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第69話:流石にもう誰も居ないか

どの人も果敢に戦ってはいるけど、やはり多勢に無勢。

武器が貧弱なのも相まって傷ついた人がレース続行不能と判断して自ら地上に降りていく姿も見受けられた。


「きゃあっ」

「!」


悲鳴が上がった方を見れば魔鳥の攻撃を捌ききれなかった1組が撃墜されて地上に落ちていくところだった。

地上では救護班が動き出してるけど、それより早く魔鳥たちが止めを刺そうと上空からダイブしてくる。

私は咄嗟にその間に滑り込み、ライトニングエッジを抜いて魔鳥たちの前を振り抜く。


「ピーッ」

「残念だけどやらせないよ」


私の剣に驚いて突撃を止めて反転する魔鳥たち。

ガンと睨みつければすぐには襲っては来ない。どうやら知能もそれなりに高いみたいだ。

さっと地上を見れば無事に救護班が墜落した人達を救助してるのが見えた。

どうやら墜落した人たちが落下ダメージで死なない様に受け止めるアイテムがあるみたいだ。

つまりこうして選手が墜落するのも織り込み済みってことなんだ。

みんなその辺りも了承して参加してるんだよね?そうじゃなかったら大会運営に殴り込みをかけてしまいそうだ。


「ぐはっ。誰か……」


また1組撃墜されてるのが見えたので、慌てて救援に向かう。

しかしそんな私にも魔鳥の群れが襲い掛かって来た。


「ああ、もう。邪魔よ!」


殺気を放って強制的にたじろがせることで何とか墜落中の人達を受け止めることに成功した。

救護班は他の人の所で手いっぱいだったから危なかった。


「大丈夫?意識はある?」

「あ、ああ。大丈夫だありがとう」


助けた人は頭から血を流していたけどこの様子なら命に別状は無さそうだ。

そこへ遅れて救護班がやって来た。


「救援ありがとう。こちらはいいからレースに戻ってくれ」

「って、この状況でもレースを続けるの?」

「まあな。上からは中止の連絡は来ていないし、それにほら。もうすぐチェックポイントに到着する選手もいる様だ。

全員がゴール出来ないと判断できたら我々で独自に介入するがまだその段階でもないようだからな」


指差した先ではパンターナさんの組と辛うじてもう1組がチェックポイントのある場所に辿り着くところだった。

ただどちらも1人足りないところを見ると相当苦戦したことが窺える。

もしくはその1人を囮に使った?

出来ればそんなことは考えたくないけど可能性としてはあるかもしれない。

それも作戦の内なのかもしれないけど、そんなことをする人たちに負けたくないなと思ってしまった。

でもまだ私は魔鳥の群れている空域を1/3も進めていない。

既に他の組は脱落してしまったようなので私一人でこの群れの中を突っ切らないといけないのか。


「……あっ」


そこでふと、パンターナさん達の姿が良く見えるなと気が付いてしまった。

私は急ぎ救護班の人に話しかけた。


「あのルールの確認ですが、高度制限は一定以上の高さを越えてはいけないってだけですよね?」

「ええ、そうです」

「分かりました。ではここはお願いします」


救護班の人にお礼を言った私は身体強化を全力にして走った。

ただし今度は飛脚術は最低限にして地上すれすれを、だ。

上を見れば魔鳥たちが我が物顔で飛び交っているけど地上を走る私の事は無視されている。

どうやら彼らにとって地上は眼中にないようだ。いや、正確には地上で活動するものには、かな。

なぜなら先ほど撃墜された人たちに対しては地上まで追撃に行っているから。

そこからは救護班の人たちに追い払われているんだけどね。

考えられることとしては地上に彼らの天敵のような存在がいるのか、自分たちの領空を犯さなければどうでも良いと思っているのかのどちらかだろう。

兎に角私は地上を走り、多少の起伏などは飛脚術で飛び越えてチェックポイントのある場所までの斜面も駆け上がった。


「さて、流石にもう誰も居ないか」


チェックポイントに触れながら周りを見れば誰も居ない。

帰路を確認すればパンターナさん達が居ると思われる場所には魔物が集まっている。

ふむ、どうやら行きは3人1組で飛んだけど帰りは完全にバラバラに行ったんだね。

今は丁度魔鳥が居る空域の真ん中くらいか。


「ピィヤァァァーーッ」


その時、それまでの魔鳥よりも一段高い鳴き声が聞こえてきた。

それを聞いて一瞬魔鳥たちも動きを止めた。


「何がって、あぁ」


声の方を見ればそれまでよりも2回りほど大きな魔鳥が飛んできたところだった。

そっか。

魔鳥の大量発生の原因はあれだ。

何らかの異常現象の影響かは分からないけど、ボスが誕生したのに合わせてその眷属も増えたんだ。


「ピィヤァァァーーッ」


ボス鳥がまるで「何の騒ぎだ!」とでも言うように鳴き声を上げるとパンターナさん達を攻撃していた魔鳥がパッと散開して道を空けた。

パンターナさん達もそこで初めてボス鳥の姿を認めたようで顔を青くしている。


「げっ、やばいよ」

「碌な武器もない状態で勝てる訳ないって」

「こりゃマズいかもしれないね」

「魔鳥が離れた隙に街まで逃げるのは?」

「ダメよ。そんなことしたらボス鳥も街まで追いかけてきちゃう」

「じゃあどうするの!?私はこんなところで死ぬのは御免よ」

「誰かが囮になるしか……」


この状況で口論し始めたパンターナさん達を横目に私はボス鳥の前に出た。


「この鳥は私が相手しますから先に行ってください」

「す、すまない。頼んだよ」


こういう時の判断速度は流石と言うべきか。

すぐさま全速力で飛んでいくパンターナさん達。

さて、この場でまともに戦えるのは私だけだと思って思い切って出てみたけど、多分このボス鳥、シンミア並みに強い。

今の私で勝てるだろうか。



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