~富士山決戦~ 十二話
後方から聞こえた爆発音。良治と禊埜塞との開戦のゴングとなったあれは、きっとグレン・シーナの術によるものだと良治は判断していた。
置いてくることになってしまった皆に少しだけ罪悪感があった。自分だけがここに来るしかなかったとは言え。
「く、くっそぉ!」
禊埜塞の繰り出す金棒を時には村雨でいなし、時には普通に回避する。
彼の実力は、退魔士としても棒術士としても一流とは言えない。良いところ二流の上だ。とても魁には届かない。
正直こんなものか、そう感じてしまう。突きも払いも遠く及ばない。少し残念だなと思ってしまうくらいに。
「そろそろ終わらせよう」
「ふざけるなぁっ!」
初見の相手は何をしてくるかわからない怖さがある。故に良治は見から入った。相手がこちらを知っていることも加味しての判断だ。戦い方を研究していてもおかしくないのだから。
しかし禊埜塞は知っていたのだろうが、単純に実力が足りなかった。平均的に能力の高い良治に勝つには、一点突破の能力か奇策しかない。もう一つ加えるなら大半の能力で上回るかだ。
「ぐぅっ!」
正面からの一撃に押され、禊埜塞は地面に転がる。金棒で防御したがその衝撃は殺しきれなかった。
「おとなしく転がっていてくれ」
「く、っそぉ!」
「邪魔を――っ!?」
もう邪魔をするものはない。あとは無理やりにでも黒い渦を閉じて結界を張り直すだけだ。
しかし。良治が目を向けた瞬間、渦と彼の間に黒い影が突如として現れた。そしてその姿に良治は叫んだ。見覚えのある、決して忘れることの出来ない醜悪な魔族の姿に。
「シグマぁっ!」
「小僧、《黒衣の騎士》を足止めしろッ!」
「魔族がボクに命令などっ!」
そう言いながらも転んだままの塞は、走り抜けようとする良治の足目がけて金棒を振るう。
「っと! この!」
「ぐっ!」
ジャンプで躱した良治に今度は金棒を投げた塞に良治は彼の肩に刀の峰で思い切り叩きつける。手加減は出来なかったが骨折程度で収まるだろう。
「間に合った、間に合ったッ! ハハハハハハハハッ!!」
数秒の足止め。それが致命的となった。
狂気に満ちた哄笑がこだまする。
「渦が……!」
渦が目に見える速度で広がっていく。世界を侵食するように。
「シグマっ!」
「グ、ウ!」
「浅いか!」
良治の斬撃は防御障壁に阻止される。が、その障壁を砕いてシグマに到達する。だが黒いボロ布を裂いただけだ。
「ふむ、ここで長年の復讐の決着をつけるか《黒衣の騎士》よ」
「正直もう復讐とかどうでもいいね。ただここでお前を倒さないとまずいってことだけだ」
「綺麗ごとを!」
枯れ木のような腕から放たれる魔力の塊を刀で撃ち落とす。
母親の仇。しかし良治は本当に憎しみをほとんど感じていなかった。
あるのは単純な使命感。ここで止めないと他に死者が出る。戦っている皆はもちろん、それ以外の一般人に。
「――ッ!」
「半魔族化か。人間よりマシとは言え、そんな中途半端な存在が儂に敵うなど思うてか。それに」
「渦が……!」
「言ったであろう? 間に合ったと」
渦の大きさは直径三mを超えたあたりで止まっていた。
それはこれが最大に広がったということ。
「ふむ……やはり結界の一つを破壊した程度ではこれが限界か。フジを囲う結界はなくなったわけではないじゃからの」
「これが禊埜塞に協力した理由か、シグマ」
「うむ。お主への復讐の手伝いと引き換えにの。儂としてもお主に死んでもらいたいと思っておったのでな。好都合だったわい」
魔族独特の赤い瞳が笑う。
良治の推測通り、禊埜塞の言っていた協力者は魔族だった。それがシグマだったとあまり思っていなかった。あくまで可能性の一つとしてはあったが。
「――さて、来たの」
「これは……」
渦の向こう側からぞろぞろとこちら側に現れ、いくつもの姿が大地を踏み締める。
「鬼、だと……!」
それはあの陰神決戦、羅堂との戦いで相手をした鬼にそっくりだった。あの時の鬼はその大きな身体を生かした攻撃、凄まじい治癒能力で大いに苦戦したものだ。綾華と風花と協力して首を断つことで倒すことを思い出した。
しかしこれはまずい。二人と倒した時鬼は二体だった。だが今見えているだけで十体を超える。そして勢いは衰えることなく扉は鬼を吐き出し続けている。
(ここでシグマを倒すか無力化、そしてあの鬼たちも倒して扉を閉じる……?)
