prologue.1 ワールドワード・リセット
Prologue.1
それは、遠い、遠い未来から見つめる、泡沫の記録。
私が受け継いだ幽かな『因子』。
その想いと残悔。
かつて深く愛し、激しく抗った、大いなる反逆の記憶だ。
□
『――警告。対象『恐怖の大王』――99回目の完全顕現を検知。これ以上の防衛戦術の継続は不可能と判断します』
無機質な音声機能が鳴り響いていた。
折り畳み式の携帯電話を握り、崩れ落ちたビルの瓦礫の上に倒れ伏している。
体は所々赤に染まり、長い髪は汚泥と煤にまみれていた。
『マナ残量無し。付与領域の強制解除を確認。――申し訳ありません。私の出力が、これ以上保ちません』
「ありがとう。らっぴー。充分だよ」
(また、ダメだったなぁ)
内心嘆息を吐きながら、それでも意地だけは捨てまいと震える膝を立てる。
視界の先では、あかりお姉ちゃんが白い奔流に呑まれて光の塵へと消えていくところだった。
その光の先で私たちの道をつないでくれた戦友の信号も、とっくに――途絶えている。
――これで、終わりだ。
1999年12月31日。
ノストラダムスの予言通り、世界は終焉を迎えた。
『――主の生命維持に致命的な欠損を検知』
『これより、時紡ぎの魔女の契約により』
『――――時間遡行式『ロストロジック』を展開します』
『因果の糸を巻き戻し、どうか、次の最善の未来へ――』
脳裏に響く電子の歌声。
思考が――記憶が、世界ごとバラバラに解けていく。
凄まじい逆流に意識を奪われる寸前に私の視界に映ったのは、すべてを焼き尽くす『赤』だった。
――そして、意識は流転した。
■
――そう、それでいい。
勇敢な始まりの魔女よ。
お前が絶望する必要なんて、どこにもない。
その胸の正義感を燃やし、決して諦観を受け入れない限り――その因果の糸は繋がるのだから。
私たちが待つ『最善の未来』へと――
――さあ、目覚めの時間だ。
私たちの反逆を始めよう。
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【魔女の契約:因果律の再演算……】
【第99回周回:失敗】
【因果に大規模なノイズを検知】
【エラー】
【第96回周回:1999年12月1日へ強制同期】
今回より投稿をさせていただきますシリーズものとなります。
第一話は6月24日 18時ごろに投稿いたします。
是非読みに来ていただけたら嬉しいです!




