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マイ フィロソフィ3   作者: 名草宗一郎
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最後の恋 2

 キーンコーンカーンコーン

 白光の光が燦々(さんさん)と(あり)の巣を照らしていた。(あり)達は基本的に動物だ。本能のままに生きている。やらなければならないのは何となく大人に逆らって自立して生きるよりも、適当にこなしながら大人達に操られるのが楽だと直感的にわかってるから従ってるだけだ、誰も善なる価値を認め、それを自力でしようという気など起こっていない。

 そして、そんな本能なままに生きる(あり)達もそれぞれ思いのままに自分たちのコロニーを作ってそして自然に活動をしているのだ。


「さ!みんな、食べよ、食べよ!今日はいろんな話しをしよ!」

 (たぬき)が勝手に僕の周りの席を移動させて、4つの席で正方形の形を作った。やれやれ、今日も美春は元気だな。

「まあ、良いけど、美春なんの話しをするの?私たちが盛り上がれる話題なんて政治の話ししかないけど?」

「それは美春に任せよう。美春からなんか話題が出るだろ?」


 二人の少年と少女がピンポンをはじくように軽めに言葉を交わした。

 先に言ったキャサリンと光だ。二人とも美春の言動には慣れっこなのか、すごく乾いた風な仕草で弁当箱を広げていた。

 紹介をしよう。先に出たキャサリン・フレイジャーという女性は両親がイギリス人らしい女子で、その金髪碧眼と細い眼、どこかすっきりとした顔立ちをする正真正銘の美少女だ。

 それを聞けばパーフェクトな美少女だけど、何となくその雰囲気(ふんいき)から冷気の糸がそろりと出ていて、あまり個人的に好きではない。

 何度か話したけど結局感性が合わなかったし、こいつとは冷たい中間地の間で接することになると思う。

 

、呆れたようにしているもう一人目、真部光は眼鏡をかけた美少年で、どういう美少年かというと、あごが逆三角形に似た鋭利なあごと細い眼をしている、どっちかというとキャサリンに顔立ちは似ている美少年だが、ちょっとクールな雰囲気(ふんいき)はにてるが、あっちはクールになりすぎた結果、命の暖かみを凍らせる凶悪冷蔵庫にたいして、彼はリーダーのようなかっこいい形のクールさがある。

 とにかく、頼りになる人物だ。


「ふふ〜ん、二人ともそんなに期待をするなら、思う存分すると良いよ!私もみんなが盛り上がれる話題を見つけたんだから、大船に乗ったつもりでいて!

 そこで美春はポンと自分の胸を叩く。

「ずばり!それは好きな食べ物の話題にしよ!ちなみに私はハンバーグとステーキが大好きだよ!」


 なるほど、そうきたか。確かにそれだと盛り上がるな。

「確かにハンバーグとステーキは美味しいわね。肉類だとミスターバーグとかに行ったりするの?」

 まずキャサリンが美春の話をつないだ。美春は感情のツボが押されたように、ぱかっと感情の制御のふたが開いた。

「よくぞ聞いてくれました!確かに、ミスターバーグ良いよね!肉が美味しいし、何より肉が美味しいしね!でもさ、私が最近はまっているのはさ、弥生亭。弥生亭のチーズハンバーグにはまっているんだ!美味しいよね〜。チーズハンバーグ。何て言ったってハンバーグにチーズが入っているんだよ!これが美味しいわけがない!絶妙だよね、チーズにハンバーグなんて!チーズのコクが肉と合うの、合わないのってなんの合いまくりだよ!超美味しいからこれはおすすめだよ!」

 美春はつばをぺっぺとはき出しながら感情の奔流(ほんりゅう)を流れるままに放出し続けていた。

 なんだかな、ここが僕は美春を異性としてみれない所だよな。かなり、女子らしくない。全く女の子の慎み(つつしみ)がない。

 人の生き方は人それぞれだと思うけど、美春のようなおばさんのような言動には全く異性としてみれない。女子らしさが全くないよな。こういう女子としては付き合ってくれだと言われても正直言って断ると思う。こんな女子と付き合っても夢がないだけだ。


 だが、僕のじくじくとした思いとは正反対にアホウドリのように話は進んでいく。

「確かにチーズハンバーグは美味しいわよね。私も食べてみたけど、ハンバーグにチーズというのは最高だわね。肉汁にチーズのコクが絶妙に絡まって、特に濃い乳の味がするわね。私自身デミグラスが美味しいけど、しかし、チーズハンバーグも良いわよね」


「そうそう!さすが!リンちゃん、わかってる!チーズハンバーグは美味しいよね〜。もちろん私もデミグラスは大好き!弥生亭に行くまではそれが私の本流だったんだから、わかる、わかるよ。あれだよね、デミグラスはジャガイモにかけても美味しいよね。私、良くジャガイモをデミグラスソースにつけて食べていたんだ。あれ絶品だよね」

 もぐもぐ。

 僕はメロンパンを食べながら彼女らの会話を聞いていた。そして、その会話のスピードがさらにヒートアップする。


「確かに、それはそうだ。ジャガイモって良く何でも合うな。俺は大根おろしとポン酢が好きだが、デミグラスもかなり好きだ。あの高級そうなソースが良いよな。あれをつけると全くハンバーグを食べてる気がする。定番て気がするし、深いコクがあって美味しいよな」


「ええ、そうね!やっぱりハンバーグにデミグラスソースは鉄板だと思うわ。でも、ポン酢というのも渋いわね。大根おろしをかけて、ネギをその上からかけて、かけるの?あれも爽やかで良いわよね!」

 もぐもぐ。


「ああ、そうだ。大根とネギがないとおろしポン酢であり得ない!あの大根の白い柔らかい食感と、肉のうまみ、それに爽やかポン酢をかけるというのが良いんだ!そして、ネギは見た目と風味をぴりりと引きしめるから、それが絶妙だ!」

「ははは、熱いね光。良いね、そういう熱さが日本の未来を切り開いていくよ!私もポン酢は好きよ。あの爽やかさが良いよね。ところでポン酢と言えば、しゃぶしゃぶならごまだれと、ポン酢どっちが好き?私は肉なら、ごまだれをつけるね!みんなはどっちをつける?」

 すーっ。

 メロンパンを食べ終えた僕はすっとその場から離れた。それに気づいた光がついと僕を見る。

「どこへ行くんだ一樹?一緒に話さないか?」

 僕はそれに半身が影になりながら振り向いた。

「はは、悪い。ちょっと今日は気分が優れないんで、ちょっとぶらぶら歩くよ。また、何かの機会で話そう」

 それに光は眼鏡をついっと小指で動かして、雪から溶け落ちた(しずく)の水滴が窓に流れ落ちた。

「ああ、それならまたあとで話そう。まだ、授業まで時間があるからゆっくりすればいい」

「ああ、じゃあ」

 それでぼくはモグラの団欒(だんらん)から離れていった。周りも同じように小さなグループを作って、暖かなオレンジを作り出していた。しかし、僕はそのオレンジから離れていく。


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