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第59話 皇帝からの褒美

 僕たちが依頼主のルーン子爵の元に向かうとそこの門の前に既に迎えが来ていた。


「子爵!」


「うむ。依頼達成はしたようだな。さきほど衛兵にグラントが突き出されたと聞いた。貴様の身内が連れて行ったのか」


「はい!頑張りました!」


「陛下がお呼びだ。数日後落ち着いたらワシと一緒に行くぞ」


「分かりました!」


 数日後に僕らは連れ立って王城に向かっていった。大柄な兵士は顔を覚えたらしく敬礼して中に入れてくれる。




 大広間で貴族に囲まれながら皇帝陛下の前に膝まづいた。


「マスターレンよ。貴様がルーン子爵からの依頼を達成し、かねてより帝都を騒がせていた魔獣災害の解決に貢献したのだな。よくやってくれた」


「はい!もったいなきお言葉です!」


「そこまで畏まらなくても良いと言ったが……まぁ良い褒美をやろう。近づけ」


 僕は言われたとおりに近づく。


「これを進呈しよう」


 陛下は僕の胸に勲章を付けた。


「これが魔物討伐の功績を顕す勲章だ。そしてもう一つこれが爵位を表す勲章だ。これは黒の勲章男爵級だ」


 だ、男爵級?!いきなりこんな高い爵位を?!この帝国の貴族制度には皇帝以下公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵がある。男爵以上が領地持ちで支配権を持つもので上になるほど広大な領地を支配する。特に公爵ともなると皇帝一族とも遜色ない領地と権力を持っているらしい。ちなみにカナタの父親は皇帝家にも入内できる侯爵家で外務卿らしい。


 でも僕元々平民だよ?先祖の記録なんて全く残っていないし。でも断る方が怖い。多分男爵なんて特にやることも無いだろう。


「謹んでお受けいたします」


 僕はそう頭を下げた。


「ではレン男爵。他の褒美もやろう。はいこれが報酬」


 陛下が呼ぶと侍従らしき人達が大量の黄金を運んでくる。


「これが報酬である」


「はっ!謹んでいただきますが一つご確認を」


「何だ?」


「不満はございませんが、この任務僕以外にも後方にいるギルドメンバー達も多く尽力してくれました。そちらにも褒美を差し上げたいのですが」


「分かっておる。それや諸経費を含めての褒美じゃ後で分けよ」


「はっ!彼らも喜ぶと思います!」


「うむ!ご苦労であった。と言いたいところではあるが……」


 陛下の口調が暗くなる。


「何でしょうか」


 僕は恐る恐る顔を上げる。


「この問題には裏があるとにらんでいてな」


「裏ですか!?」


 そう言えばルーン子爵に言われていたけど本当に貴族がかかわってるの?


 僕の動揺を察したのか陛下はまた続ける。


「安心せよ。この広間にいる者は皆我の身内である。先ほど運んできた侍従も含めてな」


 陛下はそう告げた。よく見ると見た顔も多い。奥にはルーン子爵もいるけど隣にいるのはカナタじゃないか?


「聞かれたことが外に漏れることは無いと……」


「うむたとえ漏れても直ぐに分かるしな」


 眼光が激しくなり、威圧感が場を包む。さすが元ギルドの冒険者だっただけのことはある。


「しかしいったいどんな貴族がかかわってるって言うんです?この場にいる方は除外されるんでしょう?」


「それはだな……」


 陛下が口を開きかけた横から声が飛んでくる。オレンジ色の髪をした女性だ。


「私は近衛団長のリンと申します。で話なのですが恐らく陛下に不満を持つものではないかと」


「不満ですか?」


「陛下は先々代の皇帝陛下の庶子で帝位を継ぐ立場では無かったのです。しかし先代皇帝である兄が亡くなられた後でもって推されてこの座に就いたのです」


「それに不満を持つ者がいると?」


「おおよそ想像は付きますが……まだ分かりません。生憎貴族を調べるのは大変なので」


 これは思ったより大変なことになったぞ……


「まぁリンが全部言ってしまったが、我としてはそれを見極める目が欲しいのだそしてその数は多い方が良い。互いに監視しあえるしな」


「なるほど。それで僕に社交界に入れと」


「そこまで察せるのか。まぁそう言うことだレン男爵よ。これからは我に協力してくれるか?」


「は、はい!」


 僕は反射的に答えてしまったが、そもそもこれは僕を皇帝派に引き入れたかっただけなんじゃとも思った。

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