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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
モンスター使い
33/122

33コーチブランカ(1)

登場人物

ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★3シルバーウルフ)

レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。

リーザ    レンディールの仲間モンスター。(★2イーグル)

ガルガン   レンディールの仲間モンスター。(★2サーベルタイガー)

パワー    ウルの仲間モンスター。(★3ポールベア)

 翌日、パワーの訓練に行く。

 訓練場所が、センターの裏の海である。

 この町のセンターは港から少し離れたところにあるので、人工的でない岩場になっている。


「こちらが本日のコーチのブランカです。」

 センターの担当者がポールベアのコーチを紹介してくれる。


「あら、いい男じゃない。」

 今回のコーチは雌らしい。パワーを見る視線が怪しい。


「ご主人様、今回のコーチは大丈夫でしょうか?」

 真面目に教えてくれるのか心配で、俺はご主人様に聞いてみた。


「センターでコーチをしているなら大丈夫だと思うけど・・・」

 ご主人様も断定できないところを見ると、心配はしているようだ。

 まあ、俺達が立ち会っているのだから変なことにはならないだろう・・・と信じたい。

 しかし、泳ぎの練習のためすぐに2匹とも海の中に入ってしまった。

 変なことになっていたら抗議しよう。

 そう思っていたのだが、しばらくして海面をすいすい泳いでいるパワーの姿を見て、センターのコーチをやっているだけあって、真面目に教えてくれてはいるようで安心した。


 その後、予定していたウォーターブリーズとフィッシュムーブを無事覚え、すごいスピードで海上を移動するパワーの姿を見て、俺の心配は杞憂に終わったと安心した。


「パワー、コーチに変なことされなかったか?」

 訓練が終わった後、俺はパワーに聞いてみた。


「訓練は真面目に教えてもらったぜ。終わっあと、予定がない時に一緒に泳ぎに行かないか誘われたけどよ、虎島に戻ると答えたら、残念がってたぜ。」

 やっぱりパワーを狙っていたんだ。確かにパワーはコーチよりでかいし、異性から見ても魅力的なんだろうなあ。とりあえず、パワーが無事でよかった。



「ご主人様、3レベル技2つの指導料は結構な出費でしょう。

 この時間だと微妙かもしれませんが、依頼を見に行きませんか。」

 俺は、技の訓練の相場を知ってしまったので、今回のパワーの技の習得でご主人様の懐具合が厳しくなっていることは容易に想像がつく。折角なので、この町でも依頼を受けて稼いでおいた方がいいと思ったのだ。


「そうね。この時間だと護衛の依頼はないでしょうけど、探しに行きましょうか。」


 センターはモンスターの訓練だけでなく、モンスター使いへの依頼の斡旋もしている。

 一般の人々も困ったことがあったらセンターに依頼を出す。センターは受け取った依頼の内容を公表する。

 モンスター使いは公表された依頼内容や報酬を検討して、その中からこれはと思った依頼をこなして報酬をもらう。

 センターは、こうやって依頼主とモンスター使いを取次する仕事もやっているのである。

 センターとしても、依頼主から若干の掲載料を貰っているが、依頼主もモンスター使いもとりあえずセンターに行けば相手を見つけるとことができるのは便利ということで、何かあればセンターに行くという図式が成立している。


 とは言え、今は午後の中途半端な時間帯。依頼を受けるのは早い者勝ちなので、いい依頼は既に他のモンスター使いに取られてしまっている可能性が高い。いい依頼がなければ明日の朝もう一度探しに行くが、この時間でも何かあるかもしれないので、とりあえずセンターの掲示板に依頼の確認に行った。


 依頼日の古いのは誰も受けたがらない美味しくない依頼だろうから、依頼日が新しいものから順番にチェックしていく。


 1件目

 依頼主魔術師ウーデット

 実験の助手募集、危険なし、若干の魔術知識必要、報酬1人1日100ジュエル。

 実験完了した場合追加報酬全員で5000ジュエル。


 数日以内に完了できるならかなり美味しいかも。だけど魔術知識と言う時点でモンスター使い限定だよね。仲間のモンスターは難しいよね。実質俺とご主人様だけしか助手はできそうにもないからちょっと厳しいな。俺ですら無理の可能性もあるか。


