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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
はじめての冒険
14/122

14パワーとの闘い・後始末

登場人物

ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★2ウルフ)

レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。

リーザ    モンスター仲間。(★2イーグル)

ガルガン   モンスター仲間。(★1ヤングタイガー)


「助かったぜ。」

 熱さから解放されて、パワーが安堵する。

 ホールドがしっかり決まっているので、抵抗する様子もない。


「まだ、助かったと決まったわけじゃないぞ。

 ご主人様にもしもの時があった時は分かっているだろうな?と言っただろ。」

 俺は、万が一ご主人様が助からなかったら、パワーを許すつもりはない。


「やはり、殺さなくて良かったぜ。」

 パワーはそう呟く。


「お前は、考えがあってご主人様を敢えて殺さなかったのか?」

 意外な返事に俺はパワーに聞いてみた。


「お前に脅されなくても、人間を殺すということが何を意味するかぐらいは分かっているつもりだぜ。

 だから、今まで誰も人間を誰も殺してはねえだろ。」

 人間を襲いまくっていた割に、パワーは意外とそういうことも考えていたらしい。


「それでも猟師を襲って干し肉を奪い続けるというのは無理があるぞ。

 生肉が食べられないなら、早い内に人間の仲間になってついて行くべきだったな。」


「食べられないわけじゃねえよ。飢えた時は我慢して食べてたさ。

 だけどなあ、俺様は生臭い匂いがどうしても耐えられねえんだ。」

 パワーの奴、なんか苦労してたんだな。

 これで、人間から干し肉奪うとかいう結論にさえなってなきゃなあ。


「人間を襲ったのは最近だけなんだろ。」

 パワーの被害は最近だけ。俺は、昔はどうしていたんだろうと気になった。


「俺様はずっと我慢して生肉を食べてたけどよお、こないだ、たまたま近くにいた人間が臭くねえ美味しそうな肉を食べてやがったんだ。」


「それで、エイムさんのお弁当を奪ったのか。で、それから人間の食べている食料奪うために襲い始めたのか。」


「ああ、そうだ。」


「人間を殺すのも危険だが、人間から食料をずっと奪い続けるのも危険だぞ。

 やはり、お前は早いうちに人間の仲間になった方がいい。」


「お前、さっき僕「しもべ」になれとか言ってたじゃねえか。

 僕って仲間のことじゃねえのか?」

 パワーはご主人様について行くことで干し肉にありつくつもりらしい。ちゃっかりしてやがる。

 案外ご主人様を敢えて殺さなかったのも、自分が負けた場合の展開も想定していたのかもしれない。

 まあ、パワーは天性の狩人だし賢いし仲間にすれば役に立つだろう。


「まあ、そうだが、俺もご主人様に確認を取ったわけじゃないからな。」

 一応、その方向で進めるつもりだが。


「この人間はお前の言うことは聞いてくれるんだろ?」


「お前、そういうところはよく覚えてるな。大体聞いてくれるから大丈夫だと思うが、お前からも頼むんだぞ。」


「分かったよ。」

 俺はパワーと話しているうちに、先ほどまで戦ってきた敵にもかかわらずパワーに親近感を持った。


「じゃあ、ご主人様の様子を見てくるから、そのまま待ってろ。」

 俺はパワーとの話を一通り終えると、ご主人様の様子を見に行った。



 ヒーリングは終わって止血は完了しているものの、まだ意識はないようでリーザとガルガンが心配そうに見ている。

 パワーとしても、殺すのは躊躇ったのだろう。それが幸いしている。

 出血もガルガンよりははるかに少なく、余程運が悪くない限り、いずれ意識を戻すとは思う。

 冷静に考えれば助かる可能性が極めて高いと分かっていても、意識回復を待つ時間は長く感じ、俺の頭に何度も最悪の展開がよぎる。


 どれだけ待っただろうか。

 ようやく、ご主人様が意識を取り戻した。


「ご主人様、無事で良かった。パワーは退治しましたよ。」

 ご主人様は、俺が先に聞きたかったことを言ったので、安心したようだ。


「ウル、あなたがパワーを倒したの。凄いわ。」

 ご主人様は俺が1匹でパワーと倒したと思っているみたいだ。


「違いますよ。リーザとガルガンが協力してくれたからです。」


「ウルが言ったものをパワーの頭に落としただけだし。」

「ぼくは、パワーにファイアーを1発当てただけだよ。」

 リーザとガルガンは自分は何もしてないかのように言う。

 だけど、この2匹がいなければ俺がパワーに勝てなかったのは事実だ。


「みんな、ありがとう。みんなのおかげね。」

 ご主人様は、俺の話をすぐに理解してくれたみたいだ。


「ところで、ご主人様。

 相談したいことというか、ほぼ決定事項なんですけど、パワーを仲間にしちゃいましょう。