更に言うなら単独でだ。良治は即断する。
(足止め!)
シグマも鬼も、付け加えるならまだ転がっている禊埜塞も放置するわけにはいかない。この場から離脱して情報を伝えなければとも思うが、ここは押さえつけて援軍を待つ方が上策と判断した。
「カカッ! どれほど持つかの!」
高みの見物気分なのか、シグマは鬼と戦い始めた良治から距離を取る。少しだけ期待したが、どうやら鬼たちはシグマを敵と認識していないようだ。これで同士討ちは狙えなくなった。
良治は鬼の足を攻撃し、頭が下がったところで首を断つという作戦に出た。半魔族化した状態なら機動力も攻撃力も問題ない。囲まれないようにしているため中々そのチャンスは訪れないが。
「……撤退するか……?」
三体を屠ったところで方針を転換するか迷いだした。三体倒す間に扉から現れた鬼の数は七体。出現速度が速すぎる。
「あ、あぁ……っ」
「ああもうっ!」
禊埜塞は戦意を喪失し座り込んでいる。そこに鬼が群がりだしていた。シグマは敵ではないが、人間である禊埜塞は別なのだろう。
走り出し、なんとか禊埜塞を殴りつけようとしていた鬼の首を飛ばす。そのまま着地して禊埜塞の身体を抱えて鬼たちと距離を取った。あの場で戦うのはさすがに無謀だ。
(――どうする……?)
迷う良治に、鬼たちが襲い掛かる――
「――ぐっ!」
「くぅっ、やるわね!」
衝撃に負けて後ろに押された和弥はシーナを睨み付ける。まだいける。そう思ってもう一度斬りかかろうとして違和感に気が付いた。
「くっそ……」
木刀が根元から砕かれている。柄の部分しか存在していない木刀に意味はない。まさか退魔剣状態の木刀を真っ向から折られるとは思ってもみなかった。
「いや、凄いわね。ほんとにびっくりよ」
「何がだよ。こっちは折られたってのに」
右手をぷらぷらと揺らしながらシーナが笑う。
「すっごい衝撃だったわ。手が痺れる感覚なんて久し振りだわ」
「木刀折っておいて痺れるだけって……」
最大の一撃を受けて痺れる程度。明らかにおかしいレベルだ。
「まぁ時間稼ぎも終わったし、ここでお終いにしましょ」
「終わった……? あ」
「気付くのが遅いわよ。それだけ集中してたってことでしょうけど」
微かだが空気に瘴気が混じっている。そしてこの気配。結界に穴が開いたことにやっと気付いた。
「そんなわけで私の仕事は終わり。それにこっちに何人か来るわ」
「え?」
二人を囲んでいた炎のリングが消え、シーナが戦闘態勢を解く。と言ってもそのj状態でも攻撃されれば一撃でやられると思うが。
振り向くと確かに彼女の言うようにこっちに向かってくる数人の姿があった。
「和弥くんっ!」
「葵さんに……凍夜さんと香澄さん」
神薙兄妹の名前を思い出しつつ笑顔を向ける。大きな怪我は誰もないようだ。
「彼女が、《最強の炎術士》……?」
「あれ、なんでわかったんです?」
「ここに来るまでにまどかちゃんたちに会ったのよ。だいたいの事情は把握してるわ」
まどかに感謝しながらシーナに顔を向ける。説明を求められたら上手くできる自信はなかった。
「なら大丈夫そうね。貴方たち、一緒に結界の方まで行かない?」
「え?」
「だって私の仕事は終わったし、結界がどうなったのか、どうなってるのか気になるし。敵対する理由はもうないからどうかなって」
どうやら本気で言っているようだ。凄く軽く提案してるが冗談には聞こえない。
「どうかなって言われましても」
「……和弥くん、彼女信用できると思う?」
「まぁできると思いますよ、葵さん。嘘は吐かない人ですから」