 2件目

 依頼主マーチャ商会代表マーチャ

 娘の飼っていたダイアウルフが脱走したので捕まえてほしい。

 場所を突き止めたら報酬1000ジュエル。

 連れてきてくれたら報酬2500ジュエル。


 ダイアウルフって★3モンスターをペットにしていたのか。

 逃げ出したということは、契約していなかったのだろう。

 俺の知る限り、契約したモンスターが主人から離れることはないはずだ。

 襲われなかっただけ運がよかったのじゃないだろうか。

 成功限定報酬は外す可能性があるから出来れば避けた方がいいかも。

 他にいい依頼がなかった時にもう一度考えよう。


 3件目

 依頼主アムル・スミス

 替えの効かない大事な宝石を港の海に落としてしまったので探してほしい。

 見つけてくれたら2000ジュエル支払います。


 これも成功限定報酬かあ。だけど水中を自由に泳げるパワー向けにはいいかも。

 少なくともどこにいるのか分からないダイアウルフよりは探しやすい気がする。

 問題は海底を探すわけだから、パワーしか役に立たなさそうなこと。

 

 とりあえず、依頼日が今日のものはこの3件か。

 昨日までの依頼もちらっと見るが、やはりあまり美味しくなさそう。とりあえず、今日の3件から考えてみることにする。


「パワーに港の海底の宝石を探してもらいつつ、その間に俺とご主人様で魔術師の助手をしようかと思ったのですけど、魔術師の依頼、俺でもできるかなあ?」

 俺はご主人様に聞いてみる。


「精神技が使えて人間並みの知性があれば大丈夫な気がするけど、実際に行ってみないと分からないわね。」


「もし、ダメなら俺はガルガンとリーザを連れてダイアウルフを探しに行きます。

 ご主人様に依頼を受ける時だけ話してもらえればいいので。」


「ウル、3件同時に受けるとか、かなり欲張ったことするのね。」


「同時進行できれば、同じ日数でもたくさん稼げるでしょ。

 俺にも助手ができそうなら2件にして、ガルガンとリーザにはパワーとの連絡調整してもらう感じでいいですか?」


「そうね。それじゃあ、まずアムルさんのところに行きましょうか。」


 俺達は依頼書に書いてある住所に向かう。

 アムルさんは、一見どこにでもいる普通の青年に見える。


「センターから派遣されたレンディールです。依頼を受けるためにやってきました。」

 ご主人様が依頼を受ける交渉をするので、まずは、黙って聞くことにする。


 アムルさんはこの港の商人のようだ。

 近日結婚する予定だが、貰った大事な婚約指輪を港に落としてしまったとのこと。

 ご主人様が落とした日時と詳しい場所、指輪の特徴を聞いていく。


 貰った日の帰る途中で落としたとのこと。そそっかしい人には見えないけどなあ。

 ご主人様は現場に案内してもらうことにしたようだ。

 人工的な港の海辺。足場もしっかりしているし、滑って転ぶような場所じゃない。


「落としたのはこのすぐ下ですか?」

 転んで海に落としたとしても、そんなところだろうな。


「いや、ここから沖の方へ数十メートル行ったあたりだと思います。」

 怪しい。自分で指輪を海に投げでもしない限り、そんな場所に飛んで行かない。


「ご主人様、指輪を落とした時の経緯を聞いてもらえますか。怪しいです。」


「アルムさん、転んで落としたとしても、そんな向こうに指輪が行くわけないでしょう。

 いったい何があったのですか?」

 ご主人様も俺と同じこと怪しんでいたみたいだ。


「指輪を奪われて、その方向へ投げられたのです。」

 まあ、そんなところだろうな。

 相手は恋敵とかそのあたりか。


「いったい誰に?」

 ご主人様の追及が始まる。


「それは依頼とは関係ないような。」

 アムルさん、なぜ隠すのだろう?


