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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
エルモンドのアドバイザー
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登場人物

ウル(主人公)狼に転生した元人間。メキロ家アドバイザー(★4テンロウ)

パワー   ウルの仲間モンスター。エルモンドモンスター部隊大将(★4モサ)

レオニエル モンスターの待遇向上を訴える魔王(★6魔王)

スレイル  レオニエル三兄弟の長男(★5キリン)

アウルス  レオニエル三兄弟の次男(★5ナイトメア)

ローラン  レオニエル三兄弟の三男(★5ペガサス)

オーウェル エルモンド領主でメキロ家の当主(人間)

エリーゼ  オーウェルの叔母でドンロン領主(人間)


 俺が、オーウェルさんへの報告に戻ると、魔王が館に来ていた。

 既に、館の重要人物への紹介は終わっているとのことだった。

 俺は一通り聞いているが、オーウェルさんがハキルシアの地図を見せながら、魔王やスレイルさん達に現在の状況についての説明をした上で、今後の方針を相談することになった。


「基本的には大陸の東側を纏めてノリクに対抗するということだな。」

 魔王が言う。


「ええ、その通りです。

 ただ、そのためにはやらなければならないことが沢山あります。

 スレイル殿達にモンスターの部隊を率いてもらいたいと思ってます。」


「目立つのを避けるために置いてきたが、封印に残した一族を連れてきた方がよかったか。」

 スレイルさんが言う。


「確かにそうだが、今からだと時間がかかる上に、襲撃のリスクを考えると呼びに行くのは危険だと思うが。」

 アウルスさんが言う。


「センターは知っているとはいえ、封印の一族が全員いなくなってしまったことが分かれば、ノリクから見ても魔王の封印が解かれたことは容易に想像つきますよね。

 魔王の存在が敵に知られないうちは、連れてこない方がいいのではないかと思います。」

 俺も自分の意見を言う。


「それもそうだな。」

 スレイルさんはそれ以上踏み込まず、話を切り上げた。

 確実に味方になる貴重な戦力だけど、今から呼びに行くのは魔王の存在の隠匿と襲撃の両方の意味でリスクが高すぎるしな。


 それよりも、まずは問題はドンロンとエルモンドの軍事態勢をなんとかしないと。

 ドンロンの体勢はある程度何とかしたが、避難モンスターを含めた体制がまだできていない。エルモンドに至ってはまだほとんど手がついていない。


「まずは、エルモンド側の冒険者ギルド関連と、エルモンド・ドンロン両方の避難モンスターを含めた体制を早めに固めないといけませんね。」

 俺が課題を言う。


「魔王を迎えるまでにドンロン側はある程度整えましたが、エルモンド側がまだ手がついていないので、一度、エルモンドに戻り体制を整えないといけませんね。

 その上で、エルモンドのモンスター達の指揮をパワー殿にお願いしましたが、ドンロン側はスレイル殿とローラン殿にお願いできないかと思ってます。

 アウルス殿には、ドンロン側で

ウル殿同様のアドバイザーをお願いしたいのですが。」


「ドンロン側を俺ら兄弟で、エルモンド側をウル殿とパワー殿と言うことか?」

 スレイルさんが確認してくる。


「はい。そう言うことです。ドンロンの方が戦力的には大きいですので。」

 オーウェルさんが答える。


「基本方針は分かったが、モンスターだけで部隊を作るのは初めてと言うことだな。

 一度試行して課題を洗い出す必要があると思うが。」

 アウルスさんが言ってくる。

 まあそうだよな。

 初めての試みである以上、試してみて出てきた課題を解決してかないとな。


「エルモンドの方がすること多いでしょうから、一度全員でエルモンドへ向かって試行し、他の案件も含めて一つずつ解決していくことでどうですか?」

 俺が言うと、


「そうね。

 それじゃあオーウェル、エルモンドのことお願いね。

 私は、その間に物資調達とクリード商会の件を進めておくわ。」

 エリーゼさんがそう言って、方針は決まった。


 明日、夜明け前に魔王には町の外に出てもらい、

 その後は目立たない形で迎えて、フライトでエルモンドへ向かう。

 フライトを使えるメンバーが多いので、3時間と経たず、エルモンドの町に着く。

 魔王が街の中を歩くと目立つので、夜になるのを待ってから迎えに行くことにした。


 一旦、魔王を除く全員が館に入り、スレイルさん達兄弟と館の住人にオーウェルさんがお互いを紹介する。

 ドンロンと同様のこともあるとは言え、エルモンド側でも課題を1つずつ片づけて行かないといけない。

 オーウェルさんが、俺とパワーとスレイルさん達3兄弟、グレアスさん、通訳のイリスさん・アランさん・メアリさんを連れて行く。

 まずは、冒険者ギルドからだな。


 オーウェルさんが冒険者ギルドに状況を聞くと、メンバーが3人いなくなっていた。

 ドンロンの惨状を思えば、ここはまだ踏みとどまっている方だ。もともと依頼の多くないエルモンドで冒険者していている時点で、エルモンドに愛着のある人が多いのだろう。

 そして、オーウェルさんが冒険者ギルドをメキロ家の軍に組み入れる話も順調に進む。報酬の安い依頼を全部引き受けるのかとか、今まで依頼の達成と同時に報酬を渡していたが今後はどうするのかとか、細かい問題も出たが、相場より安い依頼は担当者をつけて考え直してもらうとか、依頼人は完了証明を担当者に渡してギルドに持ち帰ってもらうとか、対策を立てて対処していく。


 そして、俺達が他を回っている間に避難してきたモンスターのコストを測ってもらうことにした。

 それを踏まえてモンスター部隊について考えることになった。


 次に衛兵隊だ。

 エルモンドは、責任者がグレアスさんなだけに心配だな。

 相談した結果、ドンロンからライオス副隊長に来てもらって補佐してもらうことになった。

 また、エルモンドの隊長の一部をドンロンに送って、ジェラさんに鍛えてもらうことになった。


 次は商業ギルドか。

 エルモンドには大商人はおらず、小規模な商人が各々商売をしている。

 ドンロン3大商人も出入りしているが、基本的に卸としてエルモンド商人にまとめて物品の売買をするため、実質一時的な保管場所の倉庫しかなくて店は構えていないため、エルモンド商人には数えられていない。

