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終戦

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【東暦 一〇〇五年 八の月 十六の日】


 翌日。どうやら話し合いがまとまったようである。シオンはシュティ大公家の天幕に呼ばれた。そこで待っていたのは他でもないグレンダである。


「呼び立てて済まないな。まあ、掛けてくれ」


 シオンは指示された通りに椅子に腰かける。グレンダは一刻も早く陣を引き払って帝都に帰りたそうにしていた。ロメリアに会いたくて仕方がないのだろう。


「お前のお陰で早く帰れそうだ。感謝するぞ。お前には助けられっぱなしだな。少し色を付けてある。持って行け」


 革袋をシオンに手渡す。中には金貨がぎっしりと詰まっていた。日本円にして数百万円分の金貨が入っているだろう。シオンはそれをありがたく受け取る。


 シオンもすれてしまったものだ。いつしか世の中はお金だと考えるようになっていた。それもそうだ。転移した直後は僅かな端金を文字通り命を賭けて稼いでいたのである。


 稼げるならば稼ぐ。少しでも多く取れるなら取る。そのような境遇を経験したシオンの思考が拝金主義に染まっていってしまうのも無理もない。


「ありがとうございます。そして、この後の流れは?」

「ああ、ブロンソン公爵とゴードラルド侯爵が砦を構築するようだ。ま、私には関係のないことだが早く築いてもらいたいものだな」


 関係ないとは言っているが、砦が築かれなければ帰ることはできない。それをグレンダは理解しているのだろうか。シオンは不思議に思う。


 ただ、シオンの目下の悩みはそこにはない。王朝側が攻めてくるかどうかにある。帝国が実効支配で占領しようとしている領地はシオンが治めているバレラードの倍ほどの広さだ。


 村も複数あった。まあ、そのうちの一つはシオンが潰してしまったわけだが。


 平地が多く、起伏も小高い丘があるくらいだ。悪くない立地である。王朝は取り戻しに来るだろう。シオンはそう睨んでいた。


 しかし、待てど暮らせど王朝は取り返しに来ない。何故取り返しに来ないのか。シオンには理解できなかった。


 勝てる見込みがないからだろうか。だが、それでは国内に示しがつかない。


 考えれば考えるほど王朝側の動きが読めないとシオンは考えていた。なんのための小競り合いだったのか。考えれば考えるほど、ドツボにはまるシオンであった。


 そうこうしているうちに、あっという間に砦が完成する。代官にはブロンソン公爵の名婿でゴードラルド侯爵の弟の次男であるジェラルドが入ることになった。実質的な領主である。


 もやもやとした思いを抱えながらもシオンは陣を払う指示を兵士たちに出す。これでこの戦は終わりなのだ。後はブロンソン公爵とゴードラルド侯爵に任せることにする。


「撤収するぞ」

「え、まだ何もしてないですよ?」

「村から色々とありがたく貰ってきただろ。それでこの戦は終わりだ。ま、初陣なんてこんなもんだ」


 アレンが不思議がっている。他の兵も同様だ。戦はお金が掛かる。人が死ねば保証や見舞いを出さなければならないのだ。そう簡単にぶつかったりはしない。人を潰したりしないのだ。


 国の面子と資金、それから勝率を天秤にかけて初めて自国の兵に『お国のために死ね』と命じることが出来るのである。今回はそれが出来なかったということだ。


「次は戦で手柄を立てられる機会を頑張って用意してやるよ」

「ははは、それは遠慮しておきます。命あっての物種ですからね。今回のような戦が性に合ってます」


 アレンが力なく笑いながらそう述べた。この間の賊退治で思い知ったのだろう。殺されるのは御免だが、人間を殺すのも御免だということを。


 しかし、誰かが領地を守るために兵士にならなければならないのだ。アレンは自分に何度もそう言い聞かせていた。まだ、シオンのように割り切れない。


「そうか。ま、考えとくよ。さ、帰ろうぜ」


 シオンたちは帰路に付く。バレラードを離れて既に一か月が経とうとしていた。そろそろ収穫の時期だ。インとエメが上手いことやってくれているだろう。シオンはそう考える。


 これからどうやって領地を発展させていくべきか。今回、思い浮かんだ傭兵稼業についてぼんやりと考えながら報酬として貰った金貨の入った革袋を手の中で弄ぶのであった。

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