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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
エルモンドのアドバイザー
64/122

64尋問

登場人物

ウル(主人公)狼に転生した元人間。(★4テンロウ)

パワー   ウルの仲間モンスター。(★4モサ)

オーウェル メキロ伯爵の新当主でエルモンド領主(人間)

エリーゼ  オーウェルの叔母でドンロン港領主(人間)

レオニエル モンスターの待遇向上を訴える魔王(★6魔王)

スレイル  レオニエル三兄弟の長男(★5キリン)

アウルス  レオニエル三兄弟の次男(★5ナイトメア)

ローラン  レオニエル三兄弟の三男(★5ペガサス)

 翌朝、ペガサスのローランさんが通訳のイリスさんを乗せて空からドンロンの港にやってきた。

 今日中に船が到着するとのこと。

 コーチとの技の教え合いは今度と言うことになってしまった。

 俺達は、冒険者ギルドから戻り、話を聞く。


 俺達が館に戻ると、オーウェルさん・エリーゼさんだけではなく、ローランさんと通訳のイリスさんが待っていた。

 しかし、雰囲気がなんとなく厳しい。


「今日船が到着すると聞いて、戻ってきました。

 何かありました?」


「今、イリスの報告を受けたのですが、船員の中にノリクのスパイが紛れていたそうです。」

 オーウェルさんが答える。

 まあ、当然いるだろうな。

 しかも、船員のスパイは俺が転生者であることや魔王について知っている可能性がある。対処が必要だ。


「船員のスパイだと、魔王の情報を持っているかもしれませんね。魔王の情報はノリク側に知られたくないですね。」

 俺が聞くと、


「ええ。船が到着したら、船内でスパイを尋問しようと思います。」

 オーウェルさんが答える。


「到着前にできませんか。

 今からフライトで飛べば、到着までに尋問できますよね。

 スパイが複数いる可能性もありますし、到着前に調べたいですね。」


「では、領主代理として行ってもらえますか?」

 オーウェルさんに言われる。


「俺が決断しちゃっていいんですね?」

 今回は、現場の全権委任を貰わないと対処できないだろうから確認を取る。


「ウル殿に全てお任せしますよ。」

 オーウェルさん、こういう決断良くするなと思う。

 信頼してくれているのは嬉しいのだが、責任がずしりとのしかかってくる。

 とは言え、メキロ家についた以上、最大限努力をしないとな。


 俺とパワーは、ローランさん・イリスさんに案内してもらって、フライトで船へと向かった。

 1時間くらいで船に到着する。


 船には、船長と魔王・スレイルさん・アウルスさんと通訳のアランさんが待っていた。

 他の船員は各々仕事があるし、捕らえたスパイの穴埋めもしないといけないので忙しいらしい。


 イリスさんが、他にもスパイがいないか確認すること及び、俺が領主代理として権限を持って対処する旨を説明する。

 人間の船長も含めて、まるで当たり前のように話が進む。

 一昨日の巡回はこうはいかなかったが、船長は俺が前世は人間だったことを知っているからかな。


「最初に確認させてください。

 捕らえたスパイは、どうしてスパイだと判明したのですか?」

 俺は、船長に聞く。


「指示もねえのに、船内を調べて回っている船員がいたという報告があってな、

 本人を泳がせておいて、スレイル殿にセンスエネミーを使ってもらったら反応したんだ。

 スレイル殿がその場で捕らえてくれた。」

 センスエネミーって直接危害を与えようと思ってなくても反応するのか。かなり便利だな。


「その船員はどこで雇った船員ですか?」


「元の船員が体調を崩したので、亀島北港で穴埋めに雇った新しい船員だ。」

 ジェラさんのところで話した5番目のパターンか。

 募集するとスパイが来るというのはありだな。


「他に最近雇った船員はいませんか?」


「いませんぜ。」


「分かりました。

 スレイルさんにもお聞きしたいのですがいいですか。

 センスエネミーの効果は、直接危害を与えようとしなくても反応するのですか?」


「私に間接的にでも害を与えようという意思があれば反応するようだ。」

 情報をばらすと言うのは、間接的にでも害を与えるということか。


「捕らえた後も反応しましたか?」


「それは試していないが。」


「一度試してもらえませんか?

