60ドンロンの港
登場人物
ウル(主人公)狼に転生した元人間。(★4テンロウ)
パワー ウルの仲間モンスター。(★4モサ)
スレイル レオニエル三兄弟の長男(★5キリン)
アウルス レオニエル三兄弟の次男(★5ナイトメア)
ローラン レオニエル三兄弟の三男(★5ペガサス)
オーウェル メキロ伯爵の新当主でエルモンド領主(人間)
エリーゼ オーウェルの叔母でドンロン港領主(人間)
ドンロンの町に着いたが、予定日の2日前ということもあり、まだ船は到着していなかった。
オーウェルさんは、俺達を叔母のエリーゼさんに紹介したいというので、館について行く。
俺達は、領主の私室に案内された。
「オーウェル、よく来ましたね。
ノリク相手によくやってますね。」
「私自身は何もしていないです。
今日は、私のアドバイザーになっていただいた★4テンロウのウル殿と、モンスターを率いていただくことになった★4モサのパワー殿を紹介しに来ました。」
「ウル殿、パワー殿、活躍は聞いています。
オーウェルを支えてやってくださいね。」
「はい、もちろんです。」
「俺様に任せとけ。」
しばらく紹介とちょっとした雑談の後、俺は色々聞きたいことがあるので、エリーゼさんに質問することにした。
「エリーゼさんにもお聞きしたいのですが、リッチモンド家はノリクとの対決時に全面協力してくれそうですか?」
俺は、違う視点からの情報も知りたかったので聞いてみた。
「戦争の準備をしている感じはしますね。オーウェルには何か言ってきてますか?」
「いえ、特に何も。」
オーウェルさんが答える。
俺の中でリッチモンド家が敵になる可能性が高まった。
「俺がノリクなら、リッチモンド家に、メキロ家を滅ぼしたら近隣一帯を領地としてやるぞとか言いますけど。
ついでに、近隣の小貴族にリッチモンド家に協力しない貴族は滅ぼすぞとも言いますね。」
「ウル殿はその可能性を考えたから、昨日私にリッチモンド家を探るように言ったのですか?」
「ええ、そうです。
ただ、リッチモンド家が何も言ってこないのは気になります。
こちらを攻めるにしても戦争の準備が知られると怪しいので、形だけの協力依頼くらいは言ってくるかとも思いましたが。
一応、反ノリク軍の盟主になりたがっている可能性もありますが。」
「どちらにしても厄介なことには変わりはありません。
対処を考えないといけませんね。」
エリーゼさんが言う。
まあ、味方だとしてもこちらを好きに使われても困るしな。
「近隣に腹を割って話せる貴族はいますか?
ノリクから何か接触があったか知りたいです。」
「私の娘のユリアがフリーデル家に嫁いでいますので、手紙で聞いてみましょう。」
エリーゼさんから聞いてもらう方が確実かも。
親子なら日常的に手紙のやり取りをしているだろうし。
「お願いします。
あと、モンスターを避難させてきた貴族にもノリクからの接触について情報を聞いておいてください。
表向きの返事で構いませんので。
答えの数を集めれば、見えてくることもありそうです。」
「分かりました。使者を送るようにします。」
とりあえず、ノリクの動きで出来そうなことはこれくらいかな。
「そう言えば、リッチモンド家が戦争の準備をしているというのは、どうして分かったのですか?」
諜報部隊の報告だろうか?
「私も色々なところに顔が利く行商人を抱えていますので。」
なるほど、諜報部隊にも色々いるよな。
「では、お二方にお聞きしたいのですが、ノリク側の諜報部隊はどのあたりまで入り込んでいると見ていますか?」
住人が知ってる以上のところまで入られているとまずいからな。
「側近は代々仕えているもので固めてますが、あとは私の判断としか言えませんね。」
エリーゼさんが答える。
「私もなるべく信頼できる者で固めているつもりですが、住人でも知っているような内容まで隠匿するのは困難でしょう。」
「それは分かります。
オーウェルさんは、俺やパワーを1日一緒に行動しただけで信頼してくれましたけど、俺がノリクのスパイである可能性は考えましたか?」
「あれだけ、色々役に立つ助言をしてもらって、ガイアまで手に入れてもらってスパイだとは思わないですよ。」
「でも、今後そんな振りをして近づいてくるスパイが来ないとは限らないですよ。」
「油断はできないということですね。
では、今後は人の判断について、ウル殿にも相談させてもらいます。」
「今できる案として、★5キリンのスレイルさんに、新規の人にセンスエネミーでのチェックをお願いするとある程度は防げると思います。
過信するわけにはいきませんが。」
「なるほど、それはいい案ですね。
しかも、スレイル殿に隣にいてもらう必要もなく、護衛か何かで部屋の中にいてもらえれば十分ですね。」
俺としても、油断しないでいてくれればいいかとは思う。
「他にも、聞きたいこと色々あるけどいいですか。
戦争になると帝都方面との交易が途絶えるでしょうが、物資の備蓄と今後の調達に問題ないですか?」
ここは確実に押さえておきたいところだ。
「父の代から備蓄はかなり余裕を持たせています。だいたいのものは、2-3年は大丈夫ですよ。
調達についても、食料などは帝都方面に売っている方ですから、大丈夫です。寧ろ困るのは帝都側かと。
向こうは人口が多いですからね。
砂糖や塩も自給できてますし、向こうから買っているのは綿とかです。
あとは、鉄とか銅とかの鉱物質ですね。」
食料が自給できるのは大きいな。
