65合流
登場人物
ウル(主人公)狼に転生した元人間。メキロ家アドバイザー(★4テンロウ)
パワー ウルの仲間モンスター。エルモンドモンスター部隊大将。(★4モサ)
レオニエル モンスターの待遇向上を訴える魔王(★6魔王)
スレイル レオニエル三兄弟の長男(★5キリン)
アウルス レオニエル三兄弟の次男(★5ナイトメア)
ローラン レオニエル三兄弟の三男(★5ペガサス)
オーウェル エルモンド領主でメキロ家の当主(人間)
エリーゼ オーウェルの叔母でドンロン領主(人間)
ケニー 船員に紛れていたスパイ。元は五島諸島のオール漕ぎ(人間)
俺とパワーは、ドンロンに戻りオーウェルさんとエリーゼさんに結果を報告する。
「スパイは、船内を嗅ぎまわっている所を、行動を怪しんだスレイルさんのセンスエネミーに反応して捕まっていましたので、尋問してきました。
尋問の結果、状況からの推測も含みますが、ノリクの手のものは、船員の1人に毒を盛って今回の渡航で乗船できないようにし、船長が臨時の船員を雇うように仕向けると同時に、金に困っている地元の船員に臨時船員に応募させスパイを依頼したようです。
スパイを尋問したところ、有益な情報は殆ど知らないようでした。
ドンロンでノリクの手のものがスパイに接触して情報を得ると同時にスパイに報酬を渡す手はずになっているようですので、スパイに偽情報と渡して問題ない情報を伝え、それをノリクの手のものに伝えてもらうことにしました。
その場でノリクの手のものを捕えることを目論んでいます。捕らえられなくとも、スパイがこちらの想定通り動いてくれれば開放する予定です。
船はあと数十分で到着予定です。
念のため、下船する全員をスレイルさんにセンスエネミーで確認してもらいます。
以上の判断をしましたが、よろしいですか?」
「お疲れさまでした。
スパイに渡してもらう情報とはどのようなものですか?」
オーウェルさんに聞かれる。
そこは大事だよな。
「オーウェルさんが、五島諸島に軍事援助を依頼して断られたこと。これは事実と異なりますが、ありえそうですよね。
★5キリン・★5ナイトメア・★5ペガサスを仲間にして船に乗せたことです。
最初はそこまで言わないつもりだったのですが、本人達が魔王をカモフラージュするためにあえて表に出すと言いましたので、その方針通りにしました。」
「了解しました。
一度捕まった五島諸島の地元の船員なら今後ノリクに通じることはなさそうですね。」
「借金で首が回らない感じでしたので、役に立ちそうなら冒険者として雇ってもいいのですけど、あまり有能そうには見えませんでしたね。」
別に俺がスパイの今後の面倒を見る必要はないしな。
「一応、事が済んでから確認はしましょうか。」
「そのあたりは、お任せします。
ただ、今回の件でノリクは、船を襲撃したリバイアサンが撃退される可能性も想定していたことが分かりました。今後も色々仕掛けてくると思いますので、油断は禁物ですね。」
「その通りですね。
そう言えば、魔王の存在の隠匿ですが、船を出ると目立ちますよね。」
「魔王に聞いたところ、夜になってから船を出たいと言ってました。」
「では、スレイル殿・アウルス殿・ローラン殿だけ下船してもらい、夜になるのを待って密かに下船してもらいましょうか。」
「その予定で考えています。
あとは、スレイルさん達にも協力してもらって、スパイに接触してくるノリクの手の者の捕獲を狙いたいですね。」
「そうですね。
尾行をすると接触してこない可能性ありますから、体制を考えないといけないですね。」
「一応、体制を考えてますので、聞いてもらえますか。
まず第一に、敵に罠があると悟られてはまずいですので、空からの巡回などはしません。
船員のケニーには、怪しまれないよう普段通りの行動をしてもらいます。
今はお金がないためギャンブルはできませんので、酒を飲んで散歩で海辺を出歩くことが多いみたいです。
ケニーに接触してきた時間帯は日暮れですので、その時間帯は特に警戒が必要です。
ケニーに話を聞いてイリスさんに依頼人の似顔絵を描いてもらいました。ドンロンでの接触者は依頼人の姉と言ってましたので、似顔絵を参考に捕獲を狙います。
普段通り町を巡回している衛兵に、見つけたらすぐに冒険者ギルドに知らせてもらう手筈にしたいと思います。俺達は、スレイルさんと一緒に冒険者ギルドで待機していて、連絡が来たら駆けつける予定です。
衛兵の中にスパイが混じっている可能性もありますので、予めスレイルさんにその日の巡回衛兵を全員センスエネミーで確認してもらいます。
また、万が一にも逃がさないように、連絡が来たら町の門を一旦閉じるよう手配しようと思います。
どうでしょう?」
「感づかれないことを優先するのですね。
