流す形でライブし、本番を終えた。


 他の番組も同じ要領で、Mスタハイパーライブ、日本で最も音楽が聴かれた日、日本CD大賞、赤白歌の大合戦、Count Up TV 年越しライブ、以上の音楽番組でのパフォーマンスを、何とか無事終える事が出来た。世間は、パパと初お姉ちゃんへの同情からか?、CDがいつも以上に売れ、最終的に下記のようになった。


 201.2万枚 ●は●つ(K●N)

 201.1万枚 貴女は僕らが守る!(Digital Tattoo)

 199.8万枚 お姉さまっ♡(Berryen)

 199.7万枚 ●ード(T●E 虎●竜)


{上記の売り上げ記録は、架空の設定で、実在する売り上げ記録等とは一切関係ありません}


2031/1/7(火)PM4:00


 正月明けにパパが無事退院して、ママと桂亜と一緒に帰って来た。そしてこの日わたし達は、社長から『報告が3つある』と伝えられ、社長室に向かった。中に入ると20代前半のスーツを着た知らない男性も一緒に居た。そんな中、1つ目はCDの集計結果で、桜庭さんから売り上げを報告され、次いで2つ目について社長がこう切り出す。


「お前達に、マネージャーをもう1人増やす事にした」

「それは、俺達が何度もああいう目に遭ってるからですか?」

「それもあるが、これだけ売れると、段々古田だけでは手が回らなくなって来たからだ。冬目、自己紹介を頼む」

「解りました社長。初めまして、Digital Tattooの皆さん、この度古田さんの下でサブマネージャーを務めさせて頂きます、『冬目響(ふゆめひびく)』と申します、全力で皆さんをサポートして参りますので宜しくお願い致します」

「冬目君は去年の4月に新卒で入ったばかりですが、T大卒で元柔道部だから色んな意味で安心ですね皆さん」

「がっはっはっは!、頼むぞ冬目。こいつらは何故か、災難に遭い易いみたいだからな!」

「何かすみません、俺達の為に…。それで社長、3つ目は?」

「そうだったな。今迄の実績が評価されて、デジタトゥとBerryenに『チェーコラ』からオファーが来てるぞ」

「あの、チェーコラって何ですか?」

「毎年4月中旬にアメリカで行なわれてる、世界最大級の音楽フェスだ。それに出られれば世界の人気アーティストとして認められたも同然だ!」

「やったね蘭お姉ちゃん!。わたし達とうとう、世界進出だよ~!」

「ボクもっす!」

「ちなみに、出演日は2組共、現地時間の4月20日日曜日で、デジタトゥが現地時間の午後3時で、Berryenが午後4となります。2組共『チェーコラメインステージ』というステージで演奏して下さい、と言われました」


 桜庭さんの説明で、パパが驚きながら。


「『チェーコラメインステージ』って、チェーコラ内で最大のメインステージじゃないか!」

「そんな凄い所に立てるなんて、本当に感動だよ!」

「ボクもっすよ~!」

「出発は4月20日土曜日の朝6時5分発の飛行機に乗って、21日にフェスに出演し、22日の早朝に向こうの空港からこっちへ向かい、羽田空港に到着後、現地解散、という流れになります。当日の引率は古田さん、冬目君、宜しくお願いします」

「がっはっはっはっは!。任せておけ、責任を持って引率する」

「僕も一応、英会話も出来ますし…。」

「それに伴い、4月2日に、お前達のベストアルバムを2枚組で出すぞ、勿論新曲のシングルも一緒にだ」

「ベストって!、ボク達まだデビューから2年ちょいしか経ってないっすよ?」

「問題無い。●IELD ●F ●IEWだって2年半位で出してるし、●cc●ssだって実質2年ちょいで出してる」

「ちなみに収録曲はシングル全21曲は勿論、カップリング曲、各オリジナルアルバム、共に最も評判の良い曲を1曲ずつ、そして新曲をどちらにも1曲ずつ、以上を予定しております。それに伴い、現在ネットでアンケートを集計しております」

「そういう訳だから至急3曲、新曲制作に着手して貰う。特にシングル曲は今迄で最高の出来に仕上げろ、以上だ!」


 こんな感じで、わたし達がチェーコラ出演が決まった事をママに報告すると、「流石、あーしの自慢の愛娘達だよ~!。皆がアメリカに行く日はお父さんとお母さんを呼ばないと、新居も見せてあげたいし」と言いながら大喜びしてくれた…。


2031/1/13(月、祝)PM8:00


 この日は成人式で、Berryenのメンバーは東京で他の芸能人達と合同で成人式を行なう事になった。わたし達が地元に行く度に酷い目に遭わされて来たからか?、流石にもう地元に行かせる事は出来ない、と言われたそうな。ましてこの間、氷の里ホールであんな事件があったから尚更…。


 そんな中わたし達は、ベストアルバムと一緒に出す新曲の歌詞を作ろうと3人で着手しようとしたんだけれど…。実はわたし、以前から温めてた歌詞があって、それを3人に読んで貰うと、ママがハンカチで目頭を拭い、こう言い出した。


「いつも想うけど、この歌詞は特にめいみんの想いがダイレクトに流れ込むよ。まるで実体験のように」

「今迄女ボーカル共に泣けるラブバラードを散々作らされて来た経験が、無駄にならなくて良かったぜ」

「これ、今迄で1番良い出来なんじゃないっすか?」

「そ、そうかな~?」


 と言ったけど、この曲は何を隠そう、わたしが寝てるパパにキスした時の事を詞にした曲だ。『これはまずい』と想うわたしを他所に、作編曲とレコーディングは順調に進み、完成音源を聴いた社長が「次のシングルはこれで行くぞ」と言って社長達はスタジオを後にした。わたし達もレコーディングが終わったので寮に帰ったら正直に話す事にした。皆で食卓を囲んでる時に、タイミングを見計らい、こう切り出す。


「皆、今回の新曲について謝りたいんだけど…。」

「な、何を謝る必要があるんだ明未?」

「そうだよめいみん、感動する位良い曲だと思うよ~?」

「ボクもっす!」

「そういう意味じゃないの。あれ実話なの、つまり…。わたし以前、寝ているパパに黙ってキ、キス、しちゃったの、本当にごめんなさいパパ!」

「ど、どういう事だ明未?」

「ママがわたしを国太から庇ってくれて、ママを鶴牧家で手当てして帰ろうとした時、パパからボイトレ本の切れ端を受け取り忘れた事に気付いて取りに行き、そこで寝てたパパにキスしちゃったの!」

「えっ!。ファーストキス安藤じゃないのめいみん?」

「でも記者会見では確か…。」

「あの場で事実を話したら、多方面に迷惑が掛かると思ったから、相手は安藤、という事にしといたんだよ。皆、特にパパ、本当にごめんなさい!」


 わたしが涙ながらに懺悔する中、ママがこう切り出す。


「でも良かったよ、パパの両親にバレなくて」

「そうだな。特に母さんが見たら大激怒してたろうな~…。」

「ホントそうっすよ。『最近の若い子は!』とか言いそうっす」

「わたし、学芸会の後、安藤にああいう目に遭わされて無念で悔しくて本当に辛かったけど、ファーストキスだけでもパパに捧げられて良かった、って今でも思ってるよ。もし司会者に聞かれたらどう答えれば良いかな?」

