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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
帝国のアドバイザー
93/122

93襲撃

登場人物

ロウル   記憶喪失の主人公・ノリクの相談役(★4テンロウ)

ローゼリア ロウルを助けた貴族令嬢(人間)

ノリク   ローゼリアの父親でハキルシア帝国宰相(人間)

ウル    行方不明の反乱軍アドバイザー(★4テンロウ)

 ついに、明日はノリク様とレオグラードに向けて出陣する。

 俺は、緊張で中々寝付けなかった。


 夜中になりようやく寝付きそうになった時、突然部屋の窓ガラスが割られ、何者かが空中からお嬢様の部屋に入ってきた。

 馬族の匂い、そしてケルティクの匂いだ。

 と言うことは、まさか魔王レオニエルなのか?


 幸いお嬢様が寝ているベッドは割られたガラスからは遠い位置にある。

 何とかしてお嬢様を守らないと。


「魔王レオニエルなのか?」

 アーバインさんの部隊は精鋭だ。

 窓ガラスが割られたことに反応してすぐに駆けつけてくる筈。

 俺は時間を稼ぐことも含めて馬族の相手に聞く。


「ウル君、ようやく君を助けに来ることができたよ。」

 馬族の相手が言う。


「何の事だ?」

 俺は聞くが、


「そうか、やはりノリクに記憶を消されているのだな。」

 目の前の馬族の相手が言う。

 どういうことだ?


「俺は連合国のウルで、ノリク様に記憶を消されたとでも言うのか?」

 俺は時間を稼ぐためにも、目の前の相手の主張を確認する。


「そうだ。

 どうやら、もう騒ぎを聞きつけてきたようだな。

 暴れられても困るので、君にはしばらく眠っていてもらう。」

 馬族の相手がそう言うと、俺に強力な眠気が襲ってきた。

 俺は抵抗することができず、眠ってしまった。



 目を覚ますと、俺は縛られて、巨大なドラゴンの背中に乗せられていた。

 すぐ横に、縛られたお嬢様が眠っている。

 そして、ドラゴンの背中の上で、俺とお嬢様を見張るように馬族の相手が座っている。

 おかしい。

 本当に俺を助けに来たのなら、なぜ俺が縛られている?

 それに、なぜお嬢様まで連れていく必要があるんだ?

 これは何とか脱出の機会を探らなければ。

 俺は、気づかれないようにしながらフリーアクションの精神集中を始める。


「ウル君、何のつもりだね?」

 馬族の相手が聞いてくる。

 精神集中を始めただけでバレたか。


「俺を助けに来たというのなら、なぜ俺を縛る必要がある?」

 俺は馬族の相手に聞いてみる。


「君はノリクに記憶を消されたか洗脳されているだろう。

 その状態を解くまではノリク側の行動をする可能性が高い故に縛らせてもらった。」

 馬族の相手は答える。

 まあ、相手の目的を考えれば当然か。


「それなら、お嬢様まで連れていく必要はないだろ。」

 今度はお嬢様について聞くと、


「ウル君、君の救出に時間がかかったのは、君がしている首輪の効果の確認に手間取ったからだ。

 支配の首輪は、指定された主人の誰かから遠くに離れると君の首を絞めて殺すように作られている。

 だから、首輪の効果が発動しないよう、この娘も同時に連れて行く必要があるのだ。」

 馬族の相手は言う。

 この首輪が、俺を絞殺すだって?

 そんな話は聞いた事がない。

 確かに俺は、ノリク様の館から出ないよう、お嬢様から離れないよう言われていた。

 俺はその通り行動してきたが、もし守らなかったら首を絞められていたという事なのか?

 実は、思い当たる所がないわけではない。

 こんな首輪の効果で人間を襲ったモンスターにどうやって言うことを聞かせるのだろうかと。

 逆らえば絞殺されるということを伝え、恐怖で言うことを聞かせたというのであれば、確かに話はつながる。


 そして、目の前の馬族の相手は、ノリク様が俺の記憶を消したと言っている。

 確かに、俺はお嬢様に助けられた時、記憶を失っていた。

 そう考えると、馬族の相手の一連の主張は辻褄があっているようにも見える。


 俺は、ノリク様に捕まり記憶を消された、連合国のアドバイザーのウルなのか?

