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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
はじめての冒険
10/122

10パワーとの闘い(3)

登場人物

ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★2ウルフ)

レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。

リーザ    モンスター仲間。(★2イーグル)

ガルガン   モンスター仲間。(★1ヤングタイガー)


ご主人様のメモ

エイムさん 見晴らしのいい高台 お昼 食事中に後ろから不意打ち

ビルさん  森の獣道 午後 獣道を歩いているときに鉢合わせ

シーラさん 谷の川の近く 夕方前 獲物を捌いているときに突然現れる


 次の日の朝、ご主人様は前世の風呂敷のようなものを準備していた。

 そして、俺がすぐにロープを使ってホールドを使えるように、風呂敷に包んで背中に結んでくれた。


「戦闘になりそうなときは、ここを咥えて引っ張ってね。すぐに解けるわ。」


(ちょっと練習していいですか。)


「練習しなきゃダメよ。パワーの前で慌ててちゃ勝てないでしょ。」


 ご主人様は、俺が解きやすいように結んでくれたので、2回も練習すると俺は走りながらでもすぐに風呂敷を解けるようになった。

 ご主人様も色々考えているなあ。多分、夜寝ている間に考えていたんだ。

 俺もご主人様とパワーの知恵比べに負けてはいられない。



 準備ができた後、俺達は漁師たちの小屋に向かった。

 ご主人様が事情を話すと、エイムさんが囮になってくることになった。


 エイムさんに、いつもの狩りのコースを進んでもらう。

 ただし、俺達が隠れる場所がない斜面は隠れる木のあるあたりを歩いてもらうことにした。


 俺達は、エイムさんの後を少し離れてついて行く。

 エイムさんが斜面の外周を上っているとき、斜面の上にパワーが現れた。


 今までなら獲物を見つけると全力で近づいて襲っていたのだが、パワーは黙ってエイムさんを見ているだけである。

 これは、明らかに警戒されているな。


(ご主人様、警戒されているみたいです。)

 俺は木の陰から小声でご主人様に話す。


「ちょっと露骨過ぎたかもしれないわね。

 それじゃあ、ウル、手はず通りにね。」


 俺は、予め取り決めて置いた通り、走り出してエイムさんの前に出て、エイムさんに向かってガウガウ吠える。

 そして、エイムさんを森の外の方へ案内しようとする。

 俺が1匹だけで突出したぞ。しかも足手まといの猟師付き。

 さあ、パワー、どうする?


 それでもパワーは動かない。

 俺が初めて背負っている風呂敷を警戒したのか、姿は見えずとも後ろに控えているであろうご主人様を警戒したのか。


 俺は、エイムさんをご主人様のところまで案内した。


「エイムさん、ご協力感謝します。警戒されて通用しませんでした。

 私達はこれからパワーと戦いますので、エイムさんはすぐに小屋に戻ってください。」

 ご主人様は、エイムさんにお礼を言うと、安全のため小屋に戻ってもらうことにした。


 パワーは今ここにいるのだから、エイムさんが襲われることはないはずだ。

 俺達は全員姿を現し、斜面の上から様子を見ているパワーに向かって進み始めた。

 少なくともエイムさんが安全に森を出るまでは戦闘を続けなければならない。


 それを見ると、パワーは後ろの森に向かって慌てて逃げ出した。


 ご主人様の足では絶対追いつけない。俺は単独で追いかけるべきか、ご主人様に聞いた。

(ご主人様、急いで追わないと逃げられます。)


「ウル、パワーが私達を奥に誘い出して大きく回り込んでエイムさんを狙うと思う?」

 ご主人様に聞かれたとき、俺ははっと思った。


(俺がパワーなら間違いなくエイムさんを狙います。)


「安全のため、距離をとってエイムさんの後を追いましょう。

 もし、本当にエイムさんを襲いに来るなら当初の狙い通りになるわ。」


 俺達は急いでエイムさんの後を追った。

 幸いすぐに追いつけたので、その後は距離をとって着いて行った。

 エイムさんが無事小屋まで戻るまで付いて行ったが、パワーは襲ってこなかった。


(パワーは俺達が後を付けていることに気づいて襲うのをやめたのでしょうか?)

