表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マイ フィロソフィ3   作者: 名草宗一郎
33/42

最後の恋 33

 そうやって談笑をしながら僕らは歩き出そうとした。少なくとも僕はそう思っていた。だが………………。

「あ…………………」

 美春は春の黄色い笑顔で自由に野原を駆けていたが、一点を見つめたかと思うとその顔が納戸色の青さでさっと走った。

 そして、美春は僕の所へ、誰かに見つからないようにぴたっと僕に張り付いた。

「美春?」

 僕は何事かと思って、美春が見た視線の先へ見るために背後へ振り返った。そうするとそこに佐藤さんがいた。

 あの美春の恋人だった佐藤さんだ。佐藤さんは友人の男子達とフライドポテトを食べながら談笑している。こちらに気づいた素振りが見えない。

「美春?」

 僕は美春に顔を後に動かして話しかけた。

「…………………」

 しかし、美春は僕の言葉が全く聞こえてみないように僕の背中にぴたっと張り付き、人形のように全く身動きせずに隠れていた。

 佐藤さんはいくらか談笑をしたあと友人達と一緒に階段を上っていった。そして佐藤さんが完全に視界から消えたとき、おそるおそる美春は僕の体から離れた。

「美春」

「うん、なに?」

 美春はすぐに滑らかな初蜜の笑みを見せる。それは飾り気のない美春らしい笑みと見えるだろう。美春と少ししか付き合っていない人ならそう見えるはずだ。

「…………………ああ、そういえば、無性にコーラが飲みたくなってきたな。あんなマスタードホットドック食べたから舌がひりひり指摘ぞ。お、あそこに飲み物の売店みっけ。よかったら美春も飲まないか?」

 それに美春は滑らかな蜂蜜(はちみつ)の表情に金の粉砂糖が古い駆けられ、その砂糖がきらきら燦めいた(きらめいた)表情になった。

 失恋がこれほどまでに人の心を傷つける物だと知らなかった。おそらくこっぴどいわかれ方をしたんだろう。相手のことさえ顔を見たくないなんてそこまでひどい物だとは異性と交際した経験がない僕には想像が付かなかった。

 ともかく、祭りは始まったばかりだ。それなりに美春を楽しませて、つらい過去が癒される手助けをしなければな。

 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