「不足する物資は、ノリクとの戦争が長期化しても帝国外との交易で賄えそうですか?」
「綿は何とかなるでしょうが、鉱物質が厳しいですね。
それでも少しは領内で採掘できてますし、犬人との交易である程度は入ってきています。
自前の鉱山を持たないリッチモンド家はさらに厳しいでしょうね。」
「調達する方法もないわけではないですけど。
戦場で勝って、戦死した敵兵の分を奪うとかできますから。不足分の補充程度でしょうが。
今のうちから国外の調達先を確保しておいた方がいいですね。
当然ノリクには戦争準備だとばれますけど、どうせ戦争準備しているのはばれてますからね。」
「物資の調達の手配は、交易できる私がしておいた方がいいわね。」
エリーゼさんが言う。
「はい。叔母さんにお願いします。」
「俺様も聞いていいか。
戦争ってのは、モンスターはどう関わってるんだ?」
パワーが聞く。
確かにそれは重要だな。
「モンスター使いが軍の中にいて、一緒に進軍交戦するのが普通ですね。」
オーウェルさんが言う。
「モンスターだけで動く部隊とかはないですか?」
「聞いたことがないです。
そもそも限界突破種でもいなければ、部隊を統率する判断はできませんよね。」
「船を襲ってきたリバイアサンは、その気になればサーペント部隊を率いることが出来たと思いますよ。」
「今後は、ノリク配下の限界突破種が率いるモンスター部隊が敵として出てくる想定が必要と言うことですね。」
「こちらも編成するんですよ。モンスター部隊を。
例えば全員が空を飛べる部隊ができれば、活躍できるでしょ。
これからはモンスターの力も最大限に活躍させないと、戦争には勝てなくなると思います。
そのために、パワーをモンスター部隊の大将にしたんでしょ。」
「それは分かりますが、直接指示のできる人数には限りがありますので、
限界突破種の中間管理職をつけないと大規模な行軍は難しいと思います。」
「避難してきたモンスター込みで、モンスターの戦力はどれくらいですか?」
「戦力として考えていいのは百数十と言ったところでしょうか。
★4が3体、★3が20体程度で残りは★2ですが。」
「1匹でも限界突破種がいると大きいのですけど。
パワーの補佐ができると思うので。」
「多分いませんね。」
「避難してきたモンスターのコストを図ることはできないですか?
限界突破種なら、同じランクのモンスターよりもコストがかなり高いはずです。
結果、高い値が出たモンスターを個別に当たってみたいですね。」
俺は自分やパワーのコストが高かったことから、コストの高いモンスターは限界突破種の可能性があると踏んで言ってみた。
「コストで判断できるのですね。知らなかったです。
なんとか理解してもらって全員測るように手配します。
叔母さんはドンロンの方お願いします。」
「分かったわ。」
「多分だけどよ。
今日俺様と戦ったガイン。限界突破種のような気がするぜ。」
パワーが言う。
「確かにストレングスでパワー並みにでかくなっていたな。」
限界突破種はストレングスでの強化幅が大きかったから、可能性は高そうだ。
「それもあるが、なんと言うか俺様の勘だな。
一応、確認した方がいいと思うけどよ。」
ストレングスの効果のこともあるが、パワーは他人のことをよく見ている。
そのパワーが言うんだ。本当に限界突破種の可能性はかなり高いだろう。
それで、戦力が増強できるならそれに越したことはない。
「分かりました。
エルモンドに戻りましたら、本人に確認することにします。」
「お願いします。
もし、ガインが限界突破種だったらバワーの補佐に入ってもらいましょう。」
「キリン達兄弟にも頼まなくていいのか?」
パワーが聞いてくる。
「そうだな。
率いる部隊の数が増えるから、
スレイルさんやローランさんにもパワーと同じことをしてもらった方がいいな。
アウルスさんは、俺と同じことしてもらった方がいいかな。」
「なるほど、モンスター部隊の指揮はパワー殿、スレイル殿、ローラン殿。
3部隊別々に動かせますね。
アドバイザーや実務関係はウル殿とアウルス殿と言うことですね。
限界突破種が5人もいると大きいですね。」
ノリクが限界突破種を必死に集めようとしていた理由が、今更ながらによく分かった。
やはり、ノリクは先を読んで行動している。強敵だ。
「あと、ドンロンの港町にもモンスターの訓練所はありますよね。
コーチの種族を教えてください。」
「★4アヌビス★4カクリュウ★3ロシナンテ★3レオ★3サーペントの5体です。」
エリーゼさんが答えてくれた。
エルモンドより多いじゃん。
「ウル様、また技の教えあいをするのか?」
パワーが聞いてくる。
「それもあるけど、避難してきたモンスターの訓練をどうするかも考えたい。」
「ドンロンに避難してきたモンスターについては、アヌビスのストムに訓練を任せています。」
エリーゼさんが言う。
当然やってるよな。
「ストムさんって限界突破種ですか?」
「ドンロンで判明している唯一の限界突破種ですよ。」
「将来的に部隊を率いてもらう予定ですか?」
「ウル殿の話を聞いていると、考えておいた方がいいみたいですね。
一度本人に話をしてみますね。」
エリーゼさんもモンスター部隊に乗り気になってる。
「お願いします。
あと、船が到着するまでにコーチの方と技の教えあいをさせてください。」
エリーゼさんとの話が終わり、俺達は港のコーチ陣と技を教えあうことになった。