これ以上動くと感づかれる可能性もありますし、そのあたりが妥当そうですね。
ジェラ殿にも話をして修正があれば修正してもらって、体制を整えてもらえますか。
叔母さんは何かありますか?」
「それでいいと思うわ。
アルシャンに話をしておくから、ジェラと話をしてもらえるかしら。」
「了解しました。では、船の到着後にアルシャンさんと衛兵詰所に行ってきます。」
そうこうしているうちに、船が到着したようだ。
野次馬も当然たくさんいる。中にはノリクの手の者もいるだろうな。
船長が、スレイルさん・アウルスさん・ローランさんを館に案内する。
野次馬やスパイには、スレイルさん達がメキロ家の助っ人だと分かっただろう。
そして、スレイルさんに目立たないところから下船する船員全員にセンスエネミーをかけてもらった。ケニーも含め、誰も反応しなかったようだ。
オーウェルさんが、スレイルさん達をエリーゼさんに紹介し、魔王を夜に迎えに行き、館に連れてくるという話を伝えていた。
それが終わると、俺とパワーはアルシャンさんを連れて巡回を装ってジェラさんの所に行くことになった。
一昨日もアルシャンさんと一緒に行っているので、特に違和感はないだろう。
衛兵詰所へ行くと、グレアスさんがいる。
「ウルにパワーじゃないか。
今日も巡回か?」
「今日は、ジェラさんに相談があってきました。いますか?」
俺は、アルシャンさんに通訳してもらって聞く。
「そうか。じゃあ、呼んでこよう。」
すぐに、グレアスさんはジェラさんを連れてくる。
なんか、グレアスさんがへこへこしている。
「ウル殿、パワー殿、よく来たな。
ドルク様に知らせてもらったモンスター使いのザリアは、スパイだったので捕らえた。
行方不明の漁師は違ったが。」
ジェラさんが、一昨日の話のその後の経過を教えてくれた。
「今日は、もう一人スパイの捕獲のために体制協力の相談に来ました。末端よりはノリクに近い者です。
実は、今日到着した船員にスパイが1人紛れていたので一度捕らえました。
ですが、そのスパイは元々五島諸島の船員で、ノリクの手の者に依頼を受けた使い捨てでしたし、観念して反省してましたので、依頼人を捕らえる協力をしてもらうことにしました。船員の名前はケニーです。」
俺は、ケニーの身体的な特徴を伝える。
「元々の依頼では、この町で依頼人ルファの姉のルフォがケニーに接触して情報を得る算段になっているということですので、ケニーには普段通り行動してもらい、予め伝えた偽情報をルフォに渡してもらいます。
ですが、我々としてはその場でルフォを取り押さえるつもりです。ルフォから他のスパイについての情報が得られるかもしれませんし。」
「なるほど、それは是非とも捕らえたいな。
だが、下手に警戒すると感づかれてケニーに接触されなくなるぞ。」
「ですので、全ての衛兵にケニーに聞いて描いた依頼人ルファの似顔絵を見せて警戒してもらいます。
衛兵には普段通り行動してもらい、発見した時点で急いで冒険者ギルドに連絡を入れて貰うことにします。
冒険者ギルドはここよりもケニーの行動圏内の海辺に近いですので、比較的早く駆け付けられます。
冒険者ギルドでは、オーウェルさんの協力者で今日到着した★5キリンのスレイルさん、★5ナイトメアのアウルスさん、★5ペガサスのローランさんにも待機してもらってルフォの捕獲に動いてもらうことになっています。
また、衛兵にスパイが紛れている可能性もありますので、ジェラさんが指令を出すときに、後ろからスレイルさんにセンスエネミーで確認してもらいます。
センスエネミーは、間接的でも敵対行為を考えていれば反応するようですので、スパイがいればかなりの確率で反応すると思います。」
「普段巡回に動く衛兵は、1000人ほど。町中に分散する故、ケニーの動きによっては現場を誰も見ていない可能性が低くないな。」
ジェラさん、そういう所の詰めはしっかりしてるな。
俺としても自分の考えの穴に気付けるからありがたい。
「怪しまれるわけにはいかないので、ケニーの行動を変えたくはないですね。
依頼人ルファのケニーへの接触は夕方でした。
ケニーは普段、夕方は酒を飲んで海辺を散歩することが多いみたいですので、窓から海辺全般を見れる場所に陣取ることできませんかね?」
「そうだな。冒険者ギルドの運営する宿の2階の南側の1室を借り受けよう。
そこなら、部屋の窓からこの町の港全貌が見える。当然、建物の裏は見えないが。」
「お願いします。
それなら、スレイルさんにもその宿に待機してもらった方がよさそうですね。」
「馬3頭か。1部屋だと狭いな。
部屋を纏めて確保した方がいいか。」
「あまり大げさなことをすると、気づかれる可能性を増やしそうですね。
俺とパワーとスレイルさんとアルシャンさんだけなら入れませんか?