「『こういう体験をしたかったです』って言っとけば良いんだよめいみん」

「ボクも口裏合わせるっすから、これ以上自分を責めないで欲しいっす!」

「取り敢えず、夕飯食べてしまおう…。」


 パパのその言葉で夕飯を食べた。心が軽くなった状態で食べたそれは、ここ最近の中で1番美味しく感じた。


2031/2/27(木)PM4:00


 この日わたし達は帰宅後、蘭お姉ちゃんの15歳の生誕祭をどう行なうかをパパとママに相談しようと思い立って帰宅すると、ママがお腹を押さえながら苦しそうに台所で蹲っていた。


「ママ!、どうしたっすか?」

「もしかして生まれそうなの?」

「丁度今陣痛が来たんだよ、予定日は来週の筈なのに。と、取り敢えずパパを呼んで来て…。」


 こうしてパパと一緒に、桂亜の時と同様に病院に急いで向かい、前回同様Berryenの皆も駆け付けて来てくれて、無事出産出来るよう、皆で祈り合った。そして日付けが変わり…。


「鶴牧さん、お生まれになりました!。元気な男の子です、どうぞ中にお入り下さい」


 看護婦さんのその言葉に、わたし達は大急ぎで分娩室に入って行った。元気に泣いてる男の子を抱いてるママの横でパパが。


「ママ、今回も本当によく頑張ったよ…。」

「皆、今回も色々有り難う…。赤ちゃんを見る?」


 と言いながらママが産まれたばかりの男の子を見せてくれた。(本当に可愛い!)と心底想う中、ざくろお姉ちゃんが。


「くくく、実は名前を考えてーー」

「ストーップ!。又あーしらの子供にリングランサーⅡのキャラの名前を勝手に付けようとしないでよ~!。実はもう名前考えてあるんだよね。『流河(るか)』って名前にしようと思うんだ」

「『流河』ってどういう意味ですの、あびるお姉様?」

「まさか、あびるの(る)と、桂の(か)の字を合わせた、とか言うなよ?」

「ピンポーン、流石蒼っち、相変わらず鋭いねー!。それにいざとなったらカタカナでも行ける名前にしたいから」

「俺は悪くないと思うけどな、宜しくな流河」

「まあ、本人達が良くて、キラキラネームとかでなければ良いと思うけどウチは…。」


 瑠実お姉ちゃんがそう言うと、ママが。


「ほ~ら見てごらん流河。この3人が、貴女のお姉ちゃん達だよ~♪」

「流河は思いっ切りパパに似てるっすね~」

「俺と同じ資質を受け継いだら、きっと苦労するだろうな…。」

「だとしても、それらも丸ごと受け入れて愛してあげようよ」

「そうっすよ、絶対幸せになれるっすよこの子は!」

「現に坂沼小に通ってた時、クラスでワースト1のスペックだったわたしが今こうして立派になれたのも、パパとママがうんと愛情を注いでくれたからだよ!」

「そうだな、明未の言う通りだ。ごめんな蘭、生誕祭出来なくなりそうで…。」

「ボクの生誕祭より、流河が無事生まれてくれた方が重大っす。流河はボクと違ってキッチリ2月28日っすね誕生日。ボクの生誕祭のやり直し、いつでも良いなら4月1日に、明未クンとママの分も纏めてやるとかどうっすか?、丁度蒼絵お姉さん20歳になるし」

「クラン最高にロックじゃねえか!、それで行こうぜ皆?」

「ウチもいつも以上に美味しいたこ焼き作ったるさかい!」

「くくく。今宵はいつも以上にド派手に祝おうではないか!」

「ざくろお姉様の言う通りですわ!」

「有り難うな皆、蘭の為に…。さあ、あんまり長居したら病院に迷惑が掛かるし、そろそろおいとまするか、もう日付も変わっちゃったし…。」

「そうそう言い忘れとったけど、4月2日にウチらもオリジナルアルバム出すから3枚」


 瑠実お姉ちゃんのその言葉にわたしとパパと蘭お姉ちゃんが同時に「さ、3枚同時~!?」と驚きながらそう言うと、蒼絵お姉ちゃんが続ける。


「ああ。ラ●クが昔、2枚同時に出したから、じゃあアタシらは3枚同時だ!、みたいな感じで。前回のアルバムと同時に出したシングルから17枚も出してるし」

「くくく。タイトルはそれぞれ『Dark Star』『Dark Moon』『Dark Sun』だ。勿論狙うはトップ3独占だ!」

「ざくろお姉様の言う通りですわ!」


 こうしてBerryenの衝撃発言で驚きつつ、ママと流河以外全員、病室を後にして、それぞれ帰宅の途に着いた…。


2031/4/1(火)AM10:00


 朝食後、4人の生誕祭に必要な食材等を買う為に、近所の大型デパートに来ていた。買い物中、蘭お姉ちゃんがおもむろにこう切り出す。


「パパ、バスケットボール買っても良いっすか?、近所にバスケコートあるからそこでたまにやりたいんすけど…。」

「ああ、良いぞ。折角だから俺も買うか、長年の運動不足解消も兼ねて」


 こうして大量の食材とパーティーグッズ、そしてバスケットボール2個を買ってお会計を済ませて駐車場に向かう途中、「桂?」と声がする方を振り向いて、パパが驚きながらもこう返す。


「もしかして、杏樹?」

「パパの知り合い?」

「ああ。上京時代、俺が最初に組んだバンドのボーカルだよ」

「嗚呼~、大昔にパパを見捨てた女さんね。で、今頃何の用ですか~?」


 とママが冷ややかな視線を送りながらそう返す中、杏樹さんが。


「あの時は色々失礼な事をして、本当にごめんなさい。あの後も杏助達と頑張ったけど、色々あって解散し、他のバンドとも上手く行かず、音大卒業後も色んなバイトをやって、今は東京近郊の食品工場でパートしながらプロ目指してるのよ」


 と杏樹さんはバツが悪そうに語りつつ、更に続ける。


「昔のよしみとしてお願い、あたしをメジャーデビューさせて!。もうこれ以上職場の人間関係に苛まれたくないのよ!」

「そ、そんな事急に言われても…。」

「良いですよ~♪」


 パパが驚く中、ママがまさかのOKを言って、わたしは思わず「ママ?」と聞き返すと、ママがこう続ける。


「社長がOKすれば、ですけどね~♪」

「ホント?、じゃあ桂が社長にあたしを紹介して!。あの時より歌と作詞数段上手くなって、しかも作曲も出来るようになったから、絶対即戦力になる筈よ!」

「ごめん、それは無理だ、それに…。例え俺が社長に紹介したとしても、多分OKしないと思う…。」

「てかそんなに自信あるなら、自分で売り込めば良いじゃないっすか?」

「歌が上手いだけの30歳の女なんか、相手にされる訳無いでしょ!」

「多分杏樹さん今迄、自分に協力してくれた人をパパの時みたいに見捨てて来たでしょ?。今度はあんたが見捨てられる番ですよ~♪」

「ごめん杏樹。俺達これから、予定があるからこれで失礼するわ…。」

「待って桂、あたしを見捨てないで!」


 切羽詰まってる杏樹さんがあまりにもいたたまれなかったので、わたしは思わず。


「あ、杏樹さん…。音楽活動頑張って下さい、帰ったらネットで貴女の歌聴きますから…。」

「俺もそうするわ、久々に杏樹の歌声聴いてみたくなったし」

「ボクも聴きたいっす!」


「皆…。」と寂しそうな面持ちの杏樹さんを尻目に、わたし達はスーパーを後にした…。帰宅後、家に荷物を運んでる途中、初お姉ちゃんが来て、こう切り出す


「ごきげんよう。皆様のお役に立ちたくて、一足早く来てしまいましたわ~。他のメンバーも直に来るそうですわ~。」

「おおありがとーういっち。んじゃ早速荷物運び手伝って貰ってもいい?」

「勿論ですわ~♪」

「それじゃ俺達皆で、荷物を台所に運んでしまおう!」

「ういっす!」


 こんな感じでわたし達は、大量の食材を台所に運ぶ事にした。先ずママが桂亜も一緒に運んで、次に初お姉ちゃん、その蘭お姉ちゃん、更にその次にわたし、そして最後にパパが荷物を運びつつ、ドアを閉めようとしたその時。


