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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
エルモンドのアドバイザー
69/122

69緊迫

登場人物

ウル(主人公)狼に転生した元人間。メキロ家アドバイザー(★4テンロウ)

スレイル  ドンロンモンスター部隊大将(★5キリン)

アウルス  ドンロン領主アドバイザー(★5ナイトメア)

ローラン  ドンロンモンスター部隊副大将(★5ペガサス)

ケルティク メキロ家諜報部隊副隊長(★4ヘルハウンド)

オーウェル エルモンド領主でメキロ家の当主(人間)

エリーゼ  オーウェルの叔母でドンロン領主(人間)


 数日後、俺がスレイルさんと一緒にオーウェルさんの護衛をしつつ、ドンロンの町で、エリーゼさんに相談に来たときだった。


「リッチモンド家と戦うことになりそうね。」

 エリーゼさんの開口一番で、場に一気に緊張が走る。


「こちらの諜報部隊はまだ戻ってませんが、叔母さんの方はもう結果が出たのですか?」

 オーウェルさんが聞く。


「近隣貴族への使者から返事が来たのよ。

 リッチモンド家からメキロ家討伐の協力要請が来ているって。

 しかも、ウル殿の言っていた通り、協力しない貴族は後日ノリクによって貴族の地位を剥奪するとの脅しつきみたいね。」

 想定していた最悪のパターンが来たか。


「リッチモンド家だけなら勝てないことはないでしょうけど、近隣貴族の兵が集まるとなると厳しいですね。パール・リッチモンド伯がノリクに従うのが私には信じられなくて。」

 オーウェルさん、現実逃避している場合じゃないって。


「実は、娘のフリーデルが教えてくれたのだけど、差出人はアレン・リッチモンドになっていたそうよ。」

 エリーゼさんが言う。


「まさか、アレンが父親を差し置いて先走ったとか。」

 オーウェルさん落ち着いて。

 先走ったにしては、用意周到に動いてる。


「パール・リッチモンド伯の体調がよくないと言う噂も聞いているわ。」


「息子が父親を監禁して独断で進めているという線はありそうですね。」

 俺が言うと、


「そうか。

 ノリクは、パール伯をなびかせるのは無理だと判断して、息子のアレンを唆したのか。」

 まだ断定するのは早すぎるけど、その可能性は低くなさそうだな。


「それで、いつ頃攻めてきそうか分かりますか?」

 俺は、エリーゼさんに聞く。


「まだ、近隣貴族からの増援の到着を待っている段階みたいね。

 日数的にまだ余裕はあるわ。

 ただ、本隊が動き出したら5日でドンロンか7日でエルモンド、どちらにも攻められるわね。」


「ノリクの近代兵器の増援がいるかどうかは分かりませんよね?」


「変わった武器を装備しているような報告はないけれど、断定はできないわ。」


「とりあえず、ノリクから近代兵器が支給されていないかと当主のパール伯の安否が知りたいですね。」


「ウル殿。直接フライトで確認した方が早くないか?」

 アウルスさんが言う。

 確かに人間が歩いて5日の距離なら、フライトとスピードを併用すれば半日で着くか。


「一応、諜報部隊にも調べさせた方がいいわね。

 私が指示書を書くから、連絡調整係を連れてカージリア近辺まで送ってもらえるかしら。」

 年の功か、オーウェルさんよりもエリーゼさんの方が落ち着いているな。


「俺達が、指示書を持った連絡調整係をカージリア近辺まで連れていきつつ、自分たちも直接調べればいいのですね。

 帰りはどうします?」


「今カージリアには、ケルティクがいるはずですから、

 可能ならケルティクを連れて戻ってきてくれないかしら。」

 エリーゼさんが言う。

 確かに、ケルティクがいるならある程度情報を纏めてくれているだろうな。


「了解です。

 そのあたりは、出来る限り対応します。」


 こうして俺とアウルスさんで、連絡調整係を1人連れてリッチモンド家の本拠カージリアに向かうことになった。

 連絡調整係はハルメルン商会のエヌマさん。ケルティクにエリーゼさんの指示書を渡したいとのこと。

 準備に多少時間はかかったが、日が暮れる頃にはカージリアの近くまで来ることができた。



 町の周りには、増援の貴族の軍が陣を作っていた。

 既に2000人ほどいる。

 まだ少ないが、これからどんどん集まってくるのだろう。


「夜になったら、エヌマさんを町の中へ下ろして別れるということでいいですか?

 その後は、俺達は独自に動きますので、ケルティクに会えたら俺とアウルスさんが来ていることを伝えてください。

 あと、普段連絡に使っている場所を教えてください。」

 俺は、エヌマさんに聞く。


「分かったわ。」


 エヌマさんに確認が取れたので、俺達は完全に日が暮れるのを待ってから、目立たないように空中からカージリアの町の中へ入り、エヌマさんを降ろした。


「ウル殿、ノリクの近代兵器はどうやって見分ける?」

 アウルスさんが聞いてくる。


「銃器とかだと、弾を発射する引き金があるはずですけど、この説明で分かりますか?

