犯人判明
桜並木が風に揺れてレンガ造りの大きな道にピンク色のしぶきをあげている。
いま俺が立っているこの道は学園の中央を端から端までずーと真っ直ぐ通っている桜通りと呼ばれる大通りだ。
俺は今ここで、命日の死に関しての情報と学点に関する情報の収集を行っている。
なぜ命日の事だけでなく「学点」についても調べているのかと言うと、なぜ学点がこの学園の学生に限らないすべての人間に適応される最重要事項といわれるのか知りたくなったからだ。
そして情報収集の結果、その理由が判明した。
まず一つ目の理由は学点がゼロになると退学になるから。
そして二つ目の理由が自分より学点が低い者に対して「退学しろ」という命令を除き何でも命令できるからだ。
人はこれを学令と呼んでいる。
またその学令に拒否権はなく、もし断ればその瞬間問答無用で即退学になる。
簡単にこのシステムのやばさを言えば学点の多い奴が低い奴に対して自殺しろと学令すれば、学令をされた者は自殺するか学園を退学するかの二択を迫られるという事になる。
こんなやばいシステムがあっては学園の人間も学点の事を最優先に考えて行動する他なくなる。
それにこうも考えるだろう、こんなやばいシステムがあっては学園が学園としての機能を保てなくなるのではないか?と。
しかしそんな心配はいらない。
なぜなら、学令の内容と学令をした者の名前はスマホによってすべて閲覧できるからだ。
しかも学令が行われると自動で学令をされた者の元にドローンが配備され、学令をされた者の様子がリアルタイムで配信されるようになっている。
このシステムのおかげで学令が行われること自体珍しいことになっている。
それに前にも言ったようにこの学園は独立国家の様な物、人を殺してはいけないと言う法も学園内では存在しないが日本では存在するのだ。
学園内で人を殺したとしても学園内では裁かれない、しかし一歩学園の敷地を出ればその時点で学園の 人間は凶悪殺人犯として日本国憲法により裁かれることになる。
だからこそこの学園内で犯罪が起きる事はほとんど無い。
しかし命日は死んでしまった。
俺は命日の死体を見た時、現実を現実と捉えられなくなった。
この死体は偽物で命日は普通に生きていてこれはドッキリかなんかなのではないか?などと考えたりもした。
しかし翌朝目を覚ましても命日は死んだままだった。
そこでようやく俺は理解できた、命日が死んだという事の意味を。
その時俺はとにかく泣き叫んだ。
寮母さんは俺の事を察してくれて何も言ってこず、寮で住む他の学生にも説明してくれたみたいだった。
それをこの学園でできた初めての友達、喜多見 未垂から聞いた時はその日十回目の号泣をした。
そしてそれから三時間後、ようやく今の俺に至る。
先ほども話した様にこの道は学園の真ん中を通っていてこの道を通るのが目的地への近道になることもたくさんある、その為あらゆる人がこの道を通る。
つまり情報収集に最も適している場所なのだ。
俺はメモ用紙を右手に、ペンを左手に握りしめてたまたま目に入った長髪の人に話しかけた。
「すいません今聞き込みをしていて……朝露 命日という新入生に心当たりはありませんか?」
俺がそう聞くと長髪はにこりと笑って答える。
「あぁ~!あの可愛らしい女の子ですね?もちろん知っていますよ!殺した人間の事を忘れるわけないでしょう?」
「へ?」
考えるより先に声が出た。
長髪は嬉しそうに俺の手首を掴むと、いつの間に大きく開いた口で言う。
「貴方とはじっくり話がしたい……ついてきてください!使われていない良い感じの倉庫があるんです」
――
ぼやける視界がはっきりする頃には辺りに人気はなく、じめじめとした薄暗い場所で長髪と二人っきりになっていた。




