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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
帝国のアドバイザー
95/122

95葛藤

登場人物

ロウル   記憶喪失だった主人公・ノリクの相談役(★4テンロウ)

ウル    ロウルの正体・行方不明の連合国アドバイザー(★4テンロウ)

ローゼリア ロウルを助けた貴族令嬢(人間)

ノリク   ローゼリアの父親でウルを捕えたハキルシア帝国宰相(人間)

オーウェル 連合国盟主・ウルの盟友(人間)

エリーゼ  ドンロン領主・オーウェルの叔母(人間)


 4日後、俺は魔王と白衣の男に連れられてエルモンドに到着した。

 魔王はすぐに戻るとのことで、俺が記憶を取り戻している間にウラジオに帰っていった。

 そして、エルモンドの町の施設の中で俺は、失われた記憶を戻してもらった。


 そして、俺は、全てを思い出した。


 この世界に狼として転生してご主人様と一緒に冒険を始めた事。

 パワーを仲間にして冒険を続けた事。

 魔王レオニエルと会い、モンスターと人間との契約の在り方に疑問を持った事。

 ノリク様と戦うために、オーウェルさんに協力することにした事。

 ノアの迷宮を突破し、自分の体を手に入れた事。

 大陸の東側を連合国として取りまとめ、ノリク様と対決するための勢力を結集した事。

 そして、ノリク様に警戒されて俺は不意を突かれて捕らえられた事。


 俺は、ノリク様に捕まった時、魔王の情報を渡さないように必死に努力して、そして記憶を失った後、ノリク様のために魔王の正体を暴いたのだな。

 我ながら滑稽だと思う。

 以前はあれほどノリク様の事を嫌っていた筈なのに、記憶を取り戻しても、不思議とノリク様に対する嫌悪感が生まれることはなかった。

 俺はミューゼル家で大事にして貰ったからだ。

 それは、俺の首輪の効果を解除したという事実だけでなく、ミューゼル家の中で俺がお嬢様やノリク様・アンナ様と接していて感じた事だ。

 タンゴさんに対してだけはそうは感じなかった。と言うか、タンゴさんに対しては仲間モンスターに対する考え方の違いで、以前は味方だから仕方ないと思っていたが、やはり嫌悪感を持ったままだ。


