14 昔の特訓
それから、昼食を済ませて再度コータス村に向けて出発した。
何度かオーク系の魔物が出てきたが、リンとベンが生き生きと拳で仕留めていた。ちなみにオークの死体は、ナナツさん石の共有空間に収納してある。
手荷物が少ないお陰でコータス村までもう折り返し地点という所に来ていた。なので、暗くなる前に今日のキャンプ地を決める事が出来た。これも一重にナナツさんのお陰だ。
「いやーナナツさんのお陰で旅がしやすくて助かります。」
と素直に伝えると、
「そ、そうですか、お役に立てて良かったです。」
少し照れているようだ。あーこの子本当に可愛い。
キャンプの準備が終わると、女子チームが夕食の準備をすることになった。
「オーク肉の真髄は鍋にあり!見てなさいリンお姉ちゃん特製シチュー作っちゃうんだから」
「リンさんのシチュー楽しみー。何かお手伝いしますよ。」
何だかんだリンもナナツさんが入って楽しそうだ。
一方の男子チームはというと。
「ほーう、そうやって解体するのか。もっと教えてくれ。」
「リンとベンがあまり傷つけずに仕留めてくれたから、血抜きも解体も楽で助かるよ。」
ベンに解体をレクチャーしていた。
「解体を勉強すると結構便利だよ。効果的にダメージが通る場所が分かったりするし、何よりギルドに手数料取られないしね。」
「そう言えば、この道はいつもこんなにオークが出るのか?街道にしては結構な量遭遇していると思うのだが、」
確かにそうだ。王国の首都に近いから普段はこんなに遭遇するわけが無い。しかも、オーク系ばかり……
「考えうる可能性としては、森の生態系が崩れたか、オークが繁殖期に入っているかだ。」
「うーん、今回の依頼の悪魔付きと関係あると思うか?」
そうなのだ、食人衝動がある村人が人を食えなければ、何を喰うか……
「あまり考えたくはないな」
さて、リンのペースならそろそろシチューができる頃だな、
「ベン解体はこの辺にしよう、そろそろシチューができる頃だ。」
「ん?確かにシチューの良い香りがしてきたな」
抜いた血をベンの土魔法で埋めてリン達と合流する事にした。今日の晩飯は特製シチューとパンだ。一見質素だが、このシチューにはオーク肉の旨みがぎっしり詰まっているので最高に美味い。
「いやー、オーク肉のシチューは初めてだ。しかし、これは美味いなぁオーク肉は熱しすぎると固くなるのにシチューのものはスプーンの先で押すだけでも切れてしまうほど柔らかいとは、」
「本当に美味しいです。リンちゃんお代わり貰ってもいいですか」
ナナツさんから器を受け取り、お代わりをよそいながら自慢げに、
「ふっふーん、実は下ごしらえに秘密があるんだけどベンには教えない」
「うーむ、ならどうだ?食後の組手に勝ったら教えてくれないか?」
「のった!!」
脳筋チームが盛り上がっているとベンが思い出したように、
「そう言えば、なんでなんだ?」
「何が?」
「リンの嗅覚が並の獣人よりもすごい理由だよ」
「ああ、それは…」
俺が答えようとすると、
「鍛えたからよ。」
ドヤ顔である。
「そう、2人とも昨日会ったよな俺の親父」
「ああ」「はい」
「親父に稽古をつけてもらってたとに、嬢ちゃんの武器は天性の肉体全てだ!って言いだしてな。」
「いい香り、毒物が持つ特有の臭い、獣や魔物の臭いを王都にある物を片っ端から覚えさせられてね。アレはしんどかったなぁ」
リンが珍しく遠い目をしている。ま、臭い修行の休みを賭けて親父と組手するくらいだったからなぁ、
「優しそうな人でしたけど結構スパルタだったんですねぇ」
「おう、意外だな」
俺とリンの昔話なんかをしながら楽しい食事は過ぎていった。