アルシャンさんには、何かあれば冒険者ギルドの方へ連絡もお願いします。」
「多少狭く感じるかもしれないが、それくらいなら1部屋に入れるだろう。
私が衛兵詰所を離れると怪しまれるかもしれぬから、ここで連絡を待つことにしよう。
方針はこんなところか。
グレアスとグレッグは何か意見はあるか?」
めずらしい。ジェラさんがグレアスさんに意見を求めている。
グレッグさんは、ジェラさんが育てている隊長の1人かな?
「なるほどな。俺は何もないぜ。」
グレアスさんが答える。
「もしもの時のために、門番に手配しなくてよいでしょうか?」
グレッグさんが言う。
確かにそうだな。
「グレアス、お前はエルモンドの警備しないといけないのだから、ちゃんと考えてくれよ。」
「分かってるって。」
グレアスさん、早速ジェラさんに言われていた。
グレアスさんは腕は立ちそうだけど、部下を使って指揮するのは得意じゃないみたいだな。
ここでジェラさんの判断を勉強しているわけか。
「グレッグさん、ご意見ありがとうございます。
門番にも手配しておいた方がいいですね。
ルファの似顔絵を5枚描いてもらいましたので、門番に1枚ずつ渡そうと思います。
この町は門がいくつありますか?」
「エルモンド方面の東門、カージリア方面の北門、遠くエルシア方面の西門の3箇所ですね。
とは言え、南側の海は城壁がないから敵が海に飛び込んで泳いで逃げるということもできてしまいますが。」
グレッグさんが教えてくれる。
港町って海側は壁がないんだっけ?
俺は歴史に詳しいわけじゃないし、この町は建国以来戦争もないわけだからおかしくはないか。
「3つの門については、スレイルさんと各門を回って似顔絵を渡すと同時にスレイルさんに門番をセンスエネミーしてもらってください。該当の人物が現れたらすぐに報告して貰います。
海については、冒険者ギルドへ行ってコーチをしている★4シードラゴンのジャガンさんに海を泳いで逃げる敵がいないか警戒してもらおうと思いますがどうでしょうか。」
「★5キリンが走り回ると目立つのではないか?」
ジェラさんが聞いてくる。
「フライトで目立たないように町の外へ出てもらって、町の外から回ってもらいましょう。」
ジェラさんの指摘も尤もなので、気づかれないよう計画を修正する。
「そんなところか。」
ジェラさんもこれ以上は意見がないようだ。
これで、計画の修正案はまとまったかな。
「では、館に戻ってスレイルさん達を呼んできますので、宿の確保をお願いします。
スレイルさんがセンスエネミーの準備が出来ましたら、順次、今日巡回の衛兵に今日の作戦の指示をお願いします。」
俺とパワーは一旦館に戻り、オーウェルさんの方針の変更について報告する。
そして、スレイルさん達に衛兵詰所に来てもらう。通訳のイリスさんも一緒だ。
先に、ジェラさんの配下の隊長のグレッグさんが、スレイルさんと似顔絵を門番に配って回った。
その間、報告に来た衛兵には待っていてもらう。
スレイルさんはグレッグさんを乗せて、フライトをかけて行ったので、あまり時間をかけずに帰ってきてくれた。
ジェラさんは、巡回の報告が戻る度にスレイルさん達を紹介し、捕獲作戦でやってもらうことを説明していた。
スレイルさんはその度にセンスエネミーするが、反応しない。
とりあえず、センスエネミーの確認を一通り終えないと俺達も動けないよな。
俺は、ジェラさんの指示を見守りながら、作戦に穴がないか考え直していた。
また、報告の衛兵が戻ってくる。10人くらい集まったところで、ジェラさんが警備でケニーさんがルフォに接触している所を見かけたら冒険者ギルドにいるアウルスさん達に報告するように指示をした。
「スレイルさんが、反応したぜ。」
パワーが俺の耳元でささやく。
スレイルさんを見ると、衛兵の1人をじっと見ている。
ジェラさんの指示が終わり、衛兵たちは各々の持ち場に散っていく。
が、パワーがその衛兵の前に立ちふさがる。
「パワー殿、そいつが反応したぞ。」
スレイルさんが言う。
俺は、その間にちゃんと精神集中を済ませておいた。
「ホールド」
近くにあったロープで、その衛兵を動けなくする。
1発で決まった。
センスエネミーが便利すぎる。
俺が馬だったら、間違いなく進化先にキリンを選ぶな。
「なんなんだ。俺が何をしたっていうんだ。」
縛られた衛兵が言ってくる。
「ウル殿、私はまだ指示しないといけない兵がいるから、奥で尋問しててもらえないか?