 今も反応するようなら、船内の全員をセンスエネミーで見てもらえば済む気がしますので。」


「分かった。では、試してくるから待っていてくれ。」

 スレイルさんは、スパイにセンスエネミーを試しに行ってくれた。


「どうでした?」


「今は、反応しない。」

 残念。さすがにそれができたら万能すぎるか。


「可能性としては、スパイが懲りて今後はもう敵対する意思がなくなったのか、

 今は敵対行為ができないので考えていないから反応しないのか、どちらの可能性もありますね。

 前者なら、全員にセンスエネミーをかける手もありますので、スパイを尋問したいですね。

 既に、尋問していますか?」

 船長に聞いてみる。


「ああ。

 金で雇われただけだから許してくれと騒いでいたな。」


「依頼人と依頼内容についてドンロンでどう連絡を取るか聞きましたか?」


「依頼人はルファという女らしいぜ。

 亀島北港で俺が船員の募集をしているから、応募して船員として潜入して船内の重要メンバーとオーウェルの旦那が五島諸島に来た目的を探るように言われたらしい。

 ドンロンについたら、姉のルフォが接触するからそこで情報を渡して報酬を貰う予定だったようだ。」


「ここまで喋るなら、観念してる可能性は高そうですけど、そう思わせている凄腕スパイの可能性もありますね。

 尋問の時、スレイルさんはセンスエネミーをしていましたか?」


「いや、してはいない。」


「でしたら、俺がもう一度尋問をしてもいいですか?

 スレイルさんはスパイから見えないところからセンスエネミーをしてください。

 パワーは、スパイが観念してそうかどうか判断してくれ。パワーのセンスは抜群だから。」

 俺は、スレイルさんとパワーに頼んでスパイを再度尋問することにした。



 スパイは、縛られて1つの部屋の中に閉じ込められていた。

 俺とパワーと通訳のアランさんが入ってくると、


「お願いだ。金で雇われただけなんだ。助けてくれ。」

 とアランさんに言ってくる。


「私はただの通訳ですよ。」

 アランさんはさらりとスパイをあしらう。


「通訳って、熊と狼のか?」


「そうですけど。」


「何をしにきたんだ?」


「だから、これからあなたを尋問する狼と熊の通訳です。」

 こいつ、使い捨てスパイの気がしてきた。

 ノリクからすれば、オーウェルさんと一緒に海の藻屑と消える予定だったろうからな。

 ノリクとしても、万が一にもリバイアサンが撃退されたとき用に潜り込ませていたのだろう。


「助かりたかったら、全て正直に話してください。」

 俺はスパイに言う。

 スパイからすれば、俺がガウガウ言っているようにしか聞こえないだろうけど、

 俺が自分に向かって言っているのは分かったはずだ。

 そして、アランさんに通訳してスパイに伝えてもらう。


「なんで狼なんかに尋問されなきゃいけないんだ。」

 そう言えば、こいつの顔は見たことがないな。匂いも初めて会った奴だ。リバイアサンと戦った時も奥で何かしていたのだろうか?


