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ぶいなろっ!!~デビュー3分で前世バレする伝説を作ったVTuber。そんな推しライバーの俺に対する距離感がバグっている件。俺はいちリスナーであって配信者ではない!~  作者: 河原 机宏
第3章 GTRぶいなろっ!!鯖編

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第189配信 ギャップは両刃の刃

 食堂に到着すると既にぶいなろっ!!メンバーと思しき女性たちが十人以上いて朝食を摂っていた。


 その中には周防さんの姿もあり依流芽えるめさんに気が付くとこちらにやって来た。


「犬飼さん、おはようございます。それと依流芽ちゃん、いったい何処に行っていたんですか? 起床点呼の時に居なかったから心配していたんですよ?」


「堪忍な亜姫、実は犬飼君のとこに夜這いに行っとったんや」


「よばっ……!? マジですの? マジで夜這いをキメたんですの? そこんとこ詳しく!!」


 周防さんは夜這いという単語に前のめりになって食いついていた。朝から元気だなぁ、この人。エロそうな話題であればいつでも受け入れ態勢は万全らしい。

 食堂はビュッフェスタイルになっており各々好きな食べ物を皿に載せると席に着いた。いつの間にか俺たちのテーブルには周防さんも合流しており夜這いの詳しい状況を知りたがっていた。

 依流芽さんの話によると夜這いと言っても朝方に俺の部屋にマスターキーで侵入し服を脱いで薄着になり俺の寝顔を見ていただけらしい。マスターキーは守衛さんから顔パスで借りられたという訳だ。

 それに対し周防さんは少し残念そうな顔をしていたが自分の身近な場所で夜這いが行われた事実に興奮しており、「次は誰が……」と何やら物騒な事を呟いていた。


 いやさ、これ十分犯罪行為だろ。陽菜のストーカー行為といい、ここは犯罪者予備軍の収容所なのだろうか?


「ほんで犬飼君はうちに訊きたい事があったのよね?」


「ええ、俺への好意の件とは別の話になるんですけど、依流芽さんって三期生のナーシャ……ですよね? 妹キャラのナーシャと姉御肌の依流芽さんとではイメージにかなりギャップがあって最初は分からなかったんですけど声を注意深く聴いていたら同じ声だなって」


「……あれ? 言うてなかったっけ? 堪忍なぁ、説明するの忘れとったわ。でも凄いなぁ、うちがナーシャやって声で分かるんか。さすが声フェチのワンユウ君やね。よかったら後でナーシャの声で甘々妹シチュASMRやってあげよか?」


「おいくらですか?」


「そんなん無料に決まっとるやろ」


「いや……ダメだ、そんな贅沢なASMRをタダでなんて。課金しないと気が済まない」


「あんた本当に根っからのリスナーやね。――お兄ちゃん、ナーシャと付き合ってくれたらいつでも妹シチュのASMR聞きたい放題だよ? シチュによっては十八禁も聴けるよ? 聴きたくなぁい?」


 依流芽さんの声がいきなりロリっ子ナーシャボイスに変わり驚愕する。だがこれで依流芽さんがナーシャ本人だという事が証明されスッキリした。

 それにしてもそのASMRの内容は妹キャラのイメージとはかけ離れたものだ。


「なっ……! や、それは……ナーシャはそんな事やっちゃダメだ! だって妹だから!!」


「でもね、お兄ちゃん。妹だって普通に恋愛して彼氏作ってヤる事ヤってるんだよ?」


「今なんかすんごい妹からの圧を感じたんだけど! ――けど、そうだよな。妹とて一人の女性。そういう事をしていてもおかしくないよな」


「うん、そうだよ。ちなみにナーシャは今まで彼氏は三人いたかな。相手の顔とかあまり覚えてないけど、ちゃんと大人の恋愛はしてたよ」


「大人の恋愛したのに良く覚えてないの? そういうものなの!?」


「そうだよ。女子はね、前を向いて生きているから過去にこだわらないの。お兄ちゃんは経験済みの妹は嫌? やっぱり妹は処女じゃないと許さない感じ?」


「そういう訳じゃないけど……さっきからこの妹、パワーワードを連発してくるなぁ」


 ナーシャもとい依流芽さんの圧が凄い。グイグイ来る。ノーと言わせない攻めの強さを感じる。話題を変えて仕切り直しだ。


「ところでナーシャは公式のスリーサイズと一部差がある箇所があるようだけど、何故控えめサイズで公表してるんだ?」


「お兄ちゃんって本当におっぱいの話が好きなんだね。いいよ、理由を教えてあげる。ナーシャはぶいなろっ!!に入った時はBカップだったんだけど、ジャンケンが弱くて野球拳で毎回敗北していたの。それで皆に胸を揉まれていくうちに急成長してGカップになっちゃったの。ぶいなろっ!!に入ってから彼氏は作ってないから、このGカップはまだ男性には触られてないよ。ファーストタッチ……する?」


