↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
エルモンドのアドバイザー
62/122

62方針相談

登場人物

ウル(主人公)狼に転生した元人間。(★4テンロウ)

パワー   ウルの仲間モンスター。(★4モサ)

オーウェル メキロ伯爵の新当主でエルモンド領主(人間)

エリーゼ  オーウェルの叔母でドンロン港領主(人間)

ドルク   エリーゼの息子で次期領主勉強中(人間)

アルシャン ドンロンの内政官の1人でウルの通訳(人間)

ジェラ   ドンロン港の衛兵隊長で治安責任者(人間)

ジェイムス ドンロンの商業ギルドマスター(人間)

バルドゥル ドンロンの冒険者ギルドマスター(人間)

 俺達は、町の巡回を一通り終えて領主の館に戻ってきた。

 巡回内容をオーウェルさんとエリーゼさんに報告する。


「まず、衛兵詰所でジェラさんに話を聞いてきました。

 ジェラさんは戦場に出向くので暗殺対策も含めて、複数体制のお願いをしてきました。

 あと、ジェラさんからスパイ対策を聞かれましたので、思いついたことを話して対策を取ってもらいました。


 次に、商業ギルドでギルドマスターのジェイムスさんに話を聞いてきました。

 3人の代表商人の交代制と言うことで、暗殺対策は大丈夫そうです。

 戦争が近いということで不足物資の調達について一応話をしてきましたが、正式依頼は改めてお願いします。

 クリード商会で内紛が起こっており、対処に苦慮しているようです。

 この件については、後程相談させてください。


 最後に、冒険者ギルドでギルドマスターのバルドゥルさんと話をしてきました。

 こちらも副マスターのアルシャンさんとフィーナさんがいるということで暗殺対策は大丈夫そうでした。

 ただ、戦争が近いということで多くの冒険者・モンスター使いがドンロンを脱出しています。

 この件についても後程相談させてください。

 逆にこの時期にドンロンにやってくる人は怪しいので、ジェラさんに報告して警戒してもらうことにしました。

 報告の概要は以上です。」

 俺はまず全体内容を報告した。


「お疲れさまでした。

 クリード商会のご子息二人が相手をライバル視して、譲らないみたいで当主のダリス殿も苦慮しているようですね。

 領主だからと言って、私が勝手に跡取りを決めるわけにもいきませんし。」

 まあ、そりゃそうだよな。


「どちらかに決めても、もう片方が何か問題を起こしそうですね。

 例えば、ノリクから声がかかってノリクに通じるとか。」

 俺としては、これを一番心配している。


「店を2つに分けちゃダメなのか?」

 パワーが言ってくる。

 パワーの素朴な疑問は結構参考になることが多い。


「パワー、それはありだと思うぞ。

 それなら、店を2つに分けてそれぞれに継がせて、クリード商会はギルドマスターのローテーションから外れてもらうかな。

 将来的に残りの2つの大商人並みに実績を積んだら、新たにローテーションに入ってもらうという感じで。実力に差があれば片方しか入らないということもあるでしょうが。」


「以前、ダリス殿もそれを考えたみたいなのですが、店をどう分けるかで揉めて流れましたね。

 クリード商会は、エルシアと五島諸島にも店を持っていますが、本拠のドンロンをどちらが継ぐかで折り合いがつかなかったみたいで。」


「分け方の問題なら、ドンロンにもう1つ店舗を作れないですかね?

 1人はエルシアか五島諸島の好きな方とドンロンの規模が小さな新店舗。

 1人はエルシアか五島諸島の残った方とドンロンの今の店舗。

 これで選ばせては?」


「微妙な線で分けましたね。

 これなら当事者は迷うかもしれません。

 一度、ダリス殿を呼んで、話をしてみますね。

 以前、ご子息2人と個別に話したことはあるのですが、兄のデニスも弟のナリスも、自分の方が優れているから、相手が店を継ぐのが許せないという主張でしたので、店の分け方で折り合えば収まるかもしれません。」