「領主様から、俺がお前を危険と判断したら、殺してもいいって言われてますけど。」

 ちょっと脅してみる。


「嘘だろ?」


「この狼は領主様のアドバイザーをされているウル様ですよ。」


「アランさん、無暗にスパイに情報を与えないでください。」

 魔王の情報とか知られたら殺さないといけなくなりそうだし。


「すいません。つい調子に乗ってしまって。」


「気を付けてくださいね。」

 俺にペコペコしているアランさんを見て、スパイの顔が青くなった。

 本当に俺に殺されると思ったらしい。


「悪かった。なんでもするから命だけは助けてくれ。」

 今度は俺に向かって言ってくる。

 権限を持っているのが俺だと、やっと分かったらしい。


「それじゃあ、1つずつ聞いて行きますので正直に答えてください。

 貴方の名前と、住んでいた場所、この船に乗る前にしていた仕事は何ですか?」


「俺はケニー、亀島北町で色々な商船でオール漕ぎをしていた。」


「特定の商人に雇われていたわけではないのですか?」


「ちょっと借金がかさんでしまって、少しでも稼ごうと色々な船に乗ろうとしてたんだが、却って元から乗っていた船にも乗れなくなっちまったんだ。」

 そりゃあ、船を出すときにいたりいなかったりする船員は使い勝手が悪いよな。


「それで仕事に困っていたら、貴方に声をかけてくれる人がいたと。」


「そうだ。

 この船に乗って色々調べたら1万ジュエルをくれると言われたんだ。」

 船員からすれば破格報酬だよな。


「前金は貰えたのか?」


「1000ジュエル貰った。

 それで当面の支払いと借金の利息分だけは何とか払った。」

 使い捨てのスパイでもちゃんと調べるつもりはあったということだ。

 ノリクの奴、リバイアサンが撃退されることも十分想定していたんだ。


「貴方に依頼した人の容姿の特徴は?」


「30くらいの女で、ルファと名乗ってた。

 商隊の護衛をしているような身軽な服を着ていた。」


「背の高さとか髪の毛や目の色は?」


「背は俺よりちょっと高い。髪は金色で青い目をしていた。」

 髪と目はこの辺では一般的だが、女にしては背が高いな。


「後で、絵が得意な奴に、依頼した奴の顔の絵を描いてもらうから、その時に顔の特徴を詳しく教えてもらうぞ。」

 姉妹なら、ある程度顔の特徴は似ているだろう。

 本当に姉妹かどうか分からないが、接触することになっている以上、ケニーが分かるような特徴は教えているはずだ。

 ノリクの手の者を捕えるためには、準備しておく必要があるな。


「分かったよ。」


「依頼人のスポンサーについて聞いているか?」


「何も聞いていない。」

 そりゃ、ノリクとしては足がつかないようにするよな。


「この船で船員を募集しているのはどうやって知った?」


「俺に依頼したルファが募集していることを教えてくれた。」

 船員が1人体調を崩したのは、亀島北港でルファに毒でも盛られた可能性が高そうだな。


「この船で何をどうやって調べた?」


「俺は普段はオール漕ぎだから、忙しくてな。

 非番の時に、偉い人の部屋から何か聞こえてこないか聞いて回っていた。」


「何か分かったことはあるのか?」


「船にモンスターを乗せていることは分かったが、目的までは分からなかった。」


「どんなモンスターがいるのが分かった?」


「馬が3頭ほどいるのが分かった。」

 魔王達か。


「それだけじゃ、依頼報酬を貰えないだろ。」


「このままじゃまずいと思って、領主の部屋に潜り込もうとしたところを強い馬に見つかって捕まっちまった。」

 オーウェルさんはいなかったけどな。


「他に何か分かったことはないんだな?」


「ないですって。禄に調べない内に捕まっちまったんだから。」


「スレイルさん、反応はどうでした?

 パワー、何か違和感はあったか?