敵対していたものの、決して今までの言動に嘘はなかった。単純に立場が違うだけで、一人の人間としては信じられる。
これまで何回も会って話をしてきたからこそ言えることだ。これが初対面だったなら信用するのは難しかっただろう。
「じゃ、決まりね。和弥君はお人好しだとは思うけど」
「シーナさん、俺のどこがお人好しって思うんですか」
「そうね。敵だから口調が丁寧じゃなくなるんだけど、完全にそう切り替えられないところとかかしら」
「……」
言われてみるとそうかもしれない。自覚はなかったが。
「さ、貴方たちも一緒に行くんでしょ? それなら急がないと」
「……なんかペース握られてるのが釈然としないけど……神薙さんたちもそれでいいかしら」
「ああ」
「はい」
二人の同意を得て走り出す。向こうでは良治が一人で戦っているはずだ。早く助けに行かなくてはならない。
(まぁリョージなら問題ないとは思うけど)
良治には絶対の信頼がある。良治ならなんとかしてくれる、解決してくれるという信頼だ。ただ傷つかないわけではない。むしろ良治は身を犠牲にする傾向がある。それだけが心配だった。
「そんなに距離はないからすぐに着くわよ。……ああ、和弥君」
「何ですか」
「良い太刀筋だったわよ。昔の知り合いを思い出す様な、ね」
ほんの少し、寂しさの混じった微笑み。その知り合いと何かあったのだろうか。
思えば彼女のことはほとんど知らない。知り合ってからそれほど経ってないし、当たり前と言えば当たり前なのだが。和弥が知っていることと言えば、先程知った《フレイム・マスター》や《紅の天災》よ呼ばれる伝説級退魔士と言うこと、そして甘いものが好きなちょっと意地悪なおねーさんというくらいだ。年齢を聞いたことはないが、きっと二十代半ばの予想は外れていないだろう。
「――さ、着いたわ。って凄い数ね」
「うわぁ……」
森を飛び出した彼らの前に広がった光景。暗闇に蠢く無数の巨体。
「お、鬼ぃっ!?」
「香澄、気付かれる」
大きな声を上げた妹を窘める凍夜。しかしそれは遅かった。彼女の悲鳴に気付いた鬼たちがこちらに寄ってくる。
一本だったり二本だったり角に、赤だったり青だったり緑だったりする身体。その手に持つ武器も刀だったり棍棒だったり斧だったり、中には素手の者もいる。
「向こうで誰か戦ってるわね。この距離と暗さだと誰だかわからないけど」
「誰かって、リョージしかいないよなぁ」
和弥の知る限り先にこの場に来ていたのは良治しかいない。他の場所の
担当が来ている可能性はなくもないが、距離などを考えるとそれも薄い。
「うーん、結界の基点がどうなったのか見てみたかったのに。さすがに視界が悪いわね。もうちょっと近づかないと」
「え、簡単にそんなこと……ってシーナさんなら出来るんですよね……」
緊張感のないシーナにはそれが出来るだけの実力がある。それは戦った和弥もよくわかっていた。
「でも私が思いっきりやるとみんな巻き込むし、この辺一帯の森にも影響出ちゃうでしょうし。この前も山を二つほど焼き尽くしちゃったし、しばらくは自然破壊はしたくないのよね」
「山二つ、焼き尽くした……?」
信じ難いことだが彼女なら出来るだろうしやりそうだなと思った和弥に、シーナが笑顔を向ける。しかしその目は笑っていない。こっちの思考は読み取られているようで怖い。
「あんまり失礼なこと考えないようにね?」
「はいっ!」
ばれていた。察しが良すぎるのか和弥がわかりやす過ぎるのか。
「お喋りはそこまで。来るわよっ」
