第十九話「罠」
「え? また襲われた!?」
「ああ、そうなんだ」
俺は早速、安奈たちにやつに襲われたということを話す。
「恐らく、無駄に報酬が高いあの依頼も俺たちを誘き寄せる作戦だったのかもしれない」
「そうか」
「やつはまだ俺たちを狙っている。何か策を打つべきだと思う。どうしたらいい?」
「うーむ」
「私から一ついいかしら?」
安奈が手を挙げて発言する。
「何かいい手でも思いついたのか」
「いい手なのか分からないけど。敵は海斗を主に狙っているのよね」
「それはそうかもしれないが」
「だったらこうしたらどうかな?」
俺は安奈の発言に耳を傾ける。
――???視点。
魔王復活。それが僕の望みだ。
この世界は腐っている。だから魔王様に目覚めてもらってこの世界を成敗するのだ。
魔王準備の復活は整っている。あとは復活の姫君を生贄にすれば良い。
復活の姫君。これだけがどうしても見つからなかった。
しかし、やっと見つけた。
あの女だ。姫に相応しい佇まい。そして魔王関連の書物を読んでいる。
どう考えても魔王の生贄に相応しいではないか。
あの姫君には仲間がいる。
まずはその仲間たちを処理してから、最後にあの姫君を連れ去ろうと思う。
しかし、一人目から処理に手こずっている。
俺の不意打ちを二回も避けやがって。
今度こそ仕留めてみせる。
「おっ?」
やつはまたあの公園のベンチで黄昏始めた。
僕は恐る恐るやつの首を斬り落とすように見つめる。
今だ!
僕はやつに斬りかかった。
「安奈。今だ!」
「何だ?」
いつの間にか僕は縄みたいなもので縛り上げられていた。
「そう何度も同じ手にかかると思うなよ。お馬鹿さん」
やつはそう言うとニタニタしながら僕を見つめた。
……クソッ!




