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あの女さえいなければ!

一時間前。

食事が終わったアーノルドは廊下を歩く、父親の後を慌てて追い掛けた。


「お待ちください。父上」

「何だ。騒々しい」


父親は呆れながら溜息を吐くがアーノルドは構わず父親に訴える。


「あんな女がグロリア家の魔法覚醒者だなんて納得できません!アイツは薄汚い庶民の血を持っているんですよ!それなのに…!」


「言いたいことはそれだけか?」


冷えきった父親の声音にアーノルドは肩をビクッと震わせる。

グロリア家である父親は家族に対して高圧的で冷たい。

それは正当な跡継ぎで血を分けた息子に対しても同じだった。


だからこそアーノルドは結果を欲していた。

グロリア家の正当な後継者は自分である表明を。


「覚醒者は一代につき二人だが、必ずしも覚醒者が当主になれるとは決まってはいない。努力を怠るな」


父親は冷えきった視線をアーノルドに向ける。

「妹に負けたくなければな」


父親の言葉にアーノルドは悔しさを強く感じ、唇を噛む。


どうして。

何故。

魔法覚醒者が自分ではなく、あの卑しい穢れた庶民の血を持つ女なんだ!


自分こそが高貴で正当なグロリア家に相応しい跡継ぎだと言うのに!


怒りでどうにかなりそうだった。

だが、ここで父親に嫌われる訳にはいかない。

父親に見放されてしまえば自分の将来は終わってしまうのだから。


「話は以上だ」


短く吐き捨てるように父親は言うと、アーノルドを置き去りにするようにその場から去って行った。


一人残ったアーノルドは悔しさに顔を歪めながら、

「あの女絶対許さない…」

そう呟くのだった…────。


****


二週間後。

私はグロリア家が所有するパーティー会場の広間にいた。


会場には豪華な食事や煌びやかな飾りや所々に高価で美しい花が飾られている。

それもそのはず。

今日はグロリア家の魔法覚醒者の発表のパーティーだ。


会場には同じ覚醒者がいる炎を司るガドフリー家、風を司るギデリオン家が参加している。

噂では彼らの嫡男である息子はすでに魔法覚醒者として目覚めている。

以前まで父はグロリア家に魔法覚醒者が目覚めていないことに焦っていた。


何せグロリア家は王族も合わせた4つの能力者系統の中で魔力が高く、能力の精度が高度で優秀。

その中で魔法覚醒者が目覚めていないことに対して周囲からどのような目で見られるのか、焦りを募らせていたのかもしれない。


だからなのだろう。

前世では私の魔法覚醒者のパーティーではなく、アーノルドがグロリア家次期当主の発表の場になっていた。


私が父に魔法覚醒者として自ら進言したから私のパーティーになったけれど。

要は父の見栄とプライドのお披露目会にしか過ぎない。

何も思わないわけではないけど……。


(ここで私の力を示すことができれば魔法覚醒者達が私に注目が集まる。そうすればグロリア家の次期当主の座に近づくことが出来るかもしれない)


私はぐっと手を握りしめる。


失敗はできない…────。


「お義姉様」

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