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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
エルモンドのアドバイザー
74/122

74皇帝

登場人物

ウル(主人公)狼に転生した元人間。(★4テンロウ)

オーウェル エルモンド領主でメキロ家の当主(人間)

タロウ   エルシアの使者(★5セト)


「今日は色々と勉強になりました。

 お礼に少し私が知っている秘密情報を教えましょう。」

 帰る前にタロウさんが言ってくる。


「なんでしょうか?」

 俺が聞くと、


「ただ、これはこの町にもいるであろうノリクの密偵だけでなく、私が口外したことをエルシアの密偵にも知られたくない内容です。

 町の外か誰にも聞かれない場所に行きたいのですが。」

 タロウさんがそこまで勿体ぶるということは相当な機密情報なのかな。


「では、城壁の外に行きましょうか。」

 町の中は衛兵が巡回しているからいつ誰か来るか分からないしな。

 俺は、フライトで城壁を超えて町の外に出て近くの森に入る。

 そこで話をすることになった。


「連合国側では、ハキルシア皇帝について何か調べていますか?」

 タロウさんが聞いてくる。


「調べてはいますが、重要な情報は入ってきていないですね。」


「ノリクがどうやって権力を握ったかについては?」


「それも調査中なのですが。」


「調査すればいずれ分かることでしょうが、ノリクが擁しているハキルシア皇帝は偽物です。」


「何だって?」

 俺は驚いて聞き返してしまった。


「本物のイワン皇帝は幼いまま亡くなり、ノリクが本物にそっくりな偽物を皇帝に仕立てたのです。

 イワン皇帝が亡くなると、皇帝の直系が絶えることになり、本来なら御三家と呼ばれる初代皇帝の子孫である大貴族達のどこかが帝位を継ぐことになります。

 それにより権力を失うことになる宮廷の者達とノリクが結託して、死んだ皇帝とノリクが擁した偽皇帝を取り替えた。

 そして、本物が生きていると見せかけて帝国の実権を握っているわけです。

 エルシアとしても関係者の証言だけで、証拠を確保しているわけではないですが。」


 確かにこれが本当だとすれば、ノリクが権力を握った理由も、皇帝がノリクに好き勝手させている理由も全部説明がつく。

 そして、皇帝救出作戦などに意味がないことになる。


「エルシアの情報網はすごいですね。

 貴重な情報ありがとうございます。」


「ただ、私がエルシアが知っている秘密を漏らしたとばれるとまずいので、そこだけは対処をお願いします。」


「分かりました。

 タロウさんに迷惑が掛からないようにします。

 また、エルモンドに来る機会があれば色々教えてください。」


 これだけの情報網があるなら、エルシアのスパイもエルモンドにはいるだろうな。

 彼らにタロウさんが情報をばらしたと知られるとまずい。

 俺とタロウさんは別々に帰るなどして、この密会をカモフラージュした。



 そして、夜、オーウェルさんだけには報告する。

 今日だけは、二人だけで話をさせてもらった。

 そして、声も小さくして話す。


「オーウェルさん、実はタロウさんから貴重な情報を貰いました。

 ただし、こちらの諜報部隊により明らかになるまでは、これはオーウェルさんの心の中にとどめておいてください。

 帝都にいるイワン皇帝はノリクがすり替えた偽物です。」


 オーウェルさん、驚いたようだが大声を出したりしないのは流石に貴族の当主だ。


「そんなことをしても、皇帝のお世話をしている宮廷の者達にはばれるでしょう。」


「宮廷もグルなんです。

 本物が急死して、このままじゃ御三家から皇帝を迎えることになるので、そうしないために偽物と取り換えたのです。」


「確かに、御三家から皇帝が出れば、宮廷も新皇帝の傍にいた者達に入れ替わりますね。

 イワン皇帝が直系最後の皇帝である以上、今の宮廷の者達からすれば追い出されることになる。なるほど、有り得ますね。」


「これは、現状、タロウさんが本来漏らしてはいけない、エルシアが持っている極秘情報です。

 極秘にしないためにも諜報部隊で証拠を手に入れることができませんかね?

 それができれば、ノリクとの戦争でかなり有利になります。

 御三家の中で連合国に好意的な人がいれば、協力してノリクを倒して西側の皇帝になってもらい、大陸の東側・西側でお互い不干渉することにできないでしょうか?」


「それができれば父の仇が取れるし、魔王との約束でもあるモンスターが幸せに暮らせる国も作れますね。

 御三家の中でもピュートル公はノリクとの関係が良くないですので、協力することで東側の連合国の独立を認めてくれるといいのですが。

 協力してくれることになった公が帝位を取り戻すのに協力するということで、西側を攻める大義名分も立ちますね。」

 証拠を手に入れることができればだが、勝利への道筋が見えてくるな。

 とは言え、気になることもある。オーウェルさんはどう思っているのだろう?


