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報われた努力

「貴方は本当にアイン様なのですか?」


「久しいな、エリカ嬢。以前に会ったのは白い部屋での11年前の出来事か。

あの時は私の姿が白い靄にしか見えていなかっただろうから分からぬのも仕方ないな」


白い部屋、靄のことを知っておられる・・・間違いなくこの方はアイン様なのでしょう。


「貴方は本当にアイン様なのですか?

それにエリカ嬢、君はアイン様に会われた事があったのか?」


皆が状況についていけない中でシグルド様が声をかけられます。


「ええ、そのとおりです。

この方は間違いなくアイン・エリディス様で、私は面識がございます」


「君からは話しづらいだろうから私が代わりに話そう。

この国が本来向かうはずだった未来と君の努力を」


こうしてアイン様は皆に全てを話されました。

前回の時間軸のこと。

私が逆行してきたこと。

二人の前世の呪いの事。


二人はその事を聞くと俯き黙ってしまいました。

私の勝手で振り回してしまったのですからきっとメリルとシグルド様には嫌われてしまいますわね。

辛いですが仕方ありません。

2人は厳しい顔をしたまま私の前まで来ます。

何だか婚約破棄された時のことを思い出しますわね。

あの時の2人に嫌われても何とも思いはしませんでしたが、今の2人に嫌われるのは辛いものがありますわ。

私は暗い気持ちになりながら断罪される犯罪者のような心持ちで2人の言葉を待っていました。

2人は顔を見合わせると・・・同時に私に頭を下げました。


「君1人にこんな負担をかけてしまって本当にすまない!」


「私のせいでお姉様がこんなにも苦労していたなんて・・・本当に申し訳ありません!」


2人の予想外の行動に私は戸惑います。


「え・・・私のことを恨みませんの?

お2人にかけられた呪いを利用して立ち回っていたのですよ?」


「それは仕方のない話であろう。

幾ら何でも前の時間の私は酷すぎるぞ。

それに呪いとか知っていたとかは関係ない。

エリカ嬢のおかげで私は最愛の女性と出会い円満に結ばれる事が出来たのだ。

そこに感謝こそすれ不満などないよ」


「シグルド様の仰る通りですわ。

これでもし、シグルド様がお姉様を責めようものなら呪いに抗ってでも嫌ってみせるところでしたわ!

そのぐらい私は貴女の妹になれて本当に幸せなんです。

お姉様のことが大好きなんですよ」


2人の言葉に心が温かくなります。

思わず涙が溢れてまいります。

誰に認められなくてもいいと思ってました。

でも、いまこの二人に認められ、婚約破棄の時とは真逆の展開になった事で自分のやってきたことが報われた気がしました。

メリルも泣きながら私に抱きつき、2人で抱き合いながらワンワンと泣いてしまいました。

そして、落ち着いたところでカチュアとシャルロットがハンカチを手渡してきました。


「何だかよく分からなけどエリカっちが凄い人だってのは分かったよ!

前の時間では私たちは知り合いじゃなかったみたいだから私は時間戻ってくれてよかったと思うよ」


「私もこんなに素晴らしいものが見れて幸せですわ」


シャルロット様は何を仰ってるかよくわかりませんが、カチュアの言葉にマークとパメラも頷きます。


「僕たちは前の時間ではこうしてこの学校に入学出来ていないらしいですしね。

そう言った点でも感謝しかありませんよ」


「ひめねえさまはよく頑張ったよ。えらい!」


更にエミリオ様が私の前に跪かれます。


「僕は自分の甘さを実感して姉上に相応しい人物になろうと努力しました。

しかし、そんな努力など全く足りていない思わされる話でしたよ。

姉上はこの国に欠かせないお方だ。

例え、貴女の隣に入れないとしても僕は姉上を生涯守りましょう。

僕の・・・いえ、私の騎士の忠誠は貴女に捧げます」


そして、最後にビリーが私の頭を撫でながら


「お前は良くやったよ。

ここにいるメンバーは全員がエリカに感謝してるんだ。

誰もお前を責めたり恨んだりなんてしない。

俺たちは全員お前に救われたんだからな。

だから・・・なんていうか、もっと俺たちのことを信じろよ。

ここにいる俺たち全員お前のことが大好きなんだよ」


「ビリー・・・ありがとう。

それに皆も本当にありがとう。

私は本当にやり直して良かった。

いま心からそう思います」

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