グレアスも行ってくれ。」
ジェラさんに頼まれる。
「了解しました。
パワー、奥へ連れて行ってくれ。」
パワーは縛られた衛兵を軽く担いで、奥へ連れて行ってくれた。
奥の部屋で俺とパワーとグレアスさんと通訳のアルシャンさんだけで話をする。
「何故こんな事になったのか分かりますか?」
俺はアルシャンさんに通訳してもらって衛兵に聞く。
「知らねえよ。俺は何もしてねえよ。」
「良からぬことを企んでましたね?」
衛兵が一瞬驚いた反応をするが、すぐに黙り込んでしまった。
簡単には情報を喋ってくれそうにはないか。
「貴方の名前は?」
俺は聞くが、衛兵は何も答えない。
こいつは使い捨ての雇われスパイではなさそうだ。
「ウル様、俺様が脅してやろうか?」
パワーが聞いてくる。
「殺さない程度にやってくれ。」
俺も答える。
そして、アルシャンさんがご丁寧にそれを通訳する。
「俺が巡回に出ないと、ルフォは現れないぞ。」
衛兵が慌てて言う。
ジェラさんは説明でケニーと接触する女としか言わなかった。
こいつは、自分からルフォと通じていることを自供した。
そして、慌てて言ったところからも、こいつがルフォの安全を確認伝達している可能性はかなり高い。
しかし、ここで捕まえてしまった以上、泳がせる選択肢はない。
「ルフォを捕えることはできなくなったかもしれませんが、
代わりに貴方を捕まえられたので、色々聞かせていただきますよ。」
俺はにっこり笑って衛兵に言う。
「連絡係の俺からじゃ大した情報は得られねえぜ。」
流石に雇われスパイとは違うな。簡単には落ちないらしい。
「まあ、ダメもとでルフォの捕獲を狙いますよ。」
「精々無駄足を踏むんだな。」
「これ以上喋ってはくれなさそうだな。しばらく牢に入ってもらうぜ。」
俺は、グレアスさんにこの衛兵を逃げられないよう縛りなおしてもらってから、牢に入れてもらった。
そして、ジェラさんに報告する。
「今の衛兵が口を滑らせて、ルフォへの事前の安全確認報告をしていると自供しました。」
「ブラフの可能性はないか?」
「その可能性も十分ありえますので、計画の基本方針は変更しませんが、
本当だった場合はルフォは現れないでしょう。作戦に修正は必要ですね。
パワー、お前がルフォならどうする?」
「顔がばれているかもしれねえからな。
安全確認できないと分かった時点で町から逃げようとするぜ。」
まあ、そうだろうな。
「門の戦力を増強しましょう。
強行突破されるわけにはいきませんので。
幸い門番には似顔絵を渡してありますので、今のままでもチェックはできるはずです。
ただ、ルフォが脱出するために顔を隠したり変装したりする可能性もありますので、背の高い女は細かくチェックしてもらうよう連絡しておいてください。」
「分かった。各門に1部隊ずつ増援を派遣して体制を整えよう。」
その後、ジェラさんは当直の衛兵全員への指示を済ませたが、スレイルさんのセンスエネミーには反応しなかった。
俺達は、当初の予定通り冒険者ギルドに向かう。
俺は、ギルドマスターのバルドゥルさんにお願いして、★4シードラゴンのジャガンさんとマスターのクルスさんに、海から逃げる人間を警戒してもらうことにした。
そして、アウルスさんとローランさんには冒険者ギルドで待機してもらって、俺とパワーはスレイルさんと宿に向かった。
部屋の窓からは海辺が見える。今開けっ放しにすると目立つので、夕方まで待つことにした。
そして、夕方窓を開けて外を見る。
ケニーが散歩しているのが見えた。
しかし、日が暮れてケニーが船員の酒場兼宿屋に戻ってもルフォは現れなかった。
俺達は、一旦衛兵詰所に戻る。
「港にルフォは現れませんでした。
