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第95話 馬車購入

 僕たちは密売人を店の前に積み上げておいた。


 マリアが僕を見て尋ねてくる。


「じゃあレン。誰か呼ぶか?」


「ううん。放っておこう」


 僕は首を横に振る。正直依頼主が依頼主だし表で動いていない以上ここでまた表に出るのは避けたい。それに……




 僕は仲間を連れてマーリンのいる店を訪れた。


「撃破しましたよ。帝都の貴族領域で商売してたみたいです」


「あぁあそこかい。それは骨だったろう。流石のアタシもあの場所にまで手を回すのは難しいからね」


 マーリンはそう小さくうなずいた。


「それでここにいるルドルフの借金はどうなるんですか?」


「あぁチャラさ。逃げないように固定していて悪かったね」


「いえいえそれは彼のまいた種ですから」


 ルドルフは「マスタぁ~……」と泣きそうな顔をしている。


「それで相手はどんな感じだったんだい?」


「う~ん……」


 僕は言い淀む。


「どうしたんだい?撃破できたんだろう?」


「それが……相手はあれも末端だったみたいで。トカゲのしっぽ切りにあってあれ以上調べるのは難しかったです」


 そもそも貴族領域で商売している以上絶対奥に貴族の陰謀が見え隠れしているのは確定している。一体どこの誰の差し金なのかは知らないが、自分は一男爵でしかも新参だ。相手の位階によっては逆にこちらが潰されかねない。




「とりあえず突き出しておいたんであそこでの商売はできなくなると思います多分」


「はぁ……まぁ良いよ一つ潰せただけで僥倖だ。アタシも後ろめたい所があって堂々とやりあえないからね。ご苦労さん」


 マーリンは僕に報酬を渡してきた。




「マスターありがとうございました!」


 ルドルフが抱き着いて来た。


「はぁ~仕方ありませんわね。レンちゃんに感謝するんですわよ?」


 ルナがそう呆れた声で言う。


 どちらにせよこれで金銭面の心配は無くなった堂々と馬車を買いに行こう。




 翌日フィン商会に馬車を取りに行った。マルキンは揉み手で出迎えていた。


「既に取り置きしてあります。サービスでギルドの銘は無料で打っておきましたぜ」


 そう言って紹介されたのは乗合馬車だった。売るためにある程度整備はされている。


「と言う訳で売り上げは金貨30枚。これを一括で頂きました」


 先ほどの売り上げも合わせてとりあえずの金は手に入ったのでそれを渡す。


「それじゃーね」


「ちょっとお待ちくださいよ」


 マルキンは慌てて止める。


「これは荷台部分だけですぜ?ちゃんと馬も買って頂かないと。それとも他に当てでもあるんですか?」


 僕はマリアやフィオナと顔を見合わせる。


「引っ張るのはどうする?」


「それならもう呼んであるわよ」


 しばらくしてケルンが何かに乗って来た。


「マスター!連れてきました」




 連れて来たのは大分大きなケルベロス。そう前に襲ってきた魔物のケルベロスだ。確か従魔契約をしていたけどしばらく忙しくて面倒をケルンとリリカに任せっきりだった。その間にここまで大きくなったのか。


「この大きさなら馬車もひけるでしょう」


「うんそうだね。馬はこれにするよ」


「は、はい分かりました」


 こうして結局馬車ではなくケルベロス車になったけれど、馬車にケルベロスを固定して僕らはギルドに帰って行った。

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