 あるいは火薬の匂いがあればいいのですけど。」

 俺は説明するが、見たことがない人に説明をするのは難しい。


「難しいな。

 あまり見たことがない武器を見たら、ウル殿に知らせるので確認してくれるか?」

 アウルスさんが言う。


「そうしましょう。

 その方が確実ですから。」


「とりあえず、この町の軍の装備を確認することにしよう。」


「下手に動くと見つかりますよ。」

 俺が言うが、


「まあ、任せておけ。順番に準備するから、技がかかったらしばらく待っていてくれ。」

 アウルスさんはそう言うと、精神集中を始める。


「シャドウウォーク」

 アウルスさんが技を放つ。ナイトメアの専用技だ。

 俺の体が大きな泡に包まれた状態になり、周りの景色が泡の外に浮いて見えるようになった。そして、外の音が全く聞こえなくなった。匂いもしない。

 アウルスさんが外から、再度精神集中しているのが見える。

 そして、アウルスさんの2回目の精神集中が終わると、アウルスさんも泡の中に入ってきた。


「アウルスさん、この技って?」

 俺が聞こうとするが、


「影の世界から移動する技だ。

 これで相手から発見されることがなく移動ができる。

 ただし、障害物にぶつかると技は強制的に終了する。

 その時に現実世界で実体化するまでしばらく動けなくなるから注意する必要があるが。」

 これは、奇襲には向かないが、偵察にうってつけの技だな。


「それなら、軍の武器を見てしっかり確認できますね。」

 俺が言うと、


「障害物というか動いている人間など何か物体とぶつかると技が終了するから注意が必要だ。」

 アウルスさんが技の注意点を教えてくれた。


「近くを歩いている人間とぶつからないように移動しないといけないんですね。」


「そう言うことだ。それでは空中から行くぞ。」


 俺はアウルスさんについて行く。

 シャドウウォーク中は、視覚や音、匂いでは感知されないようだ。

 空中から移動すれば見つかることはないか。

 俺は、町の衛兵詰所近辺に集まっている兵士たちの装備を見る。

 剣や弓などの一般的な武器しか持っていない。


「ここにいる軍は、誰も近代兵器は持ってなさそうですね。」

 俺は見た結果をアウルスさんに報告する。

 とは言え、あるとしてもこれ見よがしに軍に持たせたりはしないだろう。


「そうか。

 とりあえず、領主の館は分かるか?」

 アウルスさんが聞いてくるので、俺は、それらしい建物を見つけて案内した。


「この建物っぽいですね。」

 俺は、それらしい建物をアウルスさんに示した。

 館の前には武装した兵士が10人ほどいて、警戒態勢を取っている。

 それだけでなく、館の全ての入り口に兵士が配置されている。

 明らかに、先ほどの衛兵詰所近辺とは警戒態勢が違う。


「当主のパール伯が監禁されている可能性は低くなさそうですね。」

 俺がアウルスさんに言うと、


「救出できると大きいのだが。」

 確かにアウルスさんの言う通りだけど、この厳戒体勢では危険すぎるよな。


「軍が出発してからなら、兵士が減るでしょうから救出しやすいと思います。」


「フライトで移動すれば間に合うか。

 とは言え、パール伯を救出したとして、動き出した軍が引いてくれるかどうか。」

 アウルスさんが言ってくる。


「考えてみたのですけど、ノリク軍の精鋭がいないようなら楽勝だと思います。

 見た限り、近代兵器は1つもなかったです。

 その状態で進軍を始めても到着まで5日はかかります。

 その間に警備が手薄になったカージリアでパール伯を救出する時間は十分あります。

 それに、アレン・リッチモンドが総指揮を執るかどうかは分かりませんが、

夜に本陣を奇襲して3連フォッサマグナしたら近くにいる全員即死でしょう。

 総指揮官を失った状態で、救出した当主のパール・リッチモンド伯にまとめてもらえれば、軍を引いてくれるはずです。」

 俺は意見を言う。


「確かにそれができれば勝てそうだが、想定が上手くいきすぎな気がするな。

 1つめに、パール伯が監禁されているのは確実なのか?