 ここまでこじれた以上、領主としては話し合いはやっているよな。


「ただし、積極的にエルシアを選んだほうは注意しておいてください。

 本拠をエルシアに移してノリク側に着く可能性もありますので。

 本当は、当事者にそれぞれ話を聞いて落としどころを探すのが一番いいのですが。」


「そうですね。注意はしておきましょう。

 明日にでも、ダリス殿には話をしておきますね。」


 とりあえず、1つの案は出したから、これでうまくいくかどうか試してもらおう。


「次に、冒険者ギルドについてですね。

 ドンロンのギルドメンバーは元は150人ほどいたみたいですが、既に1割ほどがドンロンを脱出しています。

 エルモンドの方の状況は分かりますか?」

 今度はオーウェルさんに聞く。


「エルモンドの冒険者ギルドは60名ほどですが、今のところ脱出したという話は聞いていません。直近状況の再確認が必要ですが。」


「メンバーは、モンスター使いが多いのですか?」


「冒険者の内、モンスター使いは14名ですね。」


「冒険者もそうですが、エルモンドは町の規模にしては少ないですね。」


「エルモンドは地理的に最奥地ですから護衛依頼がドンロン向けしかないので冒険者が少ないのです。交易の要所のドンロンの方が護衛の依頼は多いですからね。

 エルモンドには、以前はモンスターの訓練・進化施設もなくて、モンスター使いはドンロンまで行っていたのです。

 ギルドメンバーのために、父が建設してメキロ家で運営をしています。」


 それで、エルモンドの方がコーチが少ないわけね。

 先代は、人を集める政策も色々していたわけか。大きな効果が出てるとはいいがたいけど、小さなことの積み重ねが大事だからな。


「先代がやっていたような投資は大事ですね。

 当面の課題は人材流出対策と、今いるメンバーで戦争時にどのように協力してもらえるか、そしてスパイ対策ですね。

 メキロ家は近々で戦争経験はありますか?」


「200年以上前の帝国の設立期にあったくらいで、経験がないと言っていいです。

 帝都方面は、過去に2回大きな反乱が起こっているのでその時の経験があるでしょうが。」


「経験がないなら、過去の常識に囚われずにやりたいことができますね。

 メキロ家はお金の備蓄には余裕がありますか?」


「父がかなり蓄えてくれてましたので大丈夫です。」


「それじゃあ、俺が考えている案を言いますね。

 ドンロンとエルモンドのモンスター使いを含む冒険者から軍への志願を募ってください。

 軍に志願すれば、継続的に給料を払いますと。

 冒険者としては安定収入が得られますから、これで迷ってる冒険者をある程度引き止められると考えています。

 金額はその人の実力にあわせて傾斜配分にします。

 メキロ家が冒険者ギルドに来る依頼を全部引き受けて、依頼人から報酬をもらいます。その報酬は冒険者への給料の一部に充てます。

 そして、受けた依頼を志願した冒険者に任務として割り当てて対応します。

 戦争になったら、任務として敵の補給部隊の襲撃とかもやってもらいます。危険な任務もありますので、任務で戦死した冒険者がいた場合、残された家族の一生の生活費の面倒を見ることにします。

