27件目 僕の彼女と従妹の熾烈な戦いが始まる件について! 準備編その2!
「ふわぁ……買ってきたよー」
「ただいまお兄ちゃん」
「おかえり真冬、結衣さん」
「おかえり~真冬ちゃん! と結衣さん」
「お邪魔してます。真冬ちゃん。と結衣さん」
僕たちが待つこと三十分。
大きな買い物袋を持った真冬と結衣さんが帰ってきた。
と同時に茜も正気に戻った。
てか二人の結衣さんの扱いがひどいような気がするんですけど……
「ずいぶん買ってきたね」
「んーそうかな? 勝負に使うものって言われて適当に選んできただけだから。まぁ普通の量だと思うよ」
普通だと言う真冬だが、誰がどう見てもこの買い物の量はおかしい。
買い物袋大が二個に買い物袋小が二個あと紙の袋が二個。
紙の袋には、エプロンや、下着、あと高そうな服とかも入っていてどう考えても、勝負には使いそうにはない。
「さては真冬、買収されたな?」
「何言ってるのお兄ちゃん。私はいつだってお兄ちゃんの味方だよ!」
「そ、そう」
強気で迫ってくる真冬に僕は少したじろく。
「……それでもこんなの使わないでしょ」
そういって僕は高そうな服や下着が入った紙の袋を持つ。
「これも勝負に使うんだよ?」
「はい?」
なぜかにやけながらそう言う真冬を僕は見つめため息をつく。
てか下着を使う勝負とか嫌な予感しかしないんですけど……
「まぁとにかく色々ありがとう真冬」
「ううん。お兄ちゃんのためだもん。今回は頑張ってね。たぶんお兄ちゃんもいろいろ大変だと思うから」
「……うん」
どうやら真冬はいろいろと勘づいているようだ。
まぁ勘づかないほうがおかしい、といえばおかしいんですけどね。
「あと茜さんも頑張ってくださいね! 私応援してますから!」
「あ、ありがとう真冬ちゃん。私頑張るね!」
真冬は茜の手を握り締めて応援する。
さすがは真冬、茜への応援も忘れない。
本当にできた妹です。
僕が二人を見ていると突然、誰かに服の袖をつかまれる。
振り返ると、
「……いっくん私は?」
結衣さんだった。
「ゆ、結衣さんもいろいろありがとうございます」
僕は丁寧にお礼を言う。
まぁいつも通りなんですけどね。
すると結衣さんは、
「なでなでは?」
「え?」
「なでなで」
「はい?」
「だ・か・ら。なでなでは?」
唐突に撫でることを強調してくる。
最近強気なんですよね結衣さん……
ほんと何かあったんでしょうか?
「今日はだめですよ結衣さん。茜もいますから……」
僕は茜がいることを理由に断る。
すると残念そうな顔をして、
「……ううん。大丈夫だよ……そのかわり今日、働いた分のご褒美……考えといてね」
「は、はい……」
僕が返事をすると結衣さんはソファーに倒れこむように飛び込む。
そしてそのまま眠った。
強気なところ以外は平常運転って感じです。
てかそんなことより、買い物が『働く』って……
ほんと結衣さんの将来が心配です……
僕が結衣さんのことを考えていると今度は陽菜が、
「お兄さん! 今日は、私と茜さんがメインなんですよ!」
少しムッとした感じでそう言う。
「う、うん? ごめん?」
僕は疑問に感じながらも謝る。
すると陽菜はため息をついて、
「ほんと乙女心というのを分かってませんよねお兄さんは」
「えーっと……」
「まぁいいですけど……てか、二人も帰ってきたからあとは委員長を待つだけなんですけど……」
今度はスマホを取り出し時間を気にしている。
「どうかしたの陽菜?」
「時間的にそろそろ第一の勝負を始めないと、まずいかなぁ……って思いまして」
「うーん。どんな内容かは聞いてないから、何とも言えないけど、結衣さんも寝ちゃってるから、真冬一人に判断してもらうということにして、始めちゃえばいいんじゃないかな?」
と露骨に、僕と茜の味方であろう真冬一人に判断してもらうということを提案する。
てか正々堂々と茜と陽菜が勝負すると、茜が負けると思うんですよね。
茜が緊張しすぎて……
「うーん……確かにそうですね。仕方がありませんね」
渋々ながら陽菜は僕の提案を受けることにしたようだ。
「じゃあ真冬ちゃんはそこに座ってね」
「はい」
陽菜が指をさした椅子に座ると真冬は、何やら買ってきた袋の中からホワイトボードを取り出しなにかを書き始めた。
「ええっと、まずはルールを説明します」
「真冬は事前に知ってるの?」
「うん。今回の審査員の長を務めるから、一通りのことは知ってるよ」
「へー」
「ではコホン……ええっとルールは基本的になんでもオッケーです。ただし道具、食材その他諸々の物を使用するのは、私と結衣さんが買ってきたもののみとします。また一切の例外は認めません。それは私物も、使用してはいけないということになります。ちなみにこれが適応されるのは茜さんと、陽菜さんのみです。あとこのルールを破ってしまえば負けということになります。二人ともよろしいでしょうか」
「「うん」」
つまり家の物は使えないってことでしょうか。
いずれにせよ、真冬が普通の量って言っていたのがなんだかわかった気がします。
「ん? 真冬ちゃん私物がってことはもしかして……」
茜は何かを勘付いたようで、顔を少し赤くする。
そしてそれを見た陽菜は笑みを浮かべる。
「はい。流石は茜さん。理解が早くて助かります。てことでお兄ちゃんは目を何かで覆っておいてね」
「え? どういうこと?」
僕はなにも訳が分からないまま真冬に目隠しされる。
「それでは、茜さんと陽菜さんは服を脱いでください」
「え?」
真冬がそう言うと二人は脱ぎ始めた。
次回は月曜日の予定です!
更新できなかったら申し訳ないです……
ここまでお読みいただきありがとうございました!
今回の登場人物!
柊一輝:主人公
柊陽菜:主人公の従妹
柊真冬:主人公の妹
朝比奈茜:主人公の彼女
秋山結衣:主人公の幼馴染