 アランさんは、スパイに隣の熊に意見を聞いていると言ってください。」


「一度も反応していない。」

 スレイルさんの返事が聞こえた。


「嘘をついているようには見えねえな。」

 パワーが答える。パワーの鋭いセンスにも引っかからないなら本物かな。

 俺もそう思うし。


「貴方を開放するには条件があります。

 俺が後から言う話を、調べた内容としてドンロンで接触する相手に話すことです。

 相手に無事話したことが分かるか、我々がその相手を捕えることに成功したら貴方を解放してあげましょう。

 ただし、港で自由に動けるからと言って逃げようとしたら命の保障はしません。」


「分かった。言われた通りにするよ。」

 難しいことを言われなかったからなのか、このスパイは素直に聞いてくれそうだ。


「港で相手に話す話は整合性を持たせないといけないので、考えてくる。

 また、後で。」

 俺はスパイにそう言って、部屋を出た。

 戻って船長と相談する。



「尋問してきました。

 スパイは観念しているみたいです。

 ドンロンの港で接触してくる相手に、俺が言う偽情報を渡してもらいます。

 それと同時に、接触してくる相手の捕獲を狙います。

 無事相手に偽情報を渡すか、接触相手を捕えることに成功したらスパイは開放することにしました。」


「ドンロンの港で自由にさせたら逃げ出したりしねえのか?」

 船長の危惧は勿論分かっている。


「逃げたら殺すと脅しておきました。

 匂いは覚えましたので、最悪でも追跡して捕らえます。」


「それならまあ、仕方ないか。

 で、どんな偽情報を渡すんだ?」


「それを相談するために、戻ってきました。

 領主のオーウェルさんが五島諸島に行ったそれっぽい理由が欲しいですね。」


「五島諸島に軍事支援を要請したが、いい返事は貰えなかったとかじゃダメか?」

 船長が言う。


「いいですね。それでいきましょうか。

 ただ、成果も何もなく帰るのも怪しいですから、協力してくれる冒険者を船に乗せてエルモンドに向かっているくらいは話しておきましょうか。

 向こうはリバイアサンが撃退されたことを知っているはずですから、強力な何かが船に乗っていないと整合性が取れませんし。」


「だとすると、どんな冒険者か何も知らないのはまずいんじゃねえか?」

 船長の言うとおりだな。


「我々キリン・ナイトメア・ペガサスだと言ってもらっていいのではないか。

 いずれいることは分かるのだし、父のカモフラージュになるからな。」

 アウルスさんが言う。

 スパイが確認した馬3匹とも一致するか。


「あのスパイがモンスターの種族が分かるとは思えませんので、茶色と黒と翼のある白い馬の3匹と言うことにしておきますね。

 これで、モンスターに詳しい相手が聞けばキリン・ナイトメア・ペガサスかその進化前だと分かりますし、魔王のカモフラージュになりますので。」


「あと、問題は相手がいつ接触してくるかだな。

 その時にうまく捕まえられるといいのだが。」


「スパイには普段通り行動してもらうしかないですね。

 普段の行動について事前に話を聞いて警戒するくらいでしょうね。

 尾行がばれると接触してこない可能性がありますので。

 あと、ノリクの手の者を捕えるために、スパイに依頼人の顔の特徴を聞いて似顔絵を描きたいので、絵の得意な人はいませんか?」


「イリス、お前趣味で絵を描いていたよな?」

 船長が聞く。


「趣味程度で上手くはないですが。」

 通訳のイリスさんが答える。


「ある程度特徴が分かればいいので、スパイに話を聞いて似顔絵を描いてもらえませんか。」


「分かりました。できるだけやってみます。」


 その後、話す結果をスパイのケニーに伝え、ケニーに話を聞いて依頼人のルファの似顔絵を描き、ケニーに普段の行動を聞いた後、開放することにした。

 ケニーには、普段通り行動をするように言い含めておいた。

 イリスさんには、配れるよう似顔絵を5枚ほど描いてもらった。この世界はコピーなんてないから、1枚ずつ描かないといけない。

 また、念のためスレイルさんにケニー含め下船する全員をセンスエネミーで見てもらうことにした。

 あれこれしていると、港に到着するまで1時間を切ったと言う。

 遠くにハキルシア大陸の陸地が見えてきた。

 俺とパワーは、先にオーウェルさんに報告して港で船を待つことを伝えて、フライトで一足先にドンロンに戻った。



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