ボランティアという依頼 鷹仁
ここ数日、僕は店に顔を出していない。
物凄く忙しい訳ではなく、単純に僕がいても暇をもて余しているだけだからだ。
夏休みの宿題なるものは、とっくに終わっている。
約1ヶ月どのように過ごすか悩んでいた。
「おい、鷹仁」「何?父さん」
「お前、ボランティア行かないか?」「え?」
急に言われればビックリするのも無理はない。
それに、どこから出てきた話だろう。
一通の封筒を渡された。
内容はこういったものだった。
高校生にランダムで送られるもので、ボランティアとして働きながらホームスティができるというもの。
「怪しくない?」どう考えても怪しいでしょ。
と思ったのだが、親がどう調べても由緒正しい物なのだそうだ。
だったら、10日ほどなので行かせてもいいかなって事になったらしい。
場所はいくつか選択肢があるようだが、どれでもいいらしい。
怪しいでしょと思いながら封筒の中身を斜め読みに確認していく。
最後に担当の名前と電話番号が書かれているのを見て、ボランティアでないことを察した。
聞き覚えのある大岡という人物と、はっきりとは覚えてないが電話番号がこれまた見覚えのある番号だ。
そうまでして、頼みたいことがあるのかと思う。
改めて内容を確認すると、ほとんどが掃除や整理の手伝いといった内容だった。
僕は、一旦封筒を受け取り部屋で考えたいという。
部屋に戻り、携帯を取り出すと調べてみた。
しかし、何もわからないなら、直接聞いてみることにした。
トゥルルルルル
「もしもし」「もしもしおー鷹仁君かい。やっと連絡来たか」
「やっとって何ですか。親を巻き込むようなことはしないでください」「まーそこはホラーしっかり誤魔化してるし」
「確信犯じゃないですか」「良いじゃないの」
「良いのか?良くないですよ。これって依頼ですか?」「うん。流石に只で依頼は出せないからね」
「しかし、これ日本の中といっても5ヵ所もありますよ。全部回れとは流石に」「言う。全部回ってくれ」
「流石に日程少なくありません?」「君なら出来る。いや、君しか出来ない」
「そんな都合の良い話」「任せた。あっそうそう、行き先は京都に決めたと言っといてくれ。よろしく。あとは追って沙汰する」と電話を切られた。
沙汰するって・・・それに何で京都なの?。
そうだとか京都とか行こうって言いたいだけとか?んなわけないか。
父さんに京都に行くといったら、別の封筒を渡された。
受け取り中を確認すると、切符他地図等が出てくる。
既に用意されていて、残りは返却するようだ。
母さんが何処からか大きめのバックを出してきて「これで行ってきなさい。あとは自分で用意するのよ」という。
僕からしたら、見た目手ぶらで良いのだが、これくらい持っていかないと不自然だと思い、用意する。
と、これが今朝の話だ。
で、今は飛行機に乗っている。向かっているのは北の大地だ。
着いたのは、想像を絶する小さい空港。迎えの車に乗り込み向かった先はとある役所であった。
直ぐに応接間に通された。
運転士は、直ぐに帰ってしまう。
ここで待っていれば良いのかなと思ったら、飛び込んできた人がいた。
「お待たせして申し訳ありません」丁寧な言葉ではあるが、お父さんくらいの年齢の人に言われるとこそばゆい。
「敬語はやめてください。ただの高校生ですから」「確かに、私の息子と変わらないくらいだ。で、私の願い聞いてもらえると紹介されたのだが、本当に、いや、駄目ならそれでも」
「駄目元だったんですね」「あっいや、気を悪くしたのなら」
「誤らなくても結構ですよ。話は聞いてから判断しても良いですか?」「そ、そうだな。話だけでも聞いてくれ。いぃください」混乱してますね。
簡単に話をまとめると、昔牧場をしていたが、諸事情があり今は村が管理している。
といっても荒れ放題で手付かずのままだ。
主に牛、羊、出来れば鶏も飼いたいそうだ。
話はわかった。で、僕に何をして欲しいのかというと、荒れた牧草地の整備と動物達の牛舎等の建築。後は飼い葉を仕舞っておくとこが欲しいそうだ。
ヤバい。完全に素人だ。良くわからないけど、地図を見ながら相談する。
牛舎等はイメージを固めて、材料もほぼ僕の持っているもので出来そうだ。
飼い葉等の保存や自動餌やり機は何時もの収納機能を駆使すれば問題ないだろう。
問題は、牧草地を守る何かが欲しいところである。
大抵のことをしても野性動物は入り込んでくるだろうし、放置していても丁度良いようにならないかと思うのだが。
「近くに稲荷神社ありませんか?」「稲荷神社?」
「えーどうでしょう」「ありーますが」
「案内してもらっても」「良いですよ」
と、役所を出ると既に太陽が傾いている。
神社に入ると、直ぐに頭の中に声が響く。
『バリアを作ると良い。作れるようにしといた』と、相談に来たことが筒抜けのようだ。
バリアについては、僕は直ぐに理解できた。
「お願いがあります。毎月で良いのでここのお稲荷さんに、いなり寿司をお供えしてくれませんか?」「それは」
「お告げをもらいました。そのお返しです。多少は怠っても良いですが怠っり過ぎると恐らく」「わかりました。でも私は信心深い方ではないですよ」
「構いませんよ。貴方がお供えするのが感じんですので。試しにこれをお供えしてみてください」何処からともなく出したキツネ饂飩にビックリするが、言われた通りにお供えしてくれた。
すると、勝手に饂飩が減ってくではないか。それを見て驚愕される。
「これでわかってもらえたと思います」「は、はい」
そのまま、僕達は牧場に移動した。
地平線に太陽が沈み始め、うっすら暗くなっているが、イメージはついているので問題ない。
「そこを絶対動かないでくださいね」そう言うと僕は一瞬で農場を作り上げるのだった。
ー薄暗い中でも俺にははっきり見えていた。
地面がグニャっと曲がったかと思うと、地面から生えてくるように出来上がる建物。
大きさや形からいって、左が牛用、前が羊用、右が鶏用であろう。
ミルミル出来るのに驚き腰を抜かしそうだ。
建物が出来たその前に広がる雑木林を次々と彼に飲み込まれていく。
猫とか狐とか、熊も出てきたと思ったら、彼が何かを投げて動物も彼に吸収されていった。
そろそろ予定の広さまで到着すると、彼から何かが一気に放出された。
そして土を撹拌する。
そこで暗くなってしまった。ー
「続きは、明日やりましょう」