 2つめに、軍の出発後に確実にパール伯を救出できるか。

 3つめに、アレンが総指揮をとっていない場合、着実に終戦できるのか。

 このあたりを見落としていないか?」

 アウルスさんが聞いてくる。

 さすがに、俺の考えは楽観的過ぎるか。


「そのあたりは確認して1つずつ確実に押さえたいですね。

 ただ、俺が思うのは、

 4つめとして、ノリクが見せた罠の可能性も考えておきたいです。

 リバイアサンが撃退された事を知っているノリクが、一昔前の戦争方法で数だけ集めてメキロ家に勝てると考えているとはとても思えません。

 何か切り札を残している可能性は十分に考えられます。

 このままリッチモンド家がメキロ家に負けて、メキロ家に大陸東側を纏められたらノリクとしては目も当てられないでしょうから。」


「その警戒は必要だな。

 だが、近代兵器を使うにしても、先ほどのウル殿の作戦を妨害する方法が思いつかないが。」

 アウルスさんが言う。


 確かにそうだよな。

 まだ、ノリクはこちらに3連フォッサマグナという必殺技があることを知らないはずだ。船内のスパイも捕らえたわけだし。

 その上で、数万はいるであろう軍の本陣にたった3匹で夜襲して総指揮官が暗殺されるなどという事態は想定外のはずだ。

 その状態でノリクが持っている勝つための切り札とは何なのか?

 俺には全く想像がつかない。

 とは言え、ノリクなら何かしてくるはずと言う漠然とした不安でしかなく、ノリクが何をしてくるのか分からない以上対処は不可能だが。


「いずれにしても、情報が足りないですよね。

 なんとかケルティクを探せませんか?」

 俺は、アウルスさんに言う。


 結局俺達は、人気のないところでシャドウウォークを解除し、情報交換に使うと聞いていた場所の近くでケルティクの匂いを探すことにした。

 しばらくしてケルティクの匂いを発見することに成功したので、人に見つからないように追跡し、俺達はケルティクを発見することができた。


「アウルス殿、ウル殿、このような場所まで来るとは何か余程の用事なのか?」

 ケルティクが聞いてくる。


「ドンロンまで情報を送っていると時間がかかるので、現状を見に来た。

 さしあたって分かっていれば教えてほしい。

 1つめに、パール・リッチモンド伯は監禁されているのか?」

 俺は、ケルティクに聞く。


「息子のアレンに館の中に監禁されている。」

 これは予想通りだな。


「2つめに、アレンは直接軍を率いる予定なのか?」


「総指揮官として率いる予定のようだ。」

 これも分かってるんだ。ケルティク優秀だな。


「3つめに、軍が出発した後のカージリアや町や館の守りはどうなる?」


「リッチモンド家の親衛隊など最低限の軍しか残さないようだ。」

 これじゃあ、まるで救出してくれと言わんばかりだな。

 ここまで揃うとノリクの罠の可能性を強く疑ってしまう。

 でも、罠があっても基本方向はこれでいくしかないよなあ。


「こちらの作戦は、軍の出発後にカージリアの館を急襲してパール伯を救出。

 軍に夜襲をかけて3連フォッサマグナでアレン及び近くの兵士を纏めて無力化。

 指揮官を失ったリッチモンド軍をパール伯にまとめてもらうというものだが、

 今ケルティクが持っている情報で支障がありそうか?」

 俺は、あまりにも都合よくできすぎているので、ケルティクにも意見を聞いてみた。


「うむ。

 状況を見ている感じ、基本的にはそれがいいと思う。」

 慎重なケルティクが意外にも乗り気になってる。


「ただし、注意したいのはアレンの側近として従軍する騎士団長のルフトーラだな。

 リッチモンド家最強の戦士だ。メキロ家の亡きガーランド殿も勝てなかったと聞く。」

 ケルティクが付け足してきた。その騎士団長は要注意だな。


「その騎士団長は3連フォッサマグナでも倒せないのか?」

 俺が聞く。


「相手の強さが分からない以上実際に戦わないと何とも言えないが、高レベルの戦士であれば、技に対する防御力もかなり高いはず。

 耐えてくる可能性も十分あり得るだろう。」

 アウルスさんが教えてくれる。


「なら、ルフトーラを味方にするのは難しいのか?」

 それならそっち方向に持っていけないかケルティクに聞く。


「ルフトーラもアレン同様強硬派だ。

 アレンもルフトーラが賛成してくれたので決断した節がある。」

 ケルティクの情報に誤りはないし、アレンと一緒に倒すしかなさそうだな。


「アレン本人の戦闘力はどうなんです?」

 俺はアレン本人についても聞く。


「アレン本人は大したことがない。

 フォッサマグナを3発も喰らえば即死だろう。」

 ケルティクはそのあたりもしっかり押さえていた。


「アレンと一緒にルフトーラも倒す方向で行くしかないな。

 生き残ったとしても1人だけだ。しかもかなりのダメージを受けているはず。集中攻撃で倒す。

 基本方針はそのままだ。」

 アウルスさんの言う通り行くしかないな。


 エリーゼさんの指示とは異なるが、ケルティクは連れて帰らずそのまま情報収集をしてもらうことにした。

 代わりに今ある情報を俺とアウルスさんが戻って報告すればいいからだ。

 そして、いずれパール伯救出のため再度やってくることから落ち合う方法を決めて、俺達はドンロンに戻ることになった。

 フライトとスピードを併用したことにより次の日の朝にはドンロンに到着した。


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