 再び森に入りながら、俺はご主人様に聞いた。


「多分そうね。エイムさんの様子を見れた場所に足跡でも残ってないか探してみましょう。」

 俺は、ご主人様の指示でパワーの足跡や匂いを探す。

 すぐにパワーの匂いが見つかった。

 もし、あの時パワーを追いかけて進んでいたらエイムさんが襲われていたと考えるとぞっとした。


(これで振り出しに戻っちゃいましたね。)

 俺はご主人様に聞いた。


「そうかしら?」

 どうやら、ご主人様はそうとは考えていないらしい。


「パワーは私達全員を一度に相手にするのは危険と判断していたのだと思うわ。

 今まで戦ったのも猟師1人だけとかウルとリーザだけの時とか、私達が揃っていない時だけ。」


(でも、パワーを探し回らなければならないことに違いがないような。)

 俺は感じた通りの感想を返す。


「パワーは、昨日ウルが言った通り、私達を分断して1人ずつ始末していくつもりだったのでしょう。

 しかし、今日からは私達はまとまって行動している。パワーの各個撃破の思惑は私達に見切られてしまった。

 こうなった以上、パワーは私達全員を同時に相手して戦うしかなくなったわ。

 私達は今まで、パワーの得意とする深い森へ入るのは避けてきたでしょ。

 しかし、私達全員で行けば、パワーの得意な地形でも戦えると思う。

 パワーは戦場は自分の好きに選べるけど、どこかで私達全員を同時に相手しなければならない。

 これだけ色々考えているパワーが、今後ずっと逃げ回るだけとは考えにくいわ。

 パワーは必ずどこかで勝負をしに来るはず。

 パワーの決めた戦場へ案内してもらいましょう。」


 ご主人様の言う通り、パワーはずっと逃げ回るタマではないな。

 勝てると思ったら躊躇なく仕掛けてくる。今まで戦ってきてそれは確信できる。


 となると、パワーが選びそうなパワーに有利そうな場所と言うと、リーザが自由に動けない深い森だろう。

 4対1が3対1になるからだ。


(深い森だと、リーザは動けないと思います。)

 俺は、それについてもご主人様に聞いてみた。


「それなら、パワーの案内が来るまで、私達はリーザの訓練をしましょうか。

 私も万が一の時のために準備した魔法の発動を確認しておきたいし。

 これで、パワーの選択肢はどんどん狭まっていくわ。」


 パワーは今まで1回も技を使ってきていない。もし、技を持っていれば今までに使ってきているだろう。

 まだ油断はできないとはいえ、技を使えない可能性が高い。

 多少体大きくパワーがあろうが、所詮は★2モンスター。

 どこで戦うにしても、技を持っていないパワーが全員遠距離技持ちの俺達を一度に相手にするのは厳しいはずだ。

 狙いだった俺達を各個撃破するという思惑が読まれただけで、パワーとしてはかなり厳しい展開になったわけだ。

 なるほど、ご主人様の言うように実はパワーは追い詰められているのかもしれない。


 俺達は、深い森の入り口に来て、リーザの飛行訓練をした。

 深い森を自由自在に飛び回るのは難しかったが、木の枝から木の枝に飛び移ることはできるようになった。

 これなら、自由に場所取りをしてウィンドショットを撃ちまくることが出来そうだ。

 そして、ご主人様も魔法の発動を確認していた。俺には見てもさっぱりだったが。


(グォォォォ・・・)

 その時、パワーの咆哮が聞こえてきた。

 姿は見えないが、風上になる森の奥からはっきりとパワーの匂いが流れてきた。

 本当だ。パワーは勝負をかけるため、俺達を自分の得意とする戦場に案内するつもりのようだ。


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