 パワーは天性の狩人で賢いですから役に立ちますよ。」


 急な展開にさすがのご主人様も驚く。


「懲らしめたら仲間になると言いましたし、こいつが猟師を襲ったのは、猟師の持ってる干し肉が欲しかっただけみたいですし。

 気に入った餌がずっと食べられるなら、喜んで仲間になりますよ。」


 既にパワーとの交渉で仲間にする方向で話を進めてしまったので、どうにかしてそっちへ話を持っていきたい。

 このまま放っておいてもまた被害が出るだけだし。

 ご主人様は、ホールドで縛られたパワーに向かって聞く。


「あなたが猟師さんを襲ったのは干し肉が欲しいからなの?」


「そうだ。だから、1人も殺してないだろ。」


「それでも、自分がやったことについては、後始末をしてもらうわよ。」


「何をすればいいんだ?」


「襲った猟師に謝って許してもらう事。いいわね。」


「分かったよ。」

 パワーも返事が素直だ。


「それで、パワー、私と契約するのね?」


「パワーって、俺様の名前?

 まあ、何でもいいけどよ。契約したら、干し肉食い放題なんだろ?」

 そう言えばパワーという名前は俺達が呼んでいただけで、本人は知らないよな。

 まあ、その名前で本人もいいみたいだし、このままパワーで済ませよう。


「ちゃんと干し肉分の仕事はしてもらうわよ。いいわね。」

 ご主人様は、こう言うところはしっかり押さえてくる。だから、安心して見ていられるのだけど。


「分かったよ。」


 やり取りがあった後、ご主人様とパワーの契約をすることにした。


「汝パワーよ、我が僕となるか?」

 ご主人様はパワーの額に手を当てて聞く。


「なります。」

 パワーにしては珍しく丁寧な返事だ。


「あれっ、契約できない。」

 ご主人様が言う。


「パワー、お前どういうことだ?

 お前、僕になると誓ったのに、そのつもりはないのか?

 俺が折角お膳立てもしてやったのに。」

 俺は、パワーがまだ何か企んでいるかもしれないと思い、脅してみた。


「違う。ちゃんと誓った。俺様のせいじゃない。」

 パワーは必死に弁明する。


「ウル、違うのよ。多分、パワーは本当に誓ったのだと思う。

 私の支配力が足りなかったの。」

 ご主人様が、パワーを庇って言った。


「支配力が足りないってどういう事?」

 俺は、ご主人様に事情を聞く。


「モンスター使いはね、支配力と言って契約できるモンスターの数に限りがあるの。

 モンスターにはみんな、契約して支配するために必要となる『必要支配力』があるわ。

 『コスト』と略して言うことの方が多いのだけれど。

 モンスター使いは、支配するモンスターの『コスト』の合計が、自分の支配力以下の範囲でしかモンスターと契約することはできないの。

 私は既にリーザ、ガルガン、ウルと契約しているから、さらにパワーと契約するだけの支配力が足りなかったのよ。」


「と言うことは、パワーを仲間にするのは無理なのですね。

 ホールドを解いたらまた暴れ出すかもしれませんよ。」

 俺がそう言うと、


「困ったわね。縛って、村に引き渡しましょうか。」

 ご主人様もこう答える。


「そりゃないぜえ。話が違う。」

 パワーが騒ぎ出す。


「契約していないと、いつ襲ってくるか分からないしなあ。」


「俺様は、自分を負かした相手に逆らったりしないって。」


「ただ、村に引き渡しても扱いに困るし、殺処分になるが可能性が高そうなんだよなあ。」


「やっと安心して臭くない肉にありつけると思ったのに。

 人間の仲間になる線も考えたから、わざわざ殺さずにおいたのに。

 酷いぜ。なんとかしてくれー。」

 パワーが俺に必死に懇願してきた。

 仲間になる気満々だったのに、キャパオーバーだったからやっぱ死んでくれというのは、さすがに我ながら酷いと思った。


 俺がモンスター使いだったら、契約してやってもいいんだけどな。

 俺はふと思ったので、ご主人様に聞いてみた。


「ご主人様、モンスターとの契約って、人間しかできないの?」


「昔はモンスターと契約したモンスターもいたみたいよ。

 前に話した★6モンスターには、他のモンスターを支配していたのもいたのよ。

 だけど、今はできないみたいね。

 なんでも、モンスターを支配するには人間のように高い知恵と精神力が必要みたい。」


 ご主人様の話を聞いて思った。

 必要条件が人間並の知恵と精神力なのであれば、俺にもできるかもしれない。


「このままだと流石にパワーが可哀そうなので、ダメもとでやってみます。

 契約の仕方を教えてください。」


「分かったわ。」


「汝パワーよ、我が僕となるか?」

 俺は、ご主人様に契約のやり方を聞いた後、パワーの額に右前脚をあてて、パワーにそう聞いた。


「なります。」

 パワーの声が切実だ。

 パワーの答えを聞いたとき、急に体が重くなった気がした。気のせいだろうか。


「ウル、何か体に感じた?」


「急に体が重くなったような感じがしました。」


「本当に?

