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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
モンスター使い
29/122

29再び技の選択

登場人物

ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★3シルバーウルフ)

レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。

リーザ    レンディールの仲間モンスター。(★2イーグル)

ガルガン   レンディールの仲間モンスター。(★2サーベルタイガー)

パワー    ウルの仲間モンスター。(★3ポールベア)


 俺達は、限界突破種密輸事件を解決し、久々に拠点である虎島北町に戻ってきた。


 そして、マイケルさんから事件の顛末について聞いた。


 犯人の使っていた虫は解析に時間がかかるみたいだ。

 ただ、調査の結果、事件の黒幕はハキルシア帝国の宰相ノリクだと判明した。

 ノリクは虎島以外でも限界突破種の捕獲を企てたようだが、全て阻止されたようだ。

 だが、ノリクは幼い皇帝を傀儡にして実権を握っているようで、センターとしても強く出ることができないらしい。


(帝国内部で、ノリクって奴の罪状をぶちまけちゃダメなの?)

 俺的には権力で自分の悪事を握りつぶす奴と言うのは気にいらない。


「反ノリク派のメキロ伯爵がそれをするつもりみたいですね。

 メキロ伯爵の配下の方が、五島諸島での情報収集中に限界突破種の密輸未遂の1件を解決してくれたことから、センターも今回の一連の事件の情報を伯爵側に渡すことにしたみたいです。

 配下の方が帝国へ帰った後、どうなるかですね。

 海を隔てた隣とは言え、帝国は遠いですし、状況が動くのは当分先でしょうけど。」


 とりあえず、公表することにはなるのならいいか。

 まあ、向こうの国のことは、向こうの国で対処してもらうのがいいよな。


「事件の話はこれくらいにして、報酬の技を覚えさせてもらう話したいのだけど。」

 ご主人様が話を変えた。

 話は大きそうだけど、終わった事件について俺達がこれ以上できることはないからなあ。


「ジュエルの報酬は既にお渡しましたので、あとは8レベル分のスキル習得ですよね。分かってますよ。

 コーチのスケジュールの空いている時でお願いしますが、もう決まりましたか?」


「いや、実はポールベアのコーチって虎島にいないことが分かって相談しようかなと。」


「別の街のセンターでの習得は勘弁してください。

 とりあえず、ポールベア以外の技だけをここで覚える形でお願いします。」

 そりゃマイケルさんとしても約束が違うと言いたいだろうな。


「やっぱりだめですか。一度その方向で考えてみるわ。」

 ご主人様も無理は言えないと分かるとあっさり引いたようだ。


 俺達は一旦部屋に戻り、俺はご主人様と技の習得について相談する。


「パワーの技は、隣の馬島まで行かないと覚えられそうにないのよね。

 馬島にはポールベアのコーチがいるから、好相性技は全部覚えられそうだけど。

 この町にはシルバーウルフのコーチがいるから、まずは、ウルの技から決めていきたいのだけど。」


 俺に技を教えてくれたアリスト師匠元気にしてるかな。

 師匠に教えてもらったホールドはちゃんと活用しているぜ。


 まずは、シルバーウルフの好相性技から検討することにした。


 シルバーウルフの精神系の好相性技(名前の前の数字は技レベル・★は進化前ウルフの好相性技)

 回復系…★2ヒーリング・3リジェネレーション・3クリアランス

 攻撃系…★1サンダー・3ライトニング

 浄化系…3ターンアンデッド


 ヒーリングってウルフの時から好相性技だったんだ。

 やはり、シルバーウルフは回復技に長けているだけあって回復技が多いな。

 ライトニングはサンダーの上位技だろう。好相性技ならサンダーを使いまくっているうちに覚える可能性もあるし、後回しでいいな。

 クリアランスは、軽度な状態異常を全て治療する技らしい。軽度であれば、毒でも麻痺でも恐怖でも治療できるので便利そうだ。

 ターンアンデッドは、ネクロマンサーが作り出した不死の生物を浄化する技らしい。


(アンデッドって、よく出くわすものなの?)

 俺が聞くと、


「誰かが意思をもって作らない限り増えないわよ。私は会ったことないわね。」

 ご主人様が答えてくれた。

 じゃあ、ターンアンデッドはそこまで必要じゃないな。

 俺の前世のゲームの世界では結構遭遇したが、この世界では珍しいみたいだ。


(とりあえず、今、誰も使えないのでクリアランスは習得したいです。)


「そうね。あとできれば、回復技は複数のメンバーが持ってたほうがいいかなと思うわ。」


(確かにリーザが倒されると、誰もヒーリングが使えないのは厳しいですね。)


 便利だから、複数の仲間に覚えさせたいのは分かる。

 ただ、ヒーリングに貴重な技の習得の機会を使ってもいいのだろうか?

 俺は好相性技だから習得もしやすいわけだし。

 実際コーチの指導でも、技を使うところを実際に見て、精神力の使い方を学んで習得と言うパターンだった。

 なら、現物の技をリーザに見せてもらえば覚えることもできるのではないだろうか?


(思ったのですけど、好相性技ならリーザに使ってもらうのを見ることでヒーリングを習得できないですか。

 それなら、センターにお金を払わなくてもいいわけですし。)


「それができるのは、センスがあるウルだけよ。パワーでも厳しいと思うわ。」


(今回ヒーリングを覚えるのは俺ですよね?)