「葵さん、リョージは?」
問題はそこだ。きっと鬼に囲まれているであろう良治はこのままだと後がない。
見えないくらいに距離がある。そうなるとこの鬼たちの間を縫って辿り着き、その後離脱するかこっちに合流するかしなければならない。
そんな実力と機動力のある人間は誰か。
「私たちが行きます。良いよね、兄さん」
「ああ」
迷った和弥たちに声を上げたのは神薙兄妹だった。相談などしていなくても意思疎通は出来ている。さすが兄妹と言ったところか。
「お願いします、神薙さん」
「はい。では」
葵の礼に短く答えた香澄と凍夜が目の前の鬼を斬り、そのまま夜の闇へ消えていく。
「和弥くん、後ろ!」
「おっと!」
風を切る音が耳のすぐそばで呻る。地面を転がって避けて体勢を立て直すと、そこには全身を炎に焼かれている鬼の姿。
「うえぇ……」
「和弥くん大丈夫?」
「はい。ありがとうございます葵さん。にしても……」
「凄いわね……」
葵が驚くのも無理はない。焼き尽くされた鬼は全身を黒焦げにされ、一回り小さくなって崩れ落ちた。
和弥は綾華から聞いて、鬼には凄まじい再生能力、治癒能力があることを知っていた。倒すには首を落とすか心臓を止めるかしかないはずと。
それがどうだ。シーナは身体の全てを焼き尽くすことによって鬼を仕留めた。さすがは幾つもの通り名や異名を持つだけある。
「まぁこんなものかしら。さ、和弥君も貴女もまだまだ残りはいるわよ?」
「は、はい!」
「ごめんさない。――はっ!」
囲まれる前に数を減らさないとならない。もし良治たちが戻ってきた時、こっちが押し込まれていたら何のために来たのかわからない。シーナがいる限り大丈夫だろうが、最後まで付き合う義理は彼女にはない。おんぶに抱っこでは見放されても仕方ないだろう。
「持ちこたえるくらいは、しないとなぁっ!」
和弥はポケットに手を突っ込むともう一つの転魔石を取り出して力を込めた。
現れたのは新しい木刀だ。普段使っている木刀はシーナに砕かれてしまったが、こんなこともあろうかと予備は用意してある。良治に言われて持つようになったのは秘密だ。
大きな刀を振り下ろす鬼の足元に滑り込んでアキレス健辺りを斬る。体格に劣る場合、大概は懐や足元に入り込んだ方が相手はやりづらいものだ。
膝を着いたタイミングで背後から退魔剣で首を断ち切る。しかし仕留めたという安心感に浸る間もなく、また鬼たちが近寄ってくる。
視界自体はシーナが鬼を焼いている影響で悪くはない。ただ肉の焼ける臭いは鼻につくが、それでも贅沢は言っていられない。
「ぐ……葵さん後ろ来てます!」
「ありがとっ!」
お互いにフォローし合って乗り切る。それが最善だ。シーナに関しては一人でどうにでもなると思っているのであまり気にしていない。
「少し大きいの行くわよ、避けてねっ!」
「え? ……離脱ー!」
相手をしていた鬼を押し退けて、葵と並んでシーナとは逆へ走り出す。
熱が集中し、爆発するような予感がして二人は大きく前方へ身を投げた。
その一瞬後、赤い円柱が天を突くように出現した。
「……ふぅ。これで少しはスッキリしたわね」
「あ、あっぶねぇ……葵さん大丈夫ですか」
「逃げるのが遅れてたら火傷じゃ済まなかったわね……」
細い道の両脇は円形に焼き払われ、黒くなった木々が幹だけ残されている。所々にある黒い塊は鬼だったものの成れの果てだろう。
「あ、何人かこっちに来るわね。視界が開けて良かったわ」
シーナの言う通り、開けた視界の先にある道からこちらに向かってくる集団があった。戦闘は凍夜、その後ろに良治と香澄がいる。良治は何か抱えているように見えた。