「なっ、何でお前達がここに?。うわっ!」


 とパパの悲鳴と鈍い音が聞こえて来た。そこに現れたのはなんと、国太、晃子、安藤、常司、寿枝、それに多香子と周孝まで現れた!。それを見た蘭お姉ちゃんが。


「振袖女!、お前迄来たのか?」

「ちがうよ蘭姉ちゃん、倉松 多香子だよ~♪」


 わたしが「それ旧姓だよママ」と言うと多香子が「『春川 多香子』だ、いい加減覚えろ!」と言うと国太が。


「こいつらワザと言ってんだよ。それより警察に連絡すんなよ、ヅラ男がどうなっても良いのか?」


 とわたし達を脅して来て、その横で安藤が玄関の鍵を掛けて、こう切り出す。


「卑怯よ!。ていうか貴方達、今服役中の筈じゃ?」

「ああそれはねえ、俺達の真面目な服役態度が評価されて、一時的に仮釈放して貰えたんだよ昨日。それに俺達、初犯だし。それより智加ちゃん、暫く見ない内に随分綺麗になったね~♪」


 安藤がそう答えてすぐさま、常司が続ける。


「けど出所したからって、俺達の生活が保障されてる訳じゃねえ。そこで先ずおめえらの弱みを握って、生活の糧を得ようと思ってここに来たんだ。ここ2年半の間におめえら相当荒稼ぎしたろ?、俺らや九十九達を利用してよお!」

「後お前のお姉さんの事もな、薫!」

「『蘭』だよ!、てかもう薫じゃないし」

「てかあいつらなんか、もう家族じゃねえっす!」

「それに、皆自業自得じゃない!」

「玄関に鍵掛けたから、これで前回みたいに不意打ち喰らう心配も無いでしょ?。晃子、念の為に他の所も全部鍵掛けて来て、裏口や窓とか」

「オッケー寿枝姉さん♪」

「それよりお前ら、さっさと服脱いでレ●プレイ始めろ!。智加と薫、あび助と眼鏡女のコンビで」

「言う通りにしないと、ヅラ男がどうなっても知らないよ~?、後この子達も…。」


 パパにナイフを突きつけながらそう言う安藤に、ママが根負けしてこう切り出す。


「皆、今は彼等の言う通りにしよう…。」

「ハハハハハ!、おめえらにしては良い心掛けだな。さあ、早く始めろ!」


 と言いながらスマホで撮影を始める多香子の前でわたしと蘭お姉ちゃんが、そしてスマホで撮影し始める寿枝の前でママと初お姉ちゃんが、それぞれ服を脱ぎ、そして…。一通りプレイを終えて、初お姉ちゃんがこう切り出す。


「ハア、ハア…。こ、これで良いんですわよねえ?」

「さあ、言う通りにしたからパパ達を解放するっす!」

「解った。但し、周孝が薫と、安藤が智加と、常司先輩があび助と、そして俺が眼鏡女とヤッてからな!。女性陣は又撮影してくれ!」


 国太のその言葉に、多香子が「了解~♪」と、寿枝が「今日だけは浮気許すから」と言って又撮影を始めた。それを聞いてわたしは慌てながら。


「そんな、約束が違う!」

「うるせえ!。おめえらの弱みを握った以上、約束なんかもう知ったこっちゃねえんだよ!」

「そうだ、さっさとヤルぞ皆!、精神鑑定を受けさせられた屈辱も晴らすぞ、グズグズしてると警察が来ちまう!」

「そうですね常司先輩。それに刑務所内で思うように抜けなくて大量に溜まってるから、それを全部君達の中に流し込んであげるからね~♪」

「もし抵抗したら、こいつらがどうなるか解ってるよな?。つか楽しみだぜ、俺も刑務所内で中々出せずにウズウズしてたからな!」

「あんたら、ホンットにどうしようもないね?」

「あびるお姉様の言う通りですわ!」

「うるせえ!、主人に空手技喰らわせたお返しだ!。それより皆早くしな、警察が来る!」


 と寿枝の合図を皮切りに、獣のような目をした彼等に、わたし達が今正にレ●プされようとしていたその時。


(ピーンポ~ン♪)


「誰だよこんな時に?」

「きっと蒼絵お姉様達ですわ!」

「助けてー、蒼絵お姉ちゃ~ん!」

「国太達がボクらをーー」

「静かにしな!、こいつらがどうなっても良いの?」

「それにもしアホ助達4人が来ても、俺達相手に何が出来るってんだ?」

「アホ助ってもしかして、蒼絵お姉さんの事っすか?」

「他に誰が居るってんだ、田沼 薫!」

「それに俺達、刑務所内で自由時間は殆ど筋トレしてたから、他に出来る事も無かったし。さあ智加ちゃん、俺とシようね。一回ヤッてるから痛くないよ~♪」


 安藤がそう言いながらわたしに近付くと、玄関の鍵が開いて複数の足音が聞こえて来た、そして。


「大丈夫ですか皆さん?」

「てか何やってんだお前ら!」

「今助けます!」

「なっ!、何この人達?」


 現れたのは古田さん、冬目さん、座木さん、そして20代前半位の気が弱そうな知らない女性だった。身長190cm程あり、尚且つスーツの上からでも解る筋肉をした座木さんを見て、彼等はビビりながら。


「なっ!。何だ、あの筋肉大男は?」

「それに何だ!、あの筋肉ゴリラ女は?」

「けど、残りの2人は大した事なさそうっすよ?。筋肉ゴリラ2人を速攻で片付けけましょう!」

「だな、行くぞ皆!」


 常司がそう言うとすぐさま、男性陣は走りながら座木さんと古田さんに詰め寄ると、座木さんが国太を、古田さんが常司を、それぞれあっという間に倒した。一方で周孝と冬目さんがこんなやり取りを繰り広げていた。


「何だお前、やろうってのか、ああ?。俺は地元で名の知れた元ヤンだぞ、おめえみてえなヒョロい奴なんか瞬殺ーー」


 と周孝が無駄口を叩いてる間に、冬目さんが柔道の一本背負いをお見舞いして、周孝の方が瞬殺された、更にもう一方では、安藤と知らない女性がこんなやり取りを繰り広げていた。