 ノリク様は俺を捕えた時に、『君の判断力が是非とも欲しい』と言っていた。

 俺の記憶を消して、強引に持って行ったことは確かだ。

 それでも、俺の判断力を欲しいという言葉に、間違いはなかったのだとノリク様の一連の言動を見ていて分かる。

 俺が最初に出会ったのがノリク様だったら、普通に連合国と対決していただろう。


 ノリク様は、俺のアドバイスを本当に重要視していて、実際に実行してくれた。

 パヴェル公との和解もそうだし、モンスターの待遇の改善は一番嬉しかった。

 オーウェルさんも以前からしてくれてはいた事ではあるのだが、だからと言って、俺にはノリク様の英断を無下にする事はできない。



 俺は、これから戦況はどうなるのだろうかと考える。

 ピュートル公とパヴェル公との対決は避けられないだろう。

 そして、ノリク様はパヴェル公に、連合国はピュートル公につくと明言してしまっている。


 俺は、何とかノリク様と連合国の対決は避けられないものかと虫のいい話を考えてしまう。

 だが、オーウェルさんからすればノリク様は父親の仇だし、無理だよな。


 俺は、これからどうしたらいいのだろうか。

 そう考えるとなぜか憂鬱な気分になってしまう。

 オーウェルさんとノリク様の板挟みになってしまっているのだ。

 考えても結論は出ない。



 なら、とりあえず、もう一度オーウェルさんに会って話をするか。

 そして、お嬢様の無事を確認してからパワーやガイン達にも会って無事な顔を見せてやらないとな。

 これからの事は、そのあたりの状況を確認してから考えるかしかないよな。



 とりあえずは、ウラジオに戻ろう。

 俺が白衣の男に礼を言ってウラジオに戻ろうとすると、★4シルバードラゴンと★3ブルードラゴン・★3レッドドラゴンがやってくる。


「ウル殿、ウラジオの町に戻るのでしょう。

 オーウェル様の命により、我々がドンロンまで護衛させていただきます。」

 シルバードラゴンのヴァディスコーチが言ってきた。いや、今は隊長になっているんだったな。

 オーウェルさん、俺を心配してしっかり護衛を用意してくれていたんだ。

 オーウェルさんに感謝でいっぱいだ。

 だけど、オーウェルさんに恩を受ければ受けるほど、俺はオーウェルさんとノリク様の板挟みが辛くなる。

 これで、ノリク様が俺を利用しようとしていただけとかだったら、楽だったんだけどな。


 ノリク様は、五島諸島で限界突破種の誘拐未遂事件を起こし、ジークス・メキロ伯爵を暗殺している。

 さらに、ケルティクのマスターだったイクシャール博士の殺害もしている。

 あとは、エルシアのタロウさんの誘拐か。

 この辺りを調べれば、俺のノリク様への評価が変わるだろうか。


 政治的な話はやむを得ない所があるから、

 やはり、限界突破種を誘拐しようとした目的だよな。あとはタロウさんをどう扱っていたのか。

 この辺りを知れば、俺も割り切りができるかもしれない。


「ウル殿、どうかされましたか?」

 ヴァディス隊長が聞いてくる。


「ごめん。今後の事を考えていたんだ。

 それじゃあ、ドンロンまでの護衛、よろしく頼む。」


 こうして俺は、ヴァディス隊長達に護衛されてドンロンに向かう。

 出発したのが昼過ぎだったので、ドンロンに着く頃には夕方になってしまった。

 今日はドンロンに泊まるしかないな。

 俺は、ヴァディス隊長達に護衛されて、ドンロンの領主の館に案内される。


 ヴァディス隊長達はそのままエルモンドに戻るらしい。


「エルモンドに着く頃には夜になってるから気をつけてな。」

 俺は護衛のお礼を言った後、見送りがてらヴァディス隊長に言うと、


「大丈夫です。竜族は夜でも目が見えますし、我々はウル殿のような無茶はしませんので。」

 軽く、ヴァディス隊長に嫌味を言われてしまった。

 やはり、俺が捕まって相当迷惑をかけたのだろうなあ。


 そして、俺はドンロン領主のエリーゼさんの部屋に案内された。


「ウル殿、よく無事に戻りました。

 体に不調とかはないですか?」

 エリーゼさんが俺を心配して聞いてくる。


「ご心配かけてすいません。

 この通り元気です。

 明日にでもウラジオに向かおうと思います。」

 俺が答えると、


「ウラジオに戻った後の事は考えているのですか?」

 と、さらに聞かれる。


「とりあえずは、オーウェルさんと相談ですね。

 かなり戦況も変わっているでしょうし。」


「ウラジオまで戻るのであれば、護衛がいるでしょう。

 実は戦場がピュートル公の本拠であるレオグラードになりそうだという事で、明日にもモンスター部隊から増援を送る事になりました。

 スレイル殿が率いるので、ウラジオへはスレイル殿に同行して戻るようにしてください。」

 エリーゼさんが言う。


「大分ご迷惑かけたみたいですいません。

 護衛感謝します。

 スレイルさんも前線に向かうのですね。

 明日、スレイルさんの所へ行って、同行させてもらいます。」



 そんな話をしていると、部屋にジェラ隊長が入ってきた。


「ウル殿、無事でよかった。

 ウル殿が、私に初めてあった時のアドバイスを覚えているか?」

 ジェラ隊長が聞いてくる。


「誰かが暗殺されてもいいように、重要人物に副担当者を置くって事ですよね。」


「そうだ。

 アドバイスを聞いて私はすぐに交代できる副隊長を育てたが、

 ウル殿は副担当者を置いているのか?」

 ジェラ隊長が聞いてくる。


「俺には自分が重要人物である自覚が足りないって事ですよね。

 反省してます。」


「分かっているならいい。

 同じ失敗を二度としないよう、今後は気を付けてくれ。」

 そう言うと、ジェラ隊長は帰っていった。

 本当にそれだけの用事だったようだ。


 本題を一言言うだけで済んでいるとはいえ、相当迷惑をかけたんだろうな。

 それに、重要人物の警備を強化しろと偉そうに言っておきながら、自分自身の警備をおろそかにしていたとか、流石に恥ずかしい。


 その日は、ドンロンの館に泊めてもらい、翌日スレイルさんに会いに行く。

 スレイルさんの所に行くと、40匹くらいのモンスターが待っていた。


「スレイルさん、お待たせしました。

 色々ご迷惑をかけてすいません。

 ウラジオの町まで戻りますので、護衛をお願いします。」

 俺は、スレイルさんに迷惑をかけていた事を謝り、ウラジオまでの護衛をお願いする。


「ウル殿、無事だったようで何よりだ。

 我々がウラジオまで護衛としてついて行こう。

 ウル殿に新たな隊長を紹介したい。

 ★4ナンディンのタウロス隊長と★4ランダのグレン隊長だ。」


「タウロスだ。」


「グレンです。」

 スレイルさんが紹介すると、2匹は自分でも名乗った。

 確かこの2匹って、コストが高めだったとスレイルさんに話しておいたモンスターだよな。

 ★4に進化して隊長にまでなっていたんだ。


「護衛ありがとうございます。

 ウラジオの町まで戻りますので、よろしくお願いします。」


「あと、通訳担当のメルだ。

 冒険者部隊のメンバーなのだが、我々の通訳としてついてもらう事になった。」

 スレイルさんが、部隊のモンスターの傍にいる人間1人を紹介してくれる。

 20代後半の女性だが、あまり冒険者っぽくない。

 商人のお姉さんと言った方がしっくりくる雰囲気だ。


「メルです。

 戦闘では★2レベルしか役に立ちませんが、商売もやっていて交渉事は一通りできますのでよろしくお願いします。」

 本人が自己紹介してくれる。

 まあ、戦闘はモンスター部隊がすればいいから、交渉役の方が大事か。


 続いて、タウロス隊グレン隊のメンバーの紹介も受け、俺も自己紹介すると

 40匹あまりと1人でウラジオに向けて出発する事になった。


 フライトを使えるメンバーが4匹いるので、全員にフライトとスピードを併用して進む。

 これでウラジオまでの遠い道のりを4日で着くことができるからだ。

 途中の野営で、スレイルさんに話を聞くと、戦場がレオグラード周辺になりそうなので、スレイルさんが増援を率いて向かうようだ。

 俺をウラジオに下ろした後、そのままレオグラードに向かうようだ。


 俺がウラジオから出て何か任務を行うのであれば、ちゃんと護衛をつけるようにスレイルさんからもくぎを刺された。

 実際、オーウェルさんが移動するなら当然常に護衛はつけるだろう。

 確かに以前の俺は、自分自身が重要人物だったという自覚がなさすぎたな。

 今後は気を付けないとな。


20230410 話番号修正・誤字等修正

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