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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
帝国のアドバイザー
94/122

94再会

登場人物

ロウル   記憶喪失の主人公(★4テンロウ)

ローゼリア ロウルを助けた貴族令嬢(人間)

ノリク   ローゼリアの父親でハキルシア帝国宰相(人間)

オーウェル 反乱軍東部貴族連合盟主(人間)

ウル    行方不明の反乱軍アドバイザー(★4テンロウ)


 3日後、俺はウラジオの町に連れてこられた。

 そこに連合国盟主のオーウェル・メキロ伯爵がいると言う。

 連合国アドバイザーのウルはオーウェルのブレインだった。

 俺が本当に連合国のウルなら、オーウェルに会えば、何かを思い出せるかもしれない。


 俺は館の中の部屋に入れられる。

 縄は解いてもらったが、目の前には魔王がいる。

 脱出は不可能だろう。


 そして、お嬢様は隣の部屋にいるようだ。

 足音で分かる。


 そして、お嬢様の部屋の扉が開けられた音がする。


「ローゼリア姫、お目覚めになりましたか?」

 若い男の声が聞こえる。

 この声、どこかで聞いたことがあるような。


「貴方は?」

 お嬢様が聞く。


「お初にお目にかかります。

 エルモンド領主のオーウェル・メキロにございます。」

 こいつが連合国盟主のオーウェルか。

 俺を助けに来たと言っていたのに、お嬢様に何の用事だ?

 何か起こればすぐに駆け付けられるよう準備しようとすると、黙って聞いていろと言って魔王に口を押えられた。


「ロウルは、無事なの?」

 お嬢様が聞く。


「ええ、隣の部屋にいますよ。

 まだ眠っているかもしれませんが。

 ウル殿につけられた首輪の効果の発動を許す訳にはいきませんので。」

 流石に東部貴族を取りまとめた連合国を設立して盟主になるだけあってやり手だな。

 あんた、俺が起きて聞いているのを分かってて言ってるだろ。


「無事で良かった。

 ロウルに会わせて。」

 お嬢様が言う。


「ローゼリア姫は、支配の首輪の効果を発動させる事ができる筈です。

 ですので、ウル殿の首輪が外れるまでは会わせるわけにはいきません。

 常にウル殿の近くにはいてもらいますが。」

 そうか、俺が捕まったウルだと仮定すると、オーウェルとしては、お嬢様が首輪の効果を発動させて俺を絞殺する可能性を許すわけにはいかないという事か。


「信じてもらえないかも知れないけど、ロウルの首輪の効果は既に解除されているわ。」

 お嬢様が言う。

 お嬢様、今それを言うのは拙いです。用済みになって殺される可能性があります。

 次のオーウェルの言葉には要注意だ。

 場合によっては強引にでも駆け付けないと。


「ローゼリア姫、自分から不利になることを言っていいのですか?

 貴方がいなくてもウル殿の安全が確保できると分かったときに、自分が殺される可能性は考えないのですか?」

 オーウェルはお嬢様に俺の危惧した点をわざわざ注意した。

 親切心なのか、お嬢様から何か情報を引き出そうとしているのか、両面から考える必要がありそうだ。


「調べればいずれ分かることだわ。

 それに、私にはこれ以上ロウルを騙し続けるのは耐えられないから。」

 お嬢様が言う。

 どういうこと?

 お嬢様が俺を騙していたって。


「では、貴方の連れていたロウルが、連合国アドバイザーのウル殿であることを認めるのですね。」

 オーウェルが聞く。


「はい、認めます。」

 お嬢様が言う。

 なんだって?


 俺は、記憶喪失で行き倒れていた所をお嬢様に拾って貰って、お嬢様の家が貴族の家だったから当主のノリク様の役に立てるよう精一杯努力してきた。

 俺はノリク様に捕まり、記憶を消された連合会アドバイザーのウルなのか?

 俺には、その事実が信じられず、頭の中が真っ白になってしまった。


 大分時間が過ぎたのかもしれない。

 気がつくと、俺がいる部屋に20歳前後の身なりのいい青年と白衣を着た中年の男が入ってきていた。


「ウル殿、無事で何よりです。

 ノリクに記憶を消されて、私の事も忘れてしまっているのですね。

 私は、メキロ家当主のオーウェルです。

 まずは、ウル殿の安全を確保しなければなりませんので、ウル殿がしている首輪を調べます。

 じっとしていてください。」

 オーウェルは言う。


「お嬢様は無事なんだな?」


「聞いていたでしょう?