「ま、まさかこの人を私が相手するんですか?」

「はっはっはっ。さあお嬢さん、たっぷり可愛がってあげるからね~♪」


 と言いながらその女性に襲い掛かる安藤の顔の左側に廻し蹴りを喰らわせ、あっという間に安藤を倒した。これで無事解決、と思いきや寿枝が。


「お前ら、大人しくしろ!。でないとさっき撮った動画をネットに流すぞ!。流して欲しく無ければ、警察が来たらこう言え。『ここに居る皆でパーティーしてました、警察を呼んだのは罰ゲームです』とな!。これで捕まる心配は無くなった訳だ」

「流石寿枝さん、頭良い~!」

「この土壇場でよくそんな悪知恵が働くっすね?」

「やっぱりこの人は九十九のお母さんだよ、九十九は智枝以上にずる賢いから…。」

「九十九を悪く言うな!。てかあたし今、壁の四隅に居るから、お花見の時みたいに主人を後ろから、不意打ち喰らわせるような事も出来ないよ」

「ホント頭良いっすね寿枝さん。さあ、もうすぐ警察が来るから今言った通りに答えて貰うからね、アッハハハハハ!」


 と勝ち誇ったように笑う彼女達目掛けて、バスケットボールが凄い速さで2球飛んで来た。それが寿枝と多香子の手にぶつかり、2人はスマホを落とした。四隅に居たから逆に避ける事が出来なかった、すぐ傍に居たわたし蘭お姉ちゃんが速攻でスマホを拾った。ちなみに、ボールを投げたのは蒼絵お姉ちゃんと瑠実お姉ちゃんだった。


「おおお流石瑠実っち、ドラマーだから腕力あるね~♪」

「蒼絵お姉様の投球力は、1年半前の始球式で実証済みですわ!」

「あああ、あたしのスマホ!」

「返せ智加!」


 寿枝と多香子がわたしと蘭お姉ちゃんに物凄い剣幕で走って来たので、蘭お姉ちゃんが慌ててスマホを思いっきり投げながらこう言い出す。


「誰でも良いから受け取るっす!」


 わたしも蘭お姉ちゃんの真似をして思いっ切り遠くへ投げると、受け取ったのはなんと、晃子だった。もう1個はざくろお姉ちゃんの所に向かって行ったが、ざくろお姉ちゃんがキャッチミスして、それが晃子の所に飛んで行き、晃子がスマホを2つ共ゲットし、それぞれ右手と左手にスマホを1つづつ持ち変えた。それを見て寿枝と多香子が。


「でかした晃子、しっかり持ってなさい!」

「そうっすよ、間違っても画像をアップしないで下さいよ!」

「へ、何だって?」


 晃子がそう言いながら2つのスマホの親指でついアップロードのボタンをタップしてしまった。おもむろに画面を見ると晃子がこう切り出す。


「『アップロード中』ってなってるけど?」

「何やってんすか晃子さん!」

「馬鹿、スマホ貸せ晃子!」


 と言いながら寿枝と多香子が晃子から大慌てでスマホを操作したものの、2人が力無く項垂れる中、多香子がこう切り出す。


「あ、アップロードが完了しちゃった、あたし達の出所後の収入源が…。」

「これで又あたし達、刑務所に逆戻りだ…。」

「えっ?、何がどうなってるの?」

「この人は昔から、たまにどえらいミスやらかすんだよ、それより…。」

「嗚呼~!。ボク達のあられもない姿が全世界にアップロードされちゃったっすよ!、マジでどうしよう~!」

「蘭お姉様の言う通りですわ、わたくしもう、お嫁に行けませんわ!」

「困ったねえ、どうしようかな~…。」

「あ、あんまり困って無さそうだねママ…。」


 わたしがそう言った直後、駆け付けた警察に強盗7人組は逮捕された。病院内でパパの手当てと検査を行なった結果、命に別状は無かったと言われて安堵する中、わたしは不意にこう切り出す。


「なんか、生誕祭どころじゃ無くなっちゃったね…。ていうか貴女は?」

「初めまして。私はBerryenのサブマネージャーの『前田凛(まえだりん)』と申します。これでも学生時代、空手部でした」


 と前田さんが自己紹介を終えてすぐさま、蒼絵お姉ちゃんが続ける。


「折角だから普段から色々助けて貰ってる両マネージャーも混ぜてあげたい、と思って4人も誘ったんだ、歓迎会も含めて。そしてインターホンを幾ら鳴らしても出ないから、アタシが前もって姉貴から貰ってた合鍵で開けて入ったら、まさかこんな事に…。」

「以前古田さんが言ってた『彼女達は敵が多い』って、こういう事だったんですね…。」

「がっはっはっはっは!。就任早々、あたしの直属の部下に相応しい働きをしてくれたね~!」

「俺が気絶してる間に、そんな事になってたなんて…。痛てて!、これじゃ今度のMスタ収録、俺無理だな…。」

「仕方無いです、前回同様、明未さんと蘭さんのパート以外はオケを流す形で行きますので、ゆっくり治療に専念して下さい。てか桂さん、いつ頃退院出来そうですか?」

「仮退院でも、多分半月は掛かるかも?、って主治医が言ってたよ…。」

「そう言えば社長が、デジタトゥのTwiccar(トゥイッカー)のアカウントを、『ベストアルバムに合わせて作った。これからはそれを通しても情報発信して行け』と仰ってたぞ」

「ウチの社長もそれに合わせて、BerryenのTwiccarのアカウントを作らせたそうです」

「てかあいつら、どうなるの冬目っち?」

「住居不法侵入、傷害罪、器物損壊罪、監禁罪、銃刀法違反、恐喝罪、未成年わいせつ行為、執行猶予中にこれだけ1度にやらかせば、多分女性陣は10年位、男性陣は多分20年位出られないと思う…。」

「ていうかもう、一生出て来なくて良いよ…。」

「明未お姉様の言う通りですわ!」

「それよりボクらの例の動画の件、どうなるんすか?」


 蘭お姉ちゃんがそう言うと、古田さんが。


「その件について、今から会社で緊急会議を行なうそうだ、行くぞ明未、蘭」

「パパにはあーしらが付いてるから安心して行って来な2人共」

「Berryenの皆さんも同様に、今から会社で緊急会議を行なうそうです。至急、会社に参りましょう」


 こうして全員が会社に急遽行く事になり、病院を後にした。会社に到着後、早速緊急会議を行ない、社長がこう切り出す。


「明日の午後2時、Berryenと合同記者会見を行なうぞ。一度世に出た動画は完全には消せない、ネットでも大騒ぎになるだろう。ならいっそ記者会見を開き、とことん加害者達のせいにする方向に舵を取り、それに同情した方々にCDを買って頂く、という流れに持って行くぞ」

「台本はこちらで用意します。ちなみにあびるさんは一般人なので、出来る限りプライバシーを守る方向で行きます」


 こうして急遽、記者会見が開かれる事が決まった。その日の夜、今回の事件が報道され、その影響でCDが前回より売れた。そして翌日の午後2時、合同記者会見が始まり、桜庭さんが司会、秋月さんがアシスタント、記者の質問に答えるのは、森田社長、宮本社長、わたし、蘭お姉ちゃん、そして初お姉ちゃん、以上の5人となった。