 それを判断するためにも、ウルがしてきたことを1つずつ思い出して確認してみよう。

 連合国でモンスターを主体とする軍隊を創設した。まあ、これは俺なら考えつくな。

 アレン・リッチモンドを偽情報で騙して討ち取った。これはない。俺はここまで汚い事はしない。


「もし、俺がウルなら、アレン・リッチモンドに偽指令を送るような事はしないぜ。」

 俺は、馬族の相手に言う。


「しばらく黙っていると思ったら、色々な可能性を考えていたのか。

 アレン・リッチモンドにノリクの偽指示書を送ったのは、★5ガルムのアレスだ。

 我々は、その状況を知らぬままアレンを討ち取ったにすぎん。」


 馬族の相手は俺の疑問にその都度答えてくれる。

 その話が真実なら一応辻褄は合うが、鵜呑みにする訳にはいかない。

 それ以降の連合国設立は、確かに俺が考えそうな話ではある。

 これだけでは判断がつく訳もないか。それ以外に俺が思い出せた事を聞いてみよう。


「俺は、パワー・ガインの兄弟と知り合いなのか?」


 俺は、記憶を失っても、パワーという人物の名前を憶えていた。

 俺は、パワーと深い関わりがあったはずだ。

 だが、俺はシャミアさんの報告でパワーの弟と聞いて、何も思い出せなかった。

 多分だが俺の知っているパワーには弟はいないはず。

 それを確認してみようと思った。


「パワー君とガイン君は兄弟ではないが。」

 馬族の相手が答える。


「こちらの密偵が、連合国のパワーとガインは兄弟だと報告していたぞ。」


「ガイン君はパワー君を慕って兄貴と呼んでいるが、実の兄弟ではない。」


 また、判断に迷う答えが来た。

 確かにシャミアさんの配下が、パワーを「兄貴」と呼ぶガインを見たら2匹を兄弟と間違える可能性はあるか。

 だが、相手はパワーとガインが兄弟ではないとはっきりと答えた。

 これだけはっきりと答えているにもかかわらず、今の所矛盾点が出てこない。

 相手が答えてくれるならさらに聞いて行こう。

 俺を騙そうとしているのなら、そのうちボロが出るはずだ。


「あんたは魔王レオニエルなのか?」

 俺はもう一度聞いてみる。


「そうだ。

 どうやら、私の事も思い出せないようだな。

 だとすると、ノリクはどうやって、私の存在に辿り着いたのだか。」


 ついに、馬族の相手が自分の正体について答えてくれた。

 相手が魔王なら、どうやっても勝てない。

 俺が抵抗できないくらいのスリープを放てる位だから、遥かに格上であることには違いないのだが。


「帝都のアジトを襲撃した後、アジトに残っていた匂いを確認した。

 襲撃時の生き残りの証言で、1匹の強力な存在がいることは分かっていた。

 そして、アジトには正体不明の馬族の匂いが残っていた。

 報告を聞いて俺は、歴史上で★6まで進化した馬族の記録を全て当たった。

 その中でバルキリージャベリンについて知っていて、かつ、襲撃者を全て撃退できる力を持つ可能性があるのは、魔王レオニエルしか残らなかった。」

 俺は答える。

 それに対する魔王の反応が見たかったからだ。そして、そこから真実が見えてくるかも知れないと。


「なるほど、オーウェル殿のアドバイザーをしていただけの事はある。

 記憶を失ってノリクにつき、ノリクの強力なアドバイザーになっていたわけだ。

 そして、ノリク捕まり記憶を消される前は、私の事を必死に隠してくれていたのだな。」


 魔王の話だと、記憶を失う前の俺は魔王の存在についてノリク様にばれないように必死に隠し、記憶を失った後に魔王を存在を暴いたことになる。

 滑稽な話ではあるが、その時その時の立場で最善を尽くしていたと考えれば別に不思議な話でもない。

 この答えから、真実は見えてこないか。


「ノリク様は連合国のウルの殺害に成功したと言っていた。」

 真実を知るために連合国側とノリク様の主張の食い違う所を確認しておこうと思い聞いてみる。


「君は間違いなく連合国のウル君だ。

 ノリクとしても、君が連合国のウルだとは言えないだろう?

 だから、ウルは既に死んでいると君に言ったのではないかね。」


 そう言えば、ノリク様もお嬢様も俺が指摘するまでウルが生きている可能性を考えていなかった。

 本物が目の前に味方としている事を知っていれば、ウルが生きている可能性を無視していたのも分かる。

 こう考えてくると、魔王の主張が正しい可能性が高いのではないかと思えてしまう。

 本当にそれでいいのか?

 一方の主張だけを聞いて、判断が偏ってしまってはいないか?


 魔王は俺のことを助けるつもりだと言っている。

 今、慌てて脱出を図る必要はなさそうだ。

 それに、魔王が俺のここからの脱出を見過ごすとは思えない。


 さらに魔王は、俺の首輪の効果が既に解除されている事を知らない。

 だから、お嬢様に危害が加えられる事はないはずだ。

 なら、このまま連れて行ってもらった方が真実が見える可能性は高いのではないか。

 いずれ脱出を試みるにしても、魔王の目が離れるチャンスを待ってからだ。

 俺はしばらくは大人しくして脱出の機会を伺うことにした。



20230319


話番号修正・誤字等修正

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