お店を開く準備8 鷹仁
ダンジョンを出ると、目の前に停めてあった車の後部座席が開き、助手席に乗っている人が手招きしている。
僕達はすぐに乗り込むと、助手席に座っていた男は、ダンジョンに潜る前に説明をしてくれた男だった。
「今日の攻略は終わりか?だったらうちに送ろうか」と言う言葉に直ぐに返事をしたのが彩琥だった「その前に換金したい。造幣局いっていって。それから、クエストの金は何処に持ってったらいいの?」
「そう言えば、その当たりの事書かれていなかったですね。もっとも最後まで付き合うつもりでしたから。造幣局でいいですよ。度のくらい集まりました?」「終わったよ」「「えっ」」運転手まで驚きの声を上げた。
「いやーにわかには、そうだ、さっきの量りを金10キログラムで売ってあげよう」「えっとーくれるって言ってませんでした?」「そーだったかな」「自分ばっかりずるいですよ。私も分け前欲しいですのに。それに10キロとは問題になりますよ。駄目ですよ」「君も10キロと言う分け前もらえばいいだろ」賄賂は駄目だが分け前は良いらしい。謎理論だ。
しかし、金10キロとは。端金イヤイヤイヤ大量に要求するな、いや、ボッタクルな。
なんて、思ってみても仕方ないと思う。だって、彼らは元々もらう気はないのだ。
高校生をからかってる程度で悪気もない。その証拠にバックミラー越しに見える顔の目は、物欲しそうな目でも無さそうだ。
ではと、リアルカラカイを実行してみよう。
僕は、空間から金塊もとい金インゴットを出して、2人に差し出す。
「前、前!」「ブレーキブレーキ!」運転手が固まって、今度は龍一と彩琥が慌て出した。
我に返った運転手が慌ててブレーキを踏むものだから、金インゴットが飛び出し、フロントガラスがヒビが入ってしまった。
急なブレーキに、後ろの車達もブレーキを踏んだようで、ブレーキ音が後ろからも聞こえてきたが、幸い玉突きにはならなかったようだ。
車の中は、運転手が僕に向かって、こんなもの急に出さないでくれといい、龍一と彩琥は運転手に急に止まるなと文句をいい、助手席に乗っている男は我関せずと言った感じだ。
僕は、車のフロントガラスを少しづつ直している。
後ろの車の人は、急に前の車が止まるから混乱していた。
文句の1つも言いたいが、見るからに公用車で高級車。関わりたくはない。
それでも、前が進まなければ自分も進めない状況に前の車の様子を見に来る。
運転席側の窓を叩こうとした時、実物をみたこともない黄金の塊が目に入る。
ひび割れしていたフロントガラスが、みるみる直っていく。
公用車に、それも高級車の黒光りの公用車に似付かない小学生と争う運転者。
自分の後続者は物言わず通りすぎる。
見なかった事にして、自分の車に戻ると、後ろから来たトラックのクラクションに運転手が我に返り車の運転を再開する。
しばらくいくと、造幣局につく。
運転手も一緒に、確認するために中に入るのだそうだ。
いつも道理案内された部屋で待っていると、造幣局局長自ら入ってきた。
「依頼分の金は此方の部屋で引き取ります。換金分は違う部屋で行いますので、出してもらってもいいですか?」ゴロゴロゴロ・!・!・!・。
「・・・はっ早く秤を、後手の空きそうな人を集めてきなさい」慌てて廊下に出ていく若い者を見送り「出すものは出した。早く換金して帰りたいのだが」「お急ぎで?」「いや特に。ただ量が多いから」「そうですよね」積み重なった金塊をみて言う局長。
「では、こちらに」「ちょっと待て」運転手だった。
「君達、最後まで自分の目で見ていかなくて良いのか?」「良いです。信頼してるんで」「ありがとうございます。ささ、此方に」と言われ案内された。
ジャラジャラと音が響きわたる。部屋を変えて、討伐時に得た小銭を出している中、依頼はOKと告げられた。
僕達は全部小銭を出したが、選別の方は時間がかかる。
そう思っていると、「どうでしょう、依頼達成の手続きはこちらで済ませておきますので、後日換金分と合わせて送金しておきます。時間もかかりますし今日の所は帰りますか?」「そうだね、帰ろっ何か来る」「多分税金取りのおっちゃんだよ」と龍一。
「「「どうしよー」」」この前からかった形になったので、ちょっと気まずい。
「君達、まだ金とか残ってるのかな?」「残ってますよ。さっき納めた10倍?位かなー」「ジュー・・・だったら直接国税局に行けばいいんじゃないか?付きまとわれるのも嫌だろ。今日はもう遅いし明日辺りどうだろう」「いいんじゃない。でも、ただ納めるとかつまんないよね。お人形とか作って納めたら。お兄ちゃん」「んーなんか面白そう。やってみるか」「うん」バタンと扉が開いて勢いよく入ってくる。「局長。局長、あの子達が来てるんですって」「あーうん。落ち着け。そこに・・・帰られたようだな」
悔しがる税務官を横に局長は身震いをしていた。
あーうん。と言った時には、子供達は雑談していたように見えた。
落ち着け。と言った時には、子供達は手を降っていた。バイバイと。
そこに・・・の、その時点ではいたと思う。
この時点で、体が揺らぐように半透明になった。あれが残像と言うやつなのだろう。
にの時点で、完全に消えていた。
次の日の朝、僕は2人を連れて国税局に足を運んだ。
建物の自動ドアを潜ると、受付のお姉さんがいたので声をかける。
「僕達、税金納めに来たんだけど、どこ行けばいい?」
「えっと君達だけ?親は?」「いないよ」「そっそうなの」「うん」
「ちょっと待っててね、今連絡してみるから」そう言ってカウンターに戻ると受話器を取りどこかに連絡していた。
しばらく待っていると、「えーと君達かな?親はいないのかな?」「いないよー別に親の税金納めにきたわけじゃないのに」彩琥が、対応してくれた男性の対応が気に入らないのかぶっきらぼうに応えた。
僕は、こういう自分の考えのみの大人っているよねって思ってたのだけれど、敏感に反応してのが龍一であった。
とはいえ、暴れたりは流石にしない。けど、明らかに嫌な顔をする。
事情の知らない男性は、小学生程度に馬鹿にされた感を覚え、苛立ち始める。
「じゃ何しに来たんだ?だいたいここは小学生の遊びに来ると頃じゃないぞ」「遊びに来たんじゃないやい。税金納めにきたっていってるじゃん」「だったら督促でも持ってきたんか」「んなもん持ってないっていってるじゃん」「もういい、警備員呼んでこい」と受付のお姉さんに怒鳴り散らした。
受付のお姉さんが連絡するまでもなく、大きな声が響けば警備員も当然反応する。
警備員が到着するも、暴れている人など居ないので戸惑ってしまう。
「どうかしましたか?」「どうもこうも、こいつら人を馬鹿にしやがって、つまみ出せ」と少々我を忘れてるようだ。
僕は、受付のお姉さんに「もっと話のわかる人居ない?マドギワさん?カベギワさん?きど・・・キドギワさんだっけか?誰だって?そんな人居なかった?」「えっと窓?壁?キドギワえっと」プチパニック中である。
「もしかして、木戸辺さん」「うん。そんな人」お姉さんは、もう一度改めて僕を見る。
僕は、3人の警備員に捕まれ後ろに引っ張ろうとしているが、ビクともしない僕に更なるビックリしながら、冷静を取り戻し電話で連絡をし始めた。
電話の口を手で塞ぐと、「あのーライセンスなるものを見せてもらっても?」というので、差し出す。
ライセンスカードを見て一番最初に反応したのが警備員の人であった。
「もういい、よせ」と言う言葉に反応して、僕から手を離す2人。
「此度は知らぬこととはいえ申し訳ございません」と、頭を90度に曲げ謝罪する。またまた、お姉さんプチパニックになってるよ。
「今回は見なかった事にとは、せめて私一人の罪に」「罪はいい。何もなかったってことで」と。
僕がそう言うと、警備員は直ぐに自分達の控え室に引き返してしまった。
「もう少ししましたら、木戸辺が来ますので、お待ちいただけます?」「いいよ」と、応える。
僕は、ガルルルルと怒っている2人の所にいき、耳打ちをした。
怒っている顔がみるみるニターとしてくる。それはそれで気持ちのいいものではない。
怒鳴り散らしている男性は、僕達の態度と去ってしまった警備員とで、冷静を完全に失っていた。
そして、僕を後ろから思いっきり殴ってきた。
ガキンという鈍い音と明らかに嫌なボキッという音が響く。
シーンとなる現場。
エレベーターの着いた音までが響く。
バタンっと受付のお姉さんが倒れる。
呑気な木戸辺の声が響いた。
「君達こんなところまで、どうしたの」と。
その瞬間、僕達は残像を残して外に出た。
フロントに所狭しと置かれた、大量の金、銀、銅像を残して。
骨折した男の悲鳴と、木戸辺のヤラレタ感が混在する。
フロントのお姉さんは、目を開けた時、目の前の金の仏像に自分が死んだと思い、意識を再び離してしまったと。
国税局を出た僕達は、何処か隠れる場所はないかと見渡すと、昨日乗っていた車からオイデオイデされるので、直ぐに乗り込んだ。
乗り込んだ直後に出発する車の中で、後ろを振り向くと漸く出てきた木戸辺さんだっけ?が、キョロキョロしていた。
龍一達は、今日はもう家に帰るとの事なので、龍一の家に車が向かう。
僕も、お昼を食べに家に帰ろうっと。
「午後、付き合ってもらうよ。奴隷を引き取りってもらわないと。後、これが奴隷引き取りの説明書」と言って分厚い本を渡された。
1ページ目を開くと、いきなり要約文とある。分厚いから全部読む人居ないのだろうな。
主人側は、人となりの命令をする事、衣食住の面倒をみる事、相手の借金返済まで続く事。である。
奴隷側は、基本命令に従う事。ステータス画面にでる借金が0になるまで続ける事。とある。
両側共に秘密は守るようにとの事。当たり前かな。
最後に契約方法が書かれていたが、これが僕にとって重要だった。
ご主人だーれだ。みたいな契約しようとしたが不可能だったからである。
内容はこうだ。
主人になるライセンスカードを奴隷となる人と同時に触れ、ステータス画面に出てくる奴隷契約書に拇印又はそれに変わるものをつけるというもの。
なぜこうなる。
お昼を食べた僕は、1人病院に向かった。
1人で行くと述べたら、病院の場所と受付にライセンスカードを見せれば話が通るようにしとくと言われたからだ。
病院についた。総合病院で大きい病院だ。
病院に入ると、すぐ横に1階から15階までの各階に何があるかの表示がされてるプレートを見た。
1階が、総合案内他コンビニや薬局が入っており、2~5階が診察や手術ができる部屋があるらしい。
6~12までが入院室があり、13階に多目的や食堂が入っている。
14~15階までがスタッフルームとなっており、屋上はヘリポートがあるが通常使われてないとなっていた。大きい病院である。
機械で番号を受け取り順番を待つ事1時間20分。漸く呼ばれた。
「本日はどうなさいました?」「えーと面会ですかね、引き取りですかね?」「面会ですか?入院されてる方かな。名前は?」「わかりません。あっこれ」と、ライセンスカードを出す。
「これは、この病院の診察カードではございませんね。他にありませんか?」「それでわかるはずです。他の人に聞いてみてください」と言うと、丁度隣の人が空いたので聞いてくれたのだが、2人して首をかしげてると、不振に思った受付の後ろにいた、いかにもベテランお局様的人が声をかけてきた。
「どうしたの?」「あっはい。これを提示されたのですが」どれどれと除き混むように見てハッと思い出した顔をすると「そのカード貸してもらっても良い?ありがとう。間違いなさそうね。これをどちらの方が」「こちらの方です」「そっそう随分と若い。警備員呼んでください」「えっ警備員ですか?」「そうよ、早くしてね」「はぃ」
「たいへんお待たせしました。こちらはお返しいたします。すぐに案内できる者が来ますのでこの場にてお待ちください」「あのー何かありましたか?」「申しわけないですが、こちらの方を15階の一番奥の部屋へご案内差し上げて」「じゅ15階ですか?しかしあそこは」「お願いしますね」「かしこまりました。ささっこちらでございます」
受付を出て診察の待ち合い場所の横を通る。警備員の後を着けているだけだが、他から見ると警備員に連れられてるようで、ちょっと後ろ指差されそう。
そのまま、手術室がある横を通りすぎ、エレベーターに乗った。
妙に広いエレベーターは、直接屋上にたどり着く。ヘリコプターで運ばれてきた患者を運ぶために広いエレベーターなのだと思う。
エレベーターを降り、少し移動すると、別のエレベーターに乗り15階についた。
エレベーターを降りると、絨毯の廊下が続いていて、警備員がエレベーターの前を警備していた。「身分証をそれとボディチェックを」
身分証を確認してボディチェックを受ける。
ボディチェックは、収納スキルを持つ僕にとって意味の無いものだけどね。
廊下の両端は個人入院部屋がずらりと並んでいて、所々警備員がいる。
そして一番奥と思われる部屋にいたのが警察官の守る部屋であった。
部屋の前にくると、連れてきてくれた警備員さんは「では私たちはこれで」といい去っていく。
警察官にライセンスカードを提示すると、すんなりと中にいれてくれた。
部屋の中には4つベットがあり、僕が救った4人は確かにここにいた。