「って、その後ろやばくないですか?」
「あは、凄いわね。私が蹴散らしたのなんか比にならないくらい」
彼らを追うように、というか実際追ってきたのだろう。把握できないくらいの鬼たちがいた。密度が濃すぎて後ろが見えない。
「シーナさん、何とかなりません?」
「うーん、難しいかしらね。ちょっとさっきので力使いすぎちゃったわ」
「そんなぁ……」
不満を口にはするがそこまで文句があるわけではない。元々いないはずの人間だ。過信していたわけでもない。それが理解できているようでシーナも特に何も言わない。
「お二人ともありがとうございます。リョージ大丈夫か……って誰だそれ」
「お疲れ和弥。これが禊埜塞、首謀者の一人だ」
「は? まじで?」
神薙兄妹に礼を言ってから友人の様子を見ると、抱えていた少年をこちらに見えるように差し出した。気絶しているようでぐったりしている。正直その辺にいる少し中二病にかかった男の子にしか見えなかった。
「まじだ。まぁこの格好とか子供とかでそうは見えないだろうけど。それよりもこの後どうするかだ。個人的には撤退を進言するけど」
良治もだいぶ疲弊している。半魔族化でもしていたのだろう。今は普通の状態だがパッと見でもわかるほど力が落ちている。実際和弥の予想は当たっていた。
「良治くんがそう言うならそうしましょ。最高責任者は良治くんなんだから」
「確かに。でも……」
葵も同意しているが、問題はその方法だ。徐々に近づいてくる鬼の群れ。あれを放置していいものなのか。
「あれが人の住む地域まで出て来たら大問題だよ。白神会としても問題だしさすがに隠蔽できないだろうから、ここで何とかしないといけないわね……」
「葵さん、それ出来そうですか?」
「……」
無言が何よりの肯定だ。和弥も無理だと感じている。
「ん、鬼たちの動きが止まった……?」
「――奥から来るぞ……!」
香澄の声に顔を上げ、凍夜の言葉に戦慄する。
「おいおいおいおい……っ!」
鬼の群れだけで十分な脅威だ。なのに。それなのに。
「なによこれ、この気配……」
呆然とした葵がへたり込む。気持ちはわかる。今までに感じたことのない規模。何かが間違っているとしか思えない濃密さ。その気配が一歩進むごとに瘴気が濃くなっていく。
「なぁ、リョージ……なんだよこれ」
「わからない。今のうちに言っておくと黒幕は元陰神のシグマだ。あいつが結界の基点を破壊して、『扉』を開いた」
「じゃあこれはあの魔族かっ!」
「いや違う。近くにあいつの気配は別に感じる。この気配はきっと……あの扉からこっちに来たんだろうな」
さっき良治が『首謀者の一人』と言ったのはもう一人の黒幕のシグマがいたせいだ。棒を抱えたまま気絶した少年を見るに、利用されていたように思える。
「――人間にしてはそれなりに強そうじゃのう!」
一歩一歩地響きを起こしながら、鬼の群れを割るように現れたそれは大きな声で豪快に言った。
周囲の鬼よりも更に巨躯。背は四mにもなろう大きさの赤鬼。二本の捻じれた角は威厳すら漂う。赤と黒をメインの色遣いとした和風の甲冑に、自身の背を超える真っ赤な金棒。
そしてその金棒を大地に突き立て、赤鬼は名乗りを上げた。
「我が名は『厳魔』、魔界に領地を持つ魔王の一人であるッ!」
――魔王降臨。
和弥は初めて現実でそんな言葉を聞いた。
魔王降臨。というところで連続投稿は一旦終了です。
月末までに全部投稿しますのでお待ちくださいませ。