 記者が「何故そういう行為に及んだのでしょうか?」との問いに、わたし達は台本通りに「パパと子供達を人質に取られて仕方なくそうした」と弁明した。そして記者会見終了間際に、わたしは何を想ってか?、不意にこう切り出す。


「あっ、あの!。もう1つだけどうしてもお伝えしたい事があるのですが…。」

「い、以前、わたしのファーストキスの相手は安藤さん、と言いましたが、実は、パ、パパです、つまり…。」


 わたしはゆっくり深呼吸して、そしてこう切り出す。


「本当のファーストキスの相手は、山野 桂なんです、今迄黙っていて、本当にごめんなさい!」


 そう言って泣きながら深々と頭を下げた瞬間、今日1番フラッシュが焚かれた。そんな中、記者がわたしにこう質問し出す。


「具体的なシチュエーションを教えて下さい!」


 そう聞かれて、パパが寝てる時にそっとキスした時の事を説明した。その直後、記者が続けてこう質問し出す。


「桂さんは、この事をご存知でしたか?」

「知らない筈です、パパが寝てる時にしましたので!」


 こんな感じで必死に弁明しつつ、記者会見は終わった。終了後、桜庭さんがこう切り出す。


「明未さん、何故あの場であんな事言ったんですか?」

「だからか?、あの曲に妙な説得力があったのは…。」

「本当にごめんなさい。わたし、もうこれ以上この事を隠し続ける事が出来なさそうだったので…。」

「これが吉と出るか、凶と出るか…。」


 森田社長がそう言う中、皆それぞれ帰宅の途に着いた…。記者会見終了後、世間の話題はほぼそれ一色になり、デジタトゥとBerryenの新譜CDが異常な程売れた。翌日の午後4時に古田さんから『社長が大事な報告があるから会社に寄れ』と言われ、社長室に寄ると、先ず1つ目として、昨日のデイリーランキングが桜庭さんから発表され、下記の結果となった事を告げられた。


 シングルランキング


 1位 502.5万枚 本当のFirst Kiss(Digital Tattoo)

 2位 500.1万枚 夢がある、夢ガールランド(Berryen)


 アルバムランキング


 1位 504万枚  Red→R(Digital Tattoo)

 2位 503万枚  Blue←L(Digital Tattoo)

 3位 502万枚  Dark Star(Berryen)

 4位 501万枚  Dark Moon(Berryen)

 5位 500.5万枚  Dark Sun(Berryen)


「以上がデイリーの集計結果となります」

「しょ、初日だけで500万枚って…。」

「ボク、段々怖くなって来たっす…。それで2つ目は何すか?」

「うむ。2つ目は、デジタトゥの7大ドームツアーを開催するぞ」

「本当ですか?。やったね蘭お姉ちゃん、嬉しいよ!」

「ボクもっす!。あっでも明未クンがまだ義務教育期間中だから、ツアー組めない筈じゃ?」

「夏休み期間中に行なう。これならお前達の学業にも支障をきたさないだろ」

「ちなみに日程は、7月19、20日の仙台ドームを皮切りに、26、27日に北海ドーム。8月2、3日に九州ドーム。9、10日に中国四国ドーム。16、17日に関西ドーム、23、24日に中部ドーム、そして最後が30、31日、関東ドームという流れです」

「ガッハッハッハッハ!。明未、前もって宿題終わらせとけよ?」

「が、頑張ります…。」

「ボクも手伝うっすから!」


 こうしてわたし達はBerryen共々、CDが歴代最高の初日売り上げを記録した事と、7大ドームツアーが決定したを、ダブルで大喜びした。会議終了後に入院中のパパとママに報告すると、当然大喜びして、わたし達をうんと褒めてくれた。


2031/4/4(金)PM1:00


 この日Mスタ春の3時間スペシャル出演当日、控室で古田さんにこう告げられる。


「がっはっはっはっは!。驚けお前達、今日ゲストで『ベリー・マイウィッシュ』も出るらしいぞ」

「その人って凄い人なの?、蘭お姉ちゃん」

「世界的に今、若者に最も影響力のあるアーティストっすよ!。その人に曲をプッシュされれば再生回数、うなぎ上りになり、CDも売れるそうっす。今からお願いしに行くっすよ!」

「やめろ蘭!。そんな事したら嫌われて、余計に曲聴いて貰えなくなるぞ!」


 冬目さんにそう諭されつつ、本番を迎えた。あの動画の事には触れずに、パパとママが襲撃されて入院した事を、女子アナさんからやや大げさに告げられつつ、そのピンチ救出に貢献したBerryenの事も告げられ、2組共無事本番を終えた。そしてベリーさんがつもりさんとトークが始まり、何故かわたし達の話題になった。


「私は先程、Digital Tattooがどんな目に遭わされたかをマネージャーから聞いて、とてもショックでしたが、無事で良かったです。又、彼女達を助けようとしたBerryenの勇気にもとても感動しました。そんな彼女達の力になりたくて、近くのCDショップでCDを買いました。先程リハーサルでも聴きましたが、どれもとても良い曲なので、是非皆さんも彼女達のCDを買って応援してあげて下さい。最後に、私も彼女達のTwiccarをフォローしました」


 ベリーさんが、通訳を介して本番中にそう言ってくれたお陰で、元々Berryenの3枚同時リリースと、わたし達のベスト盤2枚リリースで大盛り上がりとなっていた。そこに、今回の事件で世間からの同情もあってか?、わたし達のCDが前代未聞な程売れた。そしてわたし達とBerryenのアカウントが何故か?、ジャスティス・バービーからもフォローされ、自身のアカウントで、英語でこう書き込まれていた。


「僕が今最も好きな日本人アーティストは、この2組。Digital TattooとBerryen」






2030/4/13(土)PM7:00(瑠実の視点)



「ああ、構わんぞ。後、私もお前達に報告がある。今回の結果のご褒美として、ドームツアーを開催する事にした」


 あまりにも突然の報告に、ウチらは何を言われてるか解らず、確認すると秋月さんが。


「はい。ちなみに日程は、10月15日に仙台ドーム、17日に北海ドーム、19日に九州ドーム、21日に中国四国ドーム、23日に関西ドーム、25日に中部ドーム、そして27日に関東ドームとなります」

「やったー、ウチら念願のドームツアーや!」

「くくく。我らの世界観をとことん表現する時が来たか…。」

「最高にロックだぜ!」

「蒼絵お姉様の言う通りですわ~!」




2030/4/19(金)PM4:00(明未の視点)