「あと、気になることがあるのです。

 最近、我々の作戦が上手くいきすぎてませんか?」


「確かにそんな気もしますが、気になりますか?」


「ノリクの打ってくる手が雑すぎるのではないかと。

 船の襲撃では失敗を想定して二の手三の手を打っていたノリクが、リッチモンド家のメキロ家討伐作戦ではあっさりと撃退されました。

 結果的にメキロ家とリッチモンド家が協調までされて逆効果になってます。」


「確かに、ノリクの策にしては底が浅いですね。」


「そこが気になるのですが、理由が思いつきません。

 ノリク側に何かあったのでしょうか?」


「分かりませんが、それを考えても仕方ないような。

 今後も油断しないよう、計画を進めていくしかないと思います。」


 そうだよな。

 油断させるためだけにここまではしないとは思うが、調子に乗ってこちらが雑なことをしないようにしないとな。



 約1ヶ月後、エルシアとは正式に不戦協定を締結し、使者がエルモンドに戻ってくる。証拠となる締結書をお互い1部ずつ保管することになったようだ。

 一部渋っていた貴族達もパール伯の説得のおかげもあり、東側の貴族は全員反ノリク連合国「仮称」に参加することになった。


 問題は、皇帝に関する調査が進んでいないこと。

 その間に、十人を超える諜報部隊員がノリク側に発見されて殺害されたとの報告が入る。

 ノリクの本拠のガードは固いようだ。


 とは言え、その道の専門でない冒険者やモンスター部隊に調査は困難。

 どうしたものか。


 その夜、色々調査結果が戻ってきたということで、オーウェルさんと相談をする。


「今日は、帝都関係の報告が色々戻って来ましたよ。」

 オーウェルさんが言う。


「まずは、ノリク関係で分かったことから行きましょうか。

 普段はルーベンブルグの自分の館に住んでいますね。

 毎朝、王宮に馬車に乗って登庁して執務に当たるようです。

 たまに、夜に急に王宮に行くこともあるようですね。

 傍には常に★5キリン3頭の護衛がついているようです。」

 ノリクの護衛に★5が複数いるのか。それは強いはずだ。


「★5キリンがいる時点でセンスエネミーを持ってますから、油断させて近づくのは不可能ですね。

 当然、夜に王宮に行くときも護衛がいるのですよね?」


「そうみたいですね。★5キリンの内1頭だけは王宮の中までついて行くようです。」


「★5キリンは常にノリクを守っているのでしょうね。

 ただ、それだけの戦力なら、スレイルさん達全員とエルモンド精鋭が揃えば襲撃できるかもしれないですね。」


「ただ、帝都で騒ぎを起こすと、すぐに皇室警備団が駆けつけてきますよ。

 皇帝を守る精鋭部隊です。」


「やるなら、迅速にと言うことですね。

 ノリクの館はどれくらいの護衛がいるのですか?」


「外から見えるだけでも常時10人以上はいるようですね。

 当然ノリクが選んだ最精鋭でしょう。」

 1人1人が★5並の強さを持っているとしたら流石に館の襲撃は無理か。


「皇帝については何か分かったことはありますか?」


「王宮から出ることがないみたいですね。

 あまり体調がよくないみたいで、政治の場にも少し顔を見せるだけのようです。

 まだ7歳ですから自ら判断することは無理でしょうけど。

 外に出てこないので、皇帝についてはあまり調べられてないですね。」


「偽物なら、できるだけボロを出さないように振舞わないといけないでしょうからね。

 ノリクの重臣について分かったことありますか?」


「ノリクは宰相として常に帝都に居ますので、本拠のウォルタンの留守を隠居した義父のジグムント・ミューゼルがあずかっていますね。」


「義父って、ノリクって婿養子なの?」


「そうみたいです。

 ジグムント・ミューゼルの娘のアンネと結婚し、ノリク・ミューゼルとしてミューゼル家の家督を継いだようです。

 ちなみに、ローゼリアと言う娘とカインラクトという息子もいますね。姉のローゼリアは母親のアンネと一緒に帝都の館に住んでいるようです。弟のカインラクトは本拠のウォルタンにいるようです。

