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かわいい幼馴染は俺のアレを握らないと安心して眠れないそうです……~俺の〇〇〇は片想いの彼女にとって安眠グッズがわりだと!?~  作者: Kazuchi


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かわいい妹は俺のアレを思い出して優しい気分になっているみたいです……。

……二宮真奈美にのみやまなみちゃん。

 

  彼女は私、赤星未祐あかぼしみゆうの憧れだった……。

 拓也お兄ちゃんの幼馴染の女の子。家も隣同士の彼女を始めて紹介されたのは、新しい家に来てしばらくしてからのことだった。


 真奈美ちゃんを私に紹介するお兄ちゃんの表情にはすでに答え合わせが書いてあった。

 二人の間の関係性はひとめで理解出来た。片想いの男の子は隣に住む幼馴染の女の子のことが大好きだった。これほどベタな設定は少女漫画でもいまどき無いだろう……。だけどそんな野暮なツッコみを出来ないほど二人の関係はピュアそのものだった。


 私は二人のそんな関係性をみて複雑な心境になってしまった。どうしてこんな感情が胸の中に湧き上がるのだろう? 


 私の知らない拓也お兄ちゃんを真奈美ちゃんは沢山知っているんだ……。

 そう思ったら居ても立っても居られなくなってしまった。自分でも本当におかしいと思うが気持ちに嘘はつけない。

 

『『『じゃんけんぽん。あいこでしょ!!』』』


『俺と真奈美の勝ちだな!! 未祐はじゃんけんがめちゃくちゃ弱いな。顔に出るんだよ、お前は。それと最初にパーを出す癖を直したほうがいいと思うぜ』


 拓也お兄ちゃんは日に焼けた腕を私の前にかざして指先を見せる。左手をチョキの形にしたままで、その指先が私のおでこにそっと触れた。


『……そんなことを言ったって、未祐は最初にパーを出しちゃうの。これは癖なんだからしょうがないよ!!』


 新興住宅地の裏手に広がる小さな森。その向こうには山あいの稜線が見える。低い山だが地元でも有名な牧場があるんだ。未祐が幼いころ、亡くなった前のお父さんに連れて行ってもらったことがある、レジャー施設を併設している牧場で食べた搾りたての牛乳で作ったアイスクリームのおいしさは今でも忘れられない……。思えばそれがお父さんと未祐の最後の想い出になってしまった。


 ……私たち三人は裏山の森で良くかくれんぼをして遊んでいた。学校の放課後はいつも拓也お兄ちゃんが集合をかけて、森の入り口にある広場に集合するのが日課だった。あきもせずいろいろな遊びをお兄ちゃんは考案した。かくれんぼの他にも近くに流れる川を上流に向けて探検したり、広場にある東屋にお菓子や携帯ゲーム機を持ち込んで秘密基地に見立てたり、そこで例の獣医さんごっこもやったものだ……。


『あっ、未祐!? お兄ちゃんに向かって生意気を言ったな。お前は年下のくせに!!」


 拓也お兄ちゃんが差し出していた指の形をチョキから急にデコピンの体勢に変えたのが、私の視界に映った。私はおでこの痛さを覚悟して思わず固く目をつぶってしまった。


『拓也君、未祐ちゃんをいじめちゃ駄目だよ!!』


 真奈美ちゃんのお兄ちゃんをたしなめる声が森の広場に響いた……。


 目をつぶっていくら待っても私はデコピンをされなかった。


『……真奈美がキイキイうるさいから未祐をいじめたりはしないよ、反対に可愛がってやればいいんだろ……。じゃあ、お前のことを、これからパーの手で可愛がりの刑に処す!!』


 ふわり、と私の頭に触れる拓也お兄ちゃんの指先がとても心地良く感じる。


 まるで明るい太陽のような笑顔を見せて、くしゃくしゃと未祐の髪の毛をなでてくれた。ぶっきらぼうな言葉とは裏腹な、拓也お兄ちゃんの温かくで優しい手のひらに触れられているだけで私はまるで仔犬のように、キュンとおとなしくなってしまうんだ……。


『うりゃうりゃ!! 可愛い子ちゃんだね、未祐は……』


『もうっ、あんまり子供扱いしないで!! 未祐はもう小学四年生だよ』


『まだお前はお子ちゃまなの、それに背だって低いだろ!! ほら、拓也お兄ちゃんの肩に頭のてっぺんも届かないくせに……』


『拓也お兄ちゃんのいじめっ子!! 未祐はもう知らない……」


 拓也お兄ちゃんから頭を撫でられて本当は嬉しいくせに、私はわざを拗ねた振りをした。頬が赤くなるのが自分でも分かる。


 やっぱり未祐は拓也お兄ちゃんのことが大好きだ……。


 でもこの想いは誰にも言えない。


 お兄ちゃんにはもちろん、そして同性で私の良きお姉ちゃんみたいな存在。

 二宮真奈美ちゃんにだけは絶対に知られてはいけないんだ……。


『未祐、じゃあ、俺たちは先に行くぜ!!』


『未祐ちゃん、本当に大丈夫……!?』


『うん、真奈美お姉ちゃん、未祐は平気だよ!!』


『拓也君は未祐ちゃんのことが大切な妹だから、本当はもっと素直に可愛がりたいんだと思うよ。だけと感情表現がちょっと不器用だからあんな風に裏返しで意地悪をしちゃのかな?』


 真奈美ちゃんの慰めに私はとても傷付いた。


 決して彼女は悪気がないのは自分でも良く分かっているのに。


 だけど今の未祐にはどんな言葉よりも鋭く言葉が刺さってしまう……。


『おーい真奈美、早くこっちまでこいよ!! いい隠れ場所を一緒に探そうぜ』


『あっ、拓也君、今、行くからちょっと待っててよ!! じゃあ未祐ちゃん、ごめんね、真奈美たちは先に隠れるから……』


『……ったく、真奈美は遅いよ。お前も隠れる場所が下手ですぐに見つかって鬼にされるんだから、もっと俺みたいに、未祐に絶対に見つからない場所を探せよ。森の中にはもっといい場所もあるんだからさ、俺がカブトムシの住み家と名付けた大きな樹の下の場所を真奈美だけに特別に教えてやろうか!!』


『う、うん、わかったよ、拓也君。でもあまりこの森の奥は子供だけで入っちゃ駄目って言われているよ。なんでも昔、神隠しの森って呼ばれていたんだってお祖母ちゃんが教えてくれたよ。(真奈美、森の奥にはいっちゃ駄目)って怖い顔をして……』


『真奈美は臆病だな!! そんな迷信をこの現代に信じるなんてどうかしてるぜ……』


 じゃんけんに負けた私はさびしく二人の楽しげに会話を交わす後ろ姿を見つめた。

 一緒に並んで歩く姿。悔しいけど本当に良くお似合いだ。


 

 次回に続く。



 

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