27 ある少女の回想(?視点)
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――走る、走る、走る。
汚れたローブで体を隠し、路地裏をひたすらに走る。
道もわからず、何処に走ればいいのかもわからない。
でも、足を止めるわけにはいかない。
“わたくし”は“夢”を、見つけなくてはならないのだから。
――走る、走る、走る。
景色は変わらず路地裏の中……ですが、かなりの距離を稼ぐことができました。
このままいけば、ここから“逃げられる”かもしれない。
ふと思い描いた光景に、口元がにやけた――その瞬間。
「えっ!?」
突如、暗がりから足を差し込まれ、わたくしは抵抗もできずに転んでしまった。
一体、何が……?
全身に鈍い痛みを感じながら顔を上げると、そこには人相の悪い男がわたくしを見下ろすように立っていました。
「おいおい、お嬢ちゃん。落とし物だぜ?」
お、落とし物?
声に釣られて男の手元を見る。
すると、その手には綺麗な装飾が施されたペンダントが握られていて。
それは間違いなく、わたくしの物でした。
「お前、いいもの持ってるな」
「っ!?」
男の雰囲気と声音に恐怖を感じ、急いで体を起こす。
けれど、男の動きはわたくしなんかよりもずっと速くて――
《――闇よ、この女を眠りに落とせ》
逃げる間もなく、魔法詠唱と同時に頭を掴まれる。
瞬間、男の手から黒い煙のようなものが吹き出し、わたくしの体を包み込み始めた。
「いやっ!」
叫びを上げて急いで煙から逃れようとするも、時すでに遅く。
気付けば、わたくしは壁を背にするように座り込み、体の一切を動かせなくなっていた。
立ち上がることも、声を上げることも、もがくことすらもできない。
そんなわたくしを見て、男はゲタゲタと汚い笑い声をあげた。
「この容姿なら金貨2枚、いや5枚にはなるか?持ち物もそこそこ良い物が揃ってるみたいだし、今日はツイてるぜ!」
これは、罰なのでしょうか。
逃げようとしたから、夢を見つけたいなんて思ってしまったから。
男の闇魔法により、視界が暗く閉ざされ。
同時にわたくしの心も、後悔と絶望に染まっていき。
そうして何もかもを諦めた、その時……わたくしの傍から、鈴の鳴るような声が聞こえてきた。
「もう大丈夫だよ」
それは、さっきの男とは違う、とても優しい、温かな声で。
声に導かれるように、わたくしは必死に意識を手繰り寄せ、重いまぶたを懸命に開く。
すると、そこには、一人の子供が立っていて。
「大丈夫、安心して――」
わたくしと同じくらいの背丈で、体も細いというのに。
なのに、どうして……こんなにも安心するのでしょうか。
この子供――いや、この方は、まさか?
「僕が守るから」
その言葉を聞いた瞬間、わたくしの体に雷で打たれたかのような衝撃が走り抜けた。
ずっと、ずっと、夢見て憧れた、理想のような光景。
あぁ、あぁ、女神様。
わたくし、ようやく見つけることができました。
この方こそが、わたくしの探し求めた夢――わたくしだけの“白馬の騎士様”。
わたくしは手繰り寄せた意識を手放して、安心しながら眠りにつく。
もう大丈夫。
だって。
騎士様はわたくしを“生涯”守り続けるって、言ってくれましたもの。
これがわたくしと騎士様の運命的な出会い、そして約束された未来への始まりでした――。




