ビリー・ブレイズ3
乱入者は去っていき、またこの場には6人が残っていた。
俺たちは大恩ある公爵令嬢に頭を下げた。
しかし、彼女達は笑いながら生徒は上下なく平等なのだから先程までのように接して欲しいと言った。
その時に初めて気が付いたんだ。
彼女達が制服を着ている理由を。
2人は自分達で身を持って平等であることを示しているのだ。
・・・それに比べて俺はどうだ。
ヒソヒソと言われ白い目で見られることに過剰に反応し、ちょっと嫌味を言われたくらいで頭に血が上り伯爵令嬢に殴りかかろうとしてしまう。
自分のことをバカだとは思っていたがここまで大馬鹿野郎だとは思わなかった。
・・・俺に比べてこの2人、特にエリカ様は立派だ。
この時、俺はこの人を守るために本気で騎士になりたいと思った。
今は学生で対等な友人を望んだ彼女の希望通りにしよう。
でも、必ず努力して騎士になり、彼女を守れる立場になってみせるとこの日心に誓った。
次の日、俺たちは入学式に出席するために集まった。
その場所には何故か昨日、俺たちをバカにしたシャルロットがいた。
だが、彼女はエリカ達と話して改心したのか昨日とはまるで別人のようであった。
パメラも懐いているので問題はないのだろう。
入学式に出ると驚くべきことがあった。
俺が何度も英雄譚を読み憧れたドグネス様が騎士科の教師を務められるというのだ。
クロード公爵家の騎士団はドグネス様の指揮下にある。
その騎士団は精強で有名なのできっとドグネス様の教えが良いのだろう。
俺はその教えを受けれるという事に喜び震えていた。
式は進みメリルの挨拶が始まった。
壇上で堂々と演説する姿は普段の姉を立てて一歩後ろにいる彼女と違って見えた。
彼女を婚約者に選んだシグルド王子の目に狂いは無かったということだろう。
挨拶が終わり俺達は拍手をする。
しかし、教師陣のいる場所から聞こえてくる、爆発音のような音に全部かきけされてしまっているような気がする。
式が終わりエリカ達に初めて選択学科の事を話した。
俺たちは慣れてしまって何とも思わないが初めてパメラの事を聞くとそりゃ驚くな。
そんな話をしているとドグネス様がこちらにやってこられた。
そして、一目見てパメラを気に入ったドグネス様はそのままパメラを抱えて訓練場に行くと言い出した。
更についでとは言え俺も鍛えてもらえることになった!
何という幸運だろうか。
俺は喜び勇んでドグネス様の後をついていった。
・・・いつの間に俺は寝たんだろうか?
昨日寮に帰ってきた記憶がない。
師匠の訓練は地獄の一言だった。
だが、学ぶことは大きく有意義な時間だった。
ん・・・師匠?
ああ、まだ記憶が混濁しているが、訓練の途中でテンションがおかしくなった俺は途中からドグネス様のことを師匠と呼んでいたな。
それに対してニヤリと笑った以外に反応がなかったので師匠のままでいいのだろう。
パメラに至ってはお爺ちゃん先生なんて呼んでいたが全く気にして無かったからな。
それはともかくとして昨日はボロボロになるまで訓練を施された。
そして、ボロボロの状態で模擬戦をやらされた。
それは俺が皆を守る騎士になりたいと言ったかららしい。
人々を守ろうとする時、いつでも準備が出来ている状態ではない。
苦戦して敵を倒しボロボロの状態でも守るためには次の戦場に行かなくてはいけないこともある。
それが出来なかったら守るべきものが蹂躙されるのを見ていることになると。
だから、どんなにボロボロでも剣を持ち敵の前に立ちはだかれる様になれ。
それが守る騎士の姿だと。
俺はその言葉に心から震えた。
この人はそうやって隣国からの侵略戦争の時に人を守り続けてきたんだと。
正に憧れた英雄の姿がそこにあった。
俺はその教えを受けれる喜びに震え最後の力まで振り絞って訓練を受けた。
そして、終了と同時に気絶したんだったな。
なんだか騒がしい声が聞こえてふと窓の外を見る。
そこには俺を除いた特待生3人とクロード姉妹。
それにシャルロットとそのお付きが4人いるのが見えた。
なんとなくその中の1人を見ながら俺は必ず守れる騎士になると改めて誓った。