 ギルドマスターは、この町の商工会で2年に1回の投票で決まっている。ある程度順番に当たるよう話し合いがなされているようだ。

 この体制なら最重要人物がいない以上、暗殺の心配も少なそうだ。

 商業ギルドは問題なさそうだな。


 一通り確認して、冒険者ギルドに戻ってくる。


「コストの測定は終わりましたか?」

 オーウェルさんが聞く。


「一覧表を作りましたので、ご確認下さい。」

 モンスターお世話係のダルトンさんから一覧表を貰ったので、俺も見せてもらう。


「★4アルカスのガインのコスト105はかなり高いですね。」

 なんと、パワーの100よりも高いのだ。

 ガインはほぼ限界突破種で間違いないな。


「★4グイのセベクのコストは48なので★4としては普通ですね。★4の下限近辺ですね。」

 オーウェルさんが言う。

 そりゃあ、ほとんどのモンスターは普通だよな。


「ガインの手下の★3グリズリーのウィル・ゼル・アリサのコストが39・36・37と揃って高めですね。

 他に避難してきた★2ブラックベア2匹のコストがどちらも15ですから、通常の★3グリズリーのコストって30くらいですよね。」

 モンスターのコスト数値を見て思ったのだが、同族のモンスターが進化するとコストがほぼ2倍になる。

 なので、★3グリズリーのコストは30ぐらいなのだが、ガインの手下は3匹揃ってそれより高いのだ。


「限界突破種ではなくても、ある程度賢いモンスターというのもいるのかもしれません。」

 オーウェルさんが言う。

 遺伝的かどうかは分からないが、どのモンスターも訓練すれば賢くなれるのかもしれない。


「もしも限界突破種でないモンスターでも訓練で賢くなるのであれば、限界突破種がいなくても今いるモンスターを訓練することで統率が取れた軍ができる可能性がありますね。

 やってみないと分かりませんが、できればすごいことになりそうです。」


「できたらすごいですね。

 訓練方法を考えないといけないですが。」


「それじゃあ、俺様とガインと手下のグリズリー3匹でまずはやってみるか?」

 パワーが言ってくる。


「その間、他のモンスターはどうする?」

 俺が聞くと、


「コーチに技を教えてもらって技を習得してもらっちゃダメか?」

 パワーから即答の返事が返ってくる。

 確かにそれがいいかも。パワーも考えてるな。

 パワーも色々考えて賢くなったし、俺が「熊にしては」みたいな修飾語をつけるのはパワーに失礼だな。

 普通に「人間同様に」仲間として相談しないといけないな。


「それがよさそうだな。

 ドンロンでも、まずはスレイルさんとローランさんに戦闘訓練をしてもらいましょうか。

 体制についてはパワーの試行結果を見てからということで。」

 俺は、オーウェルさんだけでなくスレイルさん達にも聞く。


「それは分かった。

 技を教えたり、訓練しながら統率するメンバーを覚えることにしよう。」

 スレイルさんが言ってくれた。


「ウル殿は、★4に進化したようだが、5レベル技の習得はどうする?」

 アウルスさんが聞いてくる。


「早めに覚えてしまいたいです。

 アウルスさんにはしばらくエルモンドに居てもらえますか?」


 結局、パワーたちが部隊の統率訓練を試行している間、

 スレイルさんとローランさんがドンロンのモンスターの技の習得と訓練を、

 俺とアウルスさんでエルモンドのモンスターの技の習得と訓練をすることになった。


「あと気になるのは、★1ヤングウルフのリコのコスト24ですね。★1なら1桁が普通のはずです。」

 リストの最後の方を見て、オーウェルさんが言う。


「確かに、種族や個体差で差はあるとは言え、★1モンスターの中で1匹だけ飛び抜けて高いですよね。

 本人と話をしてみたいので、呼んでもらうわけにはいかないですか?」

