暗黒異変…
宴会が終わり、2週間が経った。
今のところ謙治の動きはないらしい。
その間、俺達は久し振りにのんびりしていた。
ただ、アジトに人がいすぎて騒がしいが……
今は夜の12時、皆は寝ているが俺は眠れなくて
外に行き、お茶を飲んでいる。
[やっぱり綺麗だなぁ。]
幻想郷で見る星はとても美しかった。
どの星も輝いていて、自分がちっぽけな存在に
思えてくる。
…思えばいろんなことがあったな。
など、黄昏ていると、
[眠れないんですか?]
早苗が隣に来ていた。
[なんか眠れなくてな。]
[なら少しお話ししましょう!]
暗い森の中で俺と早苗は話していた。
[なんか早苗と二人っきりで話すの久し振りに
感じるな。]
[そうですね、色々ありましたから。]
[だな!]
そう答えると早苗は急に真剣な顔になり、
[前から思ってたことを聞いてもいいですか?]
[いいけど、なしたんだ?]
俺、早苗に何か隠してたかな?
[…本当に良太君と兄弟なんですか?]
俺はこの言葉を聞いて震えてしまった。
早苗は俺の動作を見逃さずに、
[教えてください、聖人は……何を隠している
んですか?]
俺は誤魔化そうと考えたが、早苗の真剣な表情
を見て、誤魔化せないと感じたので話すことにした
[はぁ、早苗は鋭いのな。]
[当たり前です! 聖人の彼女ですから!]
胸を張って堂々と宣言したよ…
[簡単に言うけど、…俺は拾われた子どもらしい。]
[え?……]
俺は続けて話す。
[俺が2歳の時に、母が拾ったらしい。]
[でも、どうして?]
[俺にもわからないよ。]
色々と調べてみたが、何もわからなかった。
[じゃあ父親は? 確か妖忌さんでしたよね?
でもあの人は妖夢さんのお爺ちゃんだったはず。]
[そこもややこしいから簡単に言うけど、
俺が拾われてから1ヶ月後に母が倒れている妖忌
を助けて、それから一緒に住むことになった
らしい。
俺はその時は何がなんだかわからなかったから
妖忌を父親と思ってたんだ。]
[それなら納得です、なら良太君は?]
[いい忘れてたけど、俺が拾われた時に母のお腹に
いたんだよ。]
俺は夜空を見つめながら答えた。
[そしてその1年後に母が死んだ。
良太を生んでから、不治の病にかかってな。]
[じゃあ!!]
[良太は親の顔を見てないのさ。
あのあと母と結婚していた人の親がきたけどな。]
つまり言うと、良太は両親の顔を見てないし、
知りもしなかった。
[どおりで似てないわけです。]
[あのあとは楽しく3人で過ごしていた。
けど、良太が大きくなるにつれて本当の親の事を
探し始めた。
それを止めさせるために、妖忌は死んだふり
をした。]
[その後は?]
[その後は、二人で過ごしていたよ。]
俺はある程度話したので、お茶を飲んだ。
[辛いですね。]
[辛いのは良太さ、けどこの事を知ったとき…
どうなるかわからない。]
下手すれば暴走するかもしれない…。
[けど、一番辛かったのは聖人じゃない…
また一人で抱え込んで、いい加減にしてよもう。
辛いことや困ったことがあったらちゃんと相談
してくださいよ!]
[善処するよ…]
[強がっても無駄ですよ…泣いているのに。]
気が付けば俺は涙を流していた。
[ありがとうな、早苗。]
[はい!!]
早苗は満面の笑みで答えてくれた。
[じゃあそろそろ寝るか。]
[そうですね…?]
[どうした早苗?]
早苗は辺りをキョロキョロしている。
そして、腕時計を見始めた。
[おかしいですね、この時間帯ならもう太陽は
登ってるはずなのに…]
[ちなみに今何時だ?]
[朝の8時です。]
八時間も話していたのかよ…ってそんなことじゃ
なくて!
[いやいや、おかしいでしょ!]
とっくに青空も出ているはずなのに、深夜の
ように真っ暗だった。
[見て聖人!]
早苗が指を指した方に巨大な黒い塊が浮いていた。
その塊から黒い霧が流れていて、太陽の光を
反射しているらしい。
[あれは、異変だな。]
[そうですね、とりあえず霊夢さん達が起きるのを
待ってましょう。]
[だな、あと少し寝るから。]
[寝てる場合じゃないですよ!!]
そんなことはわかってるけど眠くて眠くて仕方が
ない。
そんなときはあれを使うか。
[早苗も寝ておけよ、いざって時に体が動かないぞ]
[でも、今から寝ても。]
[大丈夫、俺が時を止めるから。]
[そんなことしたら聖人に負担がかかるじゃ
ないですか!]
[そういう時のために……]
俺は鞄からグミを取り出す。
[これを時を止める前と後に食べれば大丈夫だよ。]
[ちなみにそれは?]
俺が取り出したのは水色のグミだ。
[回復のグミだよ。]
[ミラクルなグミですね。]
[ま、味もミラクルだけどな!]
そう言いグミを食べて時を止めた。
大体半日くらいかな。
[じゃおやすみ~]
[まったくもう…]




