歴史の変化
メリルが我が家の養子となりシグルド王子と正式に婚約致しました。
そのめでたいニュースから6年、私達は現在貴族学校へ入学の為に馬車に乗っております。
ええ・・・私達とは私ことエリス・クロードと妹のメリル・クロードの事です。
年齢が一歳違いの私達がどうして同じ年に入学しているのか。
それはこの時間軸が私の知っている歴史と大幅に違ってきているのが原因でした。
以前の時間軸と違うことを書き出していくと
私とメリルが子供の頃に知り合い現在は姉妹となっている。
メリルは平民ではなく公爵家令嬢である。
シグルド王子の婚約者は私ではなくメリル。
メリルは妃教育を受けており私も横でサポートした結果、立派な王妃として務められる教養を身につけている。
と、ここまでは私の計画通りですので問題ありません。
しかし、それ以外の所で予想外の違いというものが起こっております。
それは
モニカが運動にハマってしまい結婚せずに未だに引退していない。
モニカの夜会は貴族界でもトップの大きさを誇る勢力になり、モニカの主人であるクロード家は現在最も力のある貴族になっている。
お母様が健康になり生存したまでは計画通りだが、モニカの夜会の常連になった結果元気になりすぎている。
メリルの母、マリアとジョン爺が結婚した。
それに伴いモニカの元で運動し体力を付けたジョン爺は未だに現役で仕事をしている。
そしてお二人の間にトニーという男の子とクレアという女の子が産まれました。
と、ほぼモニカのせいではありますが引退と死亡の歴史が変わり、全員が元気にやっております。
お母様とジョン爺に至っては私が記憶する、亡くなる前の姿が嘘のように元気になっております。
ジョン爺は娘の晴れ姿を見るまで死ぬわけにはいかんと更に健康的な身体を作ろうと奮闘しております。
アレは本当に後20年は余裕で生きてくれることでしょう。
ここまでの違いを書き出した時に私は考えました。
他に予想が出来る不確定要素はないかと。
結果、一つだけ思いつきます。
それがメリルの貴族学院入学です。
メリルは以前の時間軸では平民でありながら特待生という形で入学してきました。
しかし、現在の彼女は公爵令嬢であり王太子殿下の婚約者という立場です。
平民の特待生という立場で入学することは無いということです。
では、その枠に誰か違う平民が入学してくるのでは無いかという懸念がありました。
そこで私は何かあったときに備える為に一年間病気になりベッドに臥せっていたという触れ込みで入学を遅らせることにしました。
このことには私の逆行の秘密を知っている父と国王も賛成してくれました。
そうして情報を集めた所、メリルの通っていた修道院の生徒が何名か選ばれそうだということです。
この時まで私は勘違いをしていたのでしたが、特待生というのは試験で一定の成果をあげれば何名でも選ばれるそうです。
但し、その門は限りなく狭く年によっては0ということもあるとのことでした。
ですので本来はメリルがいなくなった時点でこの年の特待生は0になる予定だったのですが、何故か複数人も試験に受かるという結果になっておりました。
一体、何故なのか?
私は徹底的に調べさせました。
モニカの夜会メンバーにも協力を頼みました。
そして出てきた答えは・・・全て私のせいでした。
私はメリルを引き取るときに修道院を褒め、お父様に良い報告が出来ると言いました。
そして、その言葉通りにあの修道院は幼い子供を集めて教育を施す素晴らしい理念を持っていたという話をしたのです。
その話を聞いたお父様はメリルを引き取るということもあり、修道院に多額の寄付を納められました。
すると、修道院の方達は様々な資料や筆記具などにお金を使い教育の水準を大幅に引き上げたそうです。
結果、この修道院からは毎年数名の合格者を出しており、そのお陰で更に寄付金が集まり、そのお金でまた勉強道具を・・・と上手く循環しているそうです。
変化と言えば私達より一年先に入学したシグルド王太子殿下の話も前回とは全く違います。
彼は前の時間では授業はまともに聞かず成績は中の下ほどでした。
私が何度、将来の王に必要な教養を身につけてくださいと訴えても聞き入れてもらえませんでした。
しかし、この時間軸の殿下は違います。
メリルと婚約されてから人が変わったように努力されました。
私やメリルに勉学を尋ねることもありましたが、軽い説明で理解してくれます。
その結果、現在殿下は学年で最優秀の成績を修められているそうです。
そして、私と殿下の関係も婚約者でなくなったというだけの関係でもなくなりました。
私が常にメリルの側におり、2人の関係を支えた結果、殿下は私に対して信頼を置いてくれたらしく非常に良好な関係を保っております。
それは前回の時間軸が嘘のようでした。
まぁ、だからと言って殿下に懸想を抱くことなどは無いのですが。
このような様々な変化に対応する為、私は常に一緒に行動できるように一年遅れで入学をするという手を打ったのでした。
こうして書いてみると、かなり歴史が変わっています。
予想外なことも含めてだいたいエリカのせいです。




