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剣も魔法も適性ゼロの史上最弱のギルドマスターは平和な日々を過ごしたい~なおそれ以外のステータスはカンスト&過保護な仲間たちに溺愛されているものとする  作者: UMA未確認党
第10章 邪教団編

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第103話 愚弟

 会議が終わった後でレオンはソナタを伴って移動していった。


 廊下の途中で大柄な男とすれ違う。


「これはこれは兄者。ここにいらっしゃったか」


 それはケインだった。皇帝の弟と言う地位にありながら力を求め、現在はギルド『ユニコーン』の管理をしている。いざとなればその剛腕を振るい戦う豪傑である。


「うむケインよ。後々公式に発表するが我が息子のレクスを次期皇帝とすることで調整するつもりだ」


「ほぉ……兄者の子孫に行くとなれば次男のワシは厄介かな?」


 ケインは髭を弄りながらそう告げる。


「不満か?」


「冗談だよ。ワシにもこれからやりたいことがある。なぁソナタ」


 そう言ってケインはソナタと肩を組む。


「これで俺も堂々とギルド運営をできる訳だ。なぁソナタ今度西に龍が出るんだとよ。リンでも呼びつけて一緒に退治しに行くか?」


「俺はあの人苦手ですよ。だって古臭いもん……昔のカビが生えた武勇伝ばっかじゃないですかあの女伯爵は」


「ハハハ。それは大変だな!」


 ケインが笑っていると……


「何が大変ですか?」


 背後に橙色の髪をしたエルフがひきつった笑みを張り付けて居た。


「「リ、リン!」」


「『お話』しましょう」


 リンはケインとソナタを掴むと引きずって行った。




 レオンはその流れをほほえましそうに見てから弟に声をかける。


「ケイン!」


「何だ兄者」


「無理はするなよ。今は王位の最優先継承者ではないとはいえまあレクスは幼いからな」


 ケインはそれを聞いて笑った。


「ガハハ!心配するなワシらはそんな柔ではないわ。大体兄者ほどでは無いにせよワシにも皇帝や英雄の血は連綿と流れているのだからな!」


 そう言い切ってから兄に言う。


「逆に兄者こそ気を付けるのだな。今は良いとして帝位継承には争いはつきもの。余計な争いに巻き込まれないよう」


「心配はない。この帝国には優秀な戦士が沢山いる。無論未来の戦士もだが」


「そうか……ワシは兄者の味方だが、宮廷は乱世誰が敵味方になるかは分からんのでな」


 ケインは心配そうな目で兄を見た。実際この兄弟が言葉を交わせたのはこれが最期の機会であったから。




 レオンはそのまま一人で妃のいる部屋に入る。


「今参った」


「お待ちしておりました」


 そこにいたのは美しく聡明なソリア王妃であった。


 椅子に座って茶を嗜んでいたようだ。


「あら?愚弟ソナタは」


「先ほど俺の愚弟が龍退治に連れて行った」


「そうですか……年甲斐もなくわんぱくなもので。まったく父に何といわれるか」


「それはこちらの弟もそうだ。同い年の幼馴染とはいえここまで仲がいいとは」


 兄姉は弟の制御に頭を悩ませているようだ。




 そこにトテトテと歩いてくる子供がいる。皇太子のレクス王子だ。王子とはいってもまだあどげなさを残しくりくりした目をしている。


「父上!何の話でしょうか」


 そのままソリア王妃に抱き着くと何の話をしているのか尋ねる。


「これからの国に関する話ですよ」


「ん~」

 この王子はまだ分からないようだ。


 たった3人だけの時間が過ぎていく。


 この平和が数日後に跡形もなく壊れるとはこの時誰も予想していなかった。

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