41魔王との討論「1」
登場人物
ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★3シルバーウルフ)
レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。
リーザ レンディールの仲間モンスター。(★2イーグル)
ガルガン レンディールの仲間モンスター。(★2サーベルタイガー)
パワー ウルの仲間モンスター。(★3ポールベア)
朝になり、俺達は魔王のところに行く。
そこには、魔王とグレイファスさんが待っていた。
仲間のモンスターも一緒だ。
「よく来てくれた。
既に、グレイファスの支配は解かれている。
今日の議論に人間側の一人として参加してもらう。」
魔王がそう言うと、グレイファスさんは俺達の方へきて、ミランドさんの隣に座った。人間側の代表と言う事らしい。
モンスター側の代表は魔王とナイトメアの2匹。俺が中立代表と言う事だろうか。
キリンとペガサスは見回りなど他の用事があるということで参加しないらしい。
参加するのかどうかわからないがテンマが2匹後ろに控えている。
「パワーも思ったことあったら言ってくれよ。」
俺はパワーに言う。
「分かったぜ。何だかわくわくするぜ。」
パワーが答える。一応パワーはモンスター枠になるのかな。
最初にメンバー全員の自己紹介をする。名前と種族だけだが。
「では、はじめようか。
どこから話していいか決めないと議論が飛びそうだからな。
まず1つ議題を決めることにした。
『人間とモンスターが支配契約をする必要性というかメリットについて』だ。
人間はモンスターと契約して支配し、連れて回っているな。
では、人間とモンスターの両方の立場から、人間とモンスターが契約をするメリットを教えてほしい。」
魔王が議題を出す。
「契約しておかないと何かあった時襲われたりするからでしょうか。」
ミランドさんが言う。
「それは人間の立場から見たメリットだな。モンスターの立場からはどうかね?」
魔王が言う。
一瞬の沈黙が流れる。
「俺がこの世界に来て右も左も分からない時に、契約することでご主人様について行き、人間の庇護を受けることができました。」
俺が答える。
野生で生きていけないモンスターが、契約することで安心して人間の庇護下に入ることができるというのはモンスターにとっても確かなメリットのはずだ。
「つまり、ウル君はモンスターにも人間の庇護が必要な間は契約するメリットがあると言いたいわけだな。」
魔王が確認してくるので俺は肯定する。
「では、今はどうだ。
今でも人間と契約するメリットがあると感じているのかね?」
魔王が再び聞いてくる。
「ないですね。
今現在は契約してませんし、既にご主人様とは信頼関係がありますので、契約関係がなくても困ってません。」
俺は正直に答える。
「では、この中に現在契約していないモンスターは君以外にいるのかね?」
魔王が聞いてくる。
「いませんね。アレフさんはどう?」
ご主人様がアレフさんに振る。
「僕も契約したままだよ。」
アレフさんが答える。
「この件を議題に上げたのは、モンスター側のデメリットについて知ってもらいたかったからだ。
人間とモンスターが契約すると、支配する側とされる側の関係になる。そして、支配される側はその後に不満が出ても支配する側が対応を変えない限り、その状態から脱することができない。
最悪逃げるという選択肢は残されているが、それで契約状態が解除されるわけではない。
我々が攫ったモンスターは、そのような状態だった者ばかりだ。
人間側としては、それに対してどういう対策を取っているのかね?」
魔王が聞いてくる。
「そう言われると、難しいわね。
私はそんなことにならないように、日頃から契約したモンスターとは話をするようにしてきたけど。」
「僕もそうだよ。」
ご主人様とアレフさんが言う。
「ここにいるのは、モンスター側から見て理解のある人間ばかりと言うことだな。
では、予想を聞きたい。
私は昨日、元の契約主が来て、契約のない状態でモンスター本人が帰りたいと言ったら攫ったモンスターを帰そうと言ったが、皆が素直に帰ると思うかね?」
魔王が別の聞き方をしてきた。
「難航するでしょうね。殆どが帰りたくないと言ってもおかしくないですね。」
俺が言う。
「ウル君は、それでも私の方針に賛成するのかね?」
「ええ。モンスターを大事に扱ってこなかったマスターにはこの機会に反省してもらいたいと思いますので。」
「ウル、最後まで帰さないと問題になるわよ。」
ご主人様が言う。
「ご主人様は、今の状態で攫われたモンスターを返しても、そのモンスターが不幸になるだけだとは思いませんか?」
「それは分かるわ。
だけど、元マスターがセンターに被害届出して魔王討伐と言う話になると厄介じゃないかって。」
「……俺の考えすぎかもしれませんけど。
でも、どちらも引かずに突っ走った結果が、30年前だったんじゃないですか?」
「かと言って、今ここで私達だけが納得したとしても、人間側の政治システムは変わりませんし。」
ミランドさんが言う。
「たまたまここに来た数人の人間に、人間側のシステムを変えてもらうことは難しいと言うのは分かっている。
だが、攫われたモンスターを返すにあたって、そのような事態になった人間に今回の問題はきっちり話して貰いたいのだ。
今後同じような問題が少しでも減るようにな。」
魔王が言う。
「そうですね。一職員の立場ではシステムを変える事はできませんが、事情は分かりましたら、この件についてはしっかり対処します。
ただ、対処するからには、攫ったモンスター達に事情というが言い分を聞きたいのですが。」
ミランドさんが続ける。
「分かった。
では連れてこよう。」
魔王がそう言うと、ナイトメアが攫われたモンスター達を連れて来た。
ミランドさんが全部で11匹いるモンスターに事情を聞いて行く。
酷い奴もいた。
支配契約でモンスター側が攻撃・反撃ができないことをいいことに虐待していたのだ。
自分の気に食わないことがある度にモンスターを虐待していたらしい。
これはしっかり指導しないといけないとミランドさんは怒っていた。
モンスター使い側の言い分も聞いた上でだが、
状況によっては上に掛け合って、モンスター使いの認可の取り消しも検討するそうだ。
余りの状況に、ご主人様やアレフさんグレイファスさんも怒っていた。
魔王もこういうパターンを危惧しているのだろう。
センターがしっかり対応してくれそうなのでよかった。
幸い、このパターンは1匹だけ。
一番多いのは、
モンスター使いが自分より明らかに強そうな敵と頻繁に戦わせる。
とか、
移動するときに休みなしでずっと走り続けさせられる。
とか、
事情は分かるがモンスターに無茶な命令をさせているパターン。
ミランドさんは1人ずつ呼び出してしっかり指導するという。
注意勧告程度らしいが。
ただ、中にはこんな奴もいた。
「ご主人が餌を少ししかくれない。」
そう言うのは★3ダイアウルフだ。
一目見て思ったのだが、お前、太りすぎだろ。
確か、メディカル医院に飼われていた奴だよな。
ご主人様は、お前の健康のために餌を減らしたんじゃないの。
ナイトメアに聞くと保護した「攫った」時によりさらに太っているという。
こんな奴もいるとなると、人間側が100%悪いという訳でもなさそうだ。
1件ずつしっかり確認が必要だな。
「とりあえず、連れ去った11匹については、私が責任を持って対処しますので、話し合いが終わった後連れて帰りますが宜しいですか。」
ミランドさんが確認を取る。
魔王が了承して、まずこの件についての話が終わった。




