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第六話「私の協力者になって下さい」


監獄世界において幾つか情報を入手できた。楽園の居所、警備の兵士たちの情報、監獄システムやおまけに『D細胞』の情報に至るまで。

結構多いと思われがちだが、情報屋であるユカリは『D細胞』について、殆ど知らないと主張している。

私はユカリから取得できた情報を布一枚に書き上げ、こっそりと部屋の中にある岩の辺りに隠す。無論、悟られないよう、目くらましも施す。

「次は協力者の人員を揃えないと」


◇◇◇


俺はアルメー、極々平凡に生きている男性で、酒臭いとも多々言われる。今年では初めて酒を飲める歳になったというものの、酒中毒になっていると良く非難される。

ただ、俺なりにも夢がある。それは愛おしい女と幸せに人生を歩みたいという。

「今日もユーフリアは可愛いよな」

重罪人しか入獄されない牢獄世界に任命された以来、俺は黄金の髪の女の子に恋をした。

体格を見るだけで、十代の少女のようだが、ここではあり得ない話のはずだ。

俺はユーフリアの美貌さやその青い瞳に俺は一目惚れしてしまった。

毎日見られないのは些か残念に思うが、少なからず彼女のことを愛している。

喧嘩する時のユーフリア、食べる時の姿勢など。全部好きだ。

遠い所から朝食を摂るユーフリアの姿勢を見て、今日のユーフリア成分はチャージされる。

「まーたユーフリアを見てるんだ〜」

「あ、はい!え、いいえ!」

傍に棒の槍を手にしながらくすくす薄笑いする友はそうからかっている。

「そろそろ告白したら?」

「できるか!」

「くすくす」

傍に不真面目に腹を声を抑えつつ、薄笑いする友。流石に仕事中に雑談とバレたら、司令に躾けられかねない。

姿勢を改まって、四層と三層のリフト門番を警備する俺らは同時に食堂での見張り役として任される。

だからユーフリアの成分も吸収できる。胸中ではキュッと抱きしめたくて、仕方がない。

頰を赤らめた俺を見て、友人は手を打って

「そうだ、こそこそ手紙を送るのはどうだ?」

「手紙……か、えっ?」

一瞬で俺は固まった。俺の同僚である彼はあるとんでもない提案をあげてきた。

それに驚愕した俺はできるだけ小声で返す。

「ええ、ちょっと。それをやったらまずいんじゃない?俺は別に送りたく……ないわけないか」

「だったらいいんじゃない?」

彼は俺を見通して、雑にからかっている。

でも、手紙を送るのかぁ、その事に対して悪くない案では思うが。

暫くふうんと思考を回転しつつ、俺はある決断に至った。

別に手紙ぐらいは悪くないと思うので……良し、時間を作ってこっそり送ってみよう。


◇◇◇


ここ数日で俺は自分なりの手段で手紙を作って、なるべく同僚や司令官にバレないようにしている。

湿った空気に覆われる廊下、俺はその中を歩み、大罪人が居眠りする所を見ている。

こうして俺は心臓を跳ね飛ばされそうだ。その理由はいよいよ直接的にユーフリアと話し合えるからだ。

いかなる問題が発生しようがしまいが、俺には対処できる。否、二人で対処しよ!

突然頭に過ったのは妄想であり、ユーフリアと家庭を作り、いろんな苦難を立ち向かう幻を想像する。

ユーフリアとの家庭か…叶えるものだったら、叶えてみせたい。

一瞬涎が垂れるのを感じて、恥じらっている。周囲を見渡し、誰も覗いていないと状況を把握し、俺はそのまま冷静になる。

気がつけば、ユーフリアの鉄格子の部屋に到着した。ユーフリアは鼾を出して、ぐっすり寝ているようだ。

こうして、身近で見るのは初めてだ。よし、今回こそ手紙を渡そう。だが、起こすのであれば疑われるかもしれない故、音を立たずに一枚の手紙を中へと入れる。

無論、長居すれば同僚たちには気づかれる。よって、手紙を入れ次第俺はこの場から去ることにした。

(ユーフリア、君からの返信を待ってるね)と、心に希望を抱きながら、この場を離れた。


―――「アルメーさん、これはいったい何ですか?」

突然後方から名前が呼び出された。

一瞬パニックした俺は慌てて背後の声の由来に視線を傾けて、そこではある一人が立ち上がった。

最初は司令官か同僚かと思いきや、その声は女の声のものであった。

由来がわかった。それは黄金の髪や青い瞳を持つ少女。十代頃合いの少女――ユーフリアだ。

彼女は目を擦りながら発話する。

超可愛いい!!

――いや、問題はそこじゃない!

「いや、起きてたのか、お前!早く寝ろ!」

「そんな大声で話さないで下さい。皆を起こしてしまいます。白い紙が落ちたもので、なんの悪ふざけかと思いました」

ユーフリアはアルメーが落とした紙一枚を拾って、それを俺の前に開いた。

この状況ではラブレターとはいえまい。正直に言って、この状況は最悪。

ユーフリアは俺が書いた手紙――ラブレターをじっくりと読む。確か、その中では愛情を籠り過ぎた言葉が入り混じっていたはずだ。俺は自分の顔をちゃんと合わせず、こっそりと死にたい気分だ。

「―――あのお、これ。どういう悪ふざけですか?『ユーフリア、愛してる!』と書かれていますが……後『君の顔を触れさせて欲しい!』などと」

「読むな、そこまで読むな!」

俺は絶叫しそうだ。哀れな自分よ、直接ラブレターを宛先の人の前に読まれるとは、初めてのラブレターとはいえまい。

しかし、状況を理解したからか、ユーフリアは沈黙に戻った。俺は色々と返事を聞きたいところだが、彼女が目つきを尖らせるこの場で雰囲気を変わらせる。

「――わかりました。これ以上は読みません。ただ、一つ……お願いがございます」

ラブレターを閉じながら、彼女は話題を逸らす。

「……えっと、何?」

ほんの少しだけ、彼女の瞳から強欲を感じ取れる。言い換えると、狩をしたい時の目である。

「アルメーさんでしたっけ?この手紙で名前通りならば」

「そ、そうだけど」

「だったら、いい機会ですね」

何だ、この不穏な気配を漂わせる口調。これは彼女なのか?彼女の本心なのか?と胸中に小さい疑問を抱ける。

俺の言葉を交わすように、彼女は唇を歪ませ

「私の協力者になって下さい」


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