2030/4/19(金)PM7:00


「それじゃあ改めて、パパの退院とそして。ママ、20歳の誕生日おめでと~!。わたし、自分の事以上に嬉しいよ!」

「ボクもっす!。早速お酒飲んでみたらどうっすか?」

「ありがとー皆~!。でも桂亜の事も考えて、1杯だけにしておくよ。それじゃあ頂くね」


 そしてママは皆が見守る中、ビールを飲んだ。それを見た蘭お姉ちゃんが食い気味に尋ねる。


「どうっすか?、ママ」

「苦いなあ、あーしはあんまり好きじゃないかな~…。」

「まあ徐々に慣れて行くよママ」

「そうですね、僕も最初はそんな感じでしたし…。」

「私もそうでしたから、安心して下さい」

「私もです。だから安心して下さい」

「ガッハッハッハッハ!、あたしもそうだったぞ」


 マネージャーさん達がそう言った後、初お姉ちゃんが続ける。


「嗚呼、あびるお姉様がどんどん大人の階段を登って行きますわ~…。」

「ウチらも同い年やん、すぐ体験出来るようになるわ」

「アタシはまだ1年近く先だけどな…。」

「そう言えばお昼に、パパの昔の音楽仲間に会って『デビューさせてくれ』ってせがまれて曲聴いたけど…。」

「確かにあの時より歌上手くなってて、良い曲作れてたけど…。」

「1回聴けばもうイイかな~?、って感じだったっす」

「アタシらも今度聴くわ、ラッズを捨てた女がどんな曲書いてるのか気になるし…。そう言えば4月3日に出したCD、全部初週で500万枚以上売れたらしいぞ?」


 と蒼絵お姉ちゃんが言うと、瑠実お姉ちゃんが驚きながら。


「初日だけで500万枚以上!、売れ方明らかにおかしいやろ?」

「瑠実お姉様の言う通りですわ!」

「くくく。我が魔力を使えば当然の事だ!」

「そりゃ3枚同時であれだけ売れれば、世間も大盛り上がりだろ。ネットでも『ラ●クの再来だ!』とか言われてたし。後『2001年3月28日の再来』とも言われてるな、ネット上で」

「その日何があったのパパ?」

「この日は『日本で最もCDが売れた日』と言われてるんだ。●多田●カルさんと浜●あ●みさんのアルバム対決で、どっちも初週250万枚以上売れたし、その頃はまだCD自体が平均的に売れてたから」

「どの位売れてたんすか?、当時」

「アルバムチャートの10位だと今は平均5千枚だけど、同じ10位でもあの当時は平均5万枚だよ。ちなみに今だったら5万枚で1位取れる可能性もあるよ~♪。そう言えば3人に印税、5千万ずつ位振り込まれてたよ~♪」

「そんな大金わたしが持たない方が良いからママに管理して欲しい!」

「ボクもっす!」

「嗚呼、俺本当に音楽で生活出来るようになったんだな~…。」


 とパパがしんみりしていると、冬目さんが。


「兎に角、これで安心して社長に報告出来るますね…。」

「がっはっはっはっは!、そうだな」

「私もです。社長は皆さんのゴスロリメタル路線に、随分と難色を示されてましたから…。」

「私は、今の皆さんの方が好きです」


 と前田 凛さんがそう言うと、ママが。


「あーちなみにこの5枚のCDの中で、現時点で一番売れてるのはめいみんバンドの曲だから」

「そりゃそうだよ、ボランティアソングで、しかも税込み500円だし…。ちなみにアルバムは3000円。これらはちゃんとあーしらの懐に入って来るよ~、シングルの分も含めて♪」

「流石にデジタトゥのCD迄ボランティアだったらどうしよう、って想ってたよわたし」

「ボクもっす!」

「ウチらもやん。BerryenのCD迄ボランティアやったら叶わんわ~!」

「ちなみにデジタトゥが僅差で勝ってるぞ」

「くっそ~。我らは3曲同時だからいけなかったのだろうか…。」

「そう言えばアタシら、半年後にドームツアーやる事が決まったぞ」

「おお凄いじゃん皆!。蒼っちずっと言ってたもんね?、いつかドームツアーやりたい、って」

「実はわたし達もドームツアーが決定したんだよ」

「ボクらは4ヶ月後だから一足先っすね。どうしたっすか初お姉さん?、元気無いみたいっすけど…。」

「実はわたくし、高校卒業と同時にバンドを辞める予定だったんです、当初は」

「えっ!、何でやねん?」

「わたくしに取ってのバンド活動は、高校生活を安全に過ごす為の手段で、卒業したらそのまま辞めようと想っていたのですが、辞めるのをやめますわ!」

「それがええねん!。でもどうしてそう想ったんや?」

「だってこの間、マリみたの原作者の『今度お行き』先生と、作画担当の『響くレイン』先生、そして漫画版の絵を描かれてる『長崎さとり』先生からも、サイン入り色紙を頂いたのですわ~!」


 と初お姉ちゃんは、自慢げにサイン入り色紙を見せてくれた。


「こんなに素晴らしい物を頂いたら、辞めるなんてとても出来ませんわ~!」

「なっ!。アタシらとバンドやってて良かっただろ、ウィッチ?」

「ええ、蒼絵お姉様の言う通りですわ!」

「そう言えばあいつら、今度はどんな罪に問われるんだ?」


 パパがそう尋ねると、冬目さんが。


「住居不法侵入、傷害罪、器物損壊罪、監禁罪、銃刀法違反、恐喝罪、未成年わいせつ行為、執行猶予中にこれだけ1度にやらかせば、多分女性陣は10年位、男性陣は多分20年位出られないと思います…。」

「ていうかもう、一生出て来なくて良いよ…。」

「ボクも同じ意見っす…。」

「そうだ!。折角だからあーしと蒼っちが空手を始めた経緯と、蒼っちが何でロックに目覚めたかを語っても良い?」


 ママの突然の提案に、わたしは食い気味に。


「聞きたい!」

「ボクもっす!」

「そう言えば蒼絵姉が、どうやってロックにハマってったか聞いた事無かったわ…。」

「瑠実お姉様の言う通りですわ~」

「くくく。では折角だから、我がリングランサーと出会ったきっかけも語るとしよう!」

「それはイイ!」


 蒼絵お姉ちゃんの言葉に、ざくろお姉ちゃんが「何故だー!」と言うのと同時に、その場が大爆笑に包まれる中、ママが静かに語り出す。


「あーしと蒼っちが小学校に入る半年位前に2人で公園で遊んでたら、近所の悪ガキ共があーしらを『母国に帰れ外人!』とか言いながら虐めて来たんだよ」

「あったな~そんな事。で、このまま小学校に入ったらアタシら、絶対いじめられると思って近所の空手教室に通う事にしたんだ」

「あーしらの予想通り、入学後早速クラスの子達4人にいじめられたから頭に来て、蒼っちと一緒にそいつら皆ぶっ倒したんだよ、その後お母さんと相手の親に怒られたんだけどね…。」

「そいつら早くも、強者と弱者を使い分けるなんてずる賢いなあ…。」


 とパパがその子達に呆れてる中、ママが続ける。


「でもそのお陰であーしら、虐められなくなったんだよ。そして中学で空手部に入って2人共更に強くなってったんだ。そんな中蒼っちが中2の正月明けにロック、特にラ●クにハマってったんだよね?」

「ああ。だからアタシ、お年玉でギターを買って、受験勉強に支障をきたさない範囲で練習を始めて弾けるようになったら益々面白くなってったんだ。そして高校に入って皆と出会い、高校生活とバイトを並行させながら音楽活動に勤しんだ。そこから先は、皆も知っての通りだ」


 こんな感じで皆で楽しく過ごして、その日はお開きとなった。ちなみ後で知ったんだけど、ベリーさんがMスタ放送中に、わたし達のCDをプッシュしてくれたのと、ベリーさんとジャスティスさんにフォローされた影響か?、外国人観光客がわたし達の山積みにされたCDを珍しがって、何人も爆買いして行ったのも要因の1つだと聞いた。世界的大スターの影響力って、本当に凄いとしか言いようが無い…。


2030/4/20(土)AM5:40


 この日わたし達は朝5時に起きて、わたしと蘭お姉ちゃんとパパ、そしてBerryenのメンバーと両マネージャーとサポートメンバー。そしてお見送りしに来てくれたママと桂亜が、羽田空港のターミナルに居た。まだ早朝だからか?、人も少ない。そんな中、6時5分発の飛行機を待ちつつ、パパがこう切り出す。


「それじゃあママ、行って来る」

「行ってらっしゃいパパ。家の事は任せて、お父さんとお母さんもお昼前に来てくれるし」

「それなら安心だ。父さんと母さんにも宜しく言っといてくれ、姉貴」

(ピーンポーンパーンポ~ン♪)

「間もなく、6時5分発のアメリカ、ロサンゼルス行きの飛行機、396便がフライト致します。搭乗されるお客様は、指定のお席に着きますよう、お願い致します」


 館内アナウンスが流れ、ママがマネージャー4人にこう告げる。


「マネージャーさん達、皆の事を宜しくお願いします」

「がっはっはっはっは!、任せておけ!」

「僕も、しっかり通訳を果たします」

「私もです、主に通訳で」

「私は主に、ボディーガードとして。では皆さん、行きましょう」


 座木さんに促されてその場を離れようとしたその時、奇跡が起きた。


「ママ、パパ、おねえ、ちゃん…。」


 何と、桂亜が喋った!。わたしは思わず。


「け、桂亜が喋った!?」

「マジすか!、桂亜ってまだ生まれて6ヶ月半位っすよね?」

「流石あびるお姉様のお子様ですわ~!」

「だってあーし、●保田●ヨ子式育児法でやってるもん。あの方法をちゃんと実践すれば本当の意味で優秀な良い子に育つんだよ、あーしと蒼っちもそうやって育てられたし」

「そういや~そうだったな…。」

「それだけやないと思うで、きっとあびる姉の子だからやろ?」

「くくく。では今から我がリングランサーの道へと引きずり込んでーー」

「やめろ、俺の娘を中二病予備軍にするな!。それより早く行くぞ、飛行機が出発する!。マネージャーさん、行きましょう!」


 こうしてわたし達は改札を通り、アメリカ行きの飛行機へと乗り込んだ。午前10時頃、飛行機内でパパのスマホに通知が来た。


「あっ、RUINE来てる、ママからだ。『さっきお父さんとお母さんが来たから、一緒に撮った写メ送るね』だって」


 パパからその画像を見せて貰うと、蒼乃さん、アビーさん、そして桂亜を抱っこしてるママ、皆素敵な笑顔だった、これを見てパパが。


「良かった、ママ無事に帰宅出来たんだ…。」

「父さんと母さんも、無事に着いたから安心だな…。」

「ボクもホッとしたっす…。」

「わたしも、これで心置きなくチェーコラでのライブ頑張れるよ!」


 わたしは、窓の外から空を眺めながら過去を振り返っていた。


2023/1/31(火)PM8:00


 遡る事、わたしが小学校に入る約2ヶ月前。その日、晃子の26歳の誕生日を祝う為、国太と晃子の友人が数名程来ていた。台所に居たわたしは、晃子から笑顔でこう言われた。


「智加、このポーションクリーム、お父さんに渡して来て」


 わたしは、このすぐ後に訪れる地獄絵図を全く知る事無く「は~い」と屈託ない笑みを浮かべながらそれをお父さんに渡しに行った。


「お父さん、はいこれどうぞ」


 と言ったが、国太は話に(と言うより一方的な自分語り)に夢中で、わたしの言葉が聞こえてないようだった。わたしはめげずにさっきよりやや大声で「ねえ、お父さんってばー!」と言うと、国太が何を想ってか?。


「うるせえぞコラ!」


 と怒鳴りながらわたしの頬をを引っぱたいて来た、かと思いきや。


「人が折角気持ち良く喋ってんのに邪魔しやがって!」


 そう怒鳴りながらわたしに蹴って来て、色々怒鳴りながらわたしの両足を掴んでジャイアントスイングをして来た。それを見ていた客人達全員、明らかに引いていたが、晃子は無表情で、智枝は「いいぞ、もっとやれー!」と言い出した…。


 そう言えばその数日前に、ふとしたきっかけで智枝と喧嘩になった時、国太が割って入り、何故かわたしの頭だけをいきなり叩いて来て、そしてこう怒鳴り出す。


「お姉ちゃんなのに何でそんな聞き分けねえんだ?、智枝に謝れ!」

「何で?、ケンカは両方悪いんじゃーー」

「早く謝れ!、又ぶたれたいか?」


 わたしは色々納得が行かなかったけど、仕方なく謝った。


「ご、ごめんなさい…。」


 それを見た智枝は勝ち誇ったように腕を組みながらわたしを見下ろし、と言うより見下した。国太は舌打ちをしながらその場を離れた。ちなみに晃子は終始傍観していた。今想えば、これが初めての鮫妻家での姉妹差別だったと思う…。


 そんな事を想い出してるわたしの首の根っこを掴みながら、わたしを外につまみ出した。わたしは「ごめんなさい、お父さん、家に入れてよー!」と泣き叫ぶも、それに応じる事は無く、そのまま外で一晩やり過ごす羽目になった。ちなみにその後も鮫妻家と友人達は、何事も無かったかのように、晃子の生誕祭を楽しんでいた…。


 今想えば恐らく、これがわたしが国太から1番最初にされた虐待、だと思う…。わたしがつまみ出されてから数分後、近所の親子が通り掛かって、こんなやり取りをし出す。


「ママ、あのお姉ちゃん何で裸足でお外で1人で居るの?」

「駄目、見ちゃいけません!」


 あの親子の冷たい態度と、外の真冬の冷たい空気が容赦なくわたしを苛む中、わたしはドアに身を寄せるように、泣きながら寒さを凌いでいた…。そんな幼き日のわたしに、夢の中で今のわたしが優しくそっと歩み寄ると、彼女はこう語りかける。


「あなたは、誰?」

「未来のわたしだよ。これから先暫く、色々嫌な目に遭わされるけど、本当に正しい事を信じてそのまま突き進めば、貴女を助けてくれる人達が必ず現れるから。その人達との天国のように、楽しく素晴らしい世界が待ってるから。そして悪い事をした人達には、ちゃんと天罰が下るから安心して。それ迄どうか、希望を捨てないで生きてね…。」