 何も危害は加えていませんよ。音も聞こえるでしょう。」

 オーウェルがそう言うので、耳を澄ますとお嬢様の呼吸の音が聞こえる。


 お嬢様の無事が確認できたので、俺はじっとしている事にした。

 白衣の男が、俺がしている首輪に魔力を当てて色々と調べる。


「確かに効果は解除されているようですね。

 首輪が特別製なので、効果が残っていたら、エルモンドまで連れ帰らないと解除できなかったでしょうが、これならこの場で外すことができます。」

 白衣の男はそう言うと、俺の首輪を外した。


「失った記憶を取り戻すことはできますか?」

 オーウェルが聞く。


「エルモンドの施設に行けば可能です。」

 白衣の男が答える。


「ウル殿、ローゼリア姫はここで安全に預かりますから、一度エルモンドに戻って消された記憶を思い出してきてください。」

 オーウェルが言う。

 俺がお嬢様の安否を気にしていることを知ってか、そのあたりをしっかり約束してくれた。


「今ある記憶が消されたりはしないのか?」

 俺が聞くと、


「消された記憶を思い出すだけですから心配なさらなくても大丈夫です。」

 白衣の男が言う。


 衝撃的だったお嬢様の告白で、俺は、自分の正体が連合国アドバイザーのウルであることを認めざるを得なかった。

 ただ、魔王だけでなく、連合国側の誰からも悪意は感じられないので、俺はエルモンドに飛んで記憶を戻してもらうことにした。


「首輪を解除したらお嬢様に会わせてくれる約束だったよな?」

 俺はオーウェルに聞く。


「そうですね。

 ウル殿の安全が確認できましたので、案内しましょう。

 ただし、逃げられても困りますので魔王にも同席してもらいますが。」

 オーウェルは答える。

 俺の今までの言動が明らかにノリク様側だったためか、魔王の監視付きになってしまったが、無事お嬢様と話せることになった。


 オーウェルに案内してもらって、俺は隣の部屋に入る。

 お嬢様は、扉の前で俺を待っていてくれていたようだ。


「お嬢様、ご無事ですか?」

 俺が声をかけると、


「ロウル、ごめんなさい。

 私は今までロウルを騙し続けてきたわ。」

 お嬢様が言う。


「記憶を失っていた俺の正体は連合国のウルなのですね?」


「ええ。

 私は、お父様に言われて、ロウルのアドバイザーとしての知恵を引き出そうとしていたの。」


「ノリク様は、反乱軍に勝利したら俺にモンスターの待遇を決めさせてくれると約束してくれましたけど、あれは嘘なのですか?」


「それは本当よ。

 お父様は連合国にいた頃からロウルをアドバイザーとして高く評価していたわ。

 ピュートル公や連合国に勝った後も、可能な限りロウルに報いたいと言っていた。

 攫って力ずくで味方にしたのは確かだけど、ロウルに報いたいと思っているのは本当よ。」

 お嬢様は言う。


「口では何とでも言えますね。」

 オーウェルが口をはさむ。


「俺を利用したいとだけ考えているだけなら、俺が連れ去られる可能性が分かっているのに、俺の首輪の効果を解除したりはしないんじゃないか。」

 俺はオーウェルに言う。


「確かに、ウル殿の首輪の効果を解除したのは悪手ですね。」

 この点はオーウェルも同意したようだ。


「それに、俺のために専用の大きさの浴槽を作ってくれたし。」

 俺は思いつく限りノリク様をフォローしようとする。


「あれは、私がお父様に頼んだの。

 ロウルを騙し続けている自分が辛かったから。」


「百歩譲ってノリクがウル殿を本気で味方に引き抜こうとしていたとしましょう。

 しかし、記憶を消してまで強引に持っていくのはどうなのですかね?

 少なくとも記憶を失う前のウル殿は、それを望んでいなかったと思いますがね。」

 オーウェルが言う。

 確かに、ここは否定できない。


「それは、俺が記憶を取り戻したら分かるって事だな。」

 俺が聞くと、


「そうですね。

 すべてはウル殿の記憶を取り戻してからですね。」

 オーウェルは答える。

 オーウェルの動作や言動から悪意は全く感じられない。

 寧ろ俺の事を心配している気配を感じる。

 オーウェル側の主張、お嬢様の主張、どちらからも俺が連合国のウルだったことを証言している。

 俺は連合国のウルであることは間違いないのだろう。

 ならば、やはり俺はまずは自分の失った記憶を取り戻すのが先決だ。


「お嬢様、待っていてください。

 記憶を取り戻したら迎えに来ますから。」

 俺はお嬢様に言う。


「私は記憶を取り戻したロウルに嫌われるのが怖いの。」

 お嬢様は言う。


「心配しなくても大丈夫です。

 何があっても、お嬢様と暮らした日々のことは忘れませんから。」

 俺はそう言って、お嬢様を安心させようとする。

 オーウェルはお嬢様は安全に預かるというので、俺は魔王に連れられてエルモンドに記憶を取り戻しに行く事になった。


20230404


話番号修正・誤字等修正

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