表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/91

第70話:やあぁぁーーっ

空中に静止してボス鳥と視線を合わせる。

幸い他の魔鳥は距離を取って私達の戦いを見守る姿勢だ。

よかった。これならまだ勝ち目はある。

私の雷纏はまだ不完全で攻撃に使用した場合、数発で魔力切れになってしまうので物量で攻められると対処出来ないところだった。


「ただ……」


チラリと地上を見れば今もこの光景を撮影している魔導具が見える。

それはつまり私の戦いの様子を観客席にいるオンブラ君も見ているという事だ。

もし私が雷纏を使っているところを見られて、もしあの時のように暴走したらと考えると迂闊に雷纏を使う訳には行かない。

と、そこでボス鳥が翼を大きく羽ばたかせた。

その身体は特に移動してないようだけど何をしてるんだろう。


「右に飛びなさい!」

「っ!」


突然掛けられた声に反応してすぐさま右に大きく跳んだ。

そのすぐ後を何かが凄い勢いで突き抜けていく。

それとさっきの声は。


「パンターナさん!」


そう、先に行かせたはずのパンターナさんだ。

他の人の姿は無いことから彼女だけ戻って来たのかな。


「先に行ったんじゃないんですか?」

「言ったでしょ。命よりも評判が大事だって。

ボスが登場したからっておめおめ逃げ帰ってたらいい笑い物よ。

だから既にだいぶやられてた他の人たちをこの空域の外まで見送って戻って来たの」


なるほど、そうだったのか。

お陰でこれで2対1。

パンターナさんの実力は知らないけどさっきよりも有利になったのは間違いない。


「パンターナさんはあのボスに勝てますか?」

「それなんだけど、正直無理よ。フル装備ならまだしも今はレース用の最低限の武器しかないし。

風の魔法で支援するのがせいぜいよ。

そういうあなたは何か手はあるの?」

「あるにはあるんですけど、ちょっと問題があって」


そう話してる間に再びボス鳥が大きく羽ばたいた。

よくは分からないけどあれをしたら何か攻撃が飛んでくるんだ。

見えないけどそれだけ分かってればちょっと大きめに回避行動を取れば良いだけ。


「ピィァーーッ」

「ふっ」


更に凄い勢いで飛んできたボスの身体を垂直にジャンプすることで避ける。

速い。けどレムスに鍛えられたお陰で避けられない程じゃない。

通り過ぎるボス鳥を見送りつつさっきのを確認する。


「あの、さっきから飛んできてるらしい見えない攻撃って何ですか?」

「ああ、やっぱり見えてないのね。あれは『風斬』よ。風そのものを刃のように飛ばしてきてるの。

私達鳥族や風に適性のある人ならある程度見えるのよ」


風そのもの、か。なるほど、それで見えなかったんだ。

という事はここの前にあった見えない何かが攻撃してきてたの、あれも風だったのかもしれない。

ただ種は分かっても見えないことに変わりは無いんだけど。

流石に見えないモノを避け続けるのはかなり骨が折れる。

やはりここは雷纏を使って短期決戦に臨むべきか。


「パンターナさん。一つお願いしても良いですか?」

「ええ、なに?」

「今からとっておきを使いたいんですけど、あまり人に見られたくないんです。

なので、ここの光景を映している魔導具を停止させるか目隠しをすることって出来ませんか?」

「ふぅん。良いわよ。ただ2カ所あるみたいだから5分頂戴!」

「分かりました!」


私の願いを聞いてパンターナさんが地上にある魔道具に向けて急降下していく。

それを見送りつつ改めて剣を構えてボス鳥を見据える。

これまで見せた攻撃パターンは『風斬』と突撃だけ。

『風斬』の威力は正確には分からないけどあの巨体による突撃はまともに受けたら危険だろう。

ただどちらも直線的な攻撃みたいなので避けるだけなら何とかなる。

突撃してきたところにカウンターを入れる事だって出来るかもしれないしね。

と、思っていたらボス鳥は私に向けて直進するのではなく、私の周囲を旋回し始めた。

更にそこから『風斬』を連続で放ってくる。


「くっ、この」


タイミングを見計らって飛び掛かるも単純な飛行速度なら向こうが上だ。

私の動きに合わせて距離を取られる。

更に飛び掛かった先にも風の爆弾が用意されてて、逆に吹き飛ばされた。

追い打ちに風斬も飛んできて、致命傷だけは防いでるけどガードに使った両手には幾筋も切り傷が出来て、もうまともに剣を振るうことも出来ないかもしれない。


「リーン、いいわよ!」

(よし)


待ちに待ったパンターナさんからの合図だ。


「パンターナさん。ここはもういいので離脱してください」

「でも……」

「制御が難しいんで巻き込みたくないんです」

「そんなに!?分かったわ。

あとこれは餞別よ。『風塵』」


パンターナさんが砂ぼこりを含んだ竜巻を発生させてボスの動きを牽制してくれた。

それからすぐに離れるパンターナさんを見送り、私は魔力を練り上げる。

さて、ここまでちょっと強引な飛行を続けてたしボス鳥からのダメージもあって余り余裕はないけど。


「『雷纏』」


一撃で決める。


「ふっ」

バリッ!


雷纏の速度を乗せた飛脚術で一気に真上に飛び上がる。


「ピッ!?」


突然私が視界から消えたせいで驚き少しだけ動きを止めてしまうボス鳥。

そっちじゃなくて私は上だよ。

ふふっ。慌てて首を横に振る様はちょっとかわいいかも。まあ容赦はしてあげないんだけどね。

そんな油断をして返り討ちにあったら笑えないし。


「全力全開『稲妻蹴り』!やあぁぁーーっ」

「ピィィィーー!!!」


雷を纏った私がまさに落雷となってボス鳥の背中に突き刺さり、そのまま地上に落ちて大爆発。

後には黒く焦げた地面と雷を放出しきった私だけが残っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