敗北
こんにちは
神々の世界には、絶対的な序列が存在する。
力の強さ。
支配できる領域。
他の神々からの恐れ。
それらすべてが、神の価値を決めていた。
そして、かつてその頂点に最も近い神がいた。
名は、クラーク。
数え切れないほどの神々を打ち倒し、数多の戦場を生き抜いてきた存在。
彼にとって、他の神々は対等な存在ではなかった。
弱い者は従う。
強い者は従わせる。
それが、クラークにとっての当たり前だった。
「……もう終わりか?」
神々の世界を揺るがす戦い――神位争奪戦。
その最終局面。
クラークの目の前には、神王ゼウスが立っていた。
周囲には、戦いの痕跡だけが残されている。
「クラーク。お前の力は認めよう」
ゼウスは静かに言った。
「だが、お前には決定的に足りないものがある」
「説教ならいらん。勝者が敗者に語る言葉など、聞く価値もない」
クラークは笑った。
敗北を前にしても、その態度は変わらない。
ゼウスはしばらく彼を見つめた後、告げた。
「お前は人間として生きろ」
「……何?」
「力も、地位も、名誉もない世界でな」
クラークの表情から笑みが消えた。
「ふざけるな。俺を人間のいる下界に落とすつもりか」
「そうだ」
「この俺を?」
「お前には、自分がどれほど傲慢な存在なのかを知る時間が必要だ」
ゼウスの声には怒りも憎しみもなかった。
それが、かえってクラークの誇りを傷つけた。
「覚えていろ、ゼウス」
クラークは最後まで頭を下げなかった。
「必ず戻る。そして、今度こそお前をーー」
言葉は最後まで続かなかった。
視界が白く染まる。
神としての力が消えていく
そして、クラークの意識は途絶えていく
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