「いいえ、関係あるわ。そのあたりの事情によっては探す場所が変わったりすることだってあるのよ。」


「私は指輪を探してもらうお金を払うのが精一杯で。」

 一介の商人には2000ジュエルは結構な大金だよな。今回どうしても困って貯金を使って依頼した感じか。

 結婚後に新しい家庭のやりくりするのに、ある程度の貯金は残しておきたいだろうし。

 確かに下手に依頼が増えて追加報酬とか言われたくないのかもしれない。

 でも、それなら、追加報酬は貰わないと言って安心させてあげれば一発だな。


「報酬のことは心配しなくてもいいわ。

 2000ジュエルで、私たちができるところまで面倒を見てあげるから、正直に話して。」


 お金には細かいけど、俺はご主人様ならそう言ってくれると思ってた。

 出来ることなら、依頼人の心配事まできっちり済ませて清々しい気持ちで終えたいからな。


「マーチャ商会の若旦那でゲルマです。

 ゲルマも私の婚約者のアイリアを想ってたみたいで、婚約を破談にしようとして部下に私を襲わせて指輪を奪ったのです。」

 うわっ、マーチャ商会の名前が出てきた。逃げたダイアウルフも何か関係しているのだろうか。


「話してくれてありがとう。

 今回のことはマーチャ商会の大旦那も知っていることなの?」

 確かにそれによって、対応が変わってくるよな。


「多分知らないと思いますけど、大旦那は若旦那に甘いので。」

 厄介なパターンが来た。


「ご主人様。とりあえず、アムルさんの婚約者に真相を話して巻き込んで、みんなで抗議に行ったらダメですか?」


「それがいいと思うけど、まずはアムルさんの了解取らないとね。」


「あの、その狼と話をしているのですか?」

 俺はもうアムルさんの話を全部理解できるけど、アムルさんからすれば、俺が横でガウガウ言ってるのは意味不明だよな。


「私はモンスター使いだからモンスターと話せるのよ。

 この子は賢いから、アムルさんの話聞いて具体的な案をくれたりするのよ。

 えっと、マーチャ商会は大きな権力を持っていたりするのかしら?

 私は虎島が拠点だからこの辺りには詳しくなくて。」

 ご主人様は、マーチャ商会の力を確認してからにするつもりみたいだ。


「この町の3大商人の1人です。

 この町は、表ではセンターが治安の権限を持っていますが、マーチャ商会が裏で何か力をもっているかどうかまでは分かりません。」


「それとも、センターに話したらダメ?

 向こうがやったこと、はっきり言って強盗ですよ。」


「アムルさん。まずは、センターに被害届を出しに行きましょう。

 あと、どこかで婚約者にも事情を話しておいてください。あなたは何も悪くないのだから、堂々として。」


「分かりました。私のことを真剣に考えてくださってありがとうございます。」

 アムルさんも、センターに話に行くことは納得してくれたようだ。


「パワー、俺達は今からセンターに行くのだけど、その間に指輪を探せないか?」

 俺はパワーに聞く。


「ウル様、分かったぜ。俺様に任せてくれ。」

 パワーはそう言うと、海に飛び込んで指輪を探しに行ってくれた。


 アムルさんを連れて俺達はセンターに戻る。

 町の中のいざこざに対応する治安担当の窓口にやってきた。


「あらっ、パワーの仲間じゃない。パワーはいないの?」

 順番待ちをしていると、ポールベアのブランカコーチが声をかけてきた。

 パワーがいなくて良かった。と言うより、なんであんたがここにいるんだ?


「いや、ちょうど貴方達がここに入っていくの見かけたから、顔を出そうかと思っただけよ。

 パワーはどうしたの?」

 ブランカがパワーについて突っ込んでくる。これは、パワーは相当狙われているな。


「別の場所で探し物中。」

 俺は最低限のことだけ答える。


「パワーだけが探し物?ってことは、水中でしょ。ずばり、海中。指輪でも探しているの?」

 なんなんだこいつ、エスパーか?

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