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第19話:文化祭 ―電波がつなぐ縁―

校内が祭りの街へ


9月初旬、新潟中央女子学園は文化祭の当日を迎えていた。

正門には「第62回 中女祭」と書かれた大きなアーチが掲げられ、制服姿の生徒たちが来場者を案内している。

グラウンドには屋外模擬店が並び、焼きそばやたこ焼き、イタリアンにクレープにポッポ焼きまで――校内はまるで一つの大きな祭りの街のようだった。


> 真宵「……文化祭って、こう、胃袋を刺激する匂いばっかりだな」

彩鼓「お腹鳴ってるぞ、真宵。まだ開場して間もないんだから」

華「ポッポ焼きある!あと、イタリアンも!私あとで買いに行きたい!」

澄佳「ふふ、華らしいわね」


---


ハム部の展示教室


一方、部室棟の一角にあるハム部展示教室。

入口には大きな「新潟中央女子学園ハム部 JI0YLC」と書かれたポスター、机の上にはFTM-510DやIC-736やパソコンが据えられ、壁には世界地図とQSLカードがびっしり。


展示内容は大きく三つ。


実機展示:FTM-510Dとアンテナの仕組みの模型。


交信記録:国内外の交信先にピンを刺した世界地図。


体験コーナー:コールサインを書いたオリジナルカードを来場者に渡せる。



> 彩鼓「ポスターの貼り方、これでよし……。うん、見栄えは悪くない」

華「カードの山、ちょっと圧倒されるね」

澄佳「むしろ“歴史あるクラブ”って雰囲気が出てるわ」

真宵「……歴史あると言っても、一度休止してたけどな」




それでも、準備を整えた展示室は確かに立派な部の顔となっていた。



---


思わぬ来訪者


午前の展示が始まり、人の出入りが増えたころ。

突然、廊下がざわめきに包まれた。

制服姿の生徒だけでなく、保護者や地域の人々まで振り返る。


現れたのは――新潟発ご当地アイドルグループ「ドッペル坂16」の人気メンバー、大山みさきと中条みなみだった。


> 彩鼓「……は?なんでアイドルがここに?」

真宵「おいおい、冗談だろ」

澄佳「本物よ。青山先生が文化祭ライブのついでに、ぜひハム部にもって言ってたの」

華「ひゃ、ひゃぁぁぁ……!」




華は完全にフリーズ。推しアイドルを目の前にして声が出ない。



---


アイドルと部室交流


> みさき「ここがハム部なんだって?実行委員の先生に教えてもらってさ、寄ってみたんだ」

みなみ「わぁ……いっぱいカードがある!これ全部、無線でつながった証拠なんですか?」

彩鼓「あ、ああ。そうだよ。国内外の相手と交信して、こうやってカードを交換するんだ」

華「(声が裏返って)し、しゅごいひとです!」




必死に説明しようとするが、緊張のあまり噛みまくる華。

代わりに澄佳がフォローに入り、冷静に機材の仕組みを解説した。


二人のアイドルは興味津々で、展示物に見入っていた。



---


OGとの邂逅


そこへ、落ち着いた雰囲気の女性が展示室に入ってくる。

胸には「JQ0WLB」と書かれたネームプレート。


> 華「あっ……! 私が初めて交信したときの……!」

OG中条「そうそう。あの時の声の持ち主はあなたね」




華は感激のあまり、思わず立ち上がる。

そのとき、横にいた中条みなみがぽかんと口を開けた。


> みなみ「お、おばあちゃん!? なんでここに!」

OG中条「ふふ、私がJQ0WLB、中条和子。この子は私の孫よ」

みさき「えっ、みなみのおばあちゃんが無線やってたの!?」

みなみ「初耳なんですけど!」




展示室は一気にざわめきに包まれた。



---


電波がつなぐ世代


> 華「交信のとき、すごく優しくリードしてくださって……。あの時から“無線って楽しい”って思えるようになったんです」

OG中条「こちらこそ嬉しいわ。世代を超えて電波でつながれるなんて、無線ならではだもの」




祖母が無線家だったことを知り、みなみは驚きつつもどこか誇らしげな表情を浮かべた。


> みなみ「なんか……かっこいい。私も、ちょっとやってみたいかも」

彩鼓「いつでも歓迎だ。入部は大歓迎だぞ」

みさき「おいおい、アイドルが部員になったら文化祭どころの騒ぎじゃなくなるな」




笑いと驚きが入り混じる時間。

展示室は一瞬、ライブ会場にも負けない熱気に包まれた。



---


学園全体の盛り上がり


午後になると展示教室はさらに人で賑わい、来場者は延べ数百人に。

子供たちはカードに自分の名前を書き、擬似コールサインをもらって嬉しそうに持ち帰る。

父兄や地域の人は昔の真空管無線機の写真に懐かしげな表情を見せた。


休憩時間には、部員たちも交代で模擬店へ。


> 真宵「うぉぉぉ、焼きそばとフランクフルト両方買っちまった」

華「私はもちろんポッポ焼きとイタリアン」

澄佳「黒糖の香り……文化祭といえばこれ、って感じね」

彩鼓「……うちら、食い倒れに来たんじゃないぞ」




とはいえ、文化祭を全力で楽しむ姿はどこか中学生のように無邪気だった。



---


夕暮れ、アイドルライブ


夕方、体育館では「ドッペル坂16」のライブが始まった。

観客の大歓声の中、大山みさきと中条みなみがスポットライトに照らされて歌い踊る。


> 華「本当に……現実なんだよね。午前中まで同じ部室にいたんだ」

彩鼓「アイドルだって人間だ。当たり前だろ」

澄佳「でも……電波と縁でつながるって、本当にすごいことよ」




華の胸には、無線がつないだ「世代」「人の縁」「夢」の重みがじんわりと広がっていた。



---


エピローグ


展示終了後、OG中条は最後に一言残して去った。


> OG中条「電波は人をつなぐ力を持っているわ。あなたたちも、どうかその楽しさを忘れずに」




華たちはその言葉を胸に刻みながら、文化祭の夜を迎えた。

煌びやかなアイドルライブの余韻の中、ハム部の4人は改めて自分たちの活動の意味を噛みしめ、華の胸には、無線がつないだ「世代」「人の縁」「夢」の重みがじんわりと広がっていた。


新潟市中央区西大畑にある『どっぺり坂』。

大昔、この坂の上に旧制新潟高等学校(新潟大学)の寮があり、花街である古町に行く時は必ずとおるので、この坂を何度も往復する奴は留年【ドイツ語でDoppelドッペル】すると言われていた。

今回登場したドッペル坂16はこの坂が由来。

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