 あと、メキロ家で宿屋を借り受けて、志願した冒険者は無料で宿泊できるようにします。また、志願したモンスター使いは、モンスターの訓練・進化の費用を免除します。

 基本冒険者は宿で待機することになるので、外出するときに行先と帰宅時間を申請するようにしておけば、スパイがいても動きにくくなるはずです。」


「すごい。

 これなら、全ての課題に対応できていますね。」


 五島諸島での討伐隊を参考にしただけだけどな。

 討伐隊のシステムがある時点で、魔王が頻繁に出現する五島諸島の方が戦争経験は多いということだろう。


「相当なお金がかかりますよ。」


「実質200人の冒険者を雇い続けるということですよね。

 それくらいなら何とかなります。」


 オーウェルさん、計算が早いな。決断も。さすがに貴族の当主だけのことはあるな。


「ギルドマスターには、そのまま軍の指揮官になってもらいたいですね。

 実質、冒険者ギルドを丸ごとメキロ家の軍にしてしまうということなので。」


「ギルドマスターに話してお願いしてみますね。

 ドンロンの方は、叔母さんにお願いできますか?」


「分かったわ。こちらは、明日にでも話をしてみるわ。」

 これで、冒険者ギルド問題もまずは俺の案を試してみることになった。


「あと、他にも聞きたいことあるのですがいいですか?」


「なんでしょう?」


「一度ハキルシア帝国の全体地図を見せてください。」


「手元にありますよ。目の前に広げましょうか。」

 エリーゼさんはハキルシアの全体地図を出してきて、俺の前に広げてくれた。


 ハキルシア大陸は、帝国中央部にはウラル山脈があり、帝国の東と西を隔てている。

 エルモンドは山脈より東側、帝都及び4属国が西側にある。

 面積は西側の方がやや広いが、縮尺は余りあてにしない方がいいかも。

 ウラル山脈の南側にエルシアの港があり、帝国の流通の要となっている。

 ウラル山脈の北側を含むハキルシア大陸最北部は永久凍土になっており、人間は住んでおらず、軍の進軍はできない。

 そのため、エルシア近辺を通過しない限り、大陸の東側と西側は陸上からお互いに攻めることはできない。


「先代の反ノリク貴族連合って、山脈東側のどれくらいを占めてますか?」


「東側全部が連合でしたよ。」


「そうなんですね。

 それなら、東側で連携が取れれば守りやすそうです。

 とは言え、ノリクを倒すためには、エルシアを越えて西側に攻める必要がありますね。」


「エルシアは、帝国の交通の要所ですからね。」


「エルシアの領主は誰ですか?」


「エルシアは自治領なので、領主はいません。

 今は7大商人の合議で政治的な決定を行ってます。

 大商人の数が増えたり減ったりはあるようですが。

 過去に当時の皇帝が直轄領にしようとしたことがあったのですが、皇帝の謎の急死で計画は頓挫したようです。」


 絶対に暗殺だよな。

 これ、エルシアってかなりの力を持ってるんじゃ。


「エルシアは帝国に納税しているのですか?」


「一応、納税はしているみたいですね。

 ただし、特例で軽減されているみたいですが。」


「山脈の東側を纏めることができたら、エルシアに独立してもらって対等同盟を結べませんかね?」


「我々が負けないと分かれば可能性はあるでしょうね。

 納税がなくなるメリットは大きいでしょうから。」


「そう言えば、リッチモンド家の本拠のカージリアは全体図で見ると近いのですね。

 山脈の東側には結構多くの小貴族がいるということですか?」


「いますね。

 昔は、東側は帝都から左遷された貴族の行き場でしたから。」


「ノリク的に行くなら、リッチモンド家を倒して東側を全部メキロ家の支配下にして、エルシアと同盟結ぶところまで行ければ、帝都側とも対等に戦えそうですけど。」


「それでもまだ厳しいような。

 国力的に西側6割強・エルシア1割弱・東側3割弱といったところです。」


 守ることはできそうだが、攻めるのはきついか。

 だが、当面の目標が見えてきたことは大きい。


「それでも、まずはそこを目指すしかないですね。

 リッチモンド家と戦うのか協調するのかは相手次第ですが、東側全体を1つにまとめるのは必須事項ですね。」


「ウル殿と話して、希望が見えてきましたよ。」

 オーウェルさんが言う。

 俺的にもようやく希望が見えてきた。ノリクがそんなにうまくはいかせてくれないと思うが。


「そのあたりは、リッチモンド家の調査の結果見てからの対応ですね。

 あと、ジェイムズさんからケルティクに一度来てほしいと言われました。

 エリーゼさんの諜報関係ですか?」


「よく分かりましたね。

 オーウェル、話しておいてくれるかしら。」


「分かりました。」


 まあ、予想通りか。


「あと、機会があったら一度ドルクさんに会ってみたいのですが。」


「そうね、ドルクも一度ウル殿・パワー殿に会った方が刺激になるかもしれないわね。

 アルシャン、ちょっと呼んできてくれないかしら。」


 今すぐかい。まあ、話が早くていいけど。


 少し待つことになったが、15歳の少年が入ってくる。


「ドルク、紹介したい人がいるの。

 オーウェルのアドバイザーをしている★4テンロウのウル殿と

 エルモンドでモンスター部隊を率いることになった★4モサのパワー殿よ。」

 エリーゼさんが、俺達を紹介してくれる。


「ウルです。」


「パワーだ。」


「ウル殿、パワー殿、初めまして。ドルクです。

 お待たせしました。

 モンスターと会話する魔法を準備するのに時間がかかりましたので。」

 アルシャンさんから話を聞いて、急いで準備したのか。

 でも、モンスター相手でも住人みたいに偏見がないのは立派だ。


「モンスターが相手でも驚かないのですね。」


「アルシャンさんから、予め話は聞きましたし、

 冒険者ギルドと関わると、モンスターと会話する機会は多いですから。」


「モンスターとどんな話をするのですか?」


「餌の量が少ないとか、マスターが1人で外へ出て行ってなかなか帰ってこないとか、僕に色々言ってくることがありますので、マスターに話して改善してもらうことが多いです。」


「モンスターの不満を解消する手助けしてるのですね。大事なことなので、これからも是非お願いします。」


「1人で出かける奴って誰で、どこに行ってたんだ?」

 パワーが聞いてくる。


「ザリアさんですけど。ちょっと散歩してただけと言っていましたよ。」

 これは、まさか。


「そいつ、スパイかもしれねえぜ。」

 だよな。

 パワー鋭いぞ。


「僕の話だけで分かるんですね。すごい。

 確かに、仲間の★2サーベルタイガーは連れて歩くと目立ちますね。」


「ドルクさんは、衛兵隊とも話しますよね。

 明日にでも隊長のジェラさんに状況を話して、警戒してもらってください。」


「分かりました。」

 顔見せして、どんな人が知っておこうくらいのつもりだったけど、思わぬ収穫があった。


 今日は、こうして1日が過ぎた。

 明日は、この町のコーチと技の教え合いをしよう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。