 それなら、本当に契約できているかもしれない。

 最終的にはセンターでしっかり契約関係を確認してもらった方がいいのでしょうけど。」


「助かった。」

 ほっとしたパワーの声がする。


「まだ確定じゃないからな。」

 俺が念を押す。


「それじゃあ、まず、猟師のところへ連れていきましょう。パワーを退治した報告も兼ねて。」


「それじゃあ、連れまわしやすいようにパワーを縛りなおしますね。」

 俺は、ご主人様にそう言って、移動しやすいようにパワーを縛りなおすことにした。


「パワー、前脚のホールド解いてやるから、二本足で立ったまま前脚を下に下ろすんだ。」

 俺がそう言って、パワーの前脚のホールドを解くと、パワーは言われた通り2本足で立って、腕を下に下げる。

 そこにホールドをかけなおし、俺はパワーの体と両腕をまとめて縛る。

 これで、前脚は動けないよな。ロープだからツタのように咬みちぎることもできないだろうし。

 その後、俺は後ろ脚のホールドを解く。


「パワー、これで二本足なら不自由なく歩けるだろ。このまま、猟師のところに行くぞ。」


「俺様、もう逆らったりしないのに。信用ねえなあ。ぶつぶつ。」


「お前が縛られてないと、猟師が怖がるだろ。謝りに行くんだから、しばらくは我慢しろ。」

 俺に言われて、渋々納得したようだ。



 猟師の小屋に戻ってきた。

 猟師たちは、捕まっているパワーを見て安心したようだ。

 ご主人様は、パワーを倒した報告だけでなく、パワーを仲間にして連れていくことについて説明をしていた。


「謝るとか言ってたけどよお、全部あの人間が話して終わったってことでいいんだよなあ?」

 猟師の小屋を立ち去った後、パワーが聞いてきた。


「ああ、そうだな。あと、まだ村長もいるからな。」

 確かに、パワーは人間である猟師とは話せないのだからそうなるよな。俺はそう答えた。


「終わったら臭くない肉くれよ。ここ3日でさっき貰った肉しか食べてねえんだ。」


「あと村長さんへの報告が終わったらね。」

 ご主人様が会話に割り込んできた。


「よし、あとちょっとだな。」

 パワーはあと少しで干し肉が貰えると約束されると急に機嫌が良くなり、文句を言わなくなった。現金な奴だ。


 その後、村長への報告も無事終わり、俺達は報酬をもらって宿屋に戻った。


「ご主人様、契約が完了しているのであれば、パワーのロープを解いても大丈夫ですよね?」


「ウルが感じた、体が重くなった感覚が本物なら大丈夫のはずよ。」

 ご主人様がそう言ってくれたので、俺はパワーを完全に開放することにした。


「やっと自由に動けるようになったぜ。」

 パワーは部屋に胡坐をかいて座る。

 パワーと色々会話をした限り、大丈夫だとは思う。


「腹減った。臭くない肉を食わせてくれ。」

 とても、戦いに負けて僕にされたばかりの奴の台詞とは思えない。


「私の荷物の分は食べちゃったのよねえ。それじゃあ、下で買ってくるから待ってて。」

 ご主人様は、そう言うと部屋を出ていった。


 ご主人様はすぐに戻ってきた。しかし、干し肉は3切れだけ。


「えー、たったこんだけ?」

 パワーは明らかに足りないと訴えた。


「私達がパワーを追跡するのに買って食べてたでしょ。もう残ってないって。」

 これは仕方ない。作るのに時間がかかるし。


「そんなあ。干し肉食べ放題だと思ったのに。」


「街に帰ったら、たくさん食べさせてあげるからそれまで、我慢してね。」

 パワーは、渋々3切れで我慢することにしたようだ。


「パワー、お前生肉じゃなきゃいいんだろ?

 ご主人様、この森は獲物が多いから明日帰る時に獲物を取って、鍋とかできないかなあ。」

 俺は、少しでもパワーが食べられるよう考えてみた。


「それ、いいわねえ。パワー、煮た肉は食べることはできるの?」

 

「食べたことないから分からねえぜ。」

 そりゃそうだよな。野生の熊が獲物の肉を煮ていたらやばい。


「生じゃないから、生肉の匂いはしない。お前のために作るんだから、我慢して喰えよ。」


「分かったよ。」

 何と言うか、パワーが馴染んて来た。


「パワーが食べないなら、ぼくが食べるけど。」

「わたしも」

 ガルガンとリーザが割り込んできた。

 2匹とも最初はパワーに近づこうとしなかったが、ようやくパワーに慣れてきたようだ。

 この調子なら、いい雰囲気で仲間にできそうだ。


PS

 その夜、干し肉の贈り物が届いた。

 ダイクさんの親父さんが良くなったので、話を聞いて家の干し肉を持ってきてくれたらしい。

 依頼には関係ないはずのパワーのお腹に消えていった。

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