「試してみる?」


(どうしてもだめなら考えますが、まずはやってみます。)


 俺はリーザにヒーリングの技を披露してもらった。

 怪我が塞がるところまで見たいので、牙で自分に小さな切り傷を作って効果があることも確認した上で。

 すると、30分とかからず俺はヒーリングの習得が出来た。


(ウル、凄いね。あっという間に覚えたよね。)

 リーザが驚いている。

 でも、好相性技だし、俺は既に★3なのに★2レベルの技だし、習得しやすい条件は揃っていたはずだ。


(リーザ、ありがとう。お陰でヒーリング覚えられたよ。)

 俺はリーザにお礼を言った。

 この調子なら、仲間が使える好相性技は俺はコーチに教えてもらう必要はなさそうだ。


(ご主人様、リジェネレーションを見せてくれませんか。)

 俺は調子に乗って、ご主人様のリジェネレーションの習得にも挑戦する。

 精神力であろうが、魔力であろうが、原理は同じだと以前ご主人様は言っていた。

 なら、ご主人様のリジェネレーションを見て、俺も覚えられるはずだ。


「分かったわ。それじゃあ、見ていてね。」

 ご主人様がジェネレーションを使う。

 問題は誰も生命力が落ちていないので、効果が見えないことだ。

 とは言え、怪我もなく生命力も満タンの俺にご主人様がかけたリジェネレーションがかけられたのが分かった。

 なら、自分にかける練習をすれば、習得したかが分かるはずだ。


 俺は、ご主人様の真似をして精神集中をしてみる。

 さすがにすぐに習得はできるほど甘くはない。

 ただ、ご主人様に精神力集め方が違っているところを教えてもらえたので、もう一度見本を見せてもらって挑戦した。

 最初の方で力が集まっている感触はあったので、何度も練習したら1時間以上かかったものの、俺はリジェネレーションも習得できた。


「ウル、凄いじゃない。好相性技はこうやって習得できそうね。」


(ありがとうございます。これで合わせて2500ジュエル分は浮きましたからね。

 クリアランスだけは覚えたいですが。)

 俺も結構お金に細かくなってしまった。


「クリアランスは覚えるとして、あと5レベル分あるわね。好相性技以外も覚えてみる?」

 ご主人様は聞いてきた。


(ホールドみたいに便利な技があれば、頑張って覚えたいですね。

 ただ、俺はパワーにグリズリーの技を覚えさせたいと思ってます。)


 パワーは進化の時、ポールベアでいいと言ってくれたが、グリズリーの技を覚えてしまえばでかいポールベアの方が強いからと言っていた。であるなら、グリズリーの技を覚えさせてあげるべきだと思ったのだ。


「そういうことね。どの技がいいかしら。」


(トリプルスラッシュ・ジャンプアタック・スタミナあたりでしょうか。)


(ちょっと待て、俺様トリプルスラッシュはもうすぐ完成するぞ。)

 パワーが割り込んできた。

 パワーも費用節減を考えてくれてたんだ。


(パワー、そう言えば、お前トリプルスラッシュの練習をしていたんだよな。)


(強そうだったからな。まだ、完成はしていないけどよ。)


「それなら、他の技を教えてもらいつつ、時間が余ったらトリプルスラッシュもコーチに見てもらいましょうか。」


(そうですね。ジャンプアタックってどれくらい飛べるのですか?)


「高さで体長と同じくらいね。横ならその2倍ね。パワーなら、ストレングスをかければ、前回のハルメルンさんの船に飛び乗れるようになるわよ。」


(それは結構便利ですね。ブラッドファングは攻撃力は上がらないから強くはならないので除外するとして、スタミナも覚えれば便利だし、これでほぼグリズリーの好相性技を網羅しちゃいますよ。)


「ジャンプアタックとスタミナ覚えちゃうと全部で9レベル分ね。

 パワーは馬島でポールベア技も覚えるから、できれば1つにして、ガルガンにも覚えさせたいわ。」


(それなら、ジャンプアタックですね。トリプルスラッシュも見てもらうことで。

 あと2レベル分ありますし、何かガルガンかリーザに覚えさせるのがいいと思います。)


「リーザは、次に進化した時にしたいのよね。★3には便利技があるから。」


(そんな便利な技がるのですか?)


「★3ロックに進化するとアースクエイクが使えるのよ。

 自分の周りに地震を起こして地上にいる生物は揺れで立てなくなるわ。」


(自分中心ってことは、自分にもかかるのですよね。)


「地上にいればね。」


(あっ、リーザは飛んでいるから影響を受けないんだ。)


「その通りよ。」

 それは凶悪だ。

 ご主人様、リーザの進化先のこともう考えているんだ。


(それじゃあ、ガルガンにもう1つ技を覚えてもらう感じですかね。

 それなら、好相性技のファイアーブレスがいいと思います。

 俺は最初ファイアーを持っているからと軽視してましたけど、この前大勢の狼と戦って弱めの敵が多い場合に便利だと思いました。

 パワーは巨大化して飛ばしまくれるし、俺はホールドで石当てまくれますけど、ガルガンは敵の数が多い時の技がないので。)


「いいわね。それじゃあ、残りの枠はガルガンにファイアブレスを覚えてもらうことにしましょう。

 これでちょうど8レベル分だわ。」

 こうして、報酬分の技の配分が決まった。


 コーチの日程を確認し、空いているところから教えてもらう予定だ。

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