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シグルド・エリディス 2

私は城に戻るというすぐに調べ物を始めた。

過去に平民と婚姻を結んだ王族がいないかを調べる為だ。

だが、そんな話は一切出てこなかった。

私付きの者に尋ねようかと思ったがそんな事を聞けばすぐに父上に話がいくだろう。

私は人生でこんなに悩んだことはないだろうというくらいに悩んだが全くいい案が浮かんでこなかった。


運命の出会いから3日後、父がクロード公爵と大事な話があるらしく王城に呼び出されたそうだ。

クロード公爵は娘と遠縁の者も一緒に連れてくるらしい。

私はこの話を大いに喜んだ。

勘違いでなければその遠縁の者とはメリルに違いないだろう。

私はお付きに公爵令嬢達が来たらすぐに2人を私の部屋に通すように指示を出した。

間もなく、私の愛しき人は現れた。

2人きりではないがエリカがいなければこうして会うことも出来ないのだ。

それを考えると彼女には感謝の気持ちしかない。

暫く3人で談笑しているとクラリス夫人が授業をしに来たという報告が入る。

そういえば今日は夫人の授業の日か・・・なんと間の悪い事だ。

何とか日にちをずらせないかと模索しているとエリカが提案をしてきた。

メリルもクラリス夫人から授業を受けているので一緒に勉強されてはどうかと言うのだ。

最初は渋ったが2人で勉強するのなら隣同士で座ることも可能だと言うエリカの話に私は飛びついてしまった。

更にエリカは気を遣ってくれたのか庭園に散策に行くという。

本当に出来る女だ。

今まで私の権威に群がってきた女達と違い私には媚びる事はなく、しかも私とメリルの仲を取り持とうとしてくれることが伺える。

パーティーの別れ際は友情を深めたというのは演技のつもりだったが、彼女とは本当に仲良くなれる気がする。

もちろん、愛情ではなく友情という意味でだが。

メリルのことが無ければ彼女がいる婚約者でも良かったのかもしれないな。


クラリス夫人を部屋に招き授業を受けることにした。

彼女はここに平民であるメリルがいる事に驚いたが、すぐにエリカが事情を説明して納得された。

そして勉学の進み具合はメリルの方が遥かに進んでいるらしく私は彼女から勉学を教わる事になってしまった。

歳下の愛しき人から勉学を教わるとは何という不覚だろうか。

何度目の後悔になるか分からないがもっと勉学に励んでおけば良かった。

とはいえ、彼女に教わることは嬉しくもあり、教え方も上手いのかすんなりと内容が入ってくる。

そして上手く解けると彼女は満面の笑みで褒めてくれるのでこれはこれで良い気分だった。

普段は恐ろしい形相で私を叱るクラリス夫人も真面目に勉強を受けているせいか、ニコニコと微笑みを絶やさず、また私のことを褒めてくれた。

私は後悔はしても頑張ろうという決意はしていなかった。

こんな事しなくても王を継ぐことは分かっているし分からないことは周りにいる優秀な者に任せれば良いと思っていたからだ。

しかし、この時に私はもっと真面目に王に相応しい人間になろうと決意した。

もっと真剣に生きようと。

メリルに恥じることのない相応しい人間になろうと。

授業が終わりクラリス夫人を交えて3人で談笑しているとエリカとクロード公爵がメリルを迎えに来られた。

彼らを見送った後、父に呼び出された。

何だろうと思っていると父は先程のクロード公爵との話を私に聞かせてくれた。

その場には驚くべき事に庭園に行っていた筈のエリカもいたそうだ。

話の内容を聞くと羞恥で顔を背けたくなる。

どうやら私の気持ちは彼らには筒抜けであったらしい。


そして、父から恐らくメリルがクロード家の養子になる事。

既に元が平民であるという事がバレないように手を打ってある事。

その為にクロード公爵は不名誉な噂が流れてしまったがそれを受け入れてくれている事。

これらの計画は全てエリカの立案で行われた事。


このような話を父から聞かされた。

父は私に問いた。


「準備は既に終わっておる。

お主はメリル嬢と婚約を望むか?」


私は父の目を見据えハッキリと答えた。


「私はメリル嬢との婚約を望みます。

その為にも今日父に誓いを立てたいと思います」


私の言葉に父は面白そうな顔をする。


「誓いとは一体何を誓うつもりだ?」


「私は今まで第1王子という立場に甘えておりました。

この立場が無ければ私は何もできない愚か者だと、クロード家の2人の娘に気付かされました。

にも関わらず私はその片方の娘には多大な恩を受け、もう片方の娘を娶ろうと言うのです。

ならば私はこのままの生活を続けては駄目だと思います。

良き王として、良き夫として全てを支える為にももっと真面目に生きることを誓わせてください」


私の言葉に父は嬉しそうに頷いた。


「そこに自分で気付いたのは立派な成長だな。

全くクロード家には返しきれぬほどの恩を受けてしまった。

あの者たちは私心なく動く誠の公の者たちよ。

お主の代になっても忠を尽くしてくれるであろう」


「はい、その言葉忘れる事なく胸に留めておきます」


「婚約が成り立てばお主は正式に王太子として任命される。

お主の言葉信じるぞ」


「はい、私は必ず良き王となります」


数日後、エリディス王国に大きな知らせが3つ流れた。


一つ目はクロード公爵が養子を取った事。

二つ目はその養子がシグルド王子の婚約者となった事。

三つ目はシグルド王子が王太子として任命された事。


このめでたい知らせに人々は大いに喜んだそうだ。

別視点はここまでで次回からは新展開です。

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