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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
エルモンドのアドバイザー
73/122

73反ノリク連合国

登場人物

ウル(主人公)狼に転生した元人間。(★4テンロウ)

パワー   エルモンドモンスター部隊大将。(★4モサ)

ガイン   エルモンドモンスター部隊副大将(★4アルカス)

オーウェル エルモンド領主でメキロ家の当主(人間)

パール   カージリア領主でリッチモンド家当主(人間)

 オーウェルさんとパール伯は共同で反ノリク連合国「仮称」を設立してハキルシア帝国から独立を宣言、大陸東側の貴族達に参加を呼び掛けた。

 パール伯との連名文で出せた効果が大きかったようで、大陸東側の貴族から反ノリク連合国への参加が続々と続いている。

 エルシアに近い遠方の貴族はまだ返事が来ないが、追って返事が来るだろう。

 先代と違い、ノリク打倒を大義名分にハキルシア帝国と戦争をするという内容なので、尻込みする貴族もいそうなものだが、今のところそれはない。

 今すぐ兵を送れと書いてあるわけでもないし、返事するだけなら只なのだろうということは頭に入れておこう。


 それと並行してエルシアとの交渉を進めている。

 内容としては、

・大陸東側のメキロ家・リッチモンド家と協力貴族で反ノリク連合国「仮称」を立ち上げたこと。

・反ノリク連合国「仮称」と対等同盟を結んでほしい事。

・ファーレンを攻略して、ノリクからの攻撃の防波堤にしたいので協力の要請。

・ファーレン攻略の準備ができるまでイーストゲートに軍を駐屯させたい事。

・ノリク打倒に成功したらファーレンから撤退する予定である事。


 いずれにしても返事が来るには時間がかかるので、俺は習得できる技を習得したのち、エルモンドでモンスター部隊の様子を見ながら待つことにした。


 エルモンド特殊部隊は、元冒険者ギルドマスターであるエイクさんを指揮官にして、エイクさんを含むエルモンドの冒険者51名「内モンスター使い14名」のメンバ-で構成されている。

 エイクさん以外の50名が10のパーティーを構成して任務に当たっているようだ。

 目下のところやることがあまりなくて暇らしく、訓練を中心に行っているとのこと。


 エルモンドモンスター部隊は、総大将パワーと副大将ガインの下に6部隊で構成されている。


 総大将 ★4モサ       パワー

 副大将 ★4アルカス     ガイン

 隊長  ★4シルバードラゴン ヴァディス

     ★4ベンヌ「進化」  ホーク

     ★3ライガー     サラ

     ★3グリズリー    ウィル

     ★3グリズリー    ゼル

     ★3グリズリー    アリサ


 ちなみに、隊はヴァディス隊というように、隊長の名前を隊の名前にしているようだ。

 パワーとガインで全て段取りした内容だ。

 ★4グイのセベクがいないので、聞いてみると水棲モンスターは、エルモンドではセベクだけだったので、ドンロンに送り、★4シードラゴンのジャガン隊長の下に入ったらしい。

 確かにその方がいいよな。

 リコは、★2ウルフに進化し、ウィル隊に所属しているようだ。

 話によると、ウィルがリコを手放さなかったらしい。


 パワー達の話では、隊長達も、だいぶん考えて判断してくれるようになったという。

 現在は、隊員の中からリコのような考えてくれるモンスターが出てこないか、訓練をしているという。

 ドンロンのスレイルさん達とも情報交換をして、組織体制の改善を考えているようだ。

 これで隊長候補が増えてこれば、部隊のモンスターの数を増やすこともできるようになるな。


 俺はパワー達とそんなことを話していると、★5ケルベロスが近づいてくる。

 ★5モンスターがいきなりメキロ家本拠に殴り込みかと一瞬勘違いしたが、進化したケルティクだった。


「何を驚いている?」

 自分が進化していることを全く気にせずケルティクは話してくる。


「ケルティク、前に会った時は★4ヘルハウンドだったんだから、進化したのなら進化したと言ってくれ。」

 俺は言うが、


「私だと分かっているものだと思っていた。

 オーウェル様が、ウル殿に至急館に戻ってほしいとのことだ。

 エルシアの使者が来ている。」

 ケルティクは用件だけ言うと、さっさと去っていった。

 エルシアの使者が来ているって早すぎのような。

 向こうの使者もフライト・スピード併用で来たのだろうか?


「それじゃパワー、ガイン、また来るな。」

 俺はパワー達にそう言うと館へ急ぐ。


 館に入ると、メアリさんが案内してくれた。

 部屋には護衛のグレアスさん達を除くとオーウェルさんと使者しかいない。

 使者は★5フォルセティを連れている。見た目は体長5メートル弱の大きなフクロウだ。

 前にオーウェルさんに聞いた話では、★5フォルセティは嘘を見抜くセンス・ライと言う専用技があると言う。

 国通しの重要な会議では、お互いに★5フォルセティを連れているというのは良くある話だそうだ。


「失礼します。

 エルモンドでアドバイザーをしているウルです。」


「私は、エルシアの代表カサンドラ・フィロソフィーです。

 こちらの★5フォルセティが相棒のタロウです。」

 タロウと言う名前が気になる。日本人名だ。こいつも転生者なのか?

