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ナイトコードΩ 【残響の封印】  作者: 神北 緑


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52/214

異常事象対策局――内部潜入

暗闇に包まれた施設内。

銃声と無線が交錯し、酒名コードの崩壊が静かに進行する。


建物内に侵入したルクジムは、スーマを片手に目的の貨物エレベーターを目指していた。

暗闇に包まれた施設内は、外の世界とは明らかに異なる空気を纏っていた。


その時――


「タタタタッ」「パンパンパンッ」


奥から銃声が響く。

明かりのない建物の奥で、何かが起きていた。


「なんだ!何が起きてる?」


ルクジムの声に、スーマが冷静に応じる。


「慌てるな。ジョーは大丈夫だ。」

「それより今の銃声……セキュリティを解除したのは、奥にいる“奴ら”かもしれねぇ。」


一呼吸置いて、スーマが言う。


「行ってみよう。」


ルクジムは黙って頷き、銃声の方へと足を向ける。


途中、倒れた兵士の亡骸が転がっていた。

その手には無線機が握られている。


「……ウォッカリーダー!こちらウィスキー!黒い獣だ!バーボンもジンも……もう駄目だっ……!」


無線から、緊迫した声が響く。


ルクジムとスーマは、状況の確認のため奥へと進む。


「こちらウォッカ!各員応答しろ!」


通路の影で、一人の男が無線に向かって叫んでいた。


「……こちらウィスキー。ワインもリキュールも応答なし!見張りに着いたブランデーも連絡が付きません……」


男は無線を離し、低く呟く。


「どうなってんだ、ここは……人っ子一人いないのに、変な化け物がウロウロしてやがる……」


その時――


「……隊長、こちらウィスキー!KS-1が通じません!うわー!!……」


「おい!ウィスキー!ウィスキー!返事をしろ‼」


無線は、沈黙のまま切れていた。


施設内は、すでに“何か”に侵食されていた。

男の背後で、黒い影が揺らめいた。


陽炎のように歪む空気の中から、漆黒の獣が姿を現す。

ブラックドック。


「しまった‼」

男が叫ぶ間もなく、獣が地を蹴った。

黒い稲妻のような軌道で、彼に向かって飛び掛かる。


「ギャワワーンッ!」


次の瞬間、ブラックドックの巨体が宙を舞い、施設の壁に激突した。

鈍い衝撃音が響き、コンクリートの粉塵が舞い上がる。


「……‼」


粉塵の中、黒煙を纏った拳を振り下ろした姿勢のまま、ひとりの青年が立っていた。

大柄な体躯から吐き出される荒い息が白く揺れ、その眼光は闇の奥で獣のように光っている。



「フェンス内雑木林 ― 悲しき運命」へ続く。

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