 ちなみに年齢について、ノリクが43歳、アンネが38歳、ローゼリアが17歳、カインラクトが9歳ですね。

 ウォルタン側には、代々ミューゼル家に仕えている重臣が名を連ねていますが、ジグムントを含めあまり帝都に行くことはないみたいですね。

 アンネが父親に向けて近況報告の使者を頻繁に送っているようです。」

 それだけ聞くと、まあ普通の貴族の家庭だよなあ。敵だけど。


「帝都側の重臣については?」


「軍事系の責任者が屋敷の護衛隊長のアーバイン、隊員は精鋭揃いみたいです。

 館では政治的な必要性はないので、政治的な責任者はいませんが、妻のアンネが色々相談に乗っているようです。

 諜報系ではかなりの数の人物が屋敷に出入りしています。分かっているだけで、アサシ・ダクロス・ヘルメス・シャミアの4人ですね。夫々が諜報部隊を率いているようです。

 そして、★5キリンのタンゴ。ノリクの護衛だけでなく、相談役もしているようです。ウル殿と同じでしょうか。

 タンゴは、アーバインよりも立場的には上みたいですね。」


「敵を見つけてくれて、忠実で相談役にもなる限界突破種の★5なら、ノリクは重用するでしょう。

 しかも、アドバイザーまでしてるわけでしょ。手強そうですね。

 ノリクが、常に傍に置いておくのも分かります。」


「あとは、帝都の★5ガルムのアレスについて。

 ここ2か月近く姿を現していないようで、本人との接触はできなかったみたいです。

 ただ、襲われた貴族の館が、なぜかノリクと友好的な貴族ばかり。

 ノリクに不満を持つ誰かの差し金ではないかと言われています。

 父もアレスの黒幕予想候補の中の1人だったようです。

 父が暗殺された後も活動していたので、父ではないと分かったようですが。」


「それなら、黒幕からそろそろ協力要請が来てもおかしくないですね。

 それで正体は分かりそうです。」


「確かにそうですね。

 アレスについては、スポンサーから依頼が来たら協力と言う感じで良さそうですね。

 最後に、4属国についての調査結果です。


 ディビアン公国。国王はランスロット公。地理的にピュートル公の本拠レオグラードに近く、母系に御三家のピュートル公の先祖の血が入っているため、ピュートル公と懇意にしているようです。4属国の中では国力が最大で、動員兵力は3万人。ピュートル公と頻繁に連絡を取っているようですので、何か動きが出てくるかもしれません。


 サマルトア公国。国王はロシュフォル公。こちらは、ニコラ公とつながっているようですね。動員兵力は2万人。地理的に近い割には、ニコラ公と頻繁に連絡を取ってる感じはしないので、あまり動きはなさそうです。


 マケルーノ公国。国王はケイシュール公。野心家との噂です。一応パヴェル公と懇意のようですが、地理的に帝都ルーベンブルグに一番近く、パヴェル公の本拠バイカルからは遠いですね。動員兵力は1万2千人でメキロ家よりも少ないです。


 フェニキア公国。国王はロベルト公。地理的にもパヴェル公の本拠バイカルに近く、パヴェル公の血縁になっています。動員兵力は1万人。こちらもあまり動きはなさそうです。」


「結局、4属国全てが御三家の誰かにくっついているわけですね。

 生き残りや、影響力拡大を目指すなら、合理的な判断でしょうが。

 結局御三家もノリクを倒した後、どこが帝位を継ぐかでもめそうでしょうか?」


「ピュートル公は、その野心がありそうですね。

 ニコラ公とパヴェル公がそれに対してどう動くのか分かりませんが、皇帝が偽物だと公になれば揉めそうです。」


「西側が揉めるのは、こちらにとっては好都合ですよね。

 いい条件で交渉できますから。

 我々が東側で独立したとなると、地理的に一番近いピュートル公あたりが動き出す可能性がありますね。

 ノリクとしては、東も西も敵だらけと言う厳しい展開になるかもしれません。」


「当面は諜報活動を継続しつつ、東側を固め御三家四公国の動き待ちでいいでしょうか?」


「その間に、連合国の体制を固めないといけないですね。

 オーウェルさんが国王になりますか?」


「その方が連合国がまとまりそうなら、そうしますけど。

 これは、パール伯にも相談したいと思います。」

 オーウェルさん、地位よりも目的優先なんだ。珍しいタイプだよな。

 そこが魅力的でもあるのだけど。


「エリーゼさんやパール伯にも相談して、東側が協調して動ける体制を考えてください。

 しばらくは、結果待ちになるので考える時間もあるでしょうし。」


「ええ、そうします。

 タロウ殿の情報と諜報部隊の情報で、ノリク打倒に一歩一歩近づいてますね。

 では、遅くなりましたので、また明日話しましょう。」


 確かに、今日は遅くなったかな。

 いつもはパワーとガインが待っているのだが、今日は2匹とも寝ていた。

 俺もすぐに寝ることにした。


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