「この妹、自分のGカップにプレミア感を追加してきたぞ。早くしないと乗り遅れると言いたいのか」


「女の子はね、したたかなんだよ? そこんところちゃーんと理解しておかないと、お兄ちゃんみたいなお人好しさんはすぐに……ふふふ」


「すぐに……何なの!? 俺どうなっちゃうの?」


 アカン!! 俺よりも人生経験が豊かな妹に完全に手玉に取られている。何て小悪魔な妹なのだろうか。


「よいしょっ」


 ナーシャもとい依流芽さんのGカップがテーブルの上に乗せられ存在感を放っている。野球拳に負け続け揉みに揉まれた叩き上げのGカップだ。面構えが違う!


「優さん、それでどうするんですか? 依流芽先輩のおっぱいを揉むんですか?」


 同じテーブルを囲む陽菜、ルナ、周防さんの三名も各々ボリューム満点の胸をテーブルに乗せて俺の行動を見守っている。ここは天国か?

 忘れてしまいそうになるが、時間帯は朝、場所はビュッフェを楽しむ食堂だ。常識的に考えて女性の胸を揉むとか揉まないとかセンシティブな話をするような環境ではない。


「いや、揉まないよ。さっき会ったばかりの初対面の女性の胸をいきなり揉むとか非常識だろ。それに俺彼女いるんだぞ。今まさに目の前に」


「ふーん、せやけど月とは初対面でオメコしたちゃうん」


「オメ……なんて?」


「えーと、つまりエッチしたって意味ですわ」


「何でその事を知ってるんだ!? はっ、まさか……」


 陽菜と月は俺と目線を合わせようとせず口をつぐんでいた。こいつら……。


「話した……のか? 俺たちのトップシークレットを……バカなの!?」


「まあまあ犬飼さん、二人を怒らないでください。焼肉をお腹いっぱい食べてお酒でほろ酔い良い気分になった所を質問されて口が滑ってしまっただけですから」


「俺が怒ってるのはあなた達に対してもですよ、周防さん。それ完全に計画的でしょうし、一回や二回じゃないですよね?」


「少なくとも五回以上は同じ手口で暴露してるハズやで」


「学習能力!! お前等には失敗を繰り返さないという思考はインプットされていないのか!?」


「ごめんなさい優さん、お肉とお酒が美味しくってぇ……頭がフワフワしてぇ……つい」


「陽菜はともかく、わたしは割と意識は鮮明だったわよ。話して恥ずかしい事なんて無いもの。既に女子会を盛り上げる定番の話題になってるし最新情報を届けないと逆に心配させちゃうのよ。ごめんね」


 食欲に負けた陽菜と場の空気を読んだ月。もう彼女たちの意志ではどうにもならない状況になっていた。


「周防さん、女子会で俺たちの夜の生活について質問するのは禁止にしてください」


「お断りしますわ」


「即答!?」


「私たちの間で犬飼さんの絶倫秘話は既に無くてはならないものになっているんです。女子会の度に皆が凄く楽しみにしているんです、勿論私も! この話題提供が無くなったら悲しむメンバーが大勢います。配信にも影響が出る可能性がありますわ。それでも犬飼さんは自分の絶倫ネタを話すのを止めろと仰るのですか? あんまりですわ!!」


 言葉が出なかった。何て自分勝手な事を堂々かつ声高らかに言うのだろうか、この変態ド畜生プリンセスは……。


「絶倫絶倫言うのは止めてもろて。――いいですか、俺は今泣いているんですよ。それについてはどう考えてるんです?」


「そうですわね。確かに犬飼さんの羞恥心はお察し致します。でも、あなたが陽菜ちゃんと月ちゃんにしているあんな事やこんな事に比べたらそんな恥ずかしさは比べるまでもないでしょう?」


「なっ……! あんな事やこんな事やそんな事まで話したのか!?」


「いえ、『そんな事』は話してないです」


 朝から会話が混沌としている。トーストに目玉焼きを乗せた通称パズ◯飯の味すら分からない。

 ふと依流芽さんと目が合うと彼女はにっこりと笑顔を向けてくれた。


「依流芽さんはどうなんです? もしも俺とそういう関係になったら女子会で暴露する流れになるんですよ。嫌でしょう?」


「えー、別にうちはかまへんで。むしろ犬飼君にどんなプレイされるんか楽しみでしゃあないわ。やっぱり気になるんは、あんたの十八番おはこの二回戦連続――」


「もういいです! 俺の負けです。そんな具体的な事まで筒抜けなんて……お願いですから他所よそでは絶対に話さないでくださいよ!」


 もう無理だ。俺如きが何か言ったところでこの変態共の前では小鳥のさえずり程度にしかならん。くそっ、どうりで俺の性癖を熟知されていた訳だ。

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