 俺はオーウェルさんを通じてダルトンさんに言って、リコを呼んでもらった。


 しばらくして、ダルトンさんがリコを連れてきてくれた。

 ★1ヤングウルフにしてはちょっと大きいな。進化が近いのかもしれない。


「あの、ボク何かしましたか?」

 リコがびくびくしながら聞いてくる。

 領主本人とかでかい★5モンスター含めて勢揃いしてるところに、★1モンスターが1匹だけいきなり呼ばれたらちょっとびびるのも仕方ない。


「怖がらなくていいぜ。

 コストを測ったら、リコ、お前が賢いって結果が出たからな。

 これからモンスターの部隊を編成するのに、お前にも相談に乗ってくれないか頼もうと思って呼んだんだ。」

 パワーが、リコに優しく言う。

 パワーは、子供の扱いが上手そうだな。


「ボク、いつかパワー様の役に立ちたいと思ってたんです。

 是非ともやらせてください。」


「パワー様って。

 俺様、そんな大層なもんじゃねえぜ。」


「そんなことないです。

 悪い奴ぶっとばしたパワー様、かっこ良かったです。」

 どうやら、リコは先日の一件でパワーの熱烈なファンになっていたようだ。

 本人もやる気だし、見た感じ自分で考えようとしているみたいだし、パワーの補佐をしてもらうのがいいみたいだ。


「それじゃあ、俺様はまだやることがあるから一旦帰るが、明日また来るから頼むぞ。」

 パワーがそう言って、リコと別れた。


 俺達は、一旦館に帰って今後の方針を確認する。

 頭の中を整理するために、決まった方針を書き出してみる。


 モンスター部隊

「エルモンド側」

・パワーがモンスター部隊の統率を試行する。俺とアウルスさんが相談に入る。

・俺とアウルスさんが、コーチと協力して技の指導と訓練を行う。

・俺とパワーも今後の指導のために高レベル技の習得を行う。


「ドンロン側」

・スレイルさん、ローランさんが、コーチと協力して技の指導と訓練を行う。

・併せて、スレイルさんとローランさんで、賢そうなメンバーをピックアップしておく。

・体制はエルモンド側が決まってから検討する。


 衛兵隊

「エルモンド側」

・ドンロンからライオスさんを呼んでグレアスさんの補佐に入ってもらう。

・隊長を半数ずつドンロンへ送り、ジェラさんに指導してもらう。

・俺が提案したスパイ対策を実行する。


「ドンロン側」

・ジェラさんが、隊長達の指導訓練を行う。

・俺が提案したスパイ対策を実行する。


 冒険者ギルド

「エルモンド側」

・軍への志願を募る。

・現ギルドマスターのエイクさんが、メキロ家直属のギルドとしての体制を整える。


「ドンロン側」

・軍への志願を募る。

・現ギルドマスターのバルドゥルさんが、メキロ家直属のギルドとしての体制を整える。


 商業ギルド

「エルモンド側」

・特に問題なし


「ドンロン側」

・組織としては問題ないが、クリード家の対応を考える。


 こんな所かな。

 諜報部隊等の報告を待ちつつ、これらを進めていくことになった。


 あと、オーウェルさんにネフェルさんの交代要員について聞くと、現在ネフェルさんの指示でギルドとの調整をしている3人の内政官が交代でネフェルさんと一緒にとりまとめに当たることになっていた。本人達にとっては仕事量が増えて忙しくなるが、ネフェルさんの暗殺対策やネフェルさんの引退後のことを考えるとやっておかなきゃな。


 夜になって魔王を館に向かい入れ、今日の用事がすべて終わる。

 魔王には、当面、俺と同様オーウェルさんの相談役として館の中で過ごしてもらうことになった。


 次の日の朝、スレイルさんとローランさんは、通訳のイリスさんと一部の衛兵隊の隊長を連れてドンロンへ帰っていった。


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