 今は話を聞くしかない。


「えっと、俺が来る前にどこまで話は進んでますか?」

 後から来たので、俺は状況を確認する。


「まだ何も話してませんよ。

 メキロ家にはアドバイザーがいるから、同席させたいと話して待ってもらいました。」

 オーウェルさんが言う。

 交渉になった時に意見を聞きたいのか。なら、信頼に応えられるようがんばらないとな。


「では、本題に入ってよろしいですか?」

 カサンドラさんが聞いてくる。


「どうぞ。」

 オーウェルさんが言うので、話が始まった。


「先日は貴重な提案をいただき感謝しております。

 エルシアとしては、連合国と不戦協定を締結させていただきたく存じます。」


「確認ですが、同盟は結んでは貰えないということですね。」

 俺達が負ける可能性も想定して、ノリクに言い訳が立つようにしたわけだ。


「エルシアの意志としてはその通りです。」


「イーストゲートでの軍の駐屯についても難しいということでしょうか?」

 中立を保つというのがエルシアの意志なら難しいだろうな。


「はい。残念ながら。」


「我々が西側に攻め込む場合の通過は認めてもらえるわけですね?」

 これが、認められないならエルシアはノリク側の可能性も出てくる。


「はい、それに関しては了承いたします。

 補給の協力は致しかねますが。」

 要するに、エルシアはどちらが勝ってもエルシアに被害が及ばないように完全中立を決め込んだということだ。


「エルシアとしては不戦協定を結び中立を保ちたいということですが、協定を結ぶことでよろしいですか?」

 俺が判断したエルシアの意図を伝えた上で、オーウェルさんに回答を振る。

 流石に決定は当主にしてもらわないとな。


「それでは、連合国とエルシアの間で不戦協定の締結をお願いします。 

 後日使者に締結書を送らせていただきますので、エルシア側の承認をお願いします。」

 オーウェルさんが確認を取る。

 流石に口約束だけと言うことはないよな。証拠を残さないと。


「了解しました。

 正式手続きについては、エルシアにて行うこととさせていただきます。

 警備上の関係で、使者だけの来訪と言うことでよろしいですね?」

 タロウが確認を取る。


「使者とその護衛だけとなります。

 私がいかなくても問題はありませんか?」

 オーウェルさんも相手に確認を取る。


「大丈夫です。

 警備的には、オーウェル様がいらっしゃらない方がエルシアとしては助かります。」

 カサンドラさんが答える。

 無理にオーウェルさんを連れ出そうとしてきたら警戒するけど、エルシア側はノリクの暗殺部隊がやってくるのを避けている感じだな。

 あとは、締結書が無事終了するまでは油断しないようにしないとな。手のひらを返される可能性もゼロじゃないんだし。

 一応、確認しておくか。


「念のため確認させてください。

 いずれ、連合国はイーストゲート前に大軍を集結させますが、イーストゲートやエルシアを攻撃する意図はなく、ファーレン攻略を目指すものですので、それだけはご承知いただきたい。」

 カサンドラさんは、さも当然のように受け止めている。

 エルシアの使者ならこれくらいで動揺はしないだろうが。


「了解しました。

 その件につきましても、誤解のないよう伝えさせていただきます。」

 使者の顔色から判断と言うわけにはいかないよな。

 向こうはディテクトライも使っているだろうから、こちらが嘘をついたらばれるだろうし。

 こうして無事交渉が終わる。


 これで帰るのかなと思っていたら、

「ところでウル殿。

 私は使者の補助役ですので、交渉はできませんが、個人的に色々お話しできませんか?」

 フォルセティのタロウさんが聞いてくる。


「ええ、喜んで。

 なんでしょうか?」

 俺が答えると、


「当主のオーウェル様にもお聞きいただきたいのですが、エルモンドに住むモンスターがどのように暮らしているか見せていただくことはできませんか?

 あと、許可いただけるならエルモンドの戦力を見せていただきたいです。」

 タロウさんが言ってくる。


「なぜにそのようなことを?」

 オーウェルさんが聞く。


「これは、エルシアの意志ではなく、私個人の考えなのですが、メキロ家はモンスターが住みよい国を目指していると聞いています。

 モンスターである私にはとても興味がありますので、それがどのようなものか実際に目で見たいということがあります。」

 タロウは答える。

 いや、使者のカサンドラさんの前でそんなこと言っていいの?


「またですか。

 今日はエルモンドに泊まりますからいいですが、あまり遅くならないようにしてください。」

 カサンドラさんが言う。

 タロウさんはいつもこんな感じなのだろうか?


「オーウェルさん、どうします?」

 俺はオーウェルさんに聞く。


「エルシアの使者の護衛の方で、しかもモンスターなのであれば大丈夫でしょう。

 ウル殿、エルモンドの町をタロウ殿に案内してあげてください。

 どのあたりまで見せるかはウル殿にお任せしますので。」


「分かりました。

 それでは、タロウ殿。

 エルモンドの町をご案内しましょう。」

 俺は、通訳のメアリさんを連れて、タロウさんの案内をすることになった。


 エルシアの使者なら魔王とガイア以外は見せても問題ないよな。

 まずは、パワーとガインを紹介するか。


 俺は、タロウさんと歩きながら話をする。

「タロウと言うのは、変わった名前ですね。」

 俺はタロウさんが転生者かどうか探りを入れてみる。


「亡き父がつけた名前で、私も変わった名前だと思います。

 父親の名前もゲンタと言って変わっていますが。」

 転生者なのは父親の方か。


「名前からして、お父さんは、変わった方なんですか?」


「父はマスターである人間に協力してもらって、訳の分からないものを色々作っていたそうです。

 私が物心ついた頃に事故で亡くなったそうですが。」

 父親が転生者なのは間違いなさそうだな。

 本人は普通にその息子と言うことか。


「すいません。悲しいこと聞いてしまって。」


「いえ、気にしないでください。

 ウル殿は、モンスターでありながら人間にアドバイスして意見を聞いて貰える事に驚きました。

 どうして、そのような事ができるようになったのですか?」

 タロウさんが聞いてくる。

 ディテクトライは使っているだろうから、嘘を言ってもばれるよな。

 とは言え、正直に俺が転生者だと言っても、タロウさんの目的は達成できないだろうし、現実的な解決策を言わないといけないよな。


「人間と同じことを色々学んで、人間の困っている問題を考えて1つ1つ解決してきたからですね。

 そのために、人間の言葉だけでなく、人間の知っている知識も色々と学びました。」

 全部を言っていないが、嘘は言ってないはずだ。


「人間の知っている知識とはどのようなものですか?」

 タロウさん、食いつきがいいな。勉強熱心だなあ。


「この世界の地理とか歴史とか数字とか、人間が学んでいることは何でも学ぼうとしました。」

 嘘じゃないよな。


「ありがとうございます。私も人間の知識を勉強してみます。」

 たとえ限界突破種でも数学とか論理学とかは勉強しないと分からないだろうしな。


 そんな話をしている間に、モンスターの訓練場所にやってきた。

 パワーとガインはまだ議論をしていたらしい。


「ウル様、エルシアの使者との話は終わったのか?」

 パワーが聞いてくる。


「ああ、用件は終わった。

 ちょうど紹介したい狼がいるんだ。

 エルシアの使者の★5フォルセティのタロウさんだ。」

 俺は、パワーとガインにタロウさんを紹介する。


「こちらの★4モサがエルモンドモンスター部隊の総大将のパワー、★4アルカスが副大将のガインだ。」


「パワーだ。」

「ガインだ。」

 2匹も答える。


「私は、エルシアの使者の従者でタロウです。

 この度、個人的に興味があって、エルモンドのモンスターの暮らしを見せていただきに来ました。」


「暮らしと言ってもな。

 俺様達、ノリクと戦うために昼間は訓練をしてるけどな。」

 パワーが言う。


「パワー殿の上に指示をする人間はいないのですか?」

 タロウさんが聞いてくる。


「そりゃ、いずれ領主のオーウェルさんから任務は来るだろうけど、今は訓練だけだから、モンスターだけでやってるぜ。

 困ったことがあれば、ウル様が調整してくれるしな。」

 パワーが答える。


「訓練や普段の暮らしに人間は関わってないのですか?」


「全員の食料の準備とかダルトンさんがしてくれるから、人間が全く関わってないわけじゃないぜ。

 あと、何か決めるときは俺様も相談に呼ばれることが多いから、その時は俺様も人間と色々話すな。」

 パワーが答える。


「本当にモンスターだけで部隊ができているのですね。

 驚きました。

 部隊の皆さんは限界突破種なのですか?」


「人間の話じゃ、限界突破種は多分、俺様とガインだけみたいだぜ。

 区別する方法は分かんねえけどな。」


「限界突破種でないモンスターが殆どってことですよね。

 それで部隊が成り立つものなのでしょうか?」

 タロウさんの危惧はもっともだよなあ。


「俺様は、どんなモンスターでも努力すれば賢くなれるんじゃねえかと思ってるぜ。

 エルモンドで訓練してるモンスターの中には、訓練することで色々考えることができるようになってきた奴がいるからな。

 そもそも、限界突破種って何なんだ?

 今まで色々努力して賢くなった普通のモンスターと違うのか?」

 パワーが言う。これが真実なのかもしれないと俺も薄々感じてはいたし、もしそうだとすれば可能性は無限大だ。


「パワー殿、ありがとうございます。

 私は、モンスターに無限の可能性を感じました。

 エルシアに帰ってから私も努力したいと思います。」

 タロウさんもパワーの言葉に衝撃を受けたようだ。


 この後、タロウさんにモンスターの訓練している所と冒険者ギルドに案内して1日が終わった。



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