第二十三話「海斗の良心」
俺とイライアの活動のおかげか。
街は少しずつ平和になり、良くなるかと思われた。
しかし。
夜。寝てる時に俺たちは奇襲にあった。
理由は分からない。
だけど、俺たちの行動を快く思わない者たちの仕業だというのは分かる。
「ごめん。迷惑かけないと言っといて迷惑をかけてしまったな」
「私はいいの。でも」
「僕はいいとは思わないね」
タラクスが眉を細めて発言する。
「これ以上厄介事を増やさないためにも、海斗とイライアは行動を謹んだほうがいい」
「世界平和に繋がる慈善行為をやめろと貴方は言うのですか」
「イライアの気持ちも分かる。だが現状を見てみろ。これで良くなったと思うのかい?」
「それは……」
「君たちの行動で僕たちじゃなく、宿屋にまで迷惑がかけられているんだ」
「…………」
「これに懲りたら、悪者退治だなんて益のないことはやめることだね」
「もういいです! 僕一人でやりますから!」
イライアはそう言うと走り去ってしまった。
――イライア視点。
何だ何だ何だよ。
皆して迷惑迷惑迷惑って!
これで良くなると思った。
全てが良くなると。
僕が浅はかだというのか。
畜生。こんな世界なんて。こんな……。
「イライア!」
海斗の声がする。
「何だよ海斗」
僕は後ろを振り返り海斗の声に答える。
お前もだろ。どうせお前も。
「次の悪者は見つかったのか?」
え?
「次の悪者は見つかったのかって聞いてんだ。一緒に成敗しようぜ」
海斗……。
「海斗は僕がやってる行動を迷惑だと思わないの?」
「お前だけじゃなくて俺も……だろ。迷惑なんて気にしてちゃ何も出来ないぜ。それより悪者はよ。成敗して正義のヒーロー気分を味わいたいんよ。だから悪者はよ」
「海斗。僕はいい友達に恵まれたようだ」
「え? 何だって?」
「何でもないよ。それよりまだ悪者は見つかってない。探そう」
「おうよ」
ありがとう。海斗。