門から報告は来ていますか?」
俺は、ジェラさんに結果を報告しつつ、門の方についても聞く。
「いや、まだ報告はない。
顔を隠している者もチェックしたが、それでも該当はいなかった。」
「ルフォは、まだ町に潜伏しているか、とっくに逃げたかのどちらかでですね。」
「今出ようとしても罠があると思ってるかもしれねえぜ。」
パワーの言う通りの可能性も結構あるな。
「俺なら、夜にフライト使って目立たないように脱出、あるいは海から脱出するな。
それが難しいならほとぼりが冷めるまで極力外に出ないようにして潜伏するかな。
もう夜ですから、衛兵にフライトで飛んで行ったり、海に飛び込む人間がいたらすぐ報告するよう伝達できませんか?」
「分かった。グレッグ、なるべく多くの巡回兵に伝達してくれ。」
ジェラさんの指示でグレッグさんは部下を引き連れて出て行った。
「フライトを使える相手だと、衛兵では対処が難しいな。
スレイル殿以外でフライトを使えるのは誰かいるのか?」
グレッグさんを送り出してすぐ、ジェラさんが聞いてくる。
「俺達5匹は全員使えますので、見つけてさえくれれば全員で追います。
これから冒険者ギルドへ行って、アウルスさんとローランさんにも伝えて完全に夜になったら城壁の上から町の中を見渡してますね。」
「了解した。頼むぞ。」
ジェラさんと体制についての方針がまとまったので、俺達は冒険者ギルドへ行ってアウルスさん・ローランさんと合流して、計画を話し分散して城壁の上から町の中を警戒した。
夜も更けたころ、俺は街を歩いている足音に気付く。音をたてないように歩いている時点で町の衛兵じゃない。
そちらを見ると、夜にまぎれた黒ローブを纏った人間だった。
今、手元にロープもツタもないからホールドはできない。俺は、精神集中して技の準備をしておいた。
その人間は、城壁の真下までくると空中に飛びあがる。
間違いない。こいつはノリクの手の者だ。
「ディスペルマジック」
俺は、そいつに技を放つと同時に遠吠えして、仲間に発見したことを伝える。
黒ローブの人間は、魔法が解けて地面に落下する。
が、しっかりと足で着地しておりダメージを受けたようには見えない。
俺は、黒ローブに向かって噛みつきに飛んでいく。
黒ローブの人間は俺に魔法を放ってきた。
体がしびれる。
完全に効いてはいないが、麻痺か何かの魔法らしくゆっくりとしか動けない。
まずいな、俺はまだ空中だから攻撃はされないだろうが、この状態じゃ追いかけるのは難しい。
俺はもう一度遠吠えをして、味方を呼ぶ。
黒ローブの人間は建物の奥に消えていく。
しばらくして、パワーとローランさんがやってきてくれた。
さらに、衛兵らしき人間が大勢走ってくる音も聞こえてきた。
「フライトで町を出ようとしていた黒ローブの人間がそこの建物の奥に消えた。
俺は、麻痺の魔法をかけられて動きが鈍くなってる。代わりに追いかけてくれ。」
俺がそう言うと、パワーとローランさんは追跡に向かってくれた。
俺は、もう一度フライトで飛んで行かないか城壁から見ていよう。
すぐにスレイルさんとアウルスさんも到着し、しばらくして付近を多数の衛兵が取り囲む。
パワーが近くの空き家に潜んでいた黒ローブの人間を匂いで見つけ、衛兵が取り押さえて無事捕らえることができた。
捕まったのは、似顔絵に近い姿で間違いなくルフォだった。
ジェラさんが尋問したが、情報を吐こうとはしなかったため殺さざるを得なかったようだ。
まだ、ノリクの手の者は残っているのだろうが、今回分かる範囲は捕らえることができたはずだ。
これからもノリクとの戦いは続く。
気を引き締めなければいけないと思った。