 と昔のわたしに語り掛けてると、晃子の生誕祭を終えた客人達が出て来て、国太にこう切り出す。


「国太君、もうそろそろ智加ちゃんを家に入れてあげたら?」


 国太が舌打ちしつつ、「早く足洗って寝ろ!」と言いながら、渋々わたしを家の中に入れた…。


 と昔を思い出しながら窓の外を眺めてると、蘭お姉ちゃんが。


「どうしたっすか明未クン?、元気無いっすけど…。」


 わたしはさっき想い出してた事を話すと、蘭お姉ちゃんが。


「うわ~、マジ酷えっす国太も、他の奴等も…。」

「その頃からどうしようも無かったんやな~、あの一家!」

「それ以前からだよ、あいつらは」

「蒼絵お姉様の言う通りですわ」

「我がタイムリープの闇魔法で、メイミスを連れ出してやりたいわ!」

「そんな幼い頃から、本当によく頑張ったよ…。生きててくれて有り難うな明未、ママも絶対同じ事言う筈だよ…。」


 わたしの目に涙が溢れ、そしてパパの胸で思いっ切り泣いた、数分後。


「少しは落ち着いたか?、明未」

「うん…。これでチェーコラでのライブ、頑張れそうだよ!。有り難うパパ、そして皆…。」


 日本時間の午後4時頃、ロサンゼルス空港に到着し、そこから公式シャトルバスに乗って、チェーコラステージへと直行し、無事到着した。到着後、


「アタシらだけじゃ、チェーコラになんて出られなかったろうな~…。しかも最も人気の『メインチェーコラステージ』になんて…。」

「それどころか、音楽で食べて行く事も出来なかったかも知れんぞ…。」

「ざくろお姉様の言う通りですわ…。」

「まして、ベリーマイウィッシュやジャスティスバービーからフォローされるなんて、絶対ありえへんかったやろうな~…。」

「けどそのお陰でボク達もBerryenも、早速フォロワー100万人突破してるっすよ!」

「本当に感謝しか無いよ、応援してくれる全ての人達に…。」

「せやな。ここ迄来たら、ウチらの最高のロックを見せつけたるわ!」

「瑠実お姉様の言う通りですわ!」

「んじゃザック、円陣を頼むわ!。デジタトゥが先だけど」

「くくく、良かろう。我が闇の末裔達は、これから覇道を成す為に世界中の眷属に我が音楽をーー」

「明未、蘭。そろそろ出番だぞ!」


 古田さんに呼ばれて喋りが遮られ、業を煮やしたざくろお姉ちゃんが「今良い所なのに~!」と叫ぶと、その場が大爆笑の渦に巻き込まれた。パパが仕切り直すように、笑いを堪えながらこう切り出す。


「そ、それじゃあ蘭。改めて言い直してくれ」

「任せるっす!。それじゃあ皆、このマイルドヤンキーだらけの日本から脱獄した、現役JCのボクらの音楽をーー」

「ストッープ!。明未、やっぱお前が最後締めてくれ」


 とパパが、蘭お姉ちゃんの言葉を止めてわたしに振って来た。


「だな、メミーならちゃんとやってくれるだろうし…。」

「時間も押してるし、早よやった方がええで」

「瑠実お姉様の言う通りですわ」


 皆にそう促され、納得行ってない顔してる蘭お姉ちゃんの横で、わたしは意を決して。


「それじゃあ皆、世界中にわたし達らしい最高の音楽を、届けに行きましょう。行くぞー!」と言うと皆で「おおおー!」と言って皆に見送られて、パパと蘭お姉ちゃん、そしてサポートメンバーと一緒にステージへと向かった。


 その道中、ふとこう想った。わたしがここに存在していられるのは、わたし達の音楽を好きだと想ってくれる人達のお陰だ。小さな繋がりが皆の力と音楽の力でどんどん大きくなって行く。その力でわたしは、ここに居るんだ、って事を感じられる。


 わたし、これからも頑張るよ。わたし達をここ迄大きくしてくれたファンの皆や職場の方々、協力してくれた全ての人達、これから出会うファン、Berryenの皆、蒼乃さんとアビーさん。パパとママと蘭お姉ちゃん、そして、わたし自身の為に!


 そしてBerryen共々、現地でのライブは大盛況に終える事が出来た。ちなみにBerryenの方向性は、これからはヘヴィメタル風でずっと行っても良い、と言われたみたい。そりゃそうだよね?、この音楽性で3rdシングルが、1st、2nd以上に売れたんだからOKせざるを得ないよね?、皆が、特にざくろお姉ちゃんが自分らしく居られそうで、本当に良かった…。


 最後に、シングル、アルバム単体での歴代売り上げ記録は、最終的にこうなり、ママが大喜びしていた。そう言えば学芸会で智枝に『この曲で日本一になります』と言わされたけど、幾ら税込み500円でボランティアソングとはいえ、本当に実現してしまった。しかもBerryenに至ってはアルバム歴代トップになっちゃったし…。


 シングル歴代売り上げTOP20


 1位 765.0万枚 夢を絶対叶えたい!(めいみんバンド)

 2位 764.0万枚 初恋は叶わない、けど…。(Digital Tattoo)

 3位 763.0万枚 闇夜の流星(Berryen)

 4位 762.0万枚 闇夜の太陽(Berryen)

 5位 761.0万枚 闇夜の月(Berryen)

 6位 501.0万枚 この恋は終わらない、と想っていたのに…。(Berryen)

 7位 500.1万枚 わたし達、裏切らないよ!(Digital Tattoo)

 8位 457.7万枚 ●よげ!●いやきくん(●門●人)

 9位 333.3万枚 2人で乗り越えよう!(Digital Tattoo)

 10位 325.6万枚 ●の●ち(●史郎と●んから●リオ)

 11位 313.2万枚 ●界に●つだけの●(●M●P)

 12位 303.0万枚 我はメイミス、オルキスだ!(Digital Tattoo)

 13位 300.3万枚 ちゅープリ♡(Berryen)

 14位 293.6万枚 ●SU●AM●(●ザン●ール●ターズ)

 15位 291.8万枚 ●んご●兄弟(●水●んた●う、他)

 16位 289.5万枚 ●がいる●だけで(●米●LUB)

 17位 282.2万枚 ●AY ●ES(CHA●E and ●SKA)

 18位 276.6万枚 ●omorrow ●ever ●nows(●r' ●hildren)

 19位 258.8万枚 ●ブ●トーリーは●然に(●田●正)

 20位 252.5万枚 誰も死なせない!(Digital Tattoo)


 アルバム歴代売り上げTOP10


 1位 767.6万枚 Welcome To The Pandemonium(Berryen)

 2位 767.0万枚 Ⅲ゛Digital Sound(Digital Tattoo)

 3位 766.6万枚 ●irst ●ove(●多田●カル)

 4位 514.0万枚 ●re●ure(●'z)

 5位 513.0万枚 DigitalだⅡ(Digital Tattoo)

 6位 487.5万枚 ●EVI●W(●L●Y)

 7位 447.2万枚 ●is●ance(●多田●カル)

 8位 443.9万枚 ●rea●ure(●'z)

 9位 429.4万枚 ●-●EST(浜●あ●み)

 10位 413.6万枚 g●o●e(g●o●e)


{上記の記載は作中のオリジナルの設定で、実在する売り上げ記録とは一切関係ありません。}

 ここ迄読んで下さり有り難う御座います、感謝御礼申し上げます。TwiccarはTwitterの事で、未だにXは慣れないので、せめて作中だけでもXと呼ばないようにしよう、と想い立ち、Xを基にしたSNSを、Twiccarと表現する事にしました。これで本当に最後となります。当初は26時間TVで99kmを完走して、その影響でCDがバカ売れして、そのご褒美に都立競技場でのライブを行なう所で終わる予定でしたが、色々話が浮かんでしまったので、もう少しだけ頑張って書きました。ちなみに、明未が小学校に入る少し前にされた事は、私の実体験を基に書きました…。最後迄読んで下さった皆様、本当に有り難う御座いました、そしてお疲れ様でした。もし面白ければ★5つ、つまらなければ★1つを遠慮無く付けて頂けるととても有り難いです、